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精神【せいしん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

精神
せいしん
pneuma; spiritus; Geist
物質的現象またはその基体とされる実体をさす概念。その直接的認識は不可能なので精密な概念規定はなく,各思潮,各学派などで異なる。原語は風,息吹きを味し,人間に宿るきわめて軽妙なものと考えられ,生命の原理とされる。ここから神,天使なども精神とされ,特に神から離反する肉に対し神に従う同義に用いられた。一般には思考全般をさし,対象に対する主体が精神とされ,また物質,生み出されたものとしての自然,本能としての肉などに対立するものとされている。狭義には感性に対する知性をさし,転じては学説や制度などの中核的理念をも意味する。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

せい‐しん【精神】
人間のこころ。また、その知的な働き。「健全な精神
物質に対し、人間を含む生命一般の原理とみなされた霊魂。たましい。
物事をなしとげようとする心の働き。気力。「精神を鍛える」「精神統一」
物事の基本的な意義・理念。「憲法の精神
ある歴史的過程や共同体などを特徴づける意識形態。「時代精神」「民族精神

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

せいしん【精神】
〈心〉と同じ意味にも用いられるが,心が主観的・情緒的で個人の内面にとどまるのに対し,〈精神〉は知性や理念に支えられる高次の心の働きで,個人を超える意味をはらみ,〈民族精神〉〈時代精神〉などと普化される。この点は語義の成立の過程からも明らかで,洋の東西を問わず心は心臓の動きと関連してできあがり,それゆえ身体内部に座をもつ概念である。一方精神は,それにあたる英語のスピリットspirit,フランス語のエスプリesprit,ドイツ語のガイストGeistが〈風〉〈空気〉〈息〉などを意味するラテン語のスピリトゥスspiritus,ギリシア語のプネウマpneumaに由来するように,個人の身体をつらぬき個人の身体を超えて遍在する広がりをもつ。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

せいしん【精神】
人間の心。心のはたらき。 健全なる-は健全なる身体に宿る
物事に対する心の持ち方。気構え。気力。 そういう-では成功はおぼつかない -を集中する スポーツマン- おばさんの頼なら…火水の中へでも飛込む-だ/金色夜叉 紅葉
物事の最も根本的な意義。真の目的。理念。 憲法の-にもとる 教育基本法の-にたちかえる
spirit; ドイツ Geist; フランス esprit
(物質・肉体に対して)心・意識・霊魂など。
心の本質・本体。感覚や情念などのはたらきとは異なる高次の普遍的性質をもち、理性・理念・意志・愛などの主体となる一方、非個人的な実体として世界の秩序やその形而上学的原理ともされる。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

精神
せいしん
nūs ギリシア語
pneuma ギリシア語
spiritus ラテン語
mens ラテン語
mind 英語
spirit 英語
Geist ドイツ語
esprit フランス語

(1)広い意味では心や魂と同義で、非物質的な活動的なものをさす。人間の精神は感覚、理解、想像、意欲、価値評価などの能力の担い手としてか、それともこうした心的機能そのものとして解される。通例、空間的広がりや位置をもたない、単純で不可分である、時間的に変化しながらも自己同一性を保つ、物理法則には従わない、などの性質が帰せられ、ときには実体性や不滅性が主張される。(2)哲学では多くの場合、真理認識・道徳・芸術にかかわる高次の心的能力、理性をさす。(3)さらに時代精神、民族精神などのような超個人的な世界的原理にまで高められることもある。

[藤澤賢一郎]

