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糖尿病【とうにょうびょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

糖尿病
とうにょうびょう
diabetes mellitus
血液中あるいは血漿中のブドウ糖が持続的に上昇している状態の疾患をいう。主として 15歳未満の子供がかかるインスリン依存型糖尿病 (IDDMと略す。I型糖尿病ともいう) と,40歳以上の成人がかかるインスリン非依存型糖尿病 (NIDDMと略す。 II型糖尿病ともいう) の2型がある。前者は膵臓のランゲルハンス島の特にB細胞が連続的に破壊されて,そこから分泌されるインスリンというホルモンが不足するため,糖質が十分に代謝されず,その結果血糖値が高くなるもので,ウイルス感染が引き金になって急に発症する。インスリンをまったくつくれなくなるため,すぐにインスリンを注射で補給しないと2~3日で危険な状態に陥ってしまう。一方,後者は糖尿病全体の 90%を占めるもので,このタイプは一種の「体質」ともいえる。インスリンは一応は膵臓でつくられるが,量的に不足するか,あるいは分泌量は普通でも体の需要が多すぎる場合に起きる。したがって,このタイプの治療は,食生活を中心とした生活規制を行う。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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朝日新聞掲載「キーワード」

糖尿病
血液中にある余分な糖は通常、膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンの一種のインスリンが抑えてくれる。しかし、肥満や運動不足、ストレスの影響で、このインスリンが出にくくなったり、出ても効きにくくなったりすると、血中濃度が高まり、尿にも糖が含まれるようになる。 (1)空腹時の血糖値とHbA1cの両方が、日本糖尿病学会の決めた基準値以上(2)片方が基準値未満でも、再検査で血糖値が基準値以上――などの場合、糖尿病と診断される。基準値は、血糖値が血液1デシリットルあたり126ミリグラム、HbA1cは6.5%。
(2018-11-27 朝日新聞 朝刊 香川全県・1地方)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

とうにょう‐びょう〔タウネウビヤウ〕【糖尿病】
高血糖糖尿とが持続的にみられる慢性の病気。体内でぶどう糖がエネルギー源として利用されるために必要なインスリンの不足によって起こる。のどの渇き・多尿・空腹感・倦怠感(けんたいかん)などの自覚症状があり、感染症動脈硬化白内障などの合併症を起こしやすい。25歳未満の若年者に発症する一型糖尿病、主に成人になってから発症する二型糖尿病などがある。→妊娠糖尿病

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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とっさの日本語便利帳

糖尿病
インスリン作用の不足によって引き起こされる、糖代謝を主とする種々の代謝異常をきたす疾患。I型糖尿病は、膵臓のインスリン分泌細胞からの分泌量が減少することによって起こる。圧倒的に多いII型糖尿病は、インスリン分泌の相対的低下による疾患とされる。動脈硬化など様々な合併症をきたしやすい。

出典:(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」

栄養・生化学辞典

糖尿病
 慢性的に高い血糖値を示し,多くの場合尿へ糖が出て,また糖を負荷したときに血糖値の復元が遅いなどの症状を示す疾病

出典:朝倉書店
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生活習慣病用語辞典

糖尿病
血糖を下げるインスリンが不足することにより持続的に高血糖がみられる慢性の病気です。ウイルス感染や自己免疫異常により起こるI 型と肥満や栄養過剰摂取によって起こるII 型、妊娠や他の病気によって一時的に起こる二次性の糖尿病に分類されます。

出典:あなたの健康をサポート QUPiO(クピオ)
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家庭医学館

とうにょうびょう【糖尿病 Diabetes Mellitus】
◎糖尿病とは
◎インスリン不足と血糖値(けっとうち)の上昇
◎病気の経過と症状
◎糖尿病の原因と分類
◎糖尿病の診断と検査
◎糖尿病の合併症
◎糖尿病の治療

◎糖尿病(とうにょうびょう)とは
 平成9年度の厚生白書のなかで、厚生省(現厚生労働省)は生活習慣病という概念を提唱しました。これは「食習慣、運動習慣、休養、喫煙(きつえん)、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義されており(公衆衛生審議会意見具申、1996年〈平成8年〉12月18日)、カロリーの過剰摂取と運動不足による肥満をきたす生活習慣と深くかかわっている糖尿病も、このなかに入っています。
 2002年の糖尿病実態調査によると、糖尿病の治療中、または検査で糖尿病が疑われる人は、740万人になります。これに境界型などの糖尿病予備軍を含めると、人口の約6分の1にあたる1620万人に上り、国民病ともいえる状況となっています。
 成人における有病率は、欧米の食習慣を有する日系アメリカ人の糖尿病有病率の高さからみて、現在の1.5倍程度まで増加する可能性があります。
 糖尿病には、若い人の発症が多い1型(インスリン依存型(いぞんがた))と、中年期以降の発症が多い2型(インスリン非依存型(ひいぞんがた))の2つのタイプがありますが、後者は、日常的な食べ過ぎ、運動不足などに起因する肥満とのかかわりが深く、生活習慣の改善により、発病を予防できる疾患だと考えられるようになってきています。

◎インスリン不足と血糖値(けっとうち)の上昇
 私たちは、摂取した食物を体内でぶどう糖のかたちに変え、それをインスリンというホルモンの力を借りてエネルギー源に利用して生命を維持し、活動しています。
 インスリンは、膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島にあるβ(ベータ)細胞(B細胞ともいう)から分泌(ぶんぴつ)されています。このインスリンというホルモンが、必要なだけ分泌されなかったり、あるいはなんらかの理由でインスリンが十分に作用できなかったときに、血液中のぶどう糖(血糖(けっとう))が利用・処理されず、その濃度が高まり(高血糖(こうけっとう))、尿の中にもぶどう糖(尿糖(にょうとう))が漏(も)れて排泄(はいせつ)されるようになります(図「前から見た膵臓の位置」図「膵臓の位置(横断面)」図「膵臓のしくみ」)。
 腎臓(じんぞう)で尿がつくられるとき、血中ぶとう糖は、糸球体(しきゅうたい)というところを通過して、いったん尿細管(にょうさいかん)中にもれて出てきますが、そこでほとんど全部が再吸収されてしまいます。しかし、この量が多すぎると、再吸収力がおよばず、尿中にぶどう糖がおりてくることになります。尿糖のおり始める時点の血糖値のことを、尿糖排泄閾値(にょうとうはいせついきち)と呼び、ふつうでは1dℓあたり160mg前後で、高齢になるほど、この値は高くなる(血糖値がより高くならないと、なかなか尿に糖がおりてこない)傾向があります。
 血糖値が持続的に高くなっている状態のことを糖尿病というのです。
 WHO(世界保健機関)は1985年に、糖尿病の基本的特徴を「慢性の高血糖状態」と明解に定義しました。
 今日では、一般的に「糖尿病は、インスリン作用の不足に基づいて代謝(たいしゃ)の変動が持続する疾患で、基本的な特徴は増加したブドウ糖を代謝する能力すなわち耐糖能(たいとうのう)の低下、慢性の高血糖である。罹患期間(りかんきかん)が長くなるにつれて特有な変性過程が進行し、しばしば最小血管症や神経障害を合併し、また動脈硬化(どうみゃくこうか)が促進される」と定義されています。

◎病気の経過と症状
 糖尿病は、軽いうちはほとんど自覚症状がありません。尿糖排泄閾値を超える高血糖が持続すると、尿が多く出る、のどが渇く、水・お茶・ジュースなどの水分を多く飲みたくなる、だるい、やせてくるなどの症状が出てきます。さらに進行すると、糖質代謝だけでなく、たんぱく質や脂肪、水やミネラルの代謝にも異常をきたしてきます。
 インスリン不足で糖質の利用ができなくなると、エネルギー源として脂肪が使われるようになります。脂肪が代謝されると、副産物として血中にケトン体というものがたまってきます。これが血液を酸性に傾け(この状態をケトアシドーシスという)、強い全身のだるさ、脱力感、吐(は)き気(け)などの症状が出てきます。
 病気がさらに進むと、意識がなくなる糖尿病性昏睡(とうにょうびょうせいこんすい)におちいり、死亡する場合もあります。
 血糖のコントロールが悪いまま10年ほどたつと、たいていの場合、毛細血管(もうさいけっかん)や細小血管という細かい血管に糖尿病特有の変化が現われてきます。目にくるのが糖尿病性網膜症(とうにょうびょうせいもうまくしょう)、腎臓にくるのが糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)、そして神経栄養血管がおかされると、糖尿病性神経障害がおこってきます。
 また、加齢(かれい)現象としてもおこってくる、太い大血管の動脈硬化が、糖尿病のコントロールが悪いと、年齢より早く出現・進行してきて、狭心症(きょうしんしょう)、心筋梗塞(しんきんこうそく)、脳梗塞(のうこうそく)、下肢(かし)の壊疽(えそ)などの原因となります。白内障(はくないしょう)のような、加齢によっておこってくるものも、糖尿病では、早期に現われてきます。
 感染症に対する抵抗力も低下し、腎盂炎(じんうえん)や膀胱炎(ぼうこうえん)などの尿路感染症(にょうろかんせんしょう)、気管支炎(きかんしえん)や肺炎(はいえん)、肺結核(はいけっかく)などの呼吸器感染症、みずむしのような真菌(しんきん)感染症などもおこりやすくなります。
 今日では、医学の進歩により、糖尿病そのもので死亡することはほとんどなくなった、といってもよいほどですが、視力障害、尿毒症(にょうどくしょう)、心筋梗塞、脳卒中(のうそっちゅう)、神経障害などの合併症による死亡や障害を考えると、糖尿病による健康障害はけっして少ないものではありません。
 しかしながら、ありがたいことに、早期発見で、適切な治療(食事、運動、薬物)による良好な血糖コントロール状態を維持すれば、これらの合併症が予防され、健康な人と同じような生活を送ることができるのです。

