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物差し【ものさし】

日本大百科全書(ニッポニカ)

物差し
ものさし
物の長さを計る器具の総称。物差しは物を差し計る意である。人類が最初に使い始めた計器で、また今日でも広く使われている。普通、木、金属または骨などの板または棒に目盛りをつけたもの(直尺(ちょくしゃく))をいうが、両端間の長さを基準とした端面尺もある。金属や繊維製のテープに目盛りをつけて巻き取れるようにしたものが巻尺で、紐(ひも)や縄に単位長さごとに標識をつけた巻尺は間縄(けんなわ)とよばれる。また単位長さの針金を両端の鐶(かん)でつなぎ合わせた測量用の物差しは連(れん)尺またはチェーンとよばれる。直尺を二つ直角に組み合わせた金属製の建築用の物差しは曲(きょく)尺、差し金(がね)、まがりがね、かねじゃくなどとよばれるが、これには本来の直尺のほかに、建築に必要な寸法や角度を割り出す特別な目盛りがついている。直尺の一端に当て板を設け、別に直尺に沿って動く遊標を設け、この間に物を挟んで計るものを挟み尺といい、計る対象物によって特別につくられたものは玉尺、ロープ尺などと用途の名でよばれることがある。挟み尺の遊標の部分に副尺をつけ、主尺の目盛りを10分割あるいは20分割して読み取れるようにしたものをノギスという。
 マイクロメーター、ダイヤルゲージなども目盛りをもつ長さを計る道具であるが、これらは一般に物差しとはいわず測定工具あるいは精密測定器の分類に属させている。両端面の間の寸法を精密に仕上げたバーゲージ、ブロックゲージも同様である。
 物差しはまた古来材料によってよばれるものがあった。竹尺、鉄尺、象牙(ぞうげ)尺、鯨(くじら)尺などがそれである。また用途によってよばれるものも多い。文(もん)尺は足袋(たび)の文(もん)数を計るもの、呉服尺は呉服用、酒造尺は酒の仕入れ桶(おけ)の中の酒の量を液面の位置を計って出すもの、溢引尺(あびきざし)も酒造尺の一種である。地面、布、電線などに沿ってローラーを回し、その回転数から長さや料金を出すものも、物差しの一種であるが、計量法ではこれらを回転尺とよんでいる。伊能忠敬(ただたか)が測量に用いた量程車や現在のタクシーメーターもこれに属する。[小泉袈裟勝]
『小泉袈裟勝著『ものさし』(『ものと人間の文化史22』1977・法政大学出版会)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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