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私娼【シショウ】

デジタル大辞泉

し‐しょう〔‐シヤウ〕【私×娼】
公娼制度の認められていた時代に、公認されずに営業した売春婦。⇔公娼

出典:小学館
監修:松村明
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編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

ししょう【私娼】
政治権力が承認する公娼に対し,それ以外の売春婦を私娼という。一般には公娼制度下における秘密売春婦をさすが,公娼制をとらない国の売春婦も分類上は私娼に属する。ただし,売春が完全に放任された状態にないかぎり,公娼のように公然と売春できず,つねに隠れた営業であることを特色とする。しかも,営業のためには客を迎えやすい受入体制をつくる必要があり,飲食店などなんらかの正業に従事する形で偽装していることが多い。
[日本の私娼]
 日本古代~中世の売春婦としては,《万葉集》に出てくる遊行女婦(あそびめ)をはじめ,浮れ女,傀儡女(くぐつめ),白拍子(しらびようし)などが知られているが,詳細には不明なことが多く,いわば私娼前史というべきものであろう。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

私娼
ししょう

公(おおやけ)の許可なく営業する売春婦のこと。過去においては、売春を公認され当局の保護を受けていた公娼に対して、もぐり的存在の売春婦をさす。公娼制が世界的に廃止された現在では、登録して警察あるいは保健所の定期的検診管理を受けている売春婦に対し、その管理も受けていない未登録の隠れた売春婦を私娼とよぶ。ただし、売春禁止法を設けている各国でも、社会的必要悪として登録と検診の管理のもとに売春を許容している国と、日本のようにいっさい許容しない国とがある(わが国では売春防止法)。この後者の場合は、売春婦はすべて私娼ということになろう。

 歴史的には、バビロン、古代エジプト、古代インドの昔から現在に至るまで、売春の歴史とともに私娼は存続している。公娼制が遊廓(ゆうかく)的集娼制度の形をとった国々や時代では、その制度から逃れるため、また国家や領主が売春に課している税金払いを免れるため、あるいは雇い主から搾取されるのを嫌って、私娼ができた。したがって当局は税収と秩序と公娼業者保護のため、しきりに私娼狩りと取締りを行った。これに対し私娼側は売春を偽装した。これを日本の例でみれば、公娼制実施直後は湯女(ゆな)、茶汲女(ちゃくみおんな)、踊り子などの表面の職業を掲げ、裏で売春をする私娼が増えた。さらに、徳川幕府も明治政府も売春対策が緩やかであったため、宿場の飯盛女(めしもりおんな)や芸者、酌婦(しゃくふ)などという名で私娼が公然と売春をしていたし、それを営業とする業者が栄え、世間ではそれを岡(おか)場所として認めていたわけである。同様に最近でも特殊浴場のように偽装売春をしているところがある。江戸時代には、私娼は捕らえて「奴(やっこ)」として公娼に強制編入するという法律があり、現代では売春防止法がありながら、いずれももぐり営業の勢いに押しまくられている。こうした傾向は日本だけではない。

 ここに私娼の問題のむずかしさがある。すなわち、前述のように売春禁止法を設けていても、登録と検診管理で性病伝播(でんぱ)防止をするのがよいか、売春禁止法がある以上は売春を認めず、もぐりの私娼の検診管理もしないでいる状態がよいか。後者には、弱い立場の私娼を庇護(ひご)すると称するヒモの搾取の問題もあろう。また、性取引にしか収入の道のない女性が、商売としてあるいは内職として私娼となってきた歴史的社会的現実の問題も、直視しなければなるまい。

[深作光貞]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

し‐しょう ‥シャウ【私娼】
〘名〙 公の許可を受けていない売春婦。⇔公娼(こうしょう)
※風俗画報‐二三五号(1901)論説「公娼の害は寧ろ私娼の害よりも薄し」

出典:精選版 日本国語大辞典
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