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無意識【むいしき】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

無意識
むいしき
unconscious
記述的,局所的,力動的の3つの使い方がある。記述的には,ある時点で意識されない事象ないし行動をさす。局所的には,意志によって意識化できる局所を前意識と呼び,これに対して,抑圧を解く操作 (催眠など) によって初めて意識化可能になる局所を無意識という。また力動的には,無意識の内容を取上げる。 17世紀から「意識されない自己心」が論議されていたが,19世紀末に哲学的には F.W.ニーチェが,心理学的には S.フロイトがこの概念を明確にした。心理学では,意識されることなく精神内界で進行する心理過程を無意識という。フロイトは,自分では認識できなくてもこのような無意識過程は個人の行動を大いに左右すると主張して,現代心理学に強い影響を与えた。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

無意識
フロイトによって創始された精神分析学の基本概念。無意識の概念は、人間の理性や意識がそのコントロールを超えたものによって支配されていることを示し、人間は理性的であるとした近代的人間像や意識を重視する哲学に大きな衝撃を与えた。まずフロイトは、身体に異常がないにもかかわらず歩けない等の症状が現れるヒステリー患者の治療を通じて、患者のうちに本人が認めたくない欲望があることに気づいた。心には、かなえられなかった欲望が意識に上らないよう抑圧されている。この抑圧された欲望が「無意識」とされ、ヒステリーの原因と考えられた。フロイトは、抑圧された欲望の記憶を想い出させる治療法を試みたが、患者のなかには、口では「治りたい」というにもかかわらず、抑圧された欲望を話さず抵抗する者が出てくる。そこで後期のフロイトは、患者の抵抗自体が無意識的なものであることに気づき、無意識のなかに欲望を抑圧するはたらきもあると考えた。そこで提出されたのが、「自我」「エス」「超自我」というモデルである。エスは抑圧された無意識の欲望、超自我は親の命じたルールが身につき無意識化されたものを意味する。自我はエスと超自我の葛藤の調停をはかる。こうして、患者の抵抗は、超自我の命令によるエスの抑圧、自我による調停の失敗として説明された。
(石川伸晃 京都精華大学講師 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

む‐いしき【無意識】
[名・形動]
意識がないこと。正気を失うこと。「無意識の状態が続く」
自分のしていることに気づいていないこと。また、そのさま。「無意識に足が向く」
精神分析学で、意識下の領域、種々の人間現象の背後にあって影響を与える混沌(こんとん)としたもの。催眠自由連想投影検査、麻酔などの薬物作用によってのみ表出が可能となる。潜在意識

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

むいしき【無意識 unconscious】
一般的には現在の意識野に現れてこないすべての心的内容をいうが,特にS.フロイトの精神分析理論において重要な地位を占める概念。K.ヤスパースによれば,無意識には,根本的に意識化することの不可能な意識外の機構(すなわち精神的なものの下部構造)と目下は無意識だが〈気づかれるようになりうるもの〉との二つがある。これに従えばフロイトの唱える無意識は,あくまで後者の,さしあたり現在の心の中には認められぬものに属する。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

むいしき【無意識】
名 ・形動 [文] ナリ 
意識がないこと。気を失っていること。 -状態
自分のしていることに気づかないこと。意識しないでしてしまうこと。また、そのさま。 -に手を動かす -に他人を傷つける
通常は意識されていない心の領域・過程。夢・瞑想・精神分析などによって顕在化(意識化)される。潜在意識。深層心理。 → 前意識 unconciousness の訳語

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

無意識
むいしき
unconscious
意識に基づいて心を理解しようとする意識心理学に反対するフロイトの精神分析の基礎的概念。記述的な意味と場所論的な意味をもっている。記述的用法は「無意識的」というように形容詞として使われる場合で、この意味では意識されないものはすべて無意識的である。一方、名詞として使われる場合は、フロイトの場所論(局所論ともいう)における意識、前意識、無意識からなる心的装置のなかの無意識のことをいう。精神分析の初期では、無意識は抑圧されたもの、意識から追放されたものによってつくられていると考えられたが、このような抑圧が可能になるためには排除される場所がなくてはならず、あらかじめ原抑圧があるという仮定が必要になった。したがって、無意識はただ抑圧されたものというだけでなく、無意識として独自の場所(体系)をもつものと考えられるようになった。これが、心を一つの装置とみなして、三つの場所、すなわち無意識、前意識、意識からなるという場所論である。
 記述的には無意識と前意識は区別されないが、場所論的には両者は内容によって区別される。無意識は衝動を代理する表象から成り立ち、かつ自由に移動しうるエネルギーをもっているとみなされる。この無意識を典型的に表しているのが夢である。無意識は衝動のエネルギーをもっているので、絶えず意識あるいは行為として衝動を満足させようとしている。抑圧されたものは絶えず逆戻りして、意識に表れようとしているのである。この無意識の衝動は抑圧されたものである限り、衝動表象はそのままの姿では意識に表れることができず、意識に受け入れられるように歪曲(わいきょく)され、変容される。夢や病の症状は、こうした変容を受けたものである。無意識は意識と異なり、「……ではない」という否定もなく、時間もなく、破壊されることもなく、現実を顧慮することもなく、願望を充足しようとする快感原則が支配していると考えられる。これを一次過程とよび、前意識は二次過程に支配されるものとして区別される。
 二次過程は、現実を顧慮する意識的・論理的な過程であり、現実に適応することを目的に発達する。無意識は「もの」表象から成り立っているのに対して、前意識は「もの」表象と「語」表象から成り立つとも考えられる。フロイトの精神分析の後期(1920年以降)には、無意識、前意識、意識の場所論はエス(イド)、自我、超自我の三つの場所(審級)からなる新しい自我論に修正された。おおむねエスは無意識に対応しているが、前意識と意識は自我あるいは超自我に対応しているわけではない。新しい場所論は無意識の概念を不用にするものではない。どこまでも無意識から意識を理解しようとするのが、精神分析の一貫した考え方である。ユングにおいては、無意識は個人的無意識と集合的無意識に分けられ、無意識は創造的活動の母胎と考えられる。[外林大作・川幡政道]
『シャリエ著、岸田秀訳『無意識と精神分析』(1970・せりか書房) ▽フロイト著、井村恒郎訳「無意識について」(『フロイト著作集6』所収・1970・人文書院) ▽C・G・ユング著、高橋義孝訳『無意識の心理』(1977・人文書院) ▽鈴木晶著『フロイトからユングへ――無意識の世界』(1999・日本放送出版協会) ▽イグナシオ・マテ・ブランコ著、岡達治訳『無意識の思考――心的世界の基底と臨床の空間』(2004・新曜社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

