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独裁【どくさい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

独裁
どくさい
dictatorship
少数者に権力が集中し,大衆の治的自由が抑圧されている統治状態。専制とは異なり,被支配者である大衆の政治参加と積極的支持に基づく点が特色である。大衆操作とマス・コミュニケーションを前提とするきわめて現代的な統治形態である。起源は,古代ローマ共和政のもとで重大な危機に際して,一定期間絶体的な権限を付与されて設置されたディクタトル (独裁官) に由来する。独裁は重大な社会危機に出現し,事態の進展を促進し,あるいはその進展を阻止または抑圧する。一般にはきわめて個人的な政治体制をいうが,軍や単独政党を基礎として制度的独裁ともなりうる。 C.シュミットは独裁を委任独裁主権独裁とに区分しており,またマルクス主義においてはプロレタリアート独裁観念がある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

どく‐さい【独裁】
[名](スル)
独断で物事を決めること。「社長が独裁する」
特定の個人・集団または階級が全権力を握り、支配すること。「独裁者」

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

どくさい【独裁 dictatorship】
特定の個人,集団または階級が,権力を集中・独占して支配する政治形態。広義には,他人見を聞きいれず一人でものごとを決める意で,企業内(〈社長の独裁〉)や集団内(〈町内会長の独裁〉)で用いられることがあるが,それは政治用語から派生した比喩的用法である。類語として専制政治despotism,オートクラシーautocracy,暴政・僭主政tyrannyなどがあり,日本語の独裁はこれらの意味を含み,despotism,autocracy,tyranny等も独裁と訳される場合がある。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

独裁
どくさい
dictatorship 英語
Diktatur ドイツ語
dictature フランス語

一般に、1人もしくは少数者に政治権力が集中されている無制限の政治的支配形態をいう。独裁dictatorshipの語源は、古代ローマのディクタトル(独裁官)である。これは最高6か月間の短期的、一時的で合法的な独裁をいった。

[中野 実]

歴史

独裁の事例は歴史的には、まず古代ではプラトン、アリストテレスが論じたギリシア、シチリアにおける僭主(せんしゅ)制、古代ローマ共和国のスラやカエサルの独裁がある。とくに時間的制限、法的責任を負わない無制限の独裁はカエサルのそれに始まる。ルネサンス期にはマキャベッリの『君主論』に描かれている貴族や都市でのオリガーキー(寡頭制)がみられた。近代に入ると絶対主義時代のオートクラシー、ディスポティズム、ティラニーとよばれる専制的支配形態のうちに種々の独裁をみいだすことができる。イギリス革命期のO・クロムウェルのディスポティズム、その後フランス革命期におけるジャコバン独裁、19世紀のナポレオン1世、3世による独裁である。20世紀になると、ロシア革命時のソビエト独裁、第一次世界大戦後のイタリア・ファシズム、ナチス・ドイツでの全体主義的な独裁、スペインのプリモ・デ・リベラ、フランコ、ポーランドのピウスツキ、トルコのケマル・アタチュルクらによる独裁をあげることができる。これらのほか、ラテンアメリカ、アジア・アフリカ地域の政情不安と革命的状況が恒常化している諸国で軍事型の独裁の多くの事例がみいだされる。

[中野 実]

概念・類型

歴史上現れたこれらの独裁は、(1)権力行使における排他性、恣意(しい)性、(2)政治権力の法的拘束の排除、(3)市民的・政治的自由の実質的制限、(4)政治的・社会的統制のための専制的方策の採用(O・スタマー)といった諸点を共有しているが、独裁の意義という点では、これを民主主義的原則に矛盾しない一時的な憲法擁護の制度とする見解と、逆に民主主義的立憲国家の原則に対立する完全なアンチテーゼとする見解に分かれている。また独裁の類型に関しても、一般的には憲法制約的と非制約的とに大別しうるが、学問的な立場によって異なった種々の類型化がなされている。独裁を法的秩序との関係でとらえようとするカール・シュミットは、現行憲法を擁護するために現行憲法により構成された権力をもって一時的に憲法を停止する「委任的独裁」と、将来実現すべき憲法、それゆえ人民の憲法制定権力に基づいて主権的に行使される「主権的独裁」とに区別した(前者はナチス独裁に形式的根拠を与えたワイマール憲法第48条の規定による「立憲的独裁」が妥当する)。だが、このような法学的類型論では独裁の歴史的・文化的背景や政治的・社会的ダイナミズムを説明しえないとして、F・ノイマン、C・フリードリヒ、G・ハルガルテンらから政治学、社会学的類型論の必要が主張されている。ちなみに、ノイマンは、政治学的に権力手段との関連に着目することにより、「単純独裁」「カエサル主義的独裁」「全体主義的独裁」の三類型に区分している。また、ハルガルテンは、独裁を発生させる社会的対抗関係を重視しつつ、〔1〕カエサル、クロムウェル、ナポレオンの「古典的独裁」、〔2〕社会革命を目ざす委員会による支配、たとえばジャコバンやボリシェビキなどの「超革命的独裁」、〔3〕古代ローマのスラや現代スペインのフランコの独裁のように支配階級が形成する「反革命的独裁」、および〔4〕ファシズム、ナチズムのように中産階級が大衆運動を組織・動員して行う「擬似革命的独裁」に類別している。以下に、これらの類型化に引照し、独裁を文化的、社会的、政治的、心理学的諸要因の相互作用と理解するスタマーの類型化に従って独裁の諸形態を整理しておこう。

