●福音【ふくいん】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
福音
ふくいん
evangelium; gospel
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デジタル大辞泉
ふく‐いん【福音】
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世界大百科事典 第2版
ふくいん【福音 evangel】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
福音
ふくいん
gospel 英語
Évangile フランス語
Evagelium ドイツ語
もとは一般的によい知らせを意味し、戦いの勝利の知らせとか、子供の誕生の知らせなどに用いられた古典ギリシア語「エウアンゲリオン」euaggelion(eu〈よい〉+aggelion〈知らせ〉)の訳語である。『旧約聖書』ではヘブライ語「バーサル」bāsarという動詞の訳語として「福音を宣(の)べ伝える」(「イザヤ書」61章1〈口語訳聖書〉)が一度だけ出てくる。この語はまた「よき訪れ」(「イザヤ書」40章9、41章27、52章7)という訳語で出ている。これらは、イスラエルの民がバビロン捕囚からイスラエルの神ヤーウェによって解放され、母国に帰って、ヤーウェを王とするという救いと平和の到来の知らせである。
旧約から新約に移る中間時代にあっては、メシヤによる救いの時がユダヤ人によって待望されていた。このことが実現されることがユダヤ人にとってまさに「福音」であった。
イエス・キリストがくるすこし前にバプテスマのヨハネはこのような時が近づいていることを宣べ伝え、その時が終末的審判によって始まることを強調し、人々に悔い改めを勧めた(「マタイ伝福音書」3章1~12)。『新約聖書』には「福音」euaggelionという語は多く用いられている。福音書ではイエス・キリストは「時は満ちた、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信ぜよ」(「マルコ伝福音書」1章15)と宣べ伝えた。それは、悪魔の支配が打ち破られ、神の支配が開始されることである。主イエスは、その頭に高価な香油を注いだ女に対して、自分の死に言及してから、「この福音」といった(「マタイ伝福音書」26章13)。この福音は事実、主イエスの十字架での死と死人のなかから復活によって初めて明らかにされた。「使徒行伝(ぎょうでん)」以下においては、福音の内容は、主イエスが宣べ伝えた神の国の福音というよりは、主イエス・キリストの受肉・死・復活のできごとにおいて罪の贖(あがな)いが成就(じょうじゅ)され、キリストを信じる者にあって、神との永遠の交わりが回復されたことが福音として語られている(「ロマ書」1章3~4、「コリント書I」1章18、15章12~19)。
したがって「キリストの福音」(「ロマ書」15章19、「コリント書Ⅱ」2章12、「ピリピ書」1章27)、神の福音(「ロマ書」1章1、「ペテロ書I」4章17)、「イエスによる罪の赦(ゆる)しの福音」(「使徒行伝」13章38)、「和解の福音」(「コリント書Ⅱ」5章19)などのように、福音が、その特色を表すことばによって修飾されて用いられている。
なお、福音は律法と対立するものとして語られている。神の救いにあずかる道として福音と律法が取り上げられ、新しい契約である福音がくることによって、初めの契約である律法は古いものとされた(「ヘブル書」8章6~13、「コリント書Ⅱ」3章6~11)。律法は、人が神の要求を充(み)たすことによって神の祝福が得られる道であり、それに対し、福音とは神がそのひとり子を罪人の身代りに十字架上で罰することによって救いの道を備え、人は神の要求を充たし得ないままで、ただイエス・キリストを信じることによって、神の恵みにより神の祝福にあずかれる道である(「ロマ書」3章20~28)。
律法は人に罪を自覚させ、人をキリストによる救いに導くものである(「ロマ書」3章20~31、「ガラテヤ書」2章16、3章10、11、24)。福音は単なる人のことばでなく、イエス・キリストを信じる者に救いを得させる「神の力」の一面がある(「ロマ書」1章16、「コリント書I」1章18)。
[野口 誠]
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精選版 日本国語大辞典
ふく‐いん【福音】
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