●織田作之助【おださくのすけ】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
織田作之助
おださくのすけ
[没]1947.1.10. 東京
小説家。第三高等学校に5年在学して退学 (1936) 。『雨』 (38) で武田麟太郎に認められ,結婚 (39) 後,『夫婦善哉 (めおとぜんざい) 』 (40) で作家としての地位を確立,『勧善懲悪』 (42) ほかの力作を続々発表したが,長編『青春の逆説』 (41) が反軍国主義作品として発禁処分を受けた。 1946年,『六白金星』『アド・バルーン』『世相』『競馬』など敗戦直後の混乱の世相を描いた短編を発表,また私小説の伝統に決別宣言をした評論『可能性の文学』を執筆,その実験的作品と目された長編『土曜夫人』を8月より『読売新聞』に連載したが,年末に喀血し,翌年死去した。一切の思想や体系への不信,旧伝統への反逆を目指し,固有の感覚や直観に裏づけられたスタンダール風のテンポの早い作風であった。
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デジタル大辞泉
おだ‐さくのすけ【織田作之助】
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus
織田作之助 おだ-さくのすけ
大正2年10月26日生まれ。昭和15年同人雑誌「海風」に発表した「夫婦善哉(めおとぜんざい)」でデビュー。戦後,大阪をえがいた「世相」「競馬」などで坂口安吾,太宰治とならぶ無頼(ぶらい)派の人気作家となる。「読売新聞」に「土曜夫人」を連載中に喀血(かっけつ)し,昭和22年1月10日急死。35歳。大阪出身。第三高等学校中退。
【格言など】天才は昔から無一文(夫人にあてた遺書の一部)
出典:講談社
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世界大百科事典 第2版
おださくのすけ【織田作之助】
小説家。大阪生れ。家業は仕出屋であった。高津中から三高に学ぶ。同級に詩誌《椎(しい)の木》同人の白崎礼三がいて,文学的感化を受け,1年上級の青山光二などと同人雑誌《海風》を創刊,《雨》を発表し,同郷の先輩作家武田麟太郎に注目される。1940年,《夫婦善哉(めおとぜんざい)》が改造社の第1回文芸推薦作品となり,以後,新進作家として続々作品を発表。スタンダールの《赤と黒》に影響され,《二十歳》《青春の逆説》(1941)の長編2部作を書いたが,後者は発禁になる。
出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)
織田作之助
おださくのすけ
(1913―1947)
小説家。大正2年10月26日、大阪市中央区生玉前町に生まれる。父鶴吉、母たかゑの長男。事情あって母の兄鈴木安太郎の戸籍に登載。のち両親の婚姻届け出、父の認知届け出とともに織田姓に改められた。家業は鮮魚商。1931年(昭和6)高津中学を卒業し旧制第三高等学校に入学。33年、処女戯曲『落ちる』を発表。35年、同人誌『海風』を創刊。36年、三高を退学。38年、処女小説『ひとりすまう』を発表。『雨』(1938)が武田麟太郎(りんたろう)に注目された。39年、宮田一枝と結婚。40年『俗臭』(1939)が芥川(あくたがわ)賞候補となり、『夫婦善哉(めおとぜんざい)』(1940)が改造社第1回文芸推薦作品受賞作となって、新進作家としての地位を獲得。41年『青春の逆説』を刊行したが発禁となる。『動物集』(1941)は正宗白鳥(まさむねはくちょう)から賞賛された。42年から一連の歴史小説や清楚(せいそ)な名作『木の都』(1944)などが発表された。44年、一枝を失う。
第二次世界大戦後、1946年(昭和21)『六白金星』『アド・バルーン』『世相』『競馬』と問題作を集中的に発表、流行作家の名をほしいままにし、さらに長編『夜光虫』『土曜夫人』を発表。伝統文学を超克する評論『可能性の文学』を発表と同時に喀血(かっけつ)し、翌47年(昭和22)1月10日死去。大阪楞厳(りょうごん)寺に眠る。
[伴 悦]
『『織田作之助全集』全8巻(1970・講談社)』▽『青山光二著『青春の賭け――小説織田作之助』(中公文庫)』▽『大谷晃一著『生き愛し書いた――織田作之助伝』(1973・講談社)』
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精選版 日本国語大辞典
おだ‐さくのすけ【織田作之助】
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