(1)「専制主義的な単一人支配」 古代ギリシア、シチリアの僭主制、現代の発展途上諸国での単一人支配などで、通常は宮廷革命やクーデターにより権力が掌握され、多くは「プレビシット」(「プレビシット」参照)を行って体制を補強する。

(2)「エリート関係的支配」 クロムウェルやジャコバン独裁のように、支配者がその周囲に評議会、委員会を設置して権威主義的国家のなかに権力ピラミッドを構成するが、エリート間の敵対や外国の軍事的脅威を背景にテロ的性格を有する。歴史的事例として、古代ローマ帝国のスラ、カエサル、アウグストゥスの独裁、ルネサンス期イタリアのメディチ家によるコジモ、ロレンツォの体制、イギリス革命時のクロムウェル、フランス革命時のジャコバン独裁、ナポレオン1世、3世の支配体制、19世紀から20世紀初頭の南米での独裁、現代の発展途上国での権威主義的支配形態などがある。

(3)「東洋の専制政治」 中国、インド、中近東、ツァーリ・ロシア、ビザンティン帝国など発逹した官僚制と軍隊のネットワークを通じての絶対主義的管理国家の支配形態で、中世、近代ヨーロッパの独裁とは異なる類型を示している。ここでの支配者は最高度の世俗的(部分的には宗教的)権威を享受し、完全な服従を要求するが、国家の領域外での社会集団の権利は尊重され、政治的紛争も大半が支配階層内部で発生した。

(4)「全体主義的支配」 これは、ファシスト・イタリア、ナチス・ドイツ、アルゼンチン、フランコ・スペインなどのように、資本主義体制の危機に対応して中間層の政治的、社会的諸力を組織・動員することにより行われる反革命的な「西欧ファシスト型独裁」と、ブルジョア社会の階級対立から発生し、革命的社会理論に基づいて大衆運動の支持を要請する旧ソ連、中国や開発途上国の同種の共産主義(ないし社会主義)的支配形態とに分けられる。両者はいずれも体制維持を正当化するイデオロギーの使用、経済の組織化、人民統制のための近代科学的・技術的手段の使用という点で共通するが、前者は反革命的な社会概念に、後者は社会発展の革命モデルに依拠する点で相反する。

(5)「立憲的独裁」 国家の内外の危機状況や緊急事態に際して、現行憲法を擁護して既存の公安・秩序の防衛・回復のため、一時的に憲法の形式的効果を停止して行われる独裁である。そして「全体主義的支配」と異なり、現行憲法に規定された諸制限を尊重し、その範囲で市民的権利・自由を制約する。ドイツのワイマール憲法第48条、1958年フランス憲法第16条、1947年イタリア憲法第77条などの規定する事態がその典型であるが、ワイマール憲法が無制限のナチス独裁に道を開いたように、事実上は全体主義的独裁に移行する可能性が大きい。歴史的には、初期ローマ共和国のディクタトル、中世イタリアのドージェ(指導者)による合法的独裁がこの類型に属する。

[中野 実]

現代的問題性

独裁に関する、より今日的な問題の一つは、現代世界に甚大な脅威を与えたイタリア、ドイツにおける西欧ファシスト型独裁の再現可能性である。とくにそれが市民的・政治的自由を経験し、大衆社会状況を呈していた諸国に発生していることから、その経済的・社会的背景、政治制度、文化、心理学的要因の解明はいまなお重要な課題である。第二には、政治的自由の経験に乏しい中南米やアジア・アフリカの開発途上諸国における独裁の問題である。それらの諸国で繰り返されている軍事的独裁は対外・対内両面での政治的不安定や軍事的緊張をはらみ、またそれが独裁を正当化する根拠や名分となっているが、より基本的には経済的不安定に原因している場合が多い。それゆえ、ここでは国民の政治的権利・自由の問題以上に、経済発展―軍事・政治的リーダーシップの相互の連関をよりよく理解することが重要となる。第三には、社会主義国における独裁の問題がある。「プロレタリア独裁」は本来、少数のブルジョアジーに対する圧倒的多数の人民支配を意味するが、今日では党・指導者の独裁の問題へと意味は転化し、ここでも国民の政治的権利・自由と独裁という問題が生じている。社会主義社会での多元主義と民主集中制の関係や旧チェコスロバキア、ポーランドにおける「自由化」問題、ユーロコミュニズムでの「独裁」概念の変化、排除などがそれである。

[中野 実]

『猪木正道編『独裁の研究』(1957・創文社)』『F・ノイマン著、内山秀夫他訳『民主主義と権威主義国家』(1971・河出書房新社)』『G・W・F・ハルガルテン著、西川正雄訳『独裁者』(1967・岩波書店)』『M・デュヴェルジェ著、田口富久治・英治訳『現代の独裁』(1964・社会思想社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

どく‐さい【独裁】
〘名〙 絶対的権力を持つ特定の個人または団体・階級が、強い力で物事を裁決・支配すること。また、独断で物事を決めること。
※明治月刊(1868)〈大阪府編〉一「内外の政事皆帝の独裁に出て議政官は拱手して其員に充るのみなり」

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