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理論社会学【りろんしゃかいがく】

日本大百科全書(ニッポニカ)

理論社会学
りろんしゃかいがく
theoretical sociology

社会事象に関する基礎的な社会学的諸概念、たとえば「社会移動」「社会的勢力」「地位セット」などに関する経験的定義、およびそれらに関する諸命題から構成される論理的体系をいう。

 歴史的には、社会学における「理論」は広義に解され、(1)社会事象に関する認識論、(2)学問論Wissenschaftslehre(ドイツ語)、(3)方法論Methodologie(ドイツ語)、(4)前述した狭義の理論、(5)観察(調査、実験)の方法や技術論、(6)実践や応用力に関する理論などを漠然と含み、初期における思弁的社会学理論は、(1)~(3)の点に関して論議が分かれ、したがって(4)の狭義の理論社会学の領域では多元的な書理論が群生する状況を示した。この段階では、まだ科学体系としての「理論」「実証」「応用」の概念的分化が明瞭(めいりょう)ではなかったといえる。近時、経験科学としての社会学の確立が強く意識されるにつれて、(5)の観察によるデータ収集の方法が重視され、データに基づく仮説や理論の構成、また仮説や理論のデータによる検証が強く要請されるようになった。理論の性格も構成的かつ累積的な発展性を要求されるようになった。

 次に理論体系の内容的図式としては、第一に、微視的な社会的行為システムから集団や組織のシステムを経て、巨視的な全体社会システムに至るミクロ社会学およびマクロ社会学の理論体系を含む。第二に、それぞれのシステムの構造・機能に関する静態理論と、それらの変動に関する動態理論を含む。そして第三には、前記したそれぞれの理論領域について、ある限定された主題に関する特殊理論と、社会に関する統合的な一般理論体系とを含んでいる。

 このような理論社会学の内容はモデルとして構想されてはいるが、まだ十分に体系化されているわけではない。とくに第三の主題に関しては、アメリカのR・K・マートンが、データの単純な経験的一般化命題(作業仮説)と、ある説明原理から演繹(えんえき)的に体系化された統合的一般理論(古典的理論にみられるような)との中間領域に、限定された領域のみに適用される検証可能な仮説のセット(中範囲の理論theory of middle range)を確立することを、理論構成の戦略的目標とすべきであると主張して注目された。たとえば社会移動論やレファレンス・グループ(準拠集団)の理論などの特殊理論は、一方で経験的データと直接につながり、他方ではその蓄積を通して一般理論の洗練に貢献しうるとしている。

[大塩俊介]

『R・K・マートン著、森東吾他訳『社会理論と社会構造』(1961・みすず書房)』『T・パーソンズ著、佐藤勉訳『社会体系論』(1974・青木書店)』『青井和夫編『理論社会学』(1974・東京大学出版会)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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