◎糖尿病(とうにょうびょう)の原因と分類
 一口に糖尿病といっても、その成因、遺伝的背景、発症要因、インスリン分泌や作用の不足の程度、治療に対する反応などはさまざまで、これは、多様な内容をもつ疾患群と考えたほうがよいくらいです。
 日本糖尿病学会(1999年)によると、糖尿病は成因と病態の両面からつぎのように分類されます。
1型糖尿病
 自己免疫機構(じこめんえききこう)や原因のわからないことで、膵島(すいとう)(ランゲルハンス島)β細胞が破壊され、インスリン分泌能が失われ、絶対的なインスリン欠乏におちいります。
2型糖尿病
 インスリン分泌低下やインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)となります。
■その他の特定の機序、疾患による糖尿病
 遺伝子異常によるものと、膵外分泌疾患・内分泌疾患・肝疾患・感染症などにともなうものがあります。
■妊娠糖尿病
 妊娠によって、耐糖能低下をひきおこします。
 病態による分類として、インスリン分泌の有無から、2つに分類されます。
①インスリン依存状態
 これは、インスリン注射療法を続けないと、ケトアシドーシスにおちいり、やがて死亡するタイプの糖尿病です。いいかえれば、生命の維持にインスリン注射が不可欠な糖尿病で、1型糖尿病と2型糖尿病の急性代謝失調の人におこります。
 10~20歳代に発症することが多いため、かつては若年(発症)型糖尿病とも呼ばれたことがありましたが、あらゆる年代層に発症しうることから、今日では使われなくなりました。また、インスリン依存型糖尿病とも呼ばれていました。
②インスリン非依存状態
 これは、インスリン分泌が低下する遺伝的素因があるうえに、過食、運動不足、肥満、老化などの環境因子が加わり、インスリン抵抗性となり、発症したタイプで、2型糖尿病の人におこります。
 30~40歳代以降の発症が多いことから、かつては成人(発症)型糖尿病、インスリン非依存型糖尿病と呼ばれていました。
 日本人の糖尿病の95%がこのタイプです。

◎糖尿病(とうにょうびょう)の診断と検査
 口渇(こうかつ)(口の渇き)、多飲(たいん)、多尿(たにょう)などの症状があっても、糖尿病だとは断定できません。高(こう)カルシウム血症(けっしょう)のときも、また単なる心因性のときにも、同じ症状がみられます。
●尿糖検査(にょうとうけんさ)
 試験紙を尿につけるだけで、尿糖の有無や多少がわかり、しかも採血(さいけつ)のような痛みやわずらわしさがなく、自分でできるため、便利な検査法です。
 ふつうでは、尿糖排泄閾値以下の血糖値のときには、尿中にぶどう糖はおりてきません。そのため、空腹時などでは、軽症糖尿病があっても見逃されてしまいます。なるべく食後2時間くらいの尿で検査するのがよいでしょう。
 逆に、尿糖が陽性でも、かならずしも糖尿病とはかぎりません。腎性糖尿症や甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)、胃切除後などでもみられるからです。
●血糖検査(けっとうけんさ)
 糖尿病の診断をつけるのには、血糖検査が不可欠です。糖尿病の症状があって、朝食前の空腹時血糖が1dℓあたり126mg以上あったり、食後あるいは任意の時間で200mg以上あれば、糖尿病と診断します。
●ぶどう糖負荷試験(とうふかしけん)
 もっとも確実な検査法といえます。朝食抜きで、午前中に、75gのぶどう糖を溶かした水を飲み、その直前、および2時間後に採血し、ぶどう糖濃度を調べます。
 判定は、(表「75gぶどう糖負荷試験の判定基準」)に示した日本糖尿病学会の基準にしたがいます。
 血中インスリン濃度も測定すると、インスリン分泌の程度もわかります。
●グリコヘモグロビンA1c(HbA1c
 1回の採血で、過去1~2か月間の血糖の平均値のような値がわかるため、たいへん便利で有用な検査です。

◎糖尿病(とうにょうびょう)の合併症
 糖尿病の合併症には、糖尿病に特有なものと、特有でないけれども、糖尿病患者さんに多いものとがあります。
 合併症の原因は、糖尿病の治療が不十分であったり、発症してからの経過が長く、高血糖の状態が長く続くことにあります。血管、とくに細かい血管の壁に変性をきたし、内腔(ないくう)が細くなったり、閉塞(へいそく)したりするために、いろいろな臓器に障害がおこってきます。
■糖尿病性網膜症(とうにょうびょうせいもうまくしょう)
 眼底(がんてい)の、カメラでいえばフィルムにあたる網膜に酸素や栄養を送っている毛細血管(もうさいけっかん)の病変で、つまったり破れて出血したりして視力障害がおこり、ひどくなると失明(しつめい)するこわい合併症です。
 日本の成人の失明原因のトップはこの病気で、年間約5000人の糖尿病患者さんが視力障害を理由に、身体障害者手帳の交付を受けています。
 網膜症は進行の程度により、3段階に分類されます。いちばん初期の段階は単純網膜症で、視力についての自覚症はほとんどなく、小さな点状出血や白斑(はくはん)などの軽い病変が網膜内にとどまっている程度です。
 血糖のコントロール不良状態が続くと、症状は進み、軟性白斑(なんせいはくはん)や静脈の異常、線状出血(せんじょうしゅっけつ)などの病変が加わった前増殖網膜症(ぜんぞうしょくもうまくしょう)となります。
 さらに進行したのが増殖網膜症で、本来はなかったところに新たな毛細血管(新生血管)ができ、網膜より前部の硝子体(しょうしたい)にまで侵入してきます。
 この新生血管はたいへんもろく、ちょっとした衝撃があったり、血圧が上がると、すぐに破れて出血をおこし、視力障害、ひいては失明にまで至ることがあります。また、この出血の後には、網膜剥離(もうまくはくり)がおこりやすく、これも失明の原因となります。
■糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)(糖尿病性腎糸球体硬化症(じんしきゅうたいこうかしょう))
 腎臓は、血液を濾過(ろか)して原尿(げんにょう)をつくる糸球体と、からだに必要な栄養分を再吸収する尿細管からなるネフロン(腎単位)というものが約200万個集まってできた臓器ですが、糖尿病では、持続的な高血糖から、糸球体の毛細血管に結節(けっせつ)や肥厚(ひこう)などの糖尿病に特有の変化がおこってきます。その結果、濾過機能が低下し、排泄されるべき老廃物が血液中に増え、尿毒症となり、生命が危険にさらされます。1994年に日本で新たに透析(とうせき)導入を行なった患者数2万4059人のうち、7376人(30.7%)が糖尿病性腎症で、この比率が年々増加しています。
 血中の尿素窒素(にょうそちっそ)やクレアチニンが上昇するより以前に、たんぱく尿がより敏感な指標となります。最近では、尿たんぱくが陰性でも、さらにより鋭敏な指標として、尿中微量アルブミンの測定ができるようになりました。
 これが基準値よりはみ出し始めたころから、厳格な血糖コントロールと、もし高血圧があればそのコントロールも合わせて行なえば、糖尿病性腎症も予防ないし進展防止ができます。
■糖尿病性神経障害
 神経系は、中枢神経系(ちゅうすうしんけいけい)(脳および脊髄(せきずい))と末梢神経系(まっしょうしんけいけい)に分けられ、後者はさらに体性神経系(たいせいしんけいけい)(知覚神経(ちかくしんけい)および運動神経)と自律神経系(じりつしんけいけい)(交感神経(こうかんしんけい)および副交感神経)に分けられます。
 糖尿病では、末梢神経系の障害が多く、それには、代謝障害と微小血管障害による循環障害とが関与していると考えられます。末梢神経の細胞は、長い軸索突起(じくさくとっき)(神経線維)をもち、その周囲を髄鞘(ずいしょう)とシュワン細胞が取り囲んでいます。糖尿病では、この軸索と髄鞘に変性と脱落がおこり、おかされた神経やその部位によって、多彩な神経症状を示します。
 多発性神経障害が頻度的にもっとも多く、知覚障害のほうが、運動障害よりも多くみられます。しびれや痛みが四肢(しし)(手足)末端から始まり、左右対称性に広がっていき(靴下型(くつしたがた)、手袋型(てぶくろがた))、通常は、まず足先や足底部に症状が出現してきます。
 単一神経障害として、大腿(だいたい)(太もも)や腓骨(ひこつ)・尺骨(しゃっこつ)・正中(せいちゅう)・橈骨神経(とうこつしんけい)がおかされやすく、それぞれの神経支配領域に疼痛(とうつう)、脱力、知覚異常などが出てきます。動眼神経(どうがんしんけい)や外転神経(がいてんしんけい)も多く、外転筋(がいてんきん)まひ、複視(ふくし)、眼瞼下垂(がんけんかすい)などの症状がみられます。
 自律神経障害は見過ごされやすいのですが、糖尿病にかかっている期間が長くなると、多彩な症状をともない、患者さんに苦痛を与え、生活に支障をきたすほどになることもあります(表「糖尿病性自律神経障害のWHOの分類」)。

