●熱素説【ねっそせつ】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
熱素説
ねっそせつ
caloric theory
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世界大百科事典 第2版
ねっそせつ【熱素説 caloric theory】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
熱素説
ねっそせつ
熱現象を説明するために18世紀後半に提唱されたモデルが熱素(カロリック)で、それに基づく理論が熱素説である。熱はエネルギーの一形態とする現代の見方とは異なり、熱は物質の一種であるとみなした。18世紀後半、比熱や潜熱の実験によって初めて熱と温度を区別したブラックは「熱は微細で重さのない弾性流体で、物質粒子を取り囲み、互いに反発する」と考え、熱素の原型をつくった。一方、同じころその粒子をカロリックと命名し、化学の元素表にまで加えたのはラボアジエで、化学反応に伴う発熱や吸熱を説明した。彼はまたラプラスとともに、ブラックとは異なった方法で熱量測定の実験を行った。19世紀に入り、熱量測定はしだいに正確に多様に行われたが、熱素に基づく説明の原理は延命した。自ら熱量測定を行ったドルトンも強固な熱素説支持者であった。一方、熱は物質粒子の運動であるとする熱素説に対立する議論も、ランフォードやデービーによって早くから行われていたが、土台を崩すことはできなかった。1840年代にジュール、マイヤーらによりエネルギー保存則が提唱され、50年代にクラウジウス、ケルビン、ランキンによる熱力学の建設によって、熱素説による理論体系は基礎から崩壊した。
[高山 進]
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