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直接請求【ちょくせつせいきゅう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

直接請求
ちょくせつせいきゅう
第2次世界大戦後の地方制度改革の結果,間接的な代議政治の補完機能を期待されて導入された自治体住民の直接参政方式をいう。これは,条例制定改廃請求 (地方自治法 12条1項) ,事務の監査請求議会解散請求議員,長,役職員解職請求の4請求を中心とする。条の制定,改廃を請求する場合,選挙権者はその総数の 50分の1以上の連署をもって,その代表者から,地方公共団体の長に対して行う (74条1項) 。地方自治法制定の当初,この請求についてなんらの制限もなかったが,1948年の改正以降は,地方税の賦課徴収,分担金および使用料の徴収に関して条例の制定,改廃の請求を行うことは認められていない。近年の地域問題の悪化を反映して,請求件数としては条例制定,改廃請求が増加しているが,その達成率は低い。地方議会の形骸化住民参加要請を受けて,現在,直接請求制度改革が課題となっている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

直接請求
戦後日本の地方自治には、国には見られない直接民主主義的な規定が設けられた。第1に、住民は有権者の50分の1の署名を集めて、首長に対して条例の制定・改廃を請求(直接発案=イニシアチブ)することができる。ただし、地方税、分担金、使用料、手数料に関する条例については認められない。第2に、同様の署名で監査委員に対して、地方公共団体および長その他の執行機関の事務執行について監査を請求することができる。第3に、有権者の3分の1(その総数が40万を超える場合は、その超える数に6分の1を乗じて得た数と40万に3分の1を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の署名を集めて、選挙管理委員会に議会の解散を請求することができる。さらに同様の署名をもって、選挙管理委員会に議員および首長の解職を、首長に対して主要公務員の解職を請求できる(罷免請求=リコール)。
(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

朝日新聞掲載「キーワード」

直接請求
地方自治法で定められた住民の権利。地方政治の重要事項に住民の意思を直接反映させるための制度と位置づけられる。直接請求の内容が議会で可決され、原発に絡む住民投票が国内で実施された例は過去に3例ある。原発の誘致建設プルサーマル計画をテーマに新潟県巻町(現新潟市)、刈羽村、三重県海山町(現紀北町)であり、いずれも反対多数で誘致などの動きは止まった。
(2011-12-10 朝日新聞 夕刊 1総合)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

ちょくせつ‐せいきゅう〔‐セイキウ〕【直接請求】
直接民主制原理に基づき、地方公共団体の住民が直接その機関に対して一定の要求を行うこと。地方自治法により、条例の制定・改廃、事務の監査、または議会の解散請求や議員・長の解職請求などができる。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版

ちょくせつせいきゅう【直接請求】
日本の地方公共団体の住民に認められているところの,ごく限られた直接民主制的な諸制度を総称することばである。地方自治法がこの直接請求という総称の下に認めているのは,(1)条例の制定・改廃請求,(2)事務の監査請求,(3)議会の解散請求,および(4)議員・長その他の役職員,選挙管理委員会の委員,公安委員会の委員の解職請求という4種の制度である。なお,教育委員会,農業委員会,漁業調整委員会の各委員に対しても,地方自治法以外の関係法律により,解職請求が認められている。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

直接請求
ちょくせつせいきゅう

地方公共団体の住民に直接、参政の機会を与えるため認められた制度で、直接民主制の原理に基づいて、地方自治法に規定されている。広範で複雑多岐にわたる地方政治の運営は、住民の代表者たる議会にゆだねるという代表民主制の方式によらざるをえないのであるが、「地方自治の本旨」に基づく住民自治の要請に応じて、地方住民が直接その意思を表明する道を与えておくことが必要である。この観点から地方自治法はそのような制度として、直接請求の制度を規定した(12条・13条・74条~88条)。直接請求は、一定数以上の選挙権者が連署をしたうえで、その代表がすることになっており、個々の住民が請求するのではない(個々の住民ができるのは住民訴訟である)。また、署名運動については、その濫用防止のため厳重な規制が加えられている。

[池田政章]

直接請求の種類

条例の制定改廃の請求、事務の監査請求、議会の解散請求、議員・長その他の役職員・各種委員の解職請求の4種がある。

[池田政章]