◎糖尿病(とうにょうびょう)の治療
 膵β細胞(すいベータさいぼう)のインスリン分泌能を永久に完全に回復させる治療法がまだ見つかっていない現在では、完治して糖尿病がなくなってしまったという状態にすることはできません。
 糖尿病治療の目的は、患者さんが口渇、多飲、多尿、からだのだるさなどの自覚症状から解放され、視力障害その他の合併症を防止し、健康な人と同じように日常生活、社会生活を営むことができるようにすることです。
 それには、患者さん自身が自覚症状の有無にかかわらず、糖尿病の正しい知識をもち、治療目的をよく認識し、根気よく毎日の治療を続けることがもっとも大事です。
●食事療法
 これは、糖尿病治療の基本であり、これなくしては治療の成功はありえません。各人の年齢、性別、標準体重、体格などから、その人の日常社会活動を維持するのに必要な総エネルギー量と、適正な栄養素配分を決めたのが糖尿病食で、これは、患者でない人にとっても理想的な健康食といえます。
 日本糖尿病学会の『糖尿病食事療法のための食品交換表』にしたがって、献立、秤量、盛りつけなどを栄養士の指導を受けながら、毎日の生活のなかで実践していくことがたいせつです。
 具体的には、標準体重を算出します。いろいろな計算式がありますが、最近では、つぎのようなWHO方式がよく用いられます。
 {身長(m)}2×22(男)
 {身長(m)}2×21(女)
 たとえば、身長162cmの場合は、
 男性なら 1.62×1.62×22=57.7Kg
 女性なら 1.62×1.62×21=55.1Kg
となります。
 ふつうのデスクワーク程度の仕事の人や主婦では、この標準体重に30をかけると必要カロリー数が算出されます。標準体重をオーバーしていて、減量する場合は、25をかけます。前述の男性では、57.7×30で1730kcalないし57.7×25で1440kcalとなります。
 日常の活動を支えるための必要カロリーをバランスよくとるのが原則で、少なすぎる食事は栄養失調をきたしますし、絶食療法は糖尿病を悪化させますので、してはならないことです。
●運動療法
 運動は、糖代謝や脂質代謝を改善し、肥満の是正や防止に役立ち、食事療法とともに、糖尿病治療の基本となるものです。筋肉のエネルギー源は、安静時には脂肪組織から放出される遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)ですが、中等度の運動を始めると、最初は筋肉のグリコーゲンがおもに利用され、10分以上たつと、今度は血中のぶどう糖がおもなエネルギー源として使われるようになります。運動が2時間を超えると、ぶどう糖よりも遊離脂肪酸の利用のほうが主になります。
 肥満があると、インスリン感受性が低下し、インスリンの効きにくい状態におちいっていますが、運動すると、これが改善されます。食後に運動すると、食後の高血糖が改善されたというデータもあります。
 肥満体のままでジョギングしたり、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)があるのに長時間歩いたりすると、よく膝(ひざ)や足首の関節を痛めます。また、狭心症や心不全のある人が過度な運動をすると、胸痛(きょうつう)をきたしたり、心不全を悪化させてしまいます。
 糖尿病の運動療法としては、月に1~2回のゴルフとか、週末の激しいテニスなどよりも、毎日の規則正しいルーチンに組み込めるもので、「ひとりでも、いつでも、どこででも」できる運動が理想的です。費用もかからない、手軽なお勧め運動療法の処方箋(しょほうせん)をつぎに提示します。
 歩数計を毎朝装着し、朝夕の通勤に1~2駅手前で降りて、速足で30分歩き、会社では仕事を思いつくたびにこまめに足を運び、エレベーター、エスカレーターには乗らない主義を貫き、帰宅して夕食後に歩数計をチェック。男性なら1万歩に満たない分を家のまわりを散歩してくる。閉経後(へいけいご)の女性なら6000歩までにとどめておきます。
●薬物療法
 食事療法と運動療法を十分に実行し、標準体重まで、あるいはせいぜい10%増し以内にまでもってきて、なおかつ、グリコヘモグロビン[1-03-33-2]が7.2%を超えている場合には、糖尿病合併症を予防するため、薬物療法を行なうべきです。
 インスリン依存状態の場合は、インスリン療法のほかに選択の余地はありません。インスリン非依存状態については、適用をまちがわないような薬剤の選択が必要です。
 薬物療法については、患者さんの状態をみて主治医が決めるべきもので、患者さんが勝手に決めるわけにはいきません。

出典:小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

食の医学館

とうにょうびょう【糖尿病】

《どんな病気か?》


〈合併症がこわい糖尿病は、1に食事、2に運動で改善〉
 生活習慣の変化とともに増加し、生活習慣病の代表ともいえるのが、糖尿病(とうにょうびょう)です。昭和40年の数字とくらべると、糖尿病受療率は外来患者数で約5倍におよんでいます。現在では、糖尿病が強く疑われる人(治療中を含む)が950万人、さらに可能性を否定できない人とあわせると2050万人にもなります(厚生労働省「国民健康・栄養調査」平成24年)。
 このように“疑われる”“可能性を否定できない”と表現されるのは、実際に、初期の段階では自覚症状がないからです。糖尿病は、健康診断などの際に、血糖値が高いことではじめて疑いが生じることがほとんどなのです。
 ある程度症状が進行すると、のどがかわく、だるい、眠いなどの症状を感じるようになり、さらに進行すると体重減少、全身のかゆみ、視力の低下などがみられます。そしてもっともこわいのは、長期間血糖値が高い状態が続くと、糖尿病性の網膜症(もうまくしょう)、腎症(じんしょう)、神経障害(しんけいしょうがい)など、重大な合併症を引き起こしてしまうことです。
 糖尿病は、インスリンという、細胞内に糖を取り込み、血糖値を下げる作用のあるホルモンの作用不足がおもな原因です。そのため、糖尿病の改善、または予防には、インスリンというホルモンの分泌(ぶんぴつ)をきちんと機能させる必要があります。
 その方法としては、「1に食事、2に運動」です。食事については次の項でふれるとして、運動は、ほかの生活習慣病同様、適度な運動レベルで20~30分持続できる運動を、週に2~3回以上、計画性をもって持続させることがたいせつです。

《関連する食品》


 糖尿病の改善には、食事療法が第一です。そのポイントは次のとおり。
●摂取カロリーの制限
●バランスのよい栄養配分
 摂取カロリーの計算は年齢、性別、身長、体重、運動量などで決められますが、健康な人の適正エネルギー量の算出は「生活習慣病とは?」の適正エネルギーの簡易算出法を参照してください。また、糖尿病では低カロリー食が基本です。それだけに、栄養バランスにはより注意が必要です。糖尿病では糖質を制限すればよいと考える人が多いようですが、たんぱく質、脂質、糖質といった3大栄養素は、過不足なく摂取しなければなりません。そのうえで、糖尿病に効果のある食品を摂取しましょう。
 通常、糖尿病と診断されると、1日の摂取エネルギーが、1400から1600kcalと、きびしい食事制限をしなければならなくなります。
 以下に示す食品交換表は、人間が必要とする栄養素を6つのグループ(表1~表6)にわけ、それぞれからバランスよく食べることで、過不足なく栄養をとれるようにくふうされたものです。
 このなかから、1単位80kcalで計算して、1日の食事の献立を考えることが、糖尿病食の基本です。
<糖尿病の人のための食品交換表>
 糖尿病の食事療法は、特別な食事で病気を治すことではなく、「過食を避け、偏食せずに、毎日規則正しい食事をする」ということです。
 食事療法の原則は2点あり、第1に、適正な体重を保つのに必要な量の食事を食べ、余計に食べすぎないことであり、この適正量は患者さんの年齢、性別、身長、体重、日々の生活活動量などによってそれぞれ異なるので、主治医に決めてもらう必要があります。
 第2に、健康な生活をするために必要な栄養素(糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)や食物繊維などが不足しないように、バランスのよい食事をとることです。糖尿病だからといって食べてはいけない食品はとくになく、適正な量を食べることが重要です。
 主治医は、患者さんが1日に食べる食事の適正な量(総エネルギー量)を指示します。これを1日の指示エネルギーといいます。そして、この指示エネルギー量のなかで1日にどんな食品をどれだけ食べればよいか、さらに1日3回の食事にそれをどのように配分すればよいかを、食品交換表を用いて指示します。
1.日常よく食べる食品が、どの表にのっているか、知っておくと便利です。
2.同じ種類の食品でも、含まれている栄養素の種類や量が大きくちがう場合には、他の表にのっていることがあります。
注1:食品の交換はかならず同じ表の食品のなかで行う。
注2:主治医は、1日の指示エネルギー量を1日に何単位と指示する。(例:1日20単位と指示されたときは「20単位×80(1単位のカロリー)=1600kcal」となる。
●6つの食品グループ(6つの表)
おもに糖質を含む食品
表1 ご飯 うどん 食パン スパゲッティ ジャガイモ
表2 イチゴ スイカ ミカン レモン メロン
おもにたんぱく質を含む食品
表3 マアジ クルマエビ メザシ くんせいイカ 豚肉
表4 牛乳 ヨーグルト スキムミルク
おもに脂肪を含む食品
表5 油 バター アーモンド ベーコン アボカド
おもにビタミン、ミネラルを含む食品
表6 カボチャ キュウリ キャベツ ナス ワカメ
●いろいろな食品の1単位にあたる量
表1  ご飯(50g) 小さい茶わん軽く半杯
   食パン(30g) 1斤6枚切りの約半分
   うどん〔干し〕(20g)
   ゆでうどん(80g)
表2  リンゴ〔皮、芯を含む〕(180g)
   リンゴ〔皮、芯を除いたもの〕(150g)
表3  アジ〔頭、骨、内臓付き〕(60g)
   タイ〔切り身1切れ〕(60g)
   豚肉〔もも。脂身を除いた重さ〕(60g)
   とうふ〔木綿〕(100g)
表6  野菜いろいろとりあわせて(300g)
   ピーマン ニンジン サヤインゲン ブロッコリー
●朝食・昼食・夕食・間食への配分の原則
第1の食品  穀物、イモ、豆など
第3の食品  魚介、肉、たまご、チーズ、ダイズ製品
第6の食品  野菜、海藻、きのこ、こんにゃく
以上は、朝食・昼食・夕食にだいたい均等に配分します。
第5の食品  油脂、多脂性食品など
調味料(味噌、砂糖など)
以上は、その日の料理にあわせて、朝食、昼食、夕食にわけて使います。
第2の食品  くだもの
第4の食品  牛乳など
以上は、なるべく午前や午後の間食としてとるようにします。
(日本糖尿病協会・文光堂『糖尿病食事療法のための食品交換表第7版』日本糖尿病学会編より引用)
 糖尿病の食事は医師、栄養士の指導のもとでの正確なカロリーコントロールが絶対です。外食は、知らないうちに多くのカロリーをとってしまうことがあります。十分注意しましょう。あわせて、積極的に有酸素運動をすることで、カロリー消費につとめましょう。以下に、運動による消費カロリーの目安をのせておきます。
<運動消費カロリーの比較>
運動:歩行(100m/分)
1時間あたりの消費カロリー:200~300kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:30~45分

運動:速歩(120m/分)
1時間あたりの消費カロリー:300~400kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:23~30分

運動:かけ足
1時間あたりの消費カロリー:400~900kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:10~23分

運動:サイクリング
1時間あたりの消費カロリー:140~350kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:26~60分

運動:水泳(軽い)
1時間あたりの消費カロリー:350~800kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:10~26分

運動:サッカー
1時間あたりの消費カロリー:300~900kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:10~30分

