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皮膚癌【ひふがん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

皮膚癌
ひふがん
skin cancer
皮膚に生じるで,表皮癌 (有棘細胞癌基底細胞癌) ,皮膚付属器癌 (汗腺癌,脂腺癌) ,さらに表皮内癌 (老人性角化症,ボーエン病など) ,内臓癌の皮膚転移癌に分類される。基底細胞癌は通常の癌腫と異なり,下骨組織浸潤,破壊する侵襲性増殖がみられるが,転移はほとんど認められない。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ひふ‐がん【皮膚×癌】
皮膚にできる悪性腫瘍(しゅよう)紫外線やけどけが傷痕などが誘因となる。内臓癌から転移によって起こるものもある。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

ひふがん【皮膚癌 skin cancer】
皮膚を構成する表皮細胞や,汗腺,脂腺,毛包などの皮膚付属器から発生する癌をいう。有棘(ゆうきよく)細胞癌と基底細胞癌が代表的なもので,汗腺癌,脂腺癌などはきわめてまれなものである。このほか,癌細胞が表皮内のみにとどまっているものを表皮内癌といい,日光角化症,ボーエン病,乳房ページェット病,外陰部ページェット病がある。中年期以後に発生することが多く,日本人は,白人に比べて,皮膚癌の発生率は低い。皮膚癌は,一般に自覚症状のないいぼ状の小腫瘍としてはじまり,比較的急速に増大して,潰瘍化することが多く,表皮内癌は湿疹に似た症状を呈する。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ひふがん【皮膚癌】
皮膚にできる上皮性悪性腫瘍。日光にさらされる部位などに生じやすく、白人に多い。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

皮膚癌
ひふがん
skin cancercutaneous carcinoma
皮膚に生じた上皮性悪性腫瘍(しゅよう)をさすが、広義には悪性黒色腫malignant melanomaや肉腫sarcomaなども含まれる。代表的なものとして、有棘(ゆうきょく)細胞癌squamous cell carcinoma、基底細胞癌basal cell carcinomaがあり、そのほかに皮膚付属器癌(汗腺癌、脂腺癌、毛包癌)がある。
 皮膚は、表皮および皮膚付属器上皮をはじめ、メラノサイト、真皮結合織、血管、リンパ管、起毛筋、神経、細網リンパ系細胞などにより構成されており、これらになんらかの発癌刺激が内因あるいは外因として加わることにより、通例、各構成要素が単独に、ときには二つ以上が同時に悪性増殖をきたし、多種多様な皮膚悪性腫瘍が発生するものと考えられている。癌の実験的研究は、1915年(大正4)山極(やまぎわ)勝三郎と市川厚一によるウサギの耳の皮膚を用いたタール皮膚癌に始まったことは有名で、その後もメチルコラントレンなど一連の化学物質を用いた発癌実験が試みられ、実験動物の皮膚発癌に関してはかなりのことが明らかとなっている。
 皮膚癌に変わりやすい一部の病変は、皮膚癌前駆症とよばれ、その代表的なものとして日光角化症(老人性角化症)、ボーエン病、白板症(白色角化症)、紅色肥厚症、放射線角化症、温熱性角化症、タール・ピッチ角化症、ヒ素角化症などがある。これらでは組織学的上皮内癌の所見が認められることが特徴である(狭義の癌前駆症)。一方、広義の皮膚癌前駆症では、それ自体悪性所見は認められないが、皮膚癌を生ずる確率が高い疾患をさす。種々の瘢痕(はんこん)性病変、慢性放射線皮膚炎、慢性タール・ピッチ皮膚炎、色素性乾皮症、疣贅(ゆうぜい)状表皮発育異常症、類器官母斑(ぼはん)(脂腺母斑)、老人皮膚、慢性ヒ素中毒などのほかに、臓器移植を受けた場合、エイズなどがあげられる。[池田重雄]

