●無意識【むいしき】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
無意識
むいしき
unconscious
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知恵蔵
無意識
(石川伸晃 京都精華大学講師 / 2007年)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
デジタル大辞泉
む‐いしき【無意識】
1 意識がないこと。正気を失うこと。「
2 自分のしていることに気づいていないこと。また、そのさま。「
3 精神分析学で、意識下の領域、種々の人間現象の背後にあって影響を与える混沌(こんとん)としたもの。催眠・自由連想・投影検査、麻酔などの薬物作用によってのみ表出が可能となる。潜在意識。
出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版
むいしき【無意識 unconscious】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
無意識
むいしき
unconscious
意識に基づいて心を理解しようとする意識心理学に反対するフロイトの精神分析の基礎的概念。記述的な意味と場所論的な意味をもっている。記述的用法は「無意識的」というように形容詞として使われる場合で、この意味では意識されないものはすべて無意識的である。一方、名詞として使われる場合は、フロイトの場所論(局所論ともいう)における意識、前意識、無意識からなる心的装置のなかの無意識のことをいう。精神分析の初期では、無意識は抑圧されたもの、意識から追放されたものによってつくられていると考えられたが、このような抑圧が可能になるためには排除される場所がなくてはならず、あらかじめ原抑圧があるという仮定が必要になった。したがって、無意識はただ抑圧されたものというだけでなく、無意識として独自の場所(体系)をもつものと考えられるようになった。これが、心を一つの装置とみなして、三つの場所、すなわち無意識、前意識、意識からなるという場所論である。
記述的には無意識と前意識は区別されないが、場所論的には両者は内容によって区別される。無意識は衝動を代理する表象から成り立ち、かつ自由に移動しうるエネルギーをもっているとみなされる。この無意識を典型的に表しているのが夢である。無意識は衝動のエネルギーをもっているので、絶えず意識あるいは行為として衝動を満足させようとしている。抑圧されたものは絶えず逆戻りして、意識に表れようとしているのである。この無意識の衝動は抑圧されたものである限り、衝動表象はそのままの姿では意識に表れることができず、意識に受け入れられるように歪曲(わいきょく)され、変容される。夢や病の症状は、こうした変容を受けたものである。無意識は意識と異なり、「……ではない」という否定もなく、時間もなく、破壊されることもなく、現実を顧慮することもなく、願望を充足しようとする快感原則が支配していると考えられる。これを一次過程とよび、前意識は二次過程に支配されるものとして区別される。
二次過程は、現実を顧慮する意識的・論理的な過程であり、現実に適応することを目的に発達する。無意識は「もの」表象から成り立っているのに対して、前意識は「もの」表象と「語」表象から成り立つとも考えられる。フロイトの精神分析の後期(1920年以降)には、無意識、前意識、意識の場所論はエス(イド)、自我、超自我の三つの場所(審級)からなる新しい自我論に修正された。おおむねエスは無意識に対応しているが、前意識と意識は自我あるいは超自我に対応しているわけではない。新しい場所論は無意識の概念を不用にするものではない。どこまでも無意識から意識を理解しようとするのが、精神分析の一貫した考え方である。ユングにおいては、無意識は個人的無意識と集合的無意識に分けられ、無意識は創造的活動の母胎と考えられる。
[外林大作・川幡政道]
『シャリエ著、岸田秀訳『無意識と精神分析』(1970・せりか書房)』▽『フロイト著、井村恒郎訳「無意識について」(『フロイト著作集6』所収・1970・人文書院)』▽『C・G・ユング著、高橋義孝訳『無意識の心理』(1977・人文書院)』▽『鈴木晶著『フロイトからユングへ――無意識の世界』(1999・日本放送出版協会)』▽『イグナシオ・マテ・ブランコ著、岡達治訳『無意識の思考――心的世界の基底と臨床の空間』(2004・新曜社)』
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精選版 日本国語大辞典
む‐いしき【無意識】
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最新 心理学事典
むいしき
無意識
unconsciousness(英),Unbewusstes(独)
気づきawarenessや注意を伴う意識には容量に制約があるが,無意識には制約が少ないと考えられる。したがって,習慣化され半ば自動化された認知や行動は無意識化されている方が効率が良い。認知や行動面では,ルーティン作業で意識化を繰り返すと無意識化が進行することが知られている。自転車にうまく乗れるようになるのも,意識が無意識的な手続き的記憶に落とされるためであり,多くの身体的あるいは認知的技能に当てはまる。われわれの日常生活の多くは,このような無意識的な行為や認知によって営まれているといえる。
次に,無意識を精神分析的な用語として用いる場合は,フロイトFreud,S.やユングJung,C.G.らの考え方が重要である。無意識な情報は,意識に到達せず抑圧された内容をもち,意識と無意識は連続的ではないと考えられる。意識のみでは理解しにくい行為や神経的症状も,そこに無意識的な心的過程を想定することで理解が可能であると考え,抑圧によって無意識状態にある心的内容を,自由連想や夢の分析を通して理解しようとする手法を採る。
精神分析でいう無意識とは異質な無意識の現象や過程も,その後以下いろいろ知られるようになった。
ブラインドサイト(盲視)blindsightは脳の1次視覚野の損傷によって視覚を喪失した人の一部が示す視覚刺激に対して反応する能力をいう。たとえば動く物体を欠損視野に提示して強制的な判断を求めると,視覚的な気づきを伴わず,本人の確信度も低いのに動きが認識されることがある。外側膝状体から1次視覚野に投射される通常のルートでは意識化されるのに対して,外側膝状体から分岐して中脳経由で高次視覚野に至るルートがブラインドサイトとかかわると推定されている。
分離脳split brainは,てんかん治療などで大脳両半球を結ぶ脳梁を切断した脳をいう。左右の大脳半球が独立して働くため,一つの身体に二つの心が宿るなどといわれ,巧妙な刺激提示と両手が反対側の神経支配で動くことを利用して,左右両半球の機能的差異の研究が進んだ。患者自身は分離を意識しているわけではない。
非意識non-consciousnessという用語は精神分析などの意味を帯びがちな無意識という術語を避ける以上のような場合に用いられることがある。
また,サブリミナルアドバタイジングsubliminal advertisingは閾下広告ともよばれ,意識に上らないような時間空間的条件で広告する手法をいう。テレビなどで知覚できないような刺激で繰り返しメッセージを出して購買への動機を強めようとする。閾下知覚subliminal perceptionは刺激閾以下の刺激が提示されたときに,皮膚電気活動や反応時間などで,なんらかの反応が得られたときに用いられる用語である。 →意識 →精神物理学 →精神分析
〔苧阪 直行〕
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