運動:テニス
1時間あたりの消費カロリー:200~500kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:18~45分

運動:自転車(18km/時)
1時間あたりの消費カロリー:200~350kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:30~45分

運動:野球
1時間あたりの消費カロリー:150~350kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:26~60分

運動:バスケット
1時間あたりの消費カロリー:300~600kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:15~30分

運動:スキー
1時間あたりの消費カロリー:200~600kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:15~45分

運動:ボウリング
1時間あたりの消費カロリー:150~200kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:45~60分

運動:卓球
1時間あたりの消費カロリー:200~450kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:20~45分

運動:エアロビクス
1時間あたりの消費カロリー:400~600kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:15~30分

運動:ジョギング
1時間あたりの消費カロリー:200~300kcal
1kgやせるのに必要な運動持続時間:30~40分

〈硫化アリル、カテキンが血糖値を下げる〉
○栄養成分としての働きから
 血糖値の上昇を抑える働きのある栄養素としては、硫化(りゅうか)アリルとカテキンがあります。硫化アリルはタマネギに多く含まれ、とくに生食がより効果的です。また、カテキンは緑茶に含まれており、緑茶を積極的に飲む習慣をつけるといいでしょう。直接血糖値のコントロールには働きかけをしませんが、小腸からの糖分の吸収を抑制するのが、ギムネマ茶などから摂取できるギムネマ酸です。
 ゴボウやこんにゃくなどの食物繊維も、糖質や脂質の吸収速度を抑え、血糖値の上昇を緩和する作用があります。基礎代謝を高めるために、ビタミンやミネラルもたっぷりとりましょう。ピーマンやシシトウなどに含まれるビタミンCは、脂肪の代謝を促進し、シイタケに含まれるビタミンB6やミネラル、ワカメ、コンブに含まれるミネラルも有効です。
○注意すべきこと
 いくら摂取カロリーや栄養バランスに気をつけても、不規則な食習慣では意味がありません。食事の回数を1回減らすと、1回分の摂取量がふえ、著しく血糖値が上昇してしまいます。1日3食、きちんと食事をすることと、よくかんでゆっくり食べることがたいせつです。
 また、糖尿病を予防するには、周囲の人に食事療法開始を告げる、自分の摂取カロリー量をつかむ、自分の数値を視覚化する、1日カロリー10%カット、飲酒は自分の意志の強さと相談を、午後9時をすぎたら食べない、などの注意が必要です。

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世界大百科事典 第2版

とうにょうびょう【糖尿病 diabetes mellitus】
膵臓ホルモン,なかでもインシュリンの作用不全の結果生じる代謝異常状態をいう。代謝異常とは,栄養物の分解により生体の活動を支えるエネルギーを産生し供給する過程が円滑に運行されないことである。代謝異常の影響はほとんど全身の臓器・組織,血管・神経系に及び,その範囲,程度,進行具合はさまざまであるが,糖尿病の特徴をとりだせば次のようである。(1)種々の遺伝因子と種々の環境因子の組合せで発症する。(2)共通してインシュリンの欠乏,あるいはその作用を阻害する諸因子の過剰,または作用の発現機構に異常がある。

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大辞林 第三版

とうにょうびょう【糖尿病】
持続性の高血糖と尿中への糖排出を特徴とする症候群。インシュリンの不足による代謝障害で、遺伝的素因に肥満・感染・妊娠などの誘因が重なり発症。成人期後半に多い。普通、初期には症状が見られず、進むと多尿・糖尿・多飲・多食・全身倦怠けんたいなどの症状が現れ、網膜症・腎症・神経症・動脈硬化症などを併発、重症では昏睡こんすい・脱水症を起こす。食餌しょくじ療法、運動療法、インシュリン注射が有効。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

糖尿病
とうにょうびょう
diabetes mellitus
膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンというホルモンが不足するためにおこる代謝異常に基づく疾患で、次のような特徴をもっている。発病には遺伝的素因が強く、発症は急激に発生するものもあるが、多くは徐々に長い経過をとって悪化していく。治療しないで放置すれば糖尿病性昏睡(こんすい)に陥り死亡する。また食事療法を基礎とした適切な治療を行えば、正常の状態に改善することができるが、放置すれば後述するような種々の合併症をおこして生命に危険をもたらす。[高野加寿恵]

原因

遺伝とはあまり関係なくおもに自己免疫との関連で膵臓の機能が衰えておこるとされている1型と、遺伝的素因が強い2型とに分けられる。1型は治療にどうしてもインスリンを必要とする、インスリン依存状態であり、糖尿病患者の約1割を占める。2型は40歳以上の人に多く発症するもので、糖尿病患者の約9割を占める。食事療法や内服薬によって治療が行われるので、インスリン非依存状態が多く、肥満、過労、ストレス、手術、他の疾患の発症、妊娠などがこのタイプの発病を促す引き金となる。[高野加寿恵]

症状

人によってかなり違うが、病気の程度が軽い場合には症状がない。自覚症状のなかでもっとも多いのは、のどの渇き(口渇)である。茶や水を多量に飲むようになり、ひどい場合は夜中にのどの渇きで目覚め、やかん1杯の水を飲んでいた例もある。次に多いのは多尿である。水分を多くとるようになるとともに尿の回数が増え、1回の尿量も多くなる。健康人の1日の尿量は1.5リットル前後であるが、糖尿病では3リットル以上になる。多尿は昼間にはあまり気づかないが、夜中に何回もトイレに起きるようになると異常に気づく。また、糖尿病になると、体がだるく(全身倦怠(けんたい)感)疲れやすくなる。なお、糖尿病は肥満者に多く、糖尿病患者の大部分は過去に太っていた経験がある。肥満で内臓脂肪が蓄積すると、インスリンの血糖低下作用が弱まり、糖尿病になりやすくなるので、検査を受ける必要がある。また病気が重くなると、反対にやせてくる。いくら食べてもどんどんやせていくのは、糖尿病が重症であることを意味する。一般に、やせていく糖尿病は太っている糖尿病より重症である。以上述べた症状は糖尿病の特徴的症状で、次に合併症を伴ったときにみられる症状について述べる。
 糖尿病があるためにおこりやすい合併症にはまず脂質異常症があり、血液中のコレステロールや中性脂肪が増えてくる。また細菌感染に対する抵抗力が弱くなるので、肺結核、肺炎、腎盂(じんう)炎などにかかりやすくなるほか、項部(うなじ)に(せつ)(おでき)ができやすくなったり、皮膚がかゆくなり、また歯周炎がひどくなったりする。女性では真菌の一種であるカンジダの感染によって陰部がかゆくなることもある。なお、糖尿病のない人に比べると、動脈硬化がおこりやすく、心筋梗塞(こうそく)になる率が約4倍という報告もあり、また糖尿病では脳出血より脳血栓が多い傾向がある。
 次に糖尿病に特有な合併症について述べる。これには糖尿病性の神経症、網膜症、腎症の三つがある。
(1)糖尿病性神経症 発病初期からでもみられる合併症で、痛みや寒暖を感じる知覚神経が侵されやすく、そのため手足の指先がしびれたり、頑固な神経痛がおこる。神経痛のために安眠が妨げられることもあり、まれには目の運動神経の麻痺(まひ)で物が二つに見えたりすることもある。内臓神経が障害を受けると、弛緩性膀胱(しかんせいぼうこう)といって膀胱に多量の尿がたまり排尿がうまくできなくなることがある。これらのほか、神経症によって下痢や便秘、インポテンス、起立性低血圧や発汗異常などもみられる。なお、神経症は、代謝異常の影響と神経系に分布する血管の動脈硬化によって神経細胞や神経組織が変化しておこるという。
(2)糖尿病網膜症 糖尿病に特徴的な血管障害が眼底の網膜におきたものをいう。症状が進むと失明に至る重大な合併症の一つである。高血糖の状態を5年以上も放置すると、徐々に網膜の毛細血管に出血による変化が現れてくる。初期の小出血の段階では自覚症状がなく、検査も受けずに無治療で放置しがちであるが、眼底検査は初めのうち年一度、異常があれば3か月に一度の割で受けるようにする。
(3)糖尿病性腎症 糖尿病に特徴的な血管障害が腎臓の糸球体を中心にしておこったものをいう。糖尿病を十分に治療しないで15年以上経過すると、腎臓の血管が侵されて尿にタンパクが出るようになる。尿にタンパクが出ても腎臓の機能が正常に働いている間は問題はないが、機能が低下し始めるとだんだん悪化して尿毒症になり死に至る。しかし、発病とともに治療を継続すれば糖尿病性腎症は予防できる。
 なお、合併症ではないが、糖尿病が重症になると糖尿病性昏睡という状態になることがある。体内でインスリンが不足すると糖質の利用が阻害されて高血糖となり、また脂肪が分解されて生ずるケトン体が増え、血液が酸性となって意識が混濁し、昏睡に陥る。毎日インスリンの注射を必要とする人が注射をしなかったり、糖尿病のあることを知らないで手術を受けたり、肺炎、腎炎、膀胱炎などの感染症にかかったりすると、糖尿病性昏睡がおこる。糖尿病のあることが疑われていて治療をまだ受けていない人や治療を中止している人が、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛を訴えたときは、糖尿病性昏睡の前兆である可能性も考慮して対処することが必要である。[高野加寿恵]

検査と診断

体重減少を伴った口渇、多飲多尿、多食、倦怠感があれば、糖尿病が疑われるので検査が必要となる。まず尿検査で糖が出ておれば疑いはさらに濃くなる。しかし、ときに腎性糖尿といって腎臓での糖の排泄閾値(はいせついきち)が下がっているために、血中の糖が高くなくても尿糖がみられることがある。これと区別するために、血液中のブドウ糖の値(血糖値)を基礎値と負荷後の値で調べることがある。すなわち、空腹時血糖値が1デシリットル中126ミリグラム以上であったり、またそれ以下でもブドウ糖を75グラム含む水を飲んだ後の血糖が1デシリットル中200ミリグラム以上であれば糖尿病型と判定する。この負荷試験のとき、血中のインスリン濃度を測定する反応をみるが、糖尿病では低反応である。グルコースのついたヘモグロビンA1cが測定できるが、この値は1、2か月前の血糖の状態を示すものとして、糖尿病のコントロールの指標としても使われている。
 糖尿病の診断がついたら、重症度や合併症のチェックをする。糖尿病性の網膜症や腎症を検索するために眼底検査を行うほか、尿タンパクや尿糖の量を測定する。心臓や肺にも変化がないかどうかを調べるため、血圧、心電図、胸部X線検査も行う。また血液中のコレステロールや中性脂肪が高くないかどうかを調べたり、血液中の理化学的検査を行う。体重測定も重要な検査の一つである。[高野加寿恵]

