●翅【はね】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
翅
はね
wing
昆虫類にそなわる飛翔器官。鳥類のものに対しては羽の字,あるいは翼 (つばさ) の語をあてる。普通は中・後胸に各1対あり,中胸のものを前翅,後胸のものを後翅という。翅の基部下面は背板に下面は側板に連結し,翼筋の収縮運動により振動し飛翔する。翅の振動数は昆虫の種によって異なり,前翅と後翅の振動数も異なるものが多い。カなどでは毎秒 1000回以上の振動数になることが,羽音の高さからわかる。翅には大小の管状の翅脈が走り,その配列の様相は昆虫のグループによってさまざまで,分類の基準となる。多くの昆虫では翅の表面は鱗片や毛でおおわれ,これらが種に特有の斑紋や色彩を形成する。また甲虫類 (鞘翅目) では上翅が革質化して鞘翅となり,ハエ類 (双翅目) では後翅が,ネジレバネ (撚翅) 目では前翅が退化して平均棍に変化している。
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世界大百科事典 第2版
はね【翅 wing】
多くの昆虫の成虫には翅が4枚(中・後胸部に各1対)ある。体壁の背側部が左右に伸長してできたものであるが,一般に薄い膜質で,その中には筋肉がなく,気管から変化した脈が走っている。古生代に生息した原始昆虫のなかには前胸も伸長しているものがあるが,翅は広げたままで,滑空できる程度であった。その後,しだいに前翅(ぜんし)・後翅に分化が起こり,たたみこめるようになり,飛翔(ひしよう)能力を獲得することによって生活圏や分布を広げ,昆虫類の現在の繁栄をもたらした。
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