有棘細胞癌

日本人では基底細胞癌に次いで多くみられる皮膚癌。表皮を構成する主要な細胞(ケラチノサイト)の癌化によって生ずる悪性腫瘍で、組織学上、多少角化傾向を呈する。局所破壊能と転移能を有する。40~70歳代に頻発し、男女比は2対1で、顔面、頸(けい)部、手背などの露出部位に多くみられる。
 最初は小丘疹(しょうきゅうしん)ないし小結節として始まり、外方および深部へ向かって増大し、潰瘍(かいよう)化すると独特な悪臭(癌臭)を放つ。外方増殖性を示すものより深達性増殖を示すほうが予後が悪く、とくに下床の筋肉、骨組織内への浸潤がみられる場合、またリンパ節転移が高度なものでは、いっそう予後が悪くなる。
 組織学的に、特異な型を示すものとして、腫瘍巣が偽腺(ぎせん)様、棘融解様の所見を示すもの、腫瘍細胞が紡錘型を示すものなどがあり、前者では腺癌、後者では線維肉腫との鑑別が問題となる。
 有棘細胞癌の発癌因子として、日光(紫外線)、熱傷、外傷などの瘢痕状態、放射線皮膚炎、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、化学発癌物質などが知られている。
 欧米白人では、日本人に比べて、顔面、頸部、手背などの日光露出部位に頻発するものが多くみられる。白人皮膚ではメラニン色素に乏しく、紫外線を防御する機能が低いためと考えられている。一方、日本人では、1970~80年ごろまでは、被髪頭部や下肢などに熱傷瘢痕癌、放射線皮膚癌が多くみられていたが、1980年代中ごろより、日本人でも日光角化症由来の有棘細胞癌を、顔面、手背などの露出部位にみる症例が増えてきている。なお、日本人では世界一の高齢化社会への突入もこれに関与している。
 1974年に、フロンガスによる成層圏のオゾン量減少と、その結果として人間および生態系への影響が生ずる可能性が指摘されて以来、地球規模でフロン類使用規制の国際的な対策がとられつつある。92年には極地域だけではなく、南北中高緯度のオゾン減少が実測値として示されている。フロン類による成層圏のオゾン量の減少(オゾン層の破壊)は、地上に到達する日光紫外線のうちでも、DNA傷害能の高い中波長紫外線を増加させるため、皮膚癌の発生増加を招くものと危惧(きぐ)されている。オゾン量の1%減少が有棘細胞癌の発生率を6%、基底細胞癌では3.6%、悪性黒色腫では1~2%増加させるといわれている。
 ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)も発癌因子として注目されている。外陰部癌や子宮頸癌の発生にはHPV16、HPV18などが密接に関与しており、またHPV5をはじめとする多数のDNA型のHPVが感染することで知られる疣贅状表皮発育異常症では、日光露出部位の病巣上に有棘細胞癌、基底細胞癌、ボーエン病などがたびたび発生する。
 有棘細胞癌発生に関与する化学物質としては、ヒ素化合物、タール類、鉱物油などが知られている。ヒ素については、農薬をはじめ、鉱山、毒ガス製造、地下水汚染、医薬品(フォーレル水、アジア丸)などから人体に入り、慢性ヒ素中毒を生じ、掌蹠(しょうしょ)角化症や体幹・四肢のボーエン病ないしヒ素角化症から有棘細胞癌などが発生し、さらに肺癌の発生がみられるようになる。
 有棘細胞癌の類症としては次のようなものがある。
(1)疣状癌 有棘細胞癌の一亜型と考えられるもので、隆起性結節としてみられ、局所では増大するが転移を生ずることはほとんどみられない。部位によりoral florid papillomatosis(口角から口腔(こうくう)内)、giant condyloma acuminatum(外陰部)、epithelioma cuniculatum(足底)などともよばれている。
(2)ケラトアカントーマ(角化性棘細胞腫) 中年以上の顔面に好発。直径2センチメートル程度までの円形、ドーム状に隆起する暗紅色結節としてみられる。急速に増大するが、中央部から角化しはじめ、多くは数か月の経過で自然治癒する。偽癌とみなすものと、有棘細胞癌の一特異型と考える立場とがある。
 治療は、手術、放射線、化学療法の三つが主流をなし、凍結療法も行われる。化学療法にはペプロマイシンpeplomycin(略号PEP)、マイトマイシンC mitomycine c(略号MMC)、シスプラチンcis-diamine-dichloroplatinum(略号CDDP)、アドリアマイシンadriamycin(略号ADM)などの制癌剤がPEP単独療法、P‐M療法、C‐A療法の型で用いられる。領域リンパ節転移のある場合には、根治的リンパ節廓清(かくせい)、電子線の後照射と化学療法を併用する。[池田重雄]