精神の概念の歴史

精神の概念は時代や民族、思想的立場の違いに応じて著しく変わる。(1)古代では精神は身体に宿る空気や火のようなものであり、死によって身体から離れるとされた。またすべてのものが心的性質を備えるとするアニミズム的世界観が広くみられるとともに、物質的なものから離れた精神(霊)が存在して自然の運行をつかさどると考えられ、神話や宗教の神概念へと発展した。(2)ギリシア哲学では世界を秩序づける存在論的原理に高められたり(アナクサゴラスのヌース)、イデアと合一しうる永遠不滅の存在者と考えられたり(プラトン)したが、おおむね精神は世界内のものの一つとされる。(3)近世以降では、精神は自己意識を備え、自由に自己自身を規定する創造的な主体とみなされ、思想的に重要な役割を果たしてきた。近代的な精神の概念を初めて確立したのはデカルトである。彼によれば精神は思考を、物体は延長を主要属性とする実体である。両者は実在的に区別され、互いに他方に依存しない。この二元論は、自然全体を対象とし、認識主観を対象の連関の外に据える近代自然科学の態度によく合致する。以後の哲学はデカルト的二元論を基盤にしながら精神の概念を洗練・発展させて二元論自身を克服しようとしたが、この方向でいちおうの完成をみるのはヘーゲルにおいてである。彼は、存在し運動するものすべてが精神であるとする観念論の立場から、精神が、〔1〕世界の構造的枠組みを示す理念、〔2〕理念の外在態としての自然、〔3〕歴史において世界精神・民族精神という形態をとって自己自身へと還(かえ)る過程、という三段階を通じて発展する、と説いて壮大な体系を築いた。

[藤澤賢一郎]

現代の傾向

(1)イデオロギー論や精神分析では、精神の自立性・純粋性が否定される。(2)サイバネティックスなどの新しい人間機械論や、心的現象を行動もしくはその潜在的能力としてとらえる行動主義では、独立した精神を消去しようとする傾向が強い。――これらの動きは近代的な考え方に対する反省から生まれたものであるが、精神の新しい概念を確立することは現代の思想界の課題である。

[藤澤賢一郎]

『村治能就訳『デ・アニマ(霊魂論)』(『世界の大思想 アリストテレス』所収・1966・河出書房新社)』『山本光雄訳『デ・アニマ(霊魂論)』(『アリストテレス全集 第6巻』所収・1968・岩波書店)』『デカルト著、三木清訳『省察』(岩波文庫)』『所雄章他訳『デカルト著作集 第2巻』(1973・白水社)』『樫山欽四郎訳『精神現象学』(『世界の大思想 ヘーゲル』所収・1973・河出書房新社)』『デカルト著、金子武蔵訳『精神の現象学』全2冊(1971、79・岩波書店)』『シャッファー著、清水義夫訳『こころの哲学』(1971・培風館)』『大森荘蔵他著『心―身の問題』(1980・産業図書)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

せい‐しん【精神】
〘名〙
① 心。また、心の働き。肉体に対し、形而上的な働きをする実体としての心。
※万葉(8C後)一七・四〇一五・左注「使君勿苦念空費精神 放逸彼鷹獲得未幾矣哉」
※新撰朗詠(12C前)下「馬嘶えて櫪に反る精神旧りたり、鶴老いて田に帰る鬢髪新なり〈兼明親王〉」 〔荘子‐刻意〕
② 物質的なものを超越した霊妙な実在。たましい。霊魂。
※太平記(14C後)三九「筆を丹青に仮ず、十日一水の精(セイ)神云(ここ)に聚り、足を寸歩に移ず、四海五湖の風景、立(たちどころ)に得たり」
※集義和書(1676頃)七「親の精神、体をはなれて、気色みえず音声きこへざる故に、別をかなしめども、実は死生不二也」
③ 物事に執着する気持。目的を達成しようとする心の働き。気力。根気。
※徒然草(1331頃)一七二「老いぬる人は、精神おとろへ、淡くおろそかにして、感じうごく所なし」
※読本・雨月物語(1776)貧福論「世に窮(せばめ)られてくるしむ人は〈略〉精神(セイシン)を労しても、いのちのうちに富貴を得る事なし」
④ 生気のあふれる状態。
※玩鴎先生詠物百首(1783)屠蘇酒「直置猶呼百薬長、三元酔味最精神」

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