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産屋【うぶや】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

産屋
うぶや
喪屋,他屋 (月経小屋) などとともに穢れた者を社会的に隔離する小屋の一つで,出産時の女性を隔離するための小屋。産屋には2種類あり,出産の場となるとともに産後しばらく家族とは別に生活する場所となる場合と,出産後に生活する場所のみの場合とがある。落単位で常設の産屋を設ける村が多かったが,出産後臨時に産屋を設ける場合や,また家族ごとに産屋を設ける村もあった。産婦が産屋で生活する期間は村によって異なるが,三重県志摩地方のある村では初産は 60日,2回目以後は 40日と決められていた。産屋はこのほかに山形伊豆諸島静岡愛知福井,兵庫や瀬戸内海沿岸地域に存在したが,比較的西日本の沿岸地域に多く分布していた。しかし,病院での出産の増加や医学知識の普及に伴う穢れ観念衰退によって,第2次世界大戦後急速に消滅した。産屋の存在は産婦が家族とは別火の生活を送ることに基本的意味があり,出産の穢れ観念の強さを示していたといえる (→忌火 ) 。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

うぶ‐や【産屋】
昔、出産のけがれを忌んで、産婦を隔離するためにつくった別小屋。
出産をするようにととのえた部屋産室

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

うぶや【産屋】
出産をする部屋や施設。特別に産小屋を設けるものと自宅で出産するものとの二つがある。産小屋はデベヤ,タヤ,ヒマヤ,カリヤなどとよばれ,月経小屋を兼ねているものもある。いずれも産の忌により,家の火をけがすのをおそれて,別火の生活をするものであった。記紀にみられる豊玉姫の出産のように,古くは出産のための仮小屋を村はずれや山中海辺などに臨時に建てて,産がすめば燃やすかこわすかするものであった。明治半ばころまでは,村共同の産小屋を設け,産婦が産の忌の間(21~75日)ここにこもる風が,志摩半島敦賀半島,若狭湾沿岸,瀬戸内海沿岸,伊豆諸島などに見られ,敦賀半島では1964年ころまで使われていたものもある。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

産屋
うぶや

出産および産後のある期間、産婦が別火(べっか)の生活をするためにこもる小屋、または部屋。ウブヤというほか、オビヤ、オブヤなどともいい、古代には出産にあたって新しく小屋を建てたという。新潟県の佐渡ではいまでも「オビヤ(またはコヤ)たった」といえば、お産をしたということで、「猫がオビヤたった」といえば猫がお産をしたということである。産屋の歴史は記紀の時代までさかのぼって考えられるが、産の忌みということは社会生活上重大な関心事であったことから、地方として忌みの観念の強い所では、のちのちまで産屋の習わしが残った。

 たとえば漁を生業とする所、神事に対して厳しい潔斎を守らなくてはならない土地(たとえば由緒ある神社の氏子の地域)などには、現在でも産屋の伝承は残っている。最近、とくに第二次世界大戦後は産の忌みの観念が急激に衰退したため、産屋を建てる例はもちろん、別棟の産屋の例も聞かれなくなったが、一部の地方には産院という別の観念で残っている所もある。現在もなお、家庭で出産する場合には、一室を産室にあてて、多くは21日間産婦はそこから出ることを許されていない。その間、火を使うことも、水を使うことも許されないが、社会の変遷でそんなことをいっていられないというのが実情となって、こういうところから忌みの観念に基づく産屋の民俗は消えようとしている。

[丸山久子]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

うぶ‐や【産屋】
〘名〙
① 出産のけがれを忌み、産婦を隔離するために別に建てる家屋。現在でも、共同の小屋に別居する例が残っている。産所。
※書紀(720)仁徳元年正月(前田本訓)「復、昨日(きねふ)(やつかれ)が妻産(こう)む時に当りて鷦鷯(さざき)産屋(ウブヤ)に入(とびい)れり」
② 出産するようにしつらえた部屋。産室。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「うぶ屋のまうけ、白き綾、御調度ども、しろがねにしかへして」
※伊勢物語(10C前)七九「むかし、氏のなかにみこうまれ給へりけり。御うぶやに人々歌よみけり」

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さん‐や【産屋】
〘名〙 出産する建物や、へや。うぶや。
※御伽草子・田村の草紙(室町時代物語集所収)(室町末)「三年といはん正月に、たんじゃうなるべし。さん屋の高さは三十六丈」

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