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発疹チフス【はっしんチフス】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

発疹チフス
はっしんチフス
epidemic typhus fever
「ほっしんチフス」ともいう。感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律で4類感染症と定義される。旧伝染病予防法による法定伝染病の1つ。リケッチア Rickettsia prowazekiiを病原体とし,コロモジラミが媒体。冬の終りから春にかけて発病することが多い。平均 11日の潜伏期ののち,高熱とともに激しい頭痛,四肢痛などの全身症状が現れる。特有の淡紅色の小発疹は第4~6病日頃から腹部を中心に現れ,全身に広がる。熱は稽留熱で,高熱が持続する。発疹は7~10日目頃から消失する。治療には抗生物質のテトラサイクリンとクロラムフェニコールが有効で,予防ワクチンがある。発疹熱との鑑別を要する。近年,文明国には発生しておらず,国際検疫病からは除外されている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ほっしん‐チフス【発×疹チフス】
リケッチアの一種プロワツェキイがシラミ媒介により感染して起こる感染症。10~14日間の潜伏期ののち発症し、高熱や全身に細かな発疹が出て、意識混濁・うわごとなどの脳症状を示す。感染症予防法の4類感染症の一。かつてヨーロッパでは戦争や飢饉(ききん)時に流行をみることが多かった。はっしんチフス。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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はっしん‐チフス【発×疹チフス】

出典:小学館
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家庭医学館

ほっしんちふす【発疹チフス Typhus Fever】
[どんな病気か]
 リケッチアによる感染症で、シラミの媒介(ばいかい)で人間に感染します。
 日本では感染症予防法で4類感染症に指定されています。
 近年の常在地域は、北アメリカの山岳地帯、メキシコ中南米の山岳地帯、バルカン・ヨーロッパの東部と中部、アジアの寒帯地帯の一部です。近年、日本での発生はありませんが、これらの地域からもち込まれると、冬から春にかけて流行します。
[症状]
 シラミに刺されて1~2週間すると、急に寒けがして発熱し、2~3日で39~40℃に達し、頭痛、筋肉痛がおこり、目の結膜(けつまく)が充血(じゅうけつ)します。
 4日目ころから、全身の皮膚に直径2mm前後の細かい赤い発疹(ほっしん)がたくさん現われ、一部からは出血します。
 血圧が下がり、意識が混濁(こんだく)して死亡することもあります。
 経過がよければ、12~13日目ころから解熱して回復にむかいます。
[治療]
 感染症予防法の4類感染症に指定されています。
 クロラムフェニコールテトラサイクリン系の抗生物質が有効です。
[予防]
 シラミを駆除(くじょ)します。予防接種も有効です。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

はっしんチフス【発疹チフス epidemic typhus】
〈ほっしんチフス〉ともいう。シラミが媒介するリケッチアRickettsia prowazekiiによる感染症。古くから世界各地で流行を繰り返し,日本でも法定伝染病の一つに指定されている。長い間,腸チフスとの異同は不明であったが,1909年,ニコルCharles J.H.Nicolle(1866‐1936)は,病原体がシラミによって媒介されることを証明し,さらに16年にダ・ロシャ・リーマHenrique da Rocha‐Lima(1879‐1956)が病原体のリケッチアを分離,同定して,本態が明らかになった。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

ほっしんちふす【発疹チフス】

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

発疹チフス
はっしんちふす
typhus
epidemic typhus

「ほっしんチフス」ともいい、高熱、頭痛、発疹を主要症状とする急性感染症で、日本では感染症予防・医療法(感染症法)により4類感染症に分類されている。かつては検疫伝染病(検疫感染症)で、1969年7月以来、WHO(世界保健機関)の保健規則では国際監視伝染病の一つであった。病原体の発疹チフスリケッチアRickettsia prowazekiiがコロモジラミやアタマジラミによって媒介されるため、衣類の不潔や入浴の不自由などシラミの繁殖に好条件が与えられると爆発的に流行し、とくに戦争で戦場にいるときはこの条件が満たされて大流行となるところから、戦争チフスなどの別名でもよばれてきた。第二次世界大戦でも世界各地で流行し、日本でも1943年(昭和18)から患者が急増し、戦後の46年には患者数3万2000人、死者3000人に及ぶ大流行をみた。当時、東京では駅の改札口を通る人の襟や袖口(そでぐち)にシラミ退治のDDTの白い粉を噴霧するなどの予防対策も実施されたが、生活環境が改善されて流行は下火となり、1957年以降は患者の発生がない。

 病原体は患者の血を吸ったコロモジラミの糞(ふん)に排出され、これが健康者の皮膚の刺傷やかき傷から侵入して感染する。潜伏期間は10~14日。急に悪寒とともに発熱し、3日ほどで40℃前後の高熱となり、頭痛、関節痛、結膜充血などのほか、直径2ミリメートル前後の赤くて細かい発疹が全身に多数現れる。症状は腸チフスに似ているが、ワイル‐フェリックス反応とよばれる血清反応で鑑別される。クロラムフェニコールやテトラサイクリンなどの抗生物質が特効的に効くので致命率は低い。しかし、60歳以上の患者は予後不良のことが多い。また、抗生物質は解熱後2~3日まで投与する。シラミの駆除が予防上重要で、予防接種も有効である。

