●相互作用【そうごさよう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
相互作用
そうごさよう
(2) interaction 二つの物理系が互いに及ぼし合う力や効果。物理系 Aがほかの系 Bから効果を受ければ,逆に Aは Bへ効果を及ぼす。前者を作用というときに後者を反作用という。
(3) coaction 生物間の各種の作用の及ぼし合いをまとめていう。アメリカ合衆国の植物生態学者フレデリック・E.クレメンツの造語(1916)。共働という訳語もあてられるが,協力的関係のみをさすのではなく,寄生,競争,捕食なども相互作用の一型である。作用を働きかける側を能動者 coactor,作用を受ける側を受動者 coacteeという。
出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
デジタル大辞泉
そうご‐さよう〔サウゴ‐〕【相互作用】
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
栄養・生化学辞典
相互作用
出典:朝倉書店
Copyright (C) 2009 Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
世界大百科事典 第2版
そうごさよう【相互作用 interaction】
【物理学における相互作用】
二つまたはそれ以上の物質が互いに力を及ぼしあうこと。物質の基本的な相互作用としては,重力相互作用(重力),電磁相互作用(電磁力),弱い相互作用(弱い力)および強い相互作用(強い力)の4種類があることが知られている。相互作用をその強さの順に並べると,強い相互作用,電磁相互作用,弱い相互作用,重力相互作用となる。これらのいずれの相互作用もゲージ粒子と呼ばれるスピン1(重力相互作用の場合はスピン2)の粒子によって媒介されると考えられている。
出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.
日本大百科全書(ニッポニカ)
相互作用
そうごさよう
interaction
物質を構成する基本的な要素としての粒子、およびこの粒子間の作用を媒介する粒子をまとめて素粒子とよべば、素粒子のもっとも重要な特徴である相互転化の原因となるのが素粒子間の相互作用である。粒子の相互転化を記述するには、個々の素粒子はそれぞれの場の量子として生成・消滅するという立場(場の量子論)からとらえるのが適当である。通常の力は媒介粒子の交換(生成・消滅の一つの形態)により生ずるので、相互作用は力よりも一般的で基礎的な概念である。素粒子間の相互作用は、基本となる場の間の相互作用に基づいている。その結果として物質が形成され、物質粒子間の力が生じてくる。基本相互作用は通常、強さが画然と異なった4種の相互作用、すなわち、(1)強い相互作用、(2)電磁相互作用、(3)弱い相互作用、(4)重力相互作用に分類される。
[玉垣良三・植松恒夫]
電磁相互作用
電磁相互作用の媒介粒子は、電磁場の量子である光子である。その到達距離は、光子の質量が0であるため無限大である。相互作用は、二つの四次元ベクトル、電磁ポテンシャルと電流の積に電気素量eが係数となる形式で表され、結合定数は微細構造定数(無次元で約137分の1の値)である。原子、分子は電磁相互作用で形成される。
[玉垣良三・植松恒夫]
強い相互作用
強い相互作用のなかで自然界の形成に重要な役割を果たすのは、原子核の結合を与える核力である。強い相互作用の到達距離は短く、π(パイ)中間子のコンプトン波長に近い1フェムトメートル(1000兆分の1メートル)程度である。結合定数(無次元化された値)は粒子の組合せで若干変動するが、微細構造定数の約100倍、すなわち1程度である。一般に強い相互作用は、バリオン(核子と同族の重い粒子の総称)と媒介粒子の中間子の場の間の湯川型結合を基本形として表される。ハドロン(強い相互作用をする素粒子)がクォークからなり、「色」の自由度(スピンや荷電など従来考えられてきたものとは別の内部自由度で、象徴的な意味で「色」という)について「無色」の状態であり、この「色」の自由度が強い相互作用の源泉である。
[玉垣良三・植松恒夫]
弱い相互作用