条例の制定改廃の請求

請求の範囲について、初めは何の制限もなかったため、電気ガス税条例など地方税に関するものが圧倒的に多く、濫用のきらいがあって、この種の請求はほとんど全部議会で否決された。そこで1948年(昭和23)地方自治法を改正し、地方税の賦課徴収、分担金・使用料・手数料の徴収に関する条例については、直接請求が認められないことになった。請求には、選挙権者総数の50分の1以上の連署が必要である。

[池田政章]

事務の監査請求

監査委員による自主監査のほかに、「下からの民意に基づく監査」を行うことにより、地方行政のいっそうの公正化・能率化を確保しようとするものである。請求には選挙権者総数の50分の1以上の連署が必要である。なお、この制度のほか、個々の住民からの住民監査請求と住民訴訟の制度がある(地方自治法242条・242条の2)。

[池田政章]

議会の解散請求

議会が長に対して不信任議決をした場合に長は議会を解散しうるが(同法178条)、議会の行動が住民の意思から遊離している場合に、住民自身が議会の解散を請求することができる。請求には選挙権者総数の3分の1以上の連署が必要である。都道府県議会について解散の例はないが、市町村議会については、市町村合併、学校問題などをめぐって請求が成立した例は多い。

[池田政章]

解職請求

憲法が定める公務員の選定罷免権(15条1項)を地方政治の分野で具体化したのが解職請求である。その対象は、議員、長、副知事、副市町村長、選挙管理委員、監査委員、公安委員会委員、教育委員会委員のほか、特別法に定める農業委員会委員、漁業調整委員会委員の広きにわたる。請求には選挙権者総数の3分の1以上の連署が必要である。

 以上4種のうち、議会の解散請求と議員・長の解職請求については、住民投票に付され、過半数の同意があったときには、議会は解散し、議員・長はその職を失うことになる。

[池田政章]

直接的な政治参加

直接請求制度は地方政治における直接民主制の代表的なものであるが、このほかにも住民に直接的な政治参加の機会を与えたものとして、住民投票と、いわゆる住民参加がある。

[池田政章]

住民投票

直接請求制度における住民投票については前述したが、このほかにも住民投票が行われる場合がある。まず、特定の地方公共団体のみに適用される特別法は、住民投票で過半数の同意がなければ、国会はこれを制定することができない(憲法95条)。広島平和記念都市建設法(1949)、別府国際観光温泉文化都市建設法(1950)などがその例であり、いずれも特定の都市に対する国の助成措置を定めている。1951年までに15件18都市に制定されたが、1952年以降は制定がない。次に、住民の利害に密接な関連をもつ重要な事項を決定するにあたって住民投票に付することが定められている場合がある。かつての例として、町村合併促進法、新市町村建設促進法の場合があり、近年は住民投票条例を制定する地方公共団体がある。

[池田政章]

住民参加

いわゆる公害や都市環境の問題をめぐって住民運動が噴出し、地方公共団体ではこれに対応して、その意思決定過程に一般住民の声を反映させる方式を取り入れる例が数多くみられるようになった。住民参加などといわれ、都市計画、区画整理、環境整備などの街づくりや、公共施設の建設などに、その立案段階から住民が地方行政に参加することが広く行われている。個々の政策に関する住民投票の条例化はその最たるもので、採用する自治体が年々増加しているのが現状である。

 こうした定型的な住民投票条例の利用もさることながら、ほかにも不定型で、したがって、さまざまなタイプの住民参加が多くの地方公共団体で試行されて、この側面から今日、地方政治の活性化、ひいては民主主義の復権が叫ばれている。

[池田政章]

『「特集 住民投票」(『ジュリスト』1103号・1996・有斐閣)』『新藤宗幸編著『住民投票』(1999・ぎょうせい)』『森田朗・村上順編『住民投票が拓く自治』(2003・公人社)』

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精選版 日本国語大辞典

ちょくせつ‐せいきゅう ‥セイキウ【直接請求】
〘名〙 地方公共団体の住民が、議員などの代表者を通さないで、直接その機関に対して一定の要求を行なうこと。直接民主制の一形態として認められたもので、地方自治法により、条例の制定・改廃、事務の監査、議会の解散、議員・長・その他の役職員の解職などを求めることができるとされている。〔地方自治法(1947)〕

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