治療

代謝の異常状態を正常にすること、合併症を予防または発症を遅らせることが糖尿病の治療目的である。食事療法が基本となるが、食事療法を行っても糖尿病がまだ十分にコントロールされない場合は、経口糖尿病治療薬やインスリン注射薬を使用する。適当な運動は代謝の改善にたいせつである。よいコントロールとは、早朝空腹時血糖値が1デシリットル中120ミリグラム以下、食後2時間の血糖値が同じく170ミリグラム以下、ヘモグロビンA1c値が6.5%未満であり、しかも合併症がなく、体重が標準体重範囲にあることで、これを一生続ければ健康人とまったく変わらない社会活動、社会生活を行いながら天寿を全うすることが可能である。
 食事療法は、何を食べてはいけないといった制限をするものではなく、その人の標準体重から計算されたカロリーを摂取することが目的である。目安としては、肥満者の場合でその人の標準体重1キログラム当り20~25キロカロリー、肥満していない軽労働者では同じく30キロカロリー、中等度労働者では同じく35~40キロカロリー、重労働者では同じく40~45キロカロリーである。たとえば、男性で身長165センチメートル、体重80キログラムの軽労働者では標準体重が60キログラムとなるので、やせるために1キログラム当り20~25キロカロリー、1日の摂取カロリーは1200~1500キロカロリーとなる。与えられた総カロリーを、糖質、タンパク質、脂質の三大栄養素からバランスよく配分して摂取する。実際には栄養士の献立指導を数回受けるとよい。ビタミンやミネラル類も不足しないよう注意する。食事指導には、日本糖尿病学会編『糖尿病治療のための食品交換表』が活用されている。なお、アルコール飲料については1日2単位(160キロカロリー)までは許可されるが、だいたい、ウイスキーならシングル2杯、日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本、ワインならワイングラス2杯程度である。しかし、薬物療法併用者の場合は、合併症がなくても原則として禁酒すべきである。
 経口糖尿病治療薬は、40歳以後に発病した2型糖尿病に有効で、食事療法を十分に行っても血糖値が下がらない場合に服用する。代謝の乱れを正常化させ、合併症や進行も阻止することができるが、薬が効果を発揮しているかどうかのチェックを受けながら服用することが必要である。
 インスリン療法を行う場合も、食事療法は守る必要がある。この療法は、インスリン依存性の糖尿病の人をはじめ、インスリン非依存性糖尿病の人でも、細菌感染のある場合、手術時、糖尿病性昏睡に陥ったとき、妊娠時などにも行われる。1981年(昭和56)以後インスリンの自己注射が認められるようになったので、患者自身もインスリンについてある程度の知識をもつことが必要になってきた。糖尿病に対するインスリン注射は、体内のインスリンの不足を補う一種の補充療法であるから、毎日続けて主治医の指示したインスリンを注射しなければならない。注射部位は同じ場所ばかりせず、大腿(だいたい)部、腕、腹部、臀(でん)部に3センチメートルずつ間隔を置いて毎日違った場所に注射する。とくに低血糖に注意すべきで、インスリンの量を間違えたり、インスリンの注射をして食事をしなかったり、運動が過剰になったりすると、低血糖症状が現れる。万一、低血糖症状(飢餓感、脱力、冷汗、振戦など)がおこった場合は、砂糖水を飲んだりして昏睡に陥らないように処置する。
 適当な運動をすると、筋肉細胞のブドウ糖摂取が容易になり、インスリンの使用が節約されて体内の代謝がうまく営まれるようになる。心臓、腎臓、肺に疾患のある人や網膜出血がおきたばかりの人は運動を避けるべきであるが、それ以外の人は全身の筋肉を平均に動かすような運動や労働を毎日一定時間行うことは、糖尿病をよくする一つの補助的治療法となる。
 合併症に対しても、それぞれ次のような治療法がある。神経症が強い場合には、ビタミンB1、B2、B12などが有効なことがある。網膜に出血斑(はん)がみられた場合には、出血した血液が早く吸収されるように、強い光を当てて出血部位を焼いて止血する光凝固療法によって失明を食い止めることができる。腎症が進行すると尿毒症になるが、この場合には血液透析によって治療する。
 生活上の注意としては、重大な合併症がない限り、入浴、性生活、スポーツ、労働などに制限を加える必要はない。糖尿病の女性が妊娠するには、次のような注意が必要となる。すなわち、よくコントロールされている場合には妊娠、出産は可能であり、新生児にも異常はない。しかし、糖尿病のあることを知らないで治療もせずに妊娠した場合は、子供に形態異常がおこる確率が高く、出産まぎわに母体内で突然死することもある。また、母親も糖尿病性昏睡に陥ることさえある。抜歯や手術も糖尿病のコントロールがよければ受けられる。糖尿病では動脈硬化症や神経症によって足先の血液循環が悪くなるため、足に切り傷、やけどなどをすると壊疽(えそ)を生じやすく、切断を余儀なくされることもあるので、足はいつも清潔にしておくことがたいせつである。[高野加寿恵]
『吉利和監修・平田幸正編『最新看護セミナー 糖尿病ハンドブック』(1980・メヂカルフレンド社) ▽阿部正和ほか著『糖尿病――新しい考え方からマネジメントの実際まで』第2版(1983・医学書院) ▽平田幸正著『糖尿病の正しい知識 改訂版』(1992・南江堂) ▽大阪大学医学部附属病院編『やさしい糖尿病の自己管理』改訂3版(2000・医薬ジャーナル社) ▽河津捷二監修者代表『これだけは知っておきたい糖尿病』(2000・総合医学社) ▽日本糖尿病学会編『糖尿病食事療法のための食品交換表』第6版(2002・文光堂) ▽東畑朝子監著『糖尿病最新カロリーハンドブック』(2003・池田書店) ▽西東京糖尿病教育研究会編『患者のための糖尿病読本』2003年版(2003・桐書房)』

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精選版 日本国語大辞典

とうにょう‐びょう タウネウビャウ【糖尿病】
〘名〙 膵臓から出るインシュリンというホルモンの分泌が不十分なために、糖の利用が行なわれず、血液中のぶどう糖値が高くなり、尿中にも排泄される内分泌疾患。自覚症状としては、多飲、多尿、多食、脱力感、羸痩(るいそう)、または肥満を示し、感染に対する抵抗性の減弱、動脈硬化の促進、神経炎、網膜症、腎障害をきたすことが多い。
※東京日日新聞‐明治二六年(1893)一二月三〇日「誠胤は俄然同夜より発病糖尿病となり」

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内科学 第10版

糖尿病(代謝性疾患)
(1)糖尿病
 糖尿病患者の約70%で何らかの消化器症状を伴うといわれている.主症状としては胸やけ,悪心・嘔吐,腹痛,便秘などがあげられ,糖尿病の進展に伴う自律神経障害がおもな要因と考えられている.その他免疫力低下や薬剤による消化管障害も起こりうる.
a.食道カンジダ症
 感染防御機構の低下による.有症状例では抗真菌薬の投与が行われる.
b.胃食道逆流症
 食道蠕動運動の低下と胃内容排泄障害により胃食道逆流症状が起こりやすいとされる.おもな症状は胸やけや嚥下障害である.
c.胃運動異常
 胃壁の緊張低下と胃内容の排泄遅延を起こし,おもに食後の悪心・嘔吐,腹部膨満,上腹部不快感,腹痛,食欲不振などの症状を生じる.糖尿病性の胃排泄能低下の治療は血糖コントロールであるが,メトクロプラミドやドンペリドンなどの投与が有用である.
d.糖尿病性下痢
 頻度は低いが血糖コントロール不良で罹病歴の長い比較的若い男性に多いとされる.おもな症状は夜間の大量水様性下痢で自律神経障害による腸管運動障害,腸内細菌の異常増殖,膵外分泌機能低下などが原因と考えられている.
e.排便障害
 腸管運動障害による便秘や,糖尿病性下痢に併発して,自律神経障害による肛門括約機能障害から便失禁をきたすことがある.
f.その他
 αグルコシダーゼ阻害薬により,糖の吸収阻害を起こし,未消化の炭水化物が結腸で分解・発酵することでガスが発生し,放屁,腹部膨満,偽性腸閉塞,下痢,腸管気腫性嚢胞症(pneumatoides cystoides intestinalis:PCI)などの症状をきたすことがある.[安藤貴文・後藤秀実]

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糖尿病(ほかの疾患に伴う肝障害)
(7)糖尿病
 糖尿病では脂肪肝を伴うことが多く,非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)を発症する危険因子の1つである.一方で,肝疾患患者における糖尿病合併は肝疾患の進展や肝癌のリスク因子として重要視されている.[西口修平]

