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直訴【じきそ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

直訴
じきそ
定められた手続きをふまずに,君主領主為政者などに対して,直接請願を行なうこと。直願ともいう。中国では皇帝行幸の途上直し,訴状不実の場合には罰せられ,日本でも江戸時代には将軍または領主に対する直訴は厳重に罰せられた。明治以降,田中正造代議士が議会開院式から帰る天皇馬車に直訴状を持って走り出た直訴事件(1901.12.),名古屋で天皇が観兵式を行なったとき,北原泰作二等兵が天皇の馬前に走り寄り,訴状を差し出した事件(1927.11.)が有名である。第2次世界大戦後に廃止された請願令は「行幸ノ際沿道又ハ行幸地ニ於テ直ヲ為サムトシタル者ハ 1年以下ノ懲役ニ処ス」と定めていた。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

じき‐そ〔ヂキ‐〕【直訴】
[名](スル)
一定の手続きを経ないで、直接に君主・将軍・天皇などに訴え出ること。直願。越訴(おっそ)。「領主に窮状を直訴する」
(比喩的に)直属の上役ではなく、その上の立場の人に直接訴え出ること。「社長に直訴する」

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

じきそ【直訴】
定められた手続を踏まず直接に上級の権力に訴え出ること。越訴(おつそ)も同義。近世初頭には,特別の事情がある場合の直目安(じきめやす)の提出が認められていたが,訴訟法の整備によって禁止された。しかし農民は,順法的な訴願で要求が通らなければ,少数の代表者か惣百姓がさまざまな形態の直訴行動を行った。これが一揆で,指導者は厳刑に処せられたが,訴願の趣旨は受け入れられる場合が少なくなく大きな成果をあげた。【深谷 克己】 江戸時代では,下総国印旛郡公津台方村の名主惣五郎が佐倉藩主堀田氏による収奪の実態を将軍に直訴し,妻子とともに処刑された事例や,上野国利根郡月夜野村の農民茂左衛門が沼田藩主真田氏の暴政老中ならびに将軍に訴え出て,真田氏は改易となり,茂左衛門は捕らえられて死刑に処せられた磔茂左衛門の例などが有名である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

直訴
じきそ

中・近世の訴訟形態の一つで、所定の手続を経ないで直接に上部権力に訴え出ることをいう。鎌倉・室町期までは、荘園本所(ほんじょ)関係の訴訟で挙状(きょじょう)(仲介の書状)を帯しないもの、または判決の出されたものを再訴することを越訴(おっそ)といい、一般に禁止されていた。越訴の前者の意味が直訴に近いものであるが、幕府や朝廷または中央荘園(しょうえん)領主へ訴訟を行うことが一般化していた当時においては、とくに直訴を問題にしなかった。しかし、戦国期には奏者(取次人)を通す訴訟が確立して、この手続を無視した直接訴訟、いわゆる直訴を多くの大名が禁止するようになる。たとえば今川氏、武田氏、六角(ろっかく)氏などはその分国法中に直訴禁止規定を設けており、織田信長などもこれを禁止している。このような政策は、さらに江戸幕府にも継承された。近世では直訴は駈込訴(かけこみうったえ)、駕籠訴(かごそ)などとともに広い意味での越訴とされ、とくに村役人などの手を経ずに将軍や領主に対して行われるものを直訴といい、これに対しては厳罰が科せられた。

[大久保俊昭]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

じき‐そ ヂキ‥【直訴】
〘名〙 直接、君主、将軍などに訴えること。特に、江戸時代は、将軍、領主に対する越訴(おっそ)を、明治以降は天皇に直接訴える場合をいい、厳禁された。直願。直奏。
※吾妻鏡‐建長二年(1250)四月二九日「鎌倉中者、就地主吹挙、可子細、無其儀者、不直訴之曲、今日被遣問注所政所、是為直訴之族也」

出典:精選版 日本国語大辞典
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旺文社日本史事典 三訂版

直訴
じきそ
所定の手続きを経ないで直接に領主へ訴え出ること
越訴 (おつそ) の一種。江戸時代,農民運動の一形態としてみられる。五人組に断って村役人へ申し出,その奥印を得て訴えるのが順序であるが,それをしないで将軍・大名などに直接訴えるもの。極刑に処せられた。下総の佐倉惣五郎が有名。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
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