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米生産調整【こめせいさんちょうせい】

日本大百科全書(ニッポニカ)

米生産調整
こめせいさんちょうせい

米の生産過剰を回避するために打ち出された米の生産抑制策であり、転作や休耕などによって生産段階で直接米の生産量を事前的に調整しようとするものである。わが国の米の生産調整は1967年(昭和42)の稲作転換パイロット事業を皮切りに、1970年から米生産調整緊急措置として本格的実施に移され、以後、稲作転換対策(1971~1975年)、水田総合利用対策(1976、1977年)、水田利用再編対策(1978~1986年)、水田農業確立対策(1987~1992年)、水田営農活性化対策(1993~1995年)、新生産調整推進対策(1996、1997年)、緊急生産調整推進対策(1998、1999年)、水田農業経営確立対策(2000年~)と名前を変えて営々30年に及んで実施されてきた。とくに2000年(平成12)からは米に関しては計画的生産、水田における飼料作物、大豆、麦等に関しては本格的生産を並置して、米の過剰を回避するための飼料作物、大豆、麦等の作付面積の拡大ではなくて(転作の否定)、飼料作物、大豆、麦等も本作であって、その本格的な生産があってはじめて水田農業経営の確立があるという基本方向を改めて打ち出している。

 いずれにしても、1998年現在、生産調整面積は95万4000ヘクタールに達しており、これは同年の水田面積267万9000ヘクタールの35.6%にあたるものとなっている。一方、1999年の水稲作付面積179万3000ヘクタールは、統計を取り始めた1883年(明治16)以降、史上最低を記録した。

 ところで、米の生産調整対策は、単純に米の需給均衡のみを目ざしたわけではない。たとえば水田利用再編対策の主旨は、米の需給を均衡させつつ「農産物の総合的な自給力の向上を図る」こと、そのために具体的には、稲から「飼料作物、大豆、麦等に重点を置いた他作物への転作等を推進する」というものである。そしてこの転作推進のために、転作作物別に設定された奨励補助金が交付される仕組みになっている。しかし、転作作物の収益性は奨励金を加えても稲作所得の確保を保証するものではなく、当初、農家はこれを一方的に強制された行政措置と受け止める傾向が強かったといえる。そのような状況のもとで、米生産調整は農村では批判を込めて広く「減反」と俗称されるところとなった。

 確かに食糧供給力を総合的に強めていく方向での水田利用の本格的再編の必要性は高まっているが、しかし深刻な労働力不足のために十分な転作対応ができず、「保全管理」という形での休耕、あるいはまた「捨て作り」とよばれるような典型的な消極的対応も広くみられる。しかも奨励補助金の単価は年々切り下げられており、加えて関係各方面からは奨励金からの早期脱却を強く求められており、米の生産調整を本格的な農業再建の軌道にのせることはますます困難を極めようとしている。

[小池恒男]

 2004年からは、水田農業経営確立対策にかわり、期間を2011年までとする水田農業構造改革対策が実施されている。

[編集部]

『大島清編著『米の生産調整』(1975・御茶の水書房)』『農政ジャーナリストの会編『日本の農業の動き45 減反に揺れる農村』(1978・農林統計協会)』『近藤康男・阪本楠彦著『日本農業年報第27集 日本農政の転換――不況・外圧・減反』(1979・御茶の水書房)』『農業問題研究会議編『水田の利用再編』(1979・時潮社)』『食糧政策研究会編『WTO体制下のコメと食糧』(1999・日本経済評論社)』『渡辺信夫著『コメの再生と公共政策』(1998・かもがわ出版)』『小池恒男著『激変する米の市場構造と新戦略』(1997・家の光協会)』『大内力・佐伯尚美編『日本農業年報第42集 政府食管から農協食管へ』(1995・農林統計協会)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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