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糖尿病(代謝・内分泌疾患に伴う神経障害)
(1)糖尿病
概念
 糖尿病に由来する神経障害で,左右対称性下肢遠位優位に感覚運動障害を生じる糖尿病性多発神経障害(diabetic polyneuropathy),糖尿病性自律神経障害(diabetic autonomicneuropathy),単発性に末梢神経や脳神経の麻痺を生じる糖尿病性単神経障害(diabetic mon­oneuropathy),下肢近位筋の筋力低下を特徴とする糖尿病性筋萎縮症(diabetic amyotrophy)に分類される.
頻度
 血糖コントロールの悪化とともに発症するが,通常は5~10年間以上の罹病期間をもつ糖尿病患者にみられる.有病率は報告者や国により異なるが,糖尿病患者の15~50%とするものが多い.
病因
 ポリオール代謝経路の亢進,酸化ストレス,高血糖による蛋白の非酵素的糖化(グリケーション),プロテインキナーゼ C活性の変化,種々の成長因子,血流障害などの仮説があるが,全容は不明である.一方,統計学的に証明された危険因子としては血糖コントロール不良,高血圧,喫煙,飲酒,アルドース還元酵素の遺伝子多型などがある.
臨床症状
 多発神経障害の症状として,下肢末梢から左右対称性に始まり徐々に上行する感覚異常(しびれ感,感覚低下,足底に薄皮が1枚貼りついている・砂利の上を歩いているといった錯感覚,疼痛)が出現する.進行すると靴下型の分布となり,さらに進行すると上肢にも症状が広がり,手袋靴下型の分布となる.おもにやせ型で血糖コントロール不良の患者が急速に血糖値の改善をみた後に神経障害が増悪して激しい疼痛を生じることがあり,治療後有痛性神経障害とよばれる.自律神経障害として起立性低血圧,心筋梗塞発症時にも胸痛などの症状に乏しいこと(無痛性心筋梗塞),無自覚性低血糖,胃無力症,弛緩性膀胱,発汗異常,便通異常,インポテンツなどを生じるが自覚していないことも多い.単神経障害としては動眼神経麻痺や外転神経麻痺による複視,腓骨神経麻痺による垂れ足などがある.
診断
 糖尿病性多発神経障害の診断は,ほかの多発神経障害を鑑別したうえでの除外診断となる.いくつかの簡易診断基準が提唱されており,自覚症状とアキレス腱反射の低下や消失などの他覚所見の組み合わせとなっているが,統一された診断基準はない.スクリーニングに有用な検査としては,深部腱反射(特にアキレス腱反射),振動覚,モノフィラメントを用いたタッチテスト,温痛覚,神経伝導検査での運動神経伝導速度,感覚神経伝導速度,F波伝導速度などがある.自律神経障害の評価には心電図R-R間隔変動係数の減少,起立試験にて収縮期血圧の20~30 mmHg以上の低下,アセトアミノフェン法などでの胃排出能低下などが用いられる.
治療
 多発神経障害の治療法としては,血糖コントロールの改善,アルドース還元酵素阻害薬(エパレルスタット),高血圧の改善,禁煙,禁酒,ビタミン剤(B1,B6,B12),循環改善を目的としたプロスタグランジン系製剤,抗セロトニン製剤などがある.異常感覚や疼痛に対する対症療法としては,非ステロイド系抗炎症薬のほか,メキシレチン,抗痙攣薬(カルバマゼピンなど),プレガバリン,抗うつ薬(トリプタノールなど)などが用いられる.起立性低血圧にはドロキシドパなど,胃無力症にはエリスロマイシンやモサプリドなどが用いられる.
■文献
Ziegler D: Current concepts in the management of diabetic polyneuropathy. Curr Diabetes Rev, 7: 208-220, 2011.[中里雅光]

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六訂版 家庭医学大全科

糖尿病
とうにょうびょう
Diabetes mellitus
(子どもの病気)

どんな病気か

 糖尿病とは、血糖値が高い状態(空腹時126㎎/㎗以上、食後200㎎/㎗以上)が持続する状態です。血糖値170㎎/㎗以上では尿糖が出るため、糖尿病と呼びます。

 糖尿病には主に1型と2型があります。1型はインスリンが欠乏した状態であり、2型はインスリンが効きにくくなった状態です。小学生では1型、中学生では2型が多いです。初期の2型は無症状なので、学校検尿で発見されることが多いです。2型は成人の糖尿病と同じなので、ここでは1型について述べます。

原因はなにか

 膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島のβ(ベータ)細胞が免疫異常等で障害され、インスリン産生がなくなり発症します。インスリンは、エネルギー源のブドウ糖を細胞内に取り込む作用があります。インスリンが欠乏すると、細胞内はブドウ糖不足(エネルギー不足)、細胞外(血管)ではブドウ糖過剰(高血糖)になります。障害されたβ細胞は回復しないので、1型糖尿病を治癒させることはできません。

症状の現れ方

 ある時から多飲多尿、体重減少が始まります。インスリンが欠乏すると、細胞内ではエネルギー不足なので、筋肉を分解しブドウ糖を産生し、脂肪を分解してケトン体を産生し、エネルギーを産生します。その結果、血糖がさらに上昇し、尿にブドウ糖が排泄され多尿となります。脱水状態になりますので、とてものどが渇きます。甘い飲み物を欲しがるのが特徴です。また、産生されたケトン体は、血液を酸性にし、ケトアシドーシスという状態を起こし、意識障害から死亡に至ります。

検査と診断

 多飲、多尿、高血糖(尿糖陽性)と尿ケトン体陽性で診断できます。放置すれば、血液が代謝性アシドーシスという酸性の状態になります。

治療の方法

 ただちにインスリン治療を開始します。進行した状態では、インスリンの静脈注射と輸液が必要です。食事がとれれば、インスリンの皮下注射から開始します。インスリン製剤は、寝る前(あるいは朝食前)にゆっくり効くタイプ(持効型、中間型)を注射し、各食事の前に早く効くタイプ(超速効型、速効型)を注射する方法が一般的です。小型のポンプでインスリンを持続的に注射する方法もあります。

 注射前に血糖測定も行います。インスリン注射と血糖測定は、生涯にわたり必要です。小学生からは子ども自身でやるようにします。1カ月の血糖値の平均の指標(HbA1C)が6.5%未満になるように血糖をコントロールします。そのためには、病院や学校、“糖尿病キャンプ”で必要な体験をしながら、技術を習熟し、やる気や自信を身につけなければなりません。

病気に気づいたらどうする

 多飲多尿、体重減少に気がついたら、ただちに小児科を受診し、尿糖、ケトン体の検査を受けてください。1型糖尿病になっても、インスリン治療をすれば、健康な子どもと変わらないことができます。そのためには、家族が前向きに考えて、子どもを支援することが最も重要です。

菊池 透

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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糖尿病
とうにょうびょう
Diabetes mellitus
(お年寄りの病気)

高齢者での特殊事情

 1997年度に、厚生省(当時)を中心に行われた糖尿病実態調査において、高齢者の糖尿病有病率は約15%、その数は262万人といわれ、全糖尿病患者690万人の4割近くを占めていました。その時点で、今後、少子高齢社会が進展するとともに、高齢者の糖尿病の比率はさらに増大するものと推定されていました。

 その推定が顕著に現実化したのが、2002年度の調査を経て最近報告された2007年度に厚生労働省が行った糖尿病実態調査の結果です。

 この調査では、糖尿病の指標となるグリコヘモグロビン値(HbA1C)が6.1%以上または現在糖尿病の治療を受けている人を「糖尿病が強く疑われる人」、HbA1Cが5.6%以上6.1%未満を「糖尿病の可能性を否定できない人」として、2群に分けています。その結果を97年の実態調査と比較したものが図14です。

 両群を併せると、97年度では1370万人であったのが、02年度では1620万人、そして07年度では2210万人に急増しています。また、男女ともその増加は60代と70代以上の高齢者における増加が主体であることが明らかとなりました。

 今回の調査のもうひとつの特徴として、高齢者における増加は、70代以上の男性では「糖尿病を強く疑われる人」がほぼ倍増しているのに対して、その他の年齢、性別区分における増加は、そのほとんどが糖尿病予備軍と考えられる「糖尿病の可能性が否定できない人」でした。

 高齢者における糖尿病予備軍の最近の増加には、加齢に伴い糖を代謝する耐糖能(たいとうのう)の低下が大きな要因になっています。その原因として、加齢によるさまざまな因子の変化が関与していますが、とくにインスリンの標的組織である骨格筋の減少に伴う体脂肪、なかでも内臓脂肪の相対的な増加がインスリン抵抗性を助長する結果となっています。

 高齢者の耐糖能低下は、IGTといわれる耐糖能異常や軽症糖尿病と類似しており、食前血糖は正常なのに食後血糖が上昇するのが特徴です。これは、加齢による膵臓のβ(ベータ)細胞の疲弊により、インスリンの初期分泌が遅延・低下することも一因と考えられますが、インスリン分泌能が遺伝的に低い日本人における近年のライフスタイルの欧米化が、β細胞の疲弊をより助長している結果とも考えられます。

治療とケアのポイント

●包括的老年医学的機能評価(CGA)の重要性

 高齢者の糖尿病をはじめとする慢性疾患の良好な管理のためには、病気の治療だけではなく、その後の自己管理が十分に行えるか否かを評価することが重要です。そのためには、高齢者に対して行われる包括的老年医学的機能評価(CGA)を糖尿病の患者さんにも適用する必要があります。

 このCGAは、患者さんの身体機能、認知機能、基本的日常生活動作(ADL)、日常生活能力、生活の質(QOL)、うつ傾向、社会的サポート、経済的サポートなどの項目を、それぞれの指標やアセスメントツール(評価項目)を用いて、専門の心理療法士によって評価するものです。

 このCGAによると、高齢の糖尿病患者さんが虚弱(日常生活のうえで他人の介護が必要な状態)になる原因として、健忘症や認知症(にんちしょう)などの認知機能の低下、網膜症(もうまくしょう)白内障(はくないしょう)による視力障害、うつやノイローゼなどの精神症状、脳血管障害の後遺症、透析(とうせき)を含む末期腎不全(まっきじんふぜん)などをあげています。このような虚弱な高齢の糖尿病患者さんを在宅で管理するためには、キーパーソンの存在が不可欠です。

 図15は、高齢の糖尿病患者さんのCGAの1例を示したものです。CGAを行うことにより各患者さんの問題点を抽出し、主治医を中心に精神科医、看護師、栄養士、理学療養士などの医療関係者と、キーパーソンとなる家族を含めたチームで、その解決策を作成し、適切に対処することが可能です。

 図15の例では、CGAで抽出された問題点を医療チームや家族で対処することで、糖尿病のコントロールのみならず、患者さんのうつ傾向が改善し、それに伴うQOLも大きく改善されています。さらに、加齢の進行とともにCGAを繰り返し、問題点の変化を的確に把握することが、今後の高齢の糖尿病のよりよい治療と管理のために必須のものと考えられます。

