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直観【ちょっかん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

直観
ちょっかん
intuition
直覚とも訳される。元来みることを意味する。推論的思考によらない直接的な知識獲得。日常使われる直観はと同様の意味の予感であり,憶測か無意識的な推論であって本来的な直観とはいえない。哲学では一般に直観とされるものに公理および推論の規則の認識がある (ともに性格上推論によっては得られない) 。倫理学では道徳的価値の認識は直観によるという説がある (J.バトラーら) 。直観は人間の認識能力に直接与えられた論理的検証の不可能な1次的かつ自立的認識である。カントは感覚的場面で直観をとらえて論理的認識と対立させ,ベルグソンは直観を対象と一体化する具体的認識と考えて,抽象的知性と対立させた。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ちょっ‐かん〔チヨククワン〕【直観】
[名](スル)intuition》哲学で、推理を用いず、直接に対象をとらえること。また、その認識能力。直覚。「真理を直観する」「直観力」

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

ちょっかん【直観】
日本に初めて西洋の思想が紹介される際,intuition(英語,フランス語)の訳語には初め〈直覚〉が当てられていたが(例えば,西周《心理学》,1875‐79),それがしだいに〈直観〉にとって代わられ,今日に至っている。intuitionは,〈凝視する〉とか,ときには〈瞑想する〉といった意味を有するラテン語intueriに由来し,一般に直接的知識を意味するが,ドイツ語のAnschauungも,事物への接近・接触などを表す接頭辞anと,意志的な見る行為を意味するschauenとからなり,やはり同様の知のあり方を意味する。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

直観
ちょっかん
Anschauung ドイツ語
intuition 英語

いかなる媒介もなしに直接に観(み)る働き、あるいは直接に観られた内容をいう。直観はそれがどうとらえられるかによってさまざまな意味をもつ。(1)認識の素材を与える感性的直観。感性的直観が個別的なものに直接にかかわり、思考がそれを思惟(しい)し、普遍的なものの認識が生じる。カントにおいて対象の認識の条件として直観と概念が語られるのはこの意味である。(2)認識の最高段階としての直観。プラトンにおけるイデアの直観、スピノザにおける直観知は、すべての感性的経験、悟性的思考を超えた、真実在をとらえる直観である。(3)認識の基礎にかかわる直観。いかなる推論にも媒介されず、推論の基礎をなす原理をとらえる直観であり、たとえばデカルトにおける明証知はこの意味での直観である。またシェラーの実質的価値倫理学は、感情によってア・プリオリ(先天的)な実質的価値を直観する感情的直観主義である。(4)対象との合一としての直観。いかなる媒介もなしに、という直観の性格は、観るものと観られるものとの対立を止揚し、両者の合一へと達する。ベルクソンにおいて、対象と合一する直観によってのみ、世界の内的本質である生命の躍動がとらえられるとされる。神秘主義における神秘的直観は絶対者との合一を可能にするといわれる。

[細川亮一]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ちょっ‐かん チョククヮン【直観】
〘名〙 (Anschauung intuition の訳語) 言語や記号による論理的思考によらないで成立する直接の了解。また、了解した内容。哲学では、外界の対象の本質を直接認識する経験的な作用、カントやフッサールの経験によらずに、存在するものの本質、真理、特殊な思考対象を直接に認識する理性的作用、ベルグソンの対象を外側からでなく、内側からいっきょに共感によって認識する作用の三つに大別される。独仏哲学に関係した訳語ではおもに「直観」を用い、英米哲学関係では「直覚」を用いる傾向がある。
※我邦現今の文芸界に於ける批評家の本務(1897)〈高山樗牛〉「詩人小説家の想を着くるや、素(もと)総合を尚び、直観を旨とす」
[語誌](1)「哲学字彙」(一八八一)では英語 intuition、ドイツ語 Anschauung の訳語として「直覚力」があてられている。
(2)「直観」はドイツ哲学から一般化したとされ、「英独仏和哲学字彙」(一九一二)では、英語 Intuition には「直覚」だけをあてているが、ドイツ語 Anschauung では、「直観」を第一に挙げ、複合語ではすべて「直観」を用いている。

