●紀海音【きの かいおん】
美術人名辞典
紀海音
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デジタル大辞泉
き‐の‐かいおん【紀海音】
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus
紀海音 きの-かいおん
寛文3年生まれ。父は俳人榎並(えなみ)貞因,兄は狂歌師永田貞柳。少年期に出家し,のち還俗(げんぞく)。宝永4年大坂豊竹座の座付作者となる。理知的な作風で竹本座の近松門左衛門に対抗した。晩年はもっぱら俳諧や狂歌にいそしんだ。寛保(かんぽう)2年10月4日死去。80歳。本姓は榎並。別号に貞峨。作品に「椀久末松山(わんきゅうすえのまつやま)」「八百屋お七」など。
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世界大百科事典 第2版
きのかいおん【紀海音】
生年の1663年は《貞柳伝》説による。《海音貞峨居士伝》説では1665年(寛文5)生れ。江戸時代中期の浄瑠璃作者,俳諧師。本名は榎並喜右衛門,のち善八。号は紀海音,大黒屋海音,鯛屋海音,貞峨,契因,昌因,白鷗堂,鳥路観。法名は清潮院海音日法。大坂御堂前雛屋町西南角の菓子商鯛屋善右衛門の次男に生まれる。父は貞門の俳人貞因,兄(異母兄弟説がある)は狂歌師油煙斎貞柳,叔父(貞因の弟)は俳人・狂歌師貞富という文学環境に育つ。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
紀海音
きのかいおん
[没]寛保2(1742).10.4.
江戸時代前期の浄瑠璃作者,俳人,狂歌作者。本名榎並 (えなみ) 喜右衛門,のち善八。別号貞峨,契因など。大坂の菓子屋鯛屋善右衛門の次男。父は貞門の俳人貞因,兄は狂歌師油煙斎貞柳。黄檗 (おうばく) 宗の僧となったが 40歳頃還俗,豊竹座の座付作者となり,竹本座の近松門左衛門と相対し,享保8 (1723) 年までに世話物 10編,時代物約 40編を書いた。世話物『椀久末松山 (わんきゅうすえのまつやま) 』 (10) ,『おそめ久松袂の白絞 (しらしぼり) 』 (10) ,『傾城 (けいせい) 三度笠』 (13) ,『八百屋お七』『心中二つ腹帯』 (22) ,時代物『傾城無間鐘 (むけんのかね) 』 (23) など,人情の機微を抒情的に描いた近松とは対照的に,海音は理知的・理論的に処理する作風をもつ。同9年引退して鯛屋を相続,晩年は俳諧,狂歌に専念した。俳諧集『橋波志羅』,狂歌集『戎 (えびす) の鯛』がある。
出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)
紀海音
きのかいおん
(1663―1742)
浄瑠璃(じょうるり)作者、俳諧師(はいかいし)。大坂の老舗(しにせ)の菓子屋鯛屋(たいや)の次男に生まれる。通称喜右衛門。父は貞因(ていいん)と号し貞門の俳人、兄は狂歌師油煙斎貞柳として、ともに名を知られた。若いころ出家したが、父の死後還俗(げんぞく)して医者となり、また俳諧師として活躍。やがて豊竹(とよたけ)座から迎えられて紀海音の名で浄瑠璃を書き、竹本座の近松門左衛門と対抗、操(あやつり)界を二分する働きをみせた。その最初の作は1708年(宝永5)の世話物『椀久末松山(わんきゅうすえのまつやま)』で、その後の20年間に、時代物に『鎌倉三代記』『鬼鹿毛無佐志鐙(おにかげむさしあぶみ)』『傾城無間鐘(けいせいむけんのかね)』、世話物に『傾城三度笠(さんどがさ)』『心中二つ腹帯』『お染久松袂(たもと)の白(しら)しぼり』『八百屋お七』など50編余りを書いた。海音の作は、近松のそれが人間愛を重んじ、文学的にも優れているのに比べ、義理をもっぱらとする理知的な作風で、情味に乏しいという嫌いがあった。しかし戯曲構成の技巧に優れ、後世の並木宗輔(そうすけ)、近松半二(はんじ)らに近松以上に大きい影響を与えた。
[山本二郎]
『『日本古典文学大系51 浄瑠璃集 上』(1960・岩波書店)』▽『『日本古典文学全集45 浄瑠璃集』(1971・小学館)』▽『海音研究会編『紀海音全集』全8巻(1977~80・清文堂出版)』
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367日誕生日大事典
紀海音 (きのかいおん)
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精選版 日本国語大辞典
き‐の‐かいおん【紀海音】
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旺文社日本史事典 三訂版
紀海音
きのかいおん
出典:旺文社日本史事典 三訂版
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