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老人性難聴【ロウジンセイナンチョウ】

デジタル大辞泉

ろうじんせい‐なんちょう〔ラウジンセイナンチヤウ〕【老人性難聴】
加齢によって感覚細胞が変性することで起こる難聴。気づかないうちに両耳聴力が少しずつ低下していくことが多い。音としては聞こえるが話している内容が聞き取れない、周囲がうるさいと聞き取れないといった症状がみられる。補聴器によって聴力を補えることが多く、公的な費用補助などの制度もある。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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家庭医学館

ろうじんせいなんちょう【老人性難聴】
 加齢にともなって進行する難聴(「難聴」)です。低音はほぼ正常に聞こえるのですが、高音ほど聞きとりにくく、電話のベルや、ドアのチャイムが聞こえにくくなります。
 また、声が小さいと、話し声は聞こえるのですが、ことばの聞き分けがむずかしくなります。
 老人性難聴は、音が聞きにくくなるだけではありません。大きい音は若いときに比べ、よりうるさく感じるようになります。さらに、もっとも聞きやすい大きさで話を聞いても、ことばがわからなかったり、聞きまちがえたりします。
 難聴は年齢とともに進行しますが、同じ年齢でも、人によって難聴の程度は大きくちがいます。65歳で難聴になって困る人もあれば、85歳でもふつうに聞こえる人もいます。
 老人性難聴の原因の1つは、内耳(ないじ)の音を感じる細胞の数が減ることで、それは大きい音を長時間聞くことと関係があります。
 他の原因は、脳の音を伝える神経の数が減ることで、脳の動脈硬化(どうみゃくこうか)や体質が関係します。
 診断は、鼓膜(こまく)の診察と純音聴力検査(じゅんおんちょうりょくけんさ)で行ないます。
 聴力をよくする治療法はありません。したがって、難聴によるコミュニケーション障害への対策は、補聴器(ほちょうき)をつけることと、周囲の人が協力して、よくわかるように話すことです。

出典:小学館
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ろうじんせいなんちょう【老人性難聴】
[どんな病気か]
 人間の聴器(ちょうき)の老化は、20~30歳代から始まるといわれ、この加齢によっておこる聴力の低下を老人性難聴といいます。老化は、内感覚器から脳の聴覚中枢(ちょうかくちゅうすう)までの神経細胞の減少や変性として出現しますが、その程度は人によってさまざまで、大きな個人差があります。
[症状]
 難聴は、高音部から始まり、徐々に中低音部も聞こえにくくなりますが、初期には、とくに自覚症状はなく、中音域の聞こえが悪くなり、日常会話に支障が出るようになって初めて難聴に気づきます。
 実際には、音は聞こえているのに何をいっているのかわからないとか、聞きまちがいや聞き返しが多いなどのことばの聞き取り障害として現われます。また、耳鳴(みみな)りで気づくこともあります。
[検査と診断]
 聴力(ちょうりょく)検査で、高音域が聞こえにくくなることから始まる感音難聴を示し、進行すると中低音域の聴力も低下します。
 難聴は、内耳性と中枢性の両方の性質をもっていて、聴力に比べて、ことばを聞き取る能力(語音弁別能(ごおんべんべつのう))が悪いのが特徴です。
[治療]
 決め手となる治療法はなく、補聴器(ほちょうき)の装用が勧められますが、本人に難聴の自覚があまりなく、使用されないことも多いようです。
 動脈硬化(どうみゃくこうか)、腎臓病(じんぞうびょう)、糖尿病といった慢性の病気は、老人性難聴を進行させる可能性があります。
 老化を防ぐために、日常の健康管理と精神安定に気をつけることはいうまでもありませんが、耳に悪影響を与える騒音や薬剤の使用は、できるだけ避けるようにしましょう。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

ろうじんせいなんちょう【老人性難聴】

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

老人性難聴
ろうじんせいなんちょう
presbycusis

人の聴力は20歳くらいがもっとも鋭敏であり、その後はしだいに低下してくる。このような加齢によってだれにもおこってくる聴力低下を広義の老人性難聴あるいは生理的老人性難聴という。この難聴は高周波数の音から進行し、しだいに低周波数の音にも及んでくる。ある程度の個人差はあるが、進行の程度は普通だいたい同じくらいである。