出典:精選版 日本国語大辞典
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最新 心理学事典

ちょっかん
直観
intuition
直観とは,分析,比較対照や検証などなんらかの思考操作を経て間接的に対象の特質や関連性を認知・理解することではなく,直接的に知覚過程と一体となり,瞬間的に対象の特質や関連性,問題の意味や重要性を認知・理解する認識の一形式,およびその能力を指す。認識能力のうち直観がどう位置付けられるかは,古来,哲学者の間で議論されてきた。プラトンやデカルトは直観を高次の認識能力とみなしたが,反対にカントは低次の認識能力とみなしている。心理学でも,この面では十分な研究が行なわれていない。しかし,幼児期の認識の仕方は対象の知覚的特徴にとらわれて一般化,自動化,圧縮した瞬時の判断を行なうが,この段階の思考を直観的思考段階と位置付けて,分析的な思考操作を経る概念的・論理的思考に対比するものとみなしている。この考え方の代表である発達心理学者のピアジェPiaget,J.は,幼児期の対象理解は見かけに左右され,数や量の概念が見かけによって変わると判断していることを実証した。たとえば,5歳前半までの子どもにおいて,オハジキは並べ方しだいで数の多少の概念が変わり,間をあけて並べた方を,間を詰めて並べた方よりも「たくさんある」と答えてしまう。さらに,児童期中期の9~10歳以降の認識の形式には,分析や熟考を経た概念的・論理的思考がみられる。教育心理学者のブルーナーBruner,J.は,児童期中期以後は直観的思考と分析的思考とが相互に依存し合って発達していくと指摘している。しかし,現在では直観は主として直観物理学,直観生物学,直観心理学あるいは直観道徳とよばれる現象やメカニズムを指すものとして使用されている。

 これら直観物理学intuitive physicsなどは,素朴理論naive theoryともよばれる。「理論」と命名されている理由は,なんらかの素朴な因果的説明原理とともに推論を行なっているからである。たとえば,スペルクSpelke,E.S.ら(1992)は,4ヵ月の乳児でも物体が固体表面を通り抜けることができないということを,馴化手続きを使用して示した。馴化habituationとは,言語報告が不可能な乳児においてよく使用される手続きで,ある刺激を見飽きた乳児が,別のどの刺激を新奇あるいは奇妙と判断するかを,注視時間で推定するものである。スペルクらの研究では,たとえば,物質の落下の図に馴化させられた乳児は,その物質が固い表面を突き抜ける図と,表面で停止する図を提示されたとき,可能性が低い事態を表わしている前者の図をより注視したのである。この結果は,4ヵ月児でも,物質が固体表面によって停止するという物理的な因果関係を理解している証拠とみなすことができる。これは,直観物理学が示した例である。

 このほか,「生物は食べ物を食べてエネルギーを得て,排泄する」「生物は食べ物を食べないと死んでしまう」というような原初的な理解をもたらす直観生物学intuitive biology,他者の行動の背景に意志や欲求など精神の働きを想定する直観心理学intuitive psychologyなどがある。直観心理学は,心の理論theory of mindともよばれていて,自閉症の人びとは,これをもっていない,あるいは獲得が遅れると考えられている。

 進化心理学によれば,直観物理学,直観生物学,直観心理学などの直観は,モジュール的であると推定されている。モジュールmoduleとは,特定の入力(物理領域,生物領域などの特有の領域に関する入力)に反応し,入力から出力までが自動的でカプセル化encapsulationされたもので,進化の過程で形成されたものである。自動的でカプセル化されているということは,過程を意識することができず,また意図的に他の推論などを介入させにくいことを意味している。

 近年,道徳の領域においても直観的な推論が重視されている。ハイトHaidt,J.(2007)は,多くの場合,道徳的判断は直観的に行なわれ,合理的な思考はむしろその後づけとして行なわれるとする。また,道徳的判断のモジュールの一つに,条件的推論で用いられる互恵性あるいは公平性のモジュールがある。このモジュールは,互恵性あるいは公平性が守られていないような状況で喚起され,いったん喚起されると道徳的怒りを引き起こす。たとえば,不正に10万円を奪われて,裁判で取り戻すのに20万円が必要な状況で,裁判に訴えるのが合理的ではないと思いながらも,怒りにかられて20万円を支払うという行動をもたらすのである。
〔山 祐嗣〕

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