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熨斗【のし】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

熨斗
のし
贈答品につける標識。熨斗または熨と書くのは火熨斗 (ひのし。金属製の入れ物炭火を入れて布地の雛を伸ばす用具) の文字を用いたあて字。日本では仏事に生臭物を贈り物にしない慣習があり,これに対してめでたいときの贈り物には,凶事の贈答でないことを強調するために,わざわざ生臭物を添えることとなった。そのため魚のひれなどを保存しておき,贈答品につけることも行われているが,最も一般的なものは,のしあわびの1片を添えることであった。「のし」の名はここに由来する。それを紙に包むところから発展して,紅白の紙を雛包みにして,のしあわびの上端をのぞかせる形となり,ついには黄色の紙片を雛包みにしたり,「のし」の文字だけを書くことも行われるようになった。魚,かつお節,鳥などを贈る際には,のしは用いないのが普通である。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

のし【熨斗/×熨】
方形の色紙を細長く六角形にひだをつけて折りたたみ、中に熨斗鮑(のしあわび)細片を包んだもの。祝儀などの進物に添える。熨斗鮑の代わりに昆布(こんぶ)や紙を用いたりする。近年はふつう熨斗紙が用いられる。
火熨斗」の
熨斗鮑」の略。
紋所の名。熨斗鮑の形を図案化したもの。

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

のし【熨斗】
のし鮑(あわび)の略。元来は保存食料の一つであったが,のちには祝儀やめでたいおりの贈物に添えものとして広く用いられるようになった(図)。アワビの臓物をとり去って,肉を長い条(すじ)状に小刀で薄くはぎ,水洗いして乾かし,生乾きのときにおもしをつけて引き伸ばしたまま乾して製品としたもの。のしを〈熨斗〉と記すのは,火熨斗(ひのし)の文字の流用当て字であるが,伸ばしたまま干して作ることから,〈のし〉と称するようになったのではないかといわれている。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

熨斗
のし
熨斗鮑(あわび)の略。アワビの肉を桂(かつら)むきにしたものを薄くのし、紅白の紙を折って挟んで水引で結び、めでたいときの贈答品につける。日本は周囲を海に囲まれているが、漁業技術や運送態勢の未発達な時代には、魚貝類を生臭物(なまぐさもの)としてあこがれる気風が強かった。日常の食事のおかずは野菜が中心であっても、めでたいときの食事には、ぜひとも生臭物を口にしたいと念願した。そういう背景のなかで、仏教はたてまえとして魚食を禁じ、仏事のときの食事はすべて精進(しょうじん)料理であった。そのため仏事以外の贈答品には、精進でないことを示すために生臭物の代表として「熨斗鮑」を添えることになった。魚の鰭(ひれ)を台所の板戸などに貼(は)り付けておき、2、3本ひっかいて、めでたいときの贈答品に添える例もあり、鶏の羽を1本添える所もある。正月の鏡餅(もち)に大(おお)熨斗、束ね熨斗を飾るのも、婚礼の結納品目に束ね熨斗が入っているのも、凶事でないことを強調する意味があった。したがって凶事の贈答品には、熨斗をつけないのが本来の形であったが、近年は紅白の紙にかえて黒と白または青と白の紙に挟み、同色の水引で結んだ熨斗をつけることが一般化している。吉凶にかかわらず、熨斗鮑の部分に黄色い紙などを使い、また、熨斗と水引を印刷した進物用の包み紙や、金銭を贈るときに使う熨斗袋もあり、本来の意味が忘れられて形式化している。[井之口章次]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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