●神聖戦争【しんせいせんそう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
神聖戦争
しんせいせんそう
Hieroi Polemoi; Sacred Wars
古代ギリシアにおいて,アポロンに対する涜神行為を防ぐため,隣保同盟 (アンフィクチオニア ) がデルフォイ神殿領を侵犯する都市に対して行なった3度にわたる戦争。 (1) 第1次 巡礼者への課税権をめぐってデルフォイとキッラの間に起った争いに端を発した戦争で,同盟側はテッサリアが中心となりシキュオン,アテネの助力を得て,キッラを滅ぼし (前 590頃) ,デルフォイの独立が宣言された。 (2) 第2次 フォキス人によりデルフォイが占領され,スパルタがこれを解放したが,まもなくアテネによって再びフォキス領とされた (前 448) 。のちにデルフォイの独立はニキアスの平和によって確認された。 (3) 第3次 当時隣保同盟の支配的存在だったテーベがフォキスを圧迫したためフォキス人がデルフォイを占領し,戦争が始った (前 354) 。この戦争にはギリシアの多数のポリスが巻込まれ,マケドニアのフィリッポス2世も介入し,フォキスの降伏により戦争は終った。
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世界大百科事典 第2版
しんせいせんそう【神聖戦争】
古代ギリシアで,デルフォイとその神域を冒瀆した都市に対して,隣保同盟が行った一連の戦争。第1次神聖戦争は前6世紀初め,神域の支配権を主張し巡礼者に課税したクリサKrisaの住民からデルフォイを解放するため行われた。クリサの平原はそれによってアポロン神に献納され,耕作を禁じられた。第2次戦争は前446年のフォキス人のデルフォイ占領が原因。第3次戦争は,前4世紀中ごろ,同盟中で最も力のあったテーバイが,フォキス人に対して神聖冒瀆罪で多額の罰金を課する決議を隣保同盟評議会で通したことにより勃発した。
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