[柳下徳雄]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

はっしん‐チフス【発疹チフス】
〘名〙 (チフスはtyphens) 病原体はリケッチアの一種プロワツェキイで、シラミの媒介によって感染する悪性の伝染病。高熱とともに全身に細かい発疹が現われる。感染症法による四類感染症の一つ。
※比良のシャクナゲ(1950)〈井上靖〉「発疹チブスであっけなく死んでしまった」

出典:精選版 日本国語大辞典
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ほっしん‐チフス【発疹チフス】
〘名〙 (チフスはTyphus) =はっしんチフス(発疹━)

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内科学 第10版

発疹チフス(リケッチア感染症)
疾患・概念
 Rickettsia prowazekiiがシラミの媒介によって感染して起こる重篤度の高い急性熱性疾患である.戦争,天災,飢餓,貧困など劣悪な生活環境で発生する.わが国では四類感染症であるが,1957年以来発生がみられず,世界的にも激減している.しかし,ベクターとなるコロモジラミが路上生活者で発生しており,忘れてはならないリケッチア症である.感染様式は,患者または保菌者をシラミが吸血し,その腸管細胞内で菌が増殖,次の吸血時に菌を含んだ糞便を排泄し,ヒトは瘙痒感から糞便やシラミに含まれる菌を刺し口や皮膚の掻き傷に擦りこんで感染する.
臨床症状
潜伏期間は1~2週間,発熱(39~40℃),頭痛,悪寒,脱力感,悪心・嘔吐,手足の疼痛を伴って突然発病する.発疹は発熱後2~5日以内で体幹に出現し,数日で全身に広がり,暗紫色の点状出血斑となる.患者は重症感が非常に強いが,発熱からおよそ2週間後に急速に解熱する.重症例の半数にうわごと,興奮,幻覚,錯覚,意識混濁などの精神神経症状が出現する.無治療の場合,致死率は10~40%と高い.感染後免疫は長期間持続するが,まれに潜伏感染の状態となり,免疫能低下,低栄養などから数年後に再発する(Brill-Zinsser病).Brill-Zinsser病は軽症で致死率も低いが,新たな感染源となる.
診断
 血清診断としてIFAやIPが一般に特異性が高いが,発疹熱との鑑別が必要である.血清診断に加え,PCR法による遺伝子検出が行われる.Weil-Felix反応はOX19とOX2が陽性となるが,Brill-Zinsser病では通常陰性.ほかにCF法やEIA法なども用いられる.
治療
 治療はテトラサイクリン系抗菌薬やクロラムフェニコールを使用する.予防は,生活環境を清潔にしてシラミの発生を防ぐことが基本となる.[安藤秀二]

出典:内科学 第10版
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六訂版 家庭医学大全科

発疹チフス
ほっしんチフス
Epidemic typhus
(感染症)

どんな感染症か

 発疹チフスリケッチアによる急性熱性感染症です。患者さんの血液を吸ったコロモジラミの腸管内でリケッチアが増殖し、糞中に排泄されます。シラミに刺されたかゆみで皮膚をかくと、皮膚の傷や刺咬(しこう)部位から擦り込まれて感染します。シラミの糞便で汚染されたほこりの吸引による感染もあります。

 日本では1957年以降の発生はありません。海外ではアフリカ、メキシコ、南米アンデス地域などの高地で局地的に流行しています。感染症法の2003年11月の改正で、動物対策が必要な新4類感染症に分類されました。国際的監視が必要な疾患に指定され、発生時にはWHOに報告されます。

症状の現れ方

 潜伏期は1~2週間です。寒気、頭痛、背部痛、四肢の筋肉痛を伴って突然発熱し、高熱が続きます。激しい頭痛や意識障害を伴い、重症例では昏睡(こんすい)に陥ります。

 発熱から4日前後に発疹が体幹にみられ、顔面を除く全身に拡大します。大きさは粟粒(ぞくりゅう)大から小豆大で、融合することはまれです。初めは淡紅色で指圧により消退しますが、やがて暗赤色となり指圧では消退しなくなります。

 およそ2週間で急速に解熱しますが、初感染後、体内にリケッチアが潜伏し、数年後に再発することがあります。

検査と診断

 発熱が3日以上続いたり、頭痛や筋肉痛が強い場合は受診してください。

 発熱期の患者さんの血液からリケッチアを証明すれば確実ですが、リケッチアの分離には安全度レベル3以上の実験室が必要とされるため、実際には抗体による診断が中心となります。発疹熱腸チフスパラチフス、ツツガムシ病などとの区別が必要です。

治療の方法

 抗菌薬としてはテトラサイクリン系薬が有効で、通常、投与開始から3日以内に解熱します。少なくとも1週間は服薬します。適切な抗菌薬が用いられれば死亡することはありませんが、抗菌薬が使用されない場合、致命率は10~60%です。

予防のために

 一般的には、シラミの媒介なしに直接ヒトからヒトへ感染することはないので、シラミの駆除が予防の第一です。衣類や寝具は加熱消毒を行います。一般に70℃の熱気に30分通せば死滅します。

 ワクチンは国内では市販されていませんが、不活化ワクチンと生ワクチンがあります。

相楽 裕子

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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