弱い相互作用は、原子核のβ(ベータ)崩壊におけるようにレプトン(電子、μ(ミュー)粒子、ニュートリノなどの総称。軽粒子ともいう)が関与する遷移過程、およびレプトンが関与しない素粒子の遅い崩壊過程を引き起こす。相互作用の到達距離は100分の1フェムトメートル以下と極端に小さく、結合定数は10万分の1程度と小さい。弱い相互作用は、レプトン部分とハドロン部分からなる四次元の流れ(カレント)の積の形式(フェルミ型とよぶ)にまとめられ、結合定数は関与する粒子の組合せによらない普遍性をもっている。ハドロンがクォークからできているので、このように表された相互作用のハドロン部分はクォークの場で記述されるべきもので、弱い相互作用による素粒子の相互転化は、クォークとレプトンを基にして記述されることになる。
[玉垣良三・植松恒夫]
重力相互作用
重力相互作用は、質量が小さい素粒子間ではきわめて小さく、たとえば互いに1フェムトメートル離れた二つの陽子間の重力ポテンシャルは核力に比して10-38倍程度小さく、これが結合定数の相対比とみなせる。しかし、巨視的スケールでは、すべての粒子からの寄与が加算的となるので、大きい効果をもたらす。重力の理論は、時間・空間が単なる「入れ物」ではなく物質の存在とかかわる力学的内容をもつとの考えに基づくアインシュタインの一般相対性理論に基礎を置いている。これによれば、計量テンソルが定数でないことが重力相互作用の存在を意味している。
[玉垣良三・植松恒夫]
相互作用の統一
素粒子物理学の進展によって、物質の基本構成要素がクォークとレプトンであるとの認識が確立するとともに、これらの基本相互作用の統一的記述の可能性が開けてきた。まず、1967年に提唱された弱・電磁統一理論のワインバーグ‐サラム模型がその端緒となった。ゲージ場として三つ組(W+、W-、W0)ともう一つのB0が基本的な場として導入される。W±ボソンは荷電を伴う弱い相互作用を媒介する。W0とB0の重ね合せで光子とZ0ボソンが生じて、前者は電磁相互作用を、後者は中性カレントによる弱い相互作用を媒介する。ゲージ場は一般に質量ゼロのベクトル粒子に対応するが、ヒッグス機構(対称性の自発的破れに起因しゲージボソンが質量をもつこと)によって、W±やZ0が大きい質量(陽子の約90倍)をもつため、低いエネルギーでの弱い相互作用は電磁相互作用と見かけは極端に異なってくる。1973年に中性カレント反応が、1983年にはW±とZ0が観測されて、弱・電磁統一理論は実験的に確認された。1970年代に入って、強い相互作用は、「色」の自由度を媒介するグルーオン場(3色をもつクォークに対応して8種類のベクトル場)がゲージ場となり、クォークとグルーオンの量子「色」力学によって記述される、との見通しがえられるようになった。そこで強い相互作用と弱・電磁相互作用を、非可換ゲージ理論という共通の枠組で統一的に記述する研究が進展した。エネルギーが1015GeV(陽子静止エネルギーの約1000兆倍)程度に上ると、それまで分化していた相互作用が共通の強さになる。大統一理論とよばれるこの枠組は、バリオン数を保存しない相互作用を含み、陽子も不安定(ただし1031年ほどと長寿命)であることを予言する。1980年ころより陽子崩壊の実験的研究が行われ、1033年以上の寿命と考えられているが、2013年時点でまだ陽子崩壊は観測されていない。またこの理論は、宇宙における物質の起源(粒子―反粒子非対称)を理解する可能性も与える。さらに重力理論もゲージ理論として定式化しうるので、将来には統一した視点と方法によって四つの基本相互作用を記述できる期待がもたれ、その理論構築の試みが進められている。
[玉垣良三・植松恒夫]
『武田暁著『基礎物理学選書 素粒子』(1986・裳華房)』▽『牧二郎・林浩一著『素粒子物理』(1995・丸善)』▽『パリティ編集委員会・大槻義彦編、益川敏英著『いま、もう一つの素粒子論入門』(1998・丸善)』▽『村山斉著『宇宙は何でできているのか――素粒子物理学で解く宇宙の謎』(幻冬舎新書)』
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
精選版 日本国語大辞典
そうご‐さよう サウゴ‥【相互作用】
出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
「相互作用」の用語解説はコトバンクが提供しています。
●相互作用の関連情報
関連キーワード
| ベールズ| ヒューマン・インターフェース| 社会・文化・歴史的発達理論| OBサミット| 超微細構造| パーソンズ| デューイ(John Dewey)| 放送教育| 実験計画法|