●無著【むぢゃく】
世界大百科事典 第2版
むぢゃく【無著】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
無著
むじゃく
生没年不詳。4世紀後半から5世紀前半に活躍したインドの仏教学者。瑜伽唯識(ゆがゆいしき)思想の大成者として著名。サンスクリット名をアサンガAsagaという。ガンダーラのプルシャプラ(パキスタンのペシャワル)のバラモンの家柄に生まれ、部派仏教の一派(説一切有部(せついっさいうぶ)とも化地(けじ)部とも伝える)で出家、のち中インドのアヨーディヤーに至り大乗仏教に転向した。伝説によれば、弥勒(みろく)(マイトレーヤ)菩薩(ぼさつ)から唯識の論典を学んだとされるが、その史実はともかく、彼が自分に先だつ瑜伽師(ゆがし)たちからこの系統の思想を継承したことは間違いない。それを基盤に、従来の部派的解釈学をも踏襲しつつ、人間の深層意識に根ざす言語活動を分析し組織づけたところに、彼のインド仏教史上における重要な役割がある。その代表作が『摂大乗論(しょうだいじょうろん)』と『阿毘達磨集論(あびだつまじゅうろん)』である。彼の弟に、兄の説を継承発展させた世親(せしん)(バスバンドゥ)がおり、兄と並び称せられる。二人に淵源(えんげん)する思想は、摂論(しょうろん)宗や法相(ほっそう)宗として中国にも伝えられた。
[袴谷憲昭 2016年12月12日]
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精選版 日本国語大辞典
むじゃく ムヂャク【無著】
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旺文社世界史事典 三訂版
無著
むちゃく
古代インドの大乗仏教の哲学者
インド名はアサンガー(Asanga)。ペシャワールの出身で,大乗仏教の根本理論として唯識論を完成し,菩薩 (ぼさつ) 信仰を確立して,中国・日本の仏教に大きな影響を与えた。主著『摂大乗論』。
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