基底細胞癌

もっとも高頻度にみられる皮膚癌。局所破壊性は強いが、転移能のきわめて低い悪性腫瘍である。腫瘍細胞の由来は明確ではないが、表皮および皮膚付属器の基底細胞に類似している。
 80%以上が顔面有毛部皮膚に発生する。ことに顔面正中部に好発し、胎生期の顔裂線に一致して多くみられる。ほとんどが40歳以上であり、高齢になるにつれその頻度が高くなる。性差はみられない。日本人では黒色を呈するものが多く(85%以上)、悪性黒色腫との鑑別がたびたび問題となる。一方、メラニン色素を欠くものでは、老人性脂腺増殖症、伝染性軟属腫(みずいぼ)との鑑別が必要となる。
 日光紫外線が基底細胞癌発症の重要な因子とされているが、日光照射を強く受ける部位と基底細胞癌の発生部位とがかならずしも一致しない。日光角化症と基底細胞癌との間には発生相関がみられない。基底細胞癌の発生に日光の影響は否定できないが、有棘細胞癌に対するそれよりは、はるかに少ない。
 基底細胞癌は臨床上、(1)結節・潰瘍型、(2)斑状強皮症(モルフェア)型、(3)表在型、(4)そのほかの型、に分類されるが、その臨床像はきわめて多彩である。斑状強皮症型では境界がやや不明瞭なことが多く、組織学的検討が必須(ひっす)となる。表在型の診断は比較的容易であるが、デルマトスコピー(病変部にゼリーをつけて10倍の皮膚拡大鏡で詳細に観察する検査)できわめて特徴的な松葉型・花弁型色素パターンをみることができる。
 色素性乾皮症、類器官母斑、慢性放射線皮膚炎、疣贅状表皮発育異常症、基底細胞母斑症候群では、基底細胞癌が若年齢から多発してみられることが多い。基底細胞母斑症候群は常染色体性優性で、加えて掌蹠の小陥凹(pits)、下顎嚢腫(かがくのうしゅ)、骨格系の異常(脊椎(せきつい)の形態異常、二分肋骨その他)など多様な症状を示す。なお、1996年、本症の原因遺伝子は9番染色体上(9q22.3~q31)に座位することが明らかとなった。
 治療は手術療法が第一選択である。初期における完全切除がもっとも望まれる。眼、鼻、口などが好発部位なので、再発性・深達性となると、かなりの規模の形成手術が必要となる。表在性病巣には局所化学療法として、ブレオマイシン軟膏(なんこう)、5‐フルオロウラシル軟膏(5‐FU)密封療法も有効である。全身性化学療法として、シスプラチンとアドリアマイシンとの併用が有効であり、進行期症例に用いられる。そのほかに凍結療法、放射線療法、化学外科療法などがある。[池田重雄]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ひふ‐がん【皮膚癌】
〘名〙 皮膚にできる癌。原発性皮膚癌としては、頬、眼瞼、鼻、口唇に現われることが多く、その他、陰茎癌、火傷瘢痕癌、悪性黒色腫などがある。転移性皮膚癌は臓器癌の皮膚転移として現われる。〔原子力の将来(1947)〕

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