まとめとして

 21世紀は、超少子高齢社会の到来とともに、人口減少世紀ともいわれています。このような変化は社会の経済や文化に大きな影響を与え、社会環境にも変化が生じ、代表的な生活習慣病である糖尿病の発症や、その病態、あるいは治療や管理にも大きな影響を及ぼすものと思われます。

 糖尿病のような慢性疾患をもつ高齢者に対する医療は、今後、このような社会の趨勢に応じて機敏に、かつきめ細かに対処していかなければならないでしょう。

横野 浩一

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

糖尿病
とうにょうびょう
Diabetes mellitus
(遺伝的要因による疾患)

糖尿病の種類

 糖尿病には「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があり、以前は1型をインスリン依存性糖尿病あるいは小児糖尿病、2型をインスリン非依存性糖尿病あるいは成人型糖尿病と呼んでいました。そのほかにミトコンドリア遺伝子異常で起こる糖尿病や、まれですが単一遺伝子病で常染色体優性遺伝するMODY(Maturity Onset Diabetes of the Young)があります。1型と2型はいずれも複数の遺伝子と複数の環境要因がその発症に関与する多因子遺伝性疾患(たいんしいでんせいしっかん)です。

 日本を始め世界中で急増しているのは全体の95%を占める2型糖尿病です。医療機関を受診している糖尿病患者は2005年の推計で約247万人ですが、2002年の推計で検査値から糖尿病を強く疑われる人は740万人、糖尿病の可能性を否定できない人は880万人にのぼり、合計すると1600万人を超します。現在ではさらに増え、2000万人に及ぶともいわれています。

糖尿病と遺伝

 1型と2型はその原因がまったく異なりますが、双方とも家族で同じ病気にかかる人が多いことから、古くから遺伝が関与していることが明らかでした。1型はHLA遺伝子領域が強く発症に関係していることがわかっており、これを含めて15カ所以上の領域に、この病気のかかりやすさを決めている遺伝子があると考えられています。

 一方、2型に関与している遺伝子が明らかになってきたのは、ごく最近です。2007年にヒトゲノム全体の遺伝子多型を使った網羅的な解析ができるようになり、白人において10個前後の遺伝子が2型糖尿病に関与していることが明らかになりました。そのなかでも、PPARG、KCNJ11、TCF2L7遺伝子は複数の研究で一致し、報告されています。また、2008年には同じ手法で日本人を含む東アジアの人種において、KCNQ2遺伝子が関与していることが報告されました。

 しかし、これらの研究成果を実際の発症予防に役立てるには、まだ多くの研究が必要です。現時点で見つかった個々の遺伝子の、糖尿病発症における影響力が小さすぎるため、実際の発症予測に使えないからです。ただし、今後さらに研究が進み、生活習慣や他の検査データを組み合わせることができれば、予防に役立つと期待されています。

2型糖尿病と日本人の体質

 日本人において糖尿病が激増していることは先に述べたとおりで、この50年間に患者数は実に70倍以上となっています。糖尿病の4大原因は加齢、遺伝、肥満、運動不足といわれています。50年間で日本人の遺伝子が変化することはありえないため、糖尿病患者の激増原因は、肥満および運動不足を来す悪い生活習慣が増えたこと、高齢化が進行したことだと思われます。

 一方、欧米の白人に比べ、日本人は明らかに肥満の程度が軽いのですが、その割に糖尿病の頻度が高いことが知られています。2型はインスリン分泌低下とインスリン感受性低下の2つを原因とします。欧米では肥満による感受性低下が原因として強い影響があることが多いのですが、日本人では体質的に膵臓(すいぞう)からのインスリン分泌能力が低い傾向にあり、それほど太っていなくても発症しやすいのではないかと考えられています。

羽田 明

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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EBM 正しい治療がわかる本

糖尿病
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 糖尿病(とうにょうびょう)は、膵臓(すいぞう)のβ細胞から分泌(ぶんぴつ)されるインスリンというホルモンの分泌量が不足したり、その働きが低下することによって、慢性的に血液中のブドウ糖の量が多くなる(高血糖(こうけっとう))病気です。
 糖尿病はほとんど自覚症状がないのが大きな特徴です。血糖値がよほど高くならないと症状がでないため、気がついたときには重症になっていることも少なくありません。しかし、体調の変化に注意すると、倦怠感(けんたいかん)、口が渇(かわ)く、多量に水を飲みたくなる、尿量が増える、強い空腹感を覚える、食事量が増える、体重が増加あるいは減少するといった症状に気づくこともあります。ほとんどの患者さんは健康診断やほかの病気のために受けた検査で高血糖や尿糖(にょうとう)が発見され、糖尿病の診断がつけられます。
 気づかないで長期間放置したままだったり、気づいていても十分な血糖の管理をしないでいたりすると、血管が障害を受けてもろくなり、さまざまな合併症が引きおこされます。
 まず、全身の血管の動脈硬化が進みます。視力の低下や失明を招くこともある網膜症(もうまくしょう)、たんぱく尿やむくみが現れる腎症(じんしょう)、しびれや感覚が麻痺(まひ)してしまう神経症などが代表的な合併症です。さらには、心筋梗塞(しんきんこうそく)脳梗塞(のうこうそく)をおこす可能性も高くなります。また、抵抗力が衰えるため感染症にかかりやすくなるなど、ときには生命にかかわる事態を招く場合もあります。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 糖尿病の発病と深くかかわっているインスリンは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込む橋渡しの役割をしています。つまり、インスリンの働きが低くなると、血液中のブドウ糖が効率よく利用されず、いつまでも血液中に残ることになり、高血糖の状態が続きます。
 ほとんどの患者さんでは、遺伝的な素因に過食、肥満、運動不足、ストレスなどの環境要因が加わって発病すると考えられています。膵臓や肝臓、内分泌などの病気や感染症、薬剤の影響などによって糖尿病が発病することもあります。

●病気の特徴
 日本人のおよそ950万人(2012年、厚生労働省調べ)が糖尿病といわれるほど多くみられる病気です。糖尿病は2つのタイプ(1型と2型)に分けられます。
 1型糖尿病は、なんらかの原因によってインスリンの分泌がほとんど止まってしまうもので、子どもや若年者(多くは15歳以下)で発症することが多いタイプです。このタイプの患者さんはインスリン注射が絶対に必要となります。2型糖尿病は、インスリンの分泌が低下していたり、分泌はされていても細胞がうまくインスリンに反応できなかったりする状態で、中年以降(多くは40歳以上)に発症するのはほとんどこのタイプです。

●糖尿病の合併症について
 糖尿病性腎症:糖尿病をきちんと治療しないで15年以上経過すると、多くの患者さんでたんぱく尿がでるようになります。その後、徐々に腎臓の機能が低下し、慢性腎不全(じんふぜん)に至り人工透析(じんこうとうせき)が必要となります。現在、新たに人工透析を受ける患者さんのなかではこの病気がもっとも多い原因となっています。
 糖尿病性神経障害:高血糖が続くことによって、末梢神経(まっしょうしんけい)や自律神経(じりつしんけい)が傷つけられます。末梢神経障害では、手足の感覚が鈍くなり、けがをしても気がつかないこともあります。体の抵抗力が弱まり、小さな傷が化膿(かのう)して細胞が腐っていく壊疽(えそ)をおこしてしまうこともあります。重症の壊疽では、患部を切断する必要もでてきます。自律神経の異常により、排尿・排便に障害がおこったり、発汗異常、勃起不全などをおこしたりすることもあります。
 糖尿病性網膜症:高血糖状態が続くと、目の網膜の血管から出血し、網膜の細胞が正常に働かなくなります。したがって、視力が低下し、最終的に失明することもあります。

★糖尿病の診断基準
 高血糖の判定は、以下のようなときに糖尿病型とすることで下されます。
空腹時血糖値が126ミリグラム/デシリットル以上のとき
●随時血糖値(ずいじけっとうち)200ミリグラム/デシリットル以上のとき
●75グラム経口ブドウ糖負荷試験(75グラムOGTT)で、負荷後2時間の血糖値が200ミリグラム/デシリットル以上のとき
(以上のいずれか)
HbA1c(ヘモグロビンエイワンシー)が6.5パーセント以上のとき
 別の日に行った検査で2回以上糖尿病型と判定されれば、糖尿病と診断されます。また、1回の検査でも、血糖値とHbA1cが同時に糖尿病型を示した場合は、糖尿病の診断となります。ただし、HbA1cの反復検査のみで診断することはできません。糖尿病の典型的な症状(口渇感、多飲、多尿)があるか、あるいは確実な糖尿病性網膜症がある場合、血糖値が糖尿病型であることが1回でも確認されれば、糖尿病と診断されます。
 空腹時の血糖値が110ミリグラム/デシリットル未満かつ75グラムOGTT2時間の血糖値が140ミリグラム/デシリットル未満の場合は正常型となり、上記のいずれでもない場合は境界型と判定します。
<75グラム経口ブドウ糖負荷試験(75グラムOGTT)の手順>
1. 前夜9時以後絶食として、朝まで空腹のまま来院
2. 空腹のまま採血し、血糖値を測定する
3. ブドウ糖75グラムを溶かした水を飲む(糖負荷)
4. ブドウ糖負荷後、30分、1時間、2時間後に採血し血糖を測定する
5. 糖尿病型、正常型、境界型のいずれかに判定する



よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]病気の管理が重要なので、糖尿病についての教育を行う
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 糖尿病は基本的に慢性に経過していく病気で、患者さん自身による病気の管理がその後の経過を大きく左右することが臨床研究によって示されています。食事や運動の管理、自己血糖測定や適切な薬物治療を厳格に実行すること、環境の変化や感染症にかかったときの対応などを患者さんやその家族が主体的に行えるように医師・看護師・栄養士・薬剤師・心理療法士などがチームで教育を行います。患者さんが十分な知識をもつことで血糖コントロールが改善するという臨床研究もあります。(1)(2)

