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穀物栽培文化【こくもつさいばいぶんか】

日本大百科全書(ニッポニカ)

穀物栽培文化
こくもつさいばいぶんか
現在の世界の農業はイネ科の栽培植物の種子を収穫する農業が主力であり、麦類、イネ、雑穀類などが栽培されている。これらを栽培してきた文化はそれぞれ独立した系譜の文化で、その起源地と固有の分布圏をもっていた。また、この穀物栽培文化はいずれもそれぞれ異なった豆類も栽培してきており、これを考慮すると、穀物栽培文化とよぶより、種子農業文化とよぶほうが適切であろう。種子農業文化とよぶものは、いも類の栽培による農業形態と対比すると明瞭(めいりょう)になる。
 コムギやオオムギの栽培をする麦作文化は、冬雨型の地中海気候をもつ地中海東岸の西アジア地域で紀元前7500年ごろの先土器新石器時代におおむね完成した。そのころにはヒツジ、ヤギ、ブタも家畜化された。豆類にはエンドウ、ソラマメなどが開発されてきた。この麦作文化はメソポタミア、エジプトの古代帝国をつくり、ギリシア、ローマに伝播(でんぱ)し、西ヨーロッパの近代文明の母胎となった。東方へはチベット、インド、中国に伝播した。
 アフリカのサハラ砂漠の南のニジェール川中流域に始まったサバンナ農耕文化は、モロコシ、トウジンビエなどの雑穀類の農業で、豆類にはササゲなどがある。この雑穀農業はインド、中国に伝播し、シコクビエ、アワ、キビ、豆類ではリョクトウ、大豆などが栽培された。これらは夏季の高温と降雨を利用する農耕方式である。稲作文化は中国南部の山地部で雑穀栽培文化の影響下に成立し、イネ栽培はインド、東南アジア、中国揚子江(ようすこう)地域、日本まで伝播したものとされている。
 新大陸では、メソアメリカでトウモロコシ栽培の農耕文化が成立し、他の穀類にはみるべきものはないが、豆類にはインゲンマメその他の優れた栽培豆類がある。
 種子農業にはイネ科、マメ科の種子のほか、ソバ(東アジア)、センニンコク(メソアメリカ)、キノア(南米インカ)、ウリ科種子(アフリカ)などの利用もあるが、いずれもその重要性は限られたものである。[中尾佐助]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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