 耳の聞こえが悪くなってきたと自覚するのは50歳くらいで、それまでは聴力の低下を気づくことなく過ごしている。これを無自覚性の難聴といい、このような難聴は両耳ほとんど同じくらいであるが、男性は女性よりも一般に難聴の程度が高い。こうした年齢相当な生理的な老化の程度を超えて難聴の程度が悪化しており、老化以外に原因がない難聴の場合を狭義の、あるいは病的な老人性難聴という。個人差が強く、遺伝的素因も関与しているようである。さらに、生活環境による社会音(騒音)のほか、動脈硬化、血栓による循環障害などが原因となる因子とも考えられている。聴器の老人性変性として著明なものは、内耳の蝸牛(かぎゅう)の感覚上皮の萎縮(いしゅく)、有毛細胞の数の減少、ラセン神経節細胞の萎縮と数の減少、聴覚中枢神経系の神経変性などである。難聴は感音難聴で、耳鳴りを伴い、語音の弁別が悪く、会話も理解しづらく、難聴は進行性である。有効な治療法はなく、補聴器を使用するが、補聴器を有効に使用するためには、ある程度の聴覚訓練が必要である。

[河村正三]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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六訂版 家庭医学大全科

老人性難聴
ろうじんせいなんちょう
Presbyacusis
(耳の病気)

どんな病気か

 高齢者にみられる聴力の生理的な年齢変化のことを指します。生理的変化はさまざまな個人的な身体的条件(たとえば生活習慣病)に影響されている可能性があります。そのため、実際の難聴の程度には個人差が大きくみられます。

原因は何か

 加齢に伴い、内耳蝸牛(かぎゅう)の感覚細胞が障害を受けたり、内耳から脳へと音を伝える神経経路や中枢神経系に障害が現れたり、内耳蝸牛の血管の障害が起こったり、内耳内での音の伝達が悪くなったりします。これらの原因がひとつまたは複数組み合わされて難聴が発生すると考えられています。

症状の現れ方

 聴力の低下は高音域から発生し、徐々に会話音域、低音域へと広がっていきます。さらに、両側性で左右にあまり差がないのが特徴です。したがって早期には難聴の自覚がなく、耳鳴りだけを感じる場合があります。

 なお、難聴が発生した場合、ただ単に音が聞こえなくなっただけでなく、音は聞こえるが何をいっているかがわからないという状態がしばしばみられます。これは言葉の聞き取り能力の低下といい、老人性難聴の特徴です。一般的に、この聞き取り能力の低下は50~60代にかけて顕著になってくるといわれています。

検査と診断

 純音聴力検査で、125㎐(ヘルツ)から8000㎐まで7種類の周波数で聴力を検査します。老人性難聴では、高音域(4000、8000㎐)での聴力低下が顕著です。なお、難聴の程度は、会話音域(500、1000、2000㎐)の聴力低下に応じて、正常、軽度難聴、中等度難聴、高度難聴、(ろう)の5段階に評価されます。

 言葉の聞き取り能力の低下は、語音明瞭度検査で測定します。この検査では、「タ」、「モ」、「ア」などの無意味な単語(単音節語音)を聞かせ、それを書き取らせます。誤った数から正答率(%)を求めることで評価します。

治療の方法

 聴力の生理的変化と考えられ、一般には治療対象にはなりません。難聴が進行したら、補聴器の装用を考慮する必要があります。純音聴力検査、語音明瞭度検査を行い、生活環境を考慮して補聴器を必要とするかどうかが判断されます。

 補聴器は箱形、耳掛け形、挿入形に分けられますが、使用時にピーピーという音が発生する(ハウリング)ことがなく、自分で簡単に操作できるものがすすめられます。ハウリング予防のために、個人の耳の形に合わせた耳栓をつくる(イヤーモールド)のが有効です。

病気に気づいたらどうする

 老人性難聴では、補聴器が必要か否かを判断する必要があります。耳鼻咽喉科での検査結果から、どのような補聴器がよいのか、補聴器の利点と限界についてよく相談してください。なお、難聴の程度に応じて身体障害者福祉法による補償(たとえば補聴器の購入費補助)が行われています。申請書類の記入は耳鼻咽喉科で行われています。

將積 日出夫

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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