[治療とケア]食事療法と運動療法を基本として行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] エネルギー制限や塩分制限を中心とした食事療法は、体重の減量や血圧の低下、インスリンの分泌量や反応する力を改善し、血糖コントロールを改善するという非常に信頼性の高い臨床研究があります。そこで、食事療法はすべての糖尿病の患者さんに行うことになります。まず、総摂取エネルギーを、標準体重を目安に体重1キログラムあたり30キロカロリーを基準として決定します。この基準は生活活動強度(仕事量、性別、年齢など)により増減します。次に、三大栄養素の摂取割合のバランスは、炭水化物を50~60パーセントの範囲とし、たんぱく質を標準体重1キログラムあたり1~1.2グラム、残りを脂質とします。このような適切な食事療法により、血糖値が改善することが、非常に信頼性の高い臨床研究で示されています。
 運動療法は適正な範囲で血糖値を保ち、また、糖尿病にしばしば合併する動脈硬化による病気の発生を予防するのにも有用であるという、非常に信頼性の高い臨床研究があります。したがって、一般的な運動が安全にできる状態の患者さんは運動を行うことになりますが、中年以降の患者さんで、糖尿病にかかっている期間が長い場合は、運動療法を開始する前に、運動による深刻な心臓の病気がおこる危険性を評価するためのチェックを受けるよう推奨されています。(3)~(5)

[治療とケア]1型糖尿病では、インスリン自己注射を行うとともに、自己血糖測定によるいっそう厳格な血糖管理を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 1型糖尿病ではインスリンの分泌がほとんど止まってしまうため、インスリン頻回注射法(3~4回/日)または持続皮下インスリン注入療法(CSII)による治療が必要となります。インスリンを1日1~2回注射する方法に比べて、自己血糖測定を行いながら1日3~4回注射する方法でより良好に適正な範囲で血糖値が保たれ、糖尿病性細小血管症(網膜、腎、神経障害)が悪化する危険性がより小さくなることを示す非常に信頼性の高い臨床研究もあります。(6)(7) また、大血管症(虚血性心疾患、脳血管疾患)の悪化の抑制にも有効です。(8)(9)

[治療とケア]2型糖尿病では、経口血糖降下薬を用いる
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 食事療法や運動療法を行っても、なお十分に適正な範囲に血糖値を保つことができない場合に、2型糖尿病では経口血糖降下薬を使用すべきであるという非常に信頼性の高い臨床研究があります。経口血糖降下薬は、その作用によって、大きく①ブドウ糖の吸収を抑制または排泄(はいせつ)を促進する薬剤、②インスリンの抵抗性を改善する薬剤、③インスリンの分泌を促進する薬剤に分けられます。いずれのタイプでも血糖コントロールを改善する効果が非常に信頼性の高い臨床研究で確認されています。作用の異なる薬剤の併用についても同様の臨床研究で推奨されています。
 また、新たな系統の経口薬として、2009年からDPP-4阻害薬の各製剤が順次承認され、2014年からはSGLT2阻害薬が承認されました。DPP-4阻害薬は、血糖値に依存して食後のインスリン分泌を促進する作用をもち、単独では低血糖をきたすリスクが非常に小さいという特徴があり、2型糖尿病における第一選択薬のひとつになりつつあります。SGLT2阻害薬は、尿中のブドウ糖をそのまま尿と共に体外に排泄させて血糖値を下げる作用があります。低血糖や尿路感染などの副作用も認められており、用いる際には注意が必要です。 (10)~(24)

[治療とケア]2型糖尿病においてもインスリン療法を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 2型糖尿病で食事療法・運動療法・適切な経口血糖降下薬の内服治療を行っても良好に適正な血糖値を保つことができない場合や、高血糖そのものの影響でインスリン分泌能が低下していたりインスリン抵抗性が悪化している場合(糖毒性の状態)、インスリン自己注射を行うことでその後の経過を改善できることを示す非常に信頼性の高い臨床研究があります。こうした患者さんは、膵臓のインスリン分泌が低下しているか、全身のインスリン抵抗性が高まっているために相対的にインスリンが不足している状態にあると判断されます。経口血糖降下薬からインスリン療法に完全に切り替える場合も、併用する場合も有効とされています。非常に信頼性の高い臨床研究によると、インスリン療法単独では、1日の血糖値の動きや日常生活スタイルに応じて作用時間の異なるタイプのインスリン自己注射をいつ行うのかを決定すべきこと、また、経口血糖降下薬と併用すれば、より少ない量のインスリンで血糖値がコントロールできるとされています。(25)~(36)

[治療とケア]2型糖尿病においてGLP-1受容体作動薬が使われることがある
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] GLP-1受容体作動薬は、注射製剤であり、血糖値に依存して食後のインスリン分泌を促進する作用をもっています。単独投与か、あるいはそのほかの経口血糖降下薬と併用して使われます。(37)


よく使われている薬をEBMでチェック

経口血糖降下薬
[薬用途]インスリン分泌促進薬
[薬名]アマリール(グリメピリド)(16)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]スターシス(ナテグリニド)(17)
[評価]☆☆☆☆☆

[薬用途]グルコース吸収遅延薬
[薬名]グルコバイ(アカルボース)(10)~(12)(15)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]ベイスン(ボグリボース)(18)
[評価]☆☆☆☆☆

[薬用途]インスリン抵抗性改善薬
[薬名]アクトス(ピオグリタゾン塩酸塩)(13)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]メトグルコ(メトホルミン塩酸塩)(14)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 食事療法や運動療法を行っても、なお十分に適正な範囲に血糖値を保つことができない場合に、2型糖尿病では経口血糖降下薬を使用すべきであるという非常に信頼性の高い臨床研究があります。

[薬用途]DPP-4阻害薬
[薬名]ジャヌビア(シタグリプチンリン酸塩水和物)(19)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]ネシーナ(アログリプチン安息香酸塩)(20)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]エクア(ビルダグリプチン)(21)(22)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 新たな系統の経口薬として、2009年からDPP-4阻害薬の各製剤が順次承認されました。DPP-4阻害薬は、血糖値に依存して食後のインスリン分泌を促進する作用をもち、単独では低血糖をきたすリスクが非常に小さいという特徴があります。

[薬用途]SGLT2阻害薬
[薬名]フォシーガ(ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)(23)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]カナグル(カナグリフロジン水和物)(24)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] SGLT2阻害薬には、尿中のブドウ糖をそのまま尿と共に体外に排泄させて血糖値を下げる作用があります。

インスリン
[薬名]超速効型インスリン(25)~(27)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]速効型インスリン(25)~(27)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]準速効型インスリン(25)~(27)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]中間型インスリン(25)~(27)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]遅効型インスリン(25)~(27)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]持効型インスリン(28)~(32)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]2相性製剤インスリン(25)~(27)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 2型糖尿病で食事療法・運動療法・適切な経口血糖降下薬内服治療を行っても良好に適正な範囲で血糖値を保つことができない場合には、インスリン自己注射を行うことで、その後の経過を改善できることを示す非常に信頼性の高い臨床研究があります。

GLP-1受容体作動薬
[薬名]ビクトーザ(リラグルチド)(37)
[評価]☆☆☆☆☆
[薬名]バイエッタ(エキセナチド)(37)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] GLP-1受容体作動薬は、注射製剤であり、血糖値に依存して食後のインスリン分泌を促進する作用をもっています。単独投与か、あるいはそのほかの経口血糖降下薬と併用して使われます。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
血糖値を健康なレベルに保てば、寿命をまっとうできる
 糖尿病については、患者さんの数が多く、さまざまな合併症を引きおこすことから、世界中で多くの臨床研究が精力的に行われてきました。その結果、食事療法や運動療法、種々の薬物療法をうまく使いこなして、血糖値をほぼ健康(けんこう)な人々と同じレベルにコントロールできさえすれば、ほとんどの合併症をおこすことなく、平均的な余命をまっとうできることがわかっています。
 したがって、食前食後の血糖値が正常範囲に入るよう、適切なエネルギー制限や塩分制限と規則的な運動(最低、1日30分程度の早足歩行など)、経口血糖降下薬やインスリン自己注射などの治療方法を、その人自身のライフスタイルに合わせて組み合わせる必要があります。

適切な食事療法が基本となる
 まず、総摂取エネルギーを、標準体重を目安に体重1キログラムあたり30キロカロリーを基準として決定します。この基準は生活活動強度(仕事量、性別、年齢など)により増減します。次に、三大栄養素の摂取割合について、炭水化物を50~60パーセントの範囲とし、たんぱく質を標準体重1キログラムあたり1~1.2グラム、残りを脂質とします。多くの病院では、医師や看護師、栄養士らによる食事指導や糖尿病教室などが行われ、患者さんが毎日の習慣として取り入れられるように、指導をしています。

運動は動脈硬化を予防する
 良好な範囲で血糖値を保ち、合併症を予防するには適度な運動が有効です。一般的な運動が安全にできる状態の人には、その人に合った運動量の目安を定め、運動を行ってもらいます。ただし、中年以降の人で、糖尿病にかかっている期間が長い場合は、自覚症状がなくても冠動脈(かんどうみゃく)の狭窄(きょうさく)がすでにおこっている可能性もありますので、事前にチェックを行ってから、運動療法をするかしないかを決定します。

積極的に治療に取り組もう
 糖尿病治療で重要なポイントである食事と運動にかかわる行動変容(こうどうへんよう)は、薬を飲むように簡単にできることではなく、考え方や生き方自体を変えなくてはならない場合も少なくありません。糖尿病に関する治療は、その有効性が非常に信頼性の高い研究で確認されているものが多いので、十分説明を聞き、心の底から納得して、ライフスタイルを変えることを楽しみながら、自発的に治療に取り組むことがなによりも重要です。

(1)The effect of intensive treatment of diabetes on the development and progression of long-term complications in insulin-dependent diabetes mellitus. The Diabetes Control and Complications Trial Research Group. N Engl J Med. 1993;329:977-986.
(2)Minet L, Moller S, Vach W, Wagner L, et al. Mediating the effect of self-care management intervention in type 2 diabetes: a meta-analysis of 47 randomised controlled trials. Patient Educ Conns. 2010;80:29-41.
(3)日本糖尿病学会.「食品交換表」を用いる糖尿病食事指導療法指導の手引. 文光堂. 1998.
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(6)The effect of intensive treatment of diabetes on the development and progression of long-term complications in insulin-dependent diabetes mellitus. The Diabetes Control and Complications Trial Research Group. N Engl J Med. 1993 ; 329 : 977-986.
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出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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