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維摩経【ゆいまぎょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

維摩経
ゆいまぎょう
Vimalakīrti-nirdeśa-sūtra
大乗仏教経典の一つ。サンスクリット原典は現存せず,チベット語訳と漢訳3本がある。鳩摩羅什訳『維摩詰所説経』 (3巻) が最も広く用いられる。主人公維摩が病気にことよせて仏弟子たちを病床に集め,部派仏教の立場を排して空思想に基づき大乗の理想を説教する。在家主義を宣揚するところに著しい特色が認められる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ゆいま‐ぎょう〔‐ギヤウ〕【維摩経】
大乗経典。梵本散逸、チベット訳が現存。漢訳では鳩摩羅什(くまらじゅう)訳「維摩詰所説経」3巻のほか、支謙訳「維摩詰経」2巻、玄奘(げんじょう)訳「説無垢称経」6巻が現存。在家信者の維摩文殊菩薩との問答を通して、の思想とその実践を説き、在家信者の徳目を明らかにするもの。

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世界大百科事典 第2版

ゆいまきょう【維摩経】
大乗仏教経典の一つ。原題ビマラキールティ・ニルデーシャ・スートラVimalakīrti‐nirdeśa‐sūtra。サンスクリット原典は失われ,チベット語訳と3種の漢訳(支謙訳,クマーラジーバ訳,玄奘訳)が現存する。一般に用いられるのはクマーラジーバ(鳩摩羅什)訳《維摩詰所説経(ゆいまきつしよせつきよう)》である。中インド,バイシャーリーの長者ビマラキールティ(維摩詰,維摩)の病気を菩薩や仏弟子たちが見舞うが,みな維摩にやりこめられる。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

維摩経
ゆいまぎょう

仏典。『般若経(はんにゃきょう)』の空(くう)の思想を受け継ぎ、それを在家(ざいけ)主義の立場にたって展開させた大乗経典の一つ。成立は早く、初期大乗経典の部類に属している。2世紀ごろにつくられたのであろう。主人公の在家の居士(こじ)、維摩(維摩詰(きつ))が、出家者である釈尊の高足の弟子たちの思想や実践修行を徹底的に論難して、そのあと真実の真理を教示し、彼らを導く、という構成をもって説かれている。この経のなかの「絶対平等の境地」(入不二法門(にゅうふにほうもん))を説いた第9章は、後世とりわけ注目され、有名である。絶対平等の境地は、ことばもなく、説くことも示すことも認知することもできない境地のことである、と自らの見解を述べたうえで、維摩の考えを問うた文殊菩薩(もんじゅぼさつ)に対して、維摩は黙然として語らなかった、という。ことばによって真理を説くことは、たとえそれがどのように巧妙なものであっても、つねに一つの説明でしかないわけであり、あらゆる対立を超えた絶対平等の境地を偏向なく示しえない。維摩の沈黙はこうしたことをみごとに語っているのであり、それだけに注目されるところとなったのであろう。『維摩経』は空を説いて、とらわれを捨てることを教える経であるが、その本旨は、とらわれを捨てるというそのことが身をもってなされねばならないことを強く訴えようとするところにある。維摩の沈黙もこの点を象徴的に表現したものである。なお、サンスクリット原本は現存せず、3種の漢訳と1種のチベット訳が残っている。

[新田雅章]

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精選版 日本国語大辞典

ゆいま‐きょう ‥キャウ【維摩経】
(「ゆいまぎょう」とも。正しくは「維摩詰所説経」) 大乗仏教の初期の経典。三巻。鳩摩羅什(くまらじゅう)訳。他に二訳がある。在家の居士ビマラキールティ(維摩、また維摩詰)を主人公とする。病床にある維摩と見舞に訪れた文殊菩薩との対話を軸として、空(くう)の真義とその立場に立つ菩薩の実践が明らかにされる。維摩。

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