●維管束植物【いかんそくしょくぶつ】
世界大百科事典 第2版
いかんそくしょくぶつ【維管束植物 vascular plant】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
維管束植物
いかんそくしょくぶつ
維管束をもった植物群のことで、管束植物ともいう。緑色植物のなかで、シダ植物には花とよばれるはっきりした器官がなく、種子を生じないので、普通は種子植物とは区別されるが、ともに陸上生活に適した体制として、よく発達した維管束をもつので、これを一つにまとめて扱おうとする分類群である。スイスの植物学者ド・カンドルA. P. de Candolle(1778―1841)が『植物学基本』(1813)で初めて提唱し、植物界を二つに大別した。その方法は、シダ植物と種子植物を維管束植物Vascularesとし、コケ植物、菌類、藻類、地衣類を細胞植物Cellularesにまとめるものであった。しかしコケ植物にも茎と葉があり、茎の中心部には維管束に相当する細長い細胞群(道束)がみられ、一応陸上生活に適した体制をもつと考えられるが、シダ植物以上の高等植物に比較して、まだその分化の程度は低く、維管束植物とはいえない。維管束植物では、有性世代と無性世代の交代する生活環がみられ、とくに無性世代はよく発達して、葉と茎がはっきり分化した地上部をもっている。胞子は葉に生じるが、種子植物では胞子葉としての特別な働きをもつようになり、小胞子葉として雄ずい、大胞子葉として雌ずいが分化し、これが集まって花をつくる。配偶体を生じる有性世代は極端に小さく、無性世代に寄生する。一方の細胞植物は異なった分類群を含むので、扱いに問題はあるが、維管束植物は系統分類上のまとまりがあり、シダ植物、裸子植物、被子植物を一括して扱うときには便利なので、よく用いられる。
[杉山明子]
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精選版 日本国語大辞典
いかんそく‐しょくぶつ ヰクヮンソク‥【維管束植物】
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デジタル大辞泉
いかんそく‐しょくぶつ〔ヰクワンソク‐〕【維管束植物】
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