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社会的適応【しゃかいてきてきおう】

日本大百科全書(ニッポニカ)

社会的適応
しゃかいてきてきおう
social adjustment
人間や集団が社会環境と調和した関係を結ぶことである。社会環境とは、単なる物理環境や自然環境ではなく、独自の文化や規範で構成された意味世界のことをさす。家族や仲間集団などの私的な環境、学校や職場などの公的な環境はもちろんのこと、都市や農山漁村などの地域社会、インターネットが媒介する電子空間、あるいは偶然の出会いや国民国家など、さまざまな種類や位相が存在する。諸社会にはそれぞれに期待される地位と役割があり、人間や集団はその関係に参入することで社会内における自らの正当性を確保する。そのために、そうした関係から外れるふるまいは罰や矯正の対象となる。社会が複雑に分化した現代では、期待される地位と役割も複層的であり、かつ社会間の移動や社会内の規範の変化も激しいために社会的不適応も発生しやすい。古典的な理論としては、ギリンJohn Lewis Gillin(1871―1958)などの社会不適応論がある。
 ただし、この概念を順応adaptationのように一方的な過程として理解してはならない。順応は人間や集団による社会環境への同化をさすのに対して、適応は社会環境の側の変化を同時に生み出すからだ。子どもの発達は社会環境への参入を通して行われるが、その過程で適応の妥当性(たとえば教育の制度や手法、あるいは大人の価値観)が問い直されうるし、成長した子どもは過去と異なる社会を形成しうる。社会的適応にはこうした循環的な効果が想定されている。
 しかし、それでも適応という概念がまず人間や集団の側に変化を求める傾向があると問題視する立場もある。たとえば障害の問題のように、そもそも調和に必要なのは、人間や集団の努力や治療ではなく、だれでも利用可能な街路や乗り物、あるいは生の多様性を受け入れる価値観の普及など、社会環境の側の変化だと考えられる場合があるからだ。そのために、分野や問題によっては適応を避けて共生などの概念を用いることもある。[朝田佳尚]
『大橋薫・望月嵩・宝月誠編『社会病理学入門』(1978・学文社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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