む‐いしき【無意識】
〘名〙
① 意識のないこと。気を失うこと。
② (形動) 自分が自分の行為に気づいていないこと。はっきりとした自覚なしで行動すること。また、そのさま。
※一国の首都(1899)〈幸田露伴〉「これ皆故意ありてにはあらず、ただ新主人の無意識の挙動よりして生じたることにはあれど」
③ 心理学・哲学で、意識されない心的過程、生理的活動、反射などをさす。また、精神分析学で、意識下にあり、意識や行動に影響を及ぼすが、催眠・自由連想・麻酔などの操作によらなくては意識化されないもの。潜在意識。
※柵草紙の山房論文(1891‐92)〈森鴎外〉早稲田文学の没理想「ライプニッツが楽調の美を知るを無意識中の算術といひしも」

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最新 心理学事典

むいしき
無意識
unconsciousness(英),Unbewusstes(独)
自覚的な意識がないことや自己の経験や行動に気づかないこと。あるいは,意識されないが,認知,感情の経験や行動に影響を及ぼす心的状態,過程や活動を指す。無意識という用語は記述的に用いられる場合と,精神分析的な用語として用いられる場合とがある。記述的に用いられる場合,無意識は,自分では意図していない事象や行動の説明に用いられる。ライプニッツLeibniz,G.W.は,意識に対して無意識を考え,両者間に移行段階があると考えた。たとえば,個々の雨滴の落ちる音のような微小知覚は,それ自体は意識されないが,集合的に蓄積されると意識に達するという例がある。ヘルバルトHerbart,J.F.やフェヒナーFechner,G.T.は意識に閾値の考えを導入し,閾値を超えた表象だけが意識され,それ以外は閾下にとどまり無意識を形成すると考えた。意識と無意識を連続的な階層ととらえ,上層に経験的意識が,次に意識にはないが必要に応じて想起のできる前意識(記憶)があり,さらに,想起できない無意識があり,これが上層の意識や前意識に影響を及ぼすと考えた。

 気づきawarenessや注意を伴う意識には容量に制約があるが,無意識には制約が少ないと考えられる。したがって,習慣化され半ば自動化された認知や行動は無意識化されている方が効率が良い。認知や行動面では,ルーティン作業で意識化を繰り返すと無意識化が進行することが知られている。自転車にうまく乗れるようになるのも,意識が無意識的な手続き的記憶に落とされるためであり,多くの身体的あるいは認知的技能に当てはまる。われわれの日常生活の多くは,このような無意識的な行為や認知によって営まれているといえる。

 次に,無意識を精神分析的な用語として用いる場合は,フロイトFreud,S.やユングJung,C.G.らの考え方が重要である。無意識な情報は,意識に到達せず抑圧された内容をもち,意識と無意識は連続的ではないと考えられる。意識のみでは理解しにくい行為や神経的症状も,そこに無意識的な心的過程を想定することで理解が可能であると考え,抑圧によって無意識状態にある心的内容を,自由連想や夢の分析を通して理解しようとする手法を採る。

 精神分析でいう無意識とは異質な無意識の現象や過程も,その後以下いろいろ知られるようになった。

 ブラインドサイト(盲視)blindsightは脳の1次視覚野の損傷によって視覚を喪失した人の一部が示す視覚刺激に対して反応する能力をいう。たとえば動く物体を欠損視野に提示して強制的な判断を求めると,視覚的な気づきを伴わず,本人の確信度も低いのに動きが認識されることがある。外側膝状体から1次視覚野に投射される通常のルートでは意識化されるのに対して,外側膝状体から分岐して中脳経由で高次視覚野に至るルートがブラインドサイトとかかわると推定されている。

 分離脳split brainは,てんかん治療などで大脳両半球を結ぶ脳梁を切断した脳をいう。左右の大脳半球が独立して働くため,一つの身体に二つの心が宿るなどといわれ,巧妙な刺激提示と両手が反対側の神経支配で動くことを利用して,左右両半球の機能的差異の研究が進んだ。患者自身は分離を意識しているわけではない。

 非意識non-consciousnessという用語は精神分析などの意味を帯びがちな無意識という術語を避ける以上のような場合に用いられることがある。

 また,サブリミナルアドバタイジングsubliminal advertisingは閾下広告ともよばれ,意識に上らないような時間空間的条件で広告する手法をいう。テレビなどで知覚できないような刺激で繰り返しメッセージを出して購買への動機を強めようとする。閾下知覚subliminal perceptionは刺激閾以下の刺激が提示されたときに,皮膚電気活動や反応時間などで,なんらかの反応が得られたときに用いられる用語である。 →意識 →精神物理学 →精神分析
〔苧阪 直行〕

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