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肝炎ウイルス【かんえんウイルス】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

肝炎ウイルス
かんえんウイルス
hepatitis virus
肝炎を起すウイルス総称。現在,A型B型,C型,D型,E型,G型の6種がわかっている。A型肝炎ウイルスによる肝炎は以前は流行性肝炎と呼ばれていたもので,地域的にときどき流行を起すタイプ。飲食物を介して経口感染する。経過は良好で比較的簡単に治る。B型肝炎は,かつては血清肝炎あるいは輸血後肝炎と呼ばれ,輸血による感染が中心だったが,現在はほとんど母子間の感染あるいは性的接触が原因となって感染する。B型肝炎の一部は慢性化して肝硬変に移行するが,B型肝炎ウイルス正体は明らかで,すでに予防ワクチンも実用化され,母子感染の場合も 95%以上の予防効果が認められている。A型,B型以外の肝炎ウイルスはこれまで非A非B型として一括して扱われ,正体不明のウイルス群だったが,1989年,アメリカでこのなかからC型肝炎ウイルスが発見され,さらにD型,E型,G型も相次いで発見されている。C型肝炎ウイルスによる肝炎は,その 40~50%が輸血によって感染し,60%の人が慢性化して肝硬変,肝癌へ移行する可能性が大きい。治療薬としてはインターフェロンが注目を集めている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

かんえん‐ウイルス【肝炎ウイルス】
肝細胞内で増殖して肝炎を起こすウイルス。A型からE型まで5種類が確認されている。
[補説]A型・E型は感染者の糞便に放出されたウイルスに汚染された水や食べ物を介して経口感染し、B型・C型・D型は主に血液を介して感染する。

出典:小学館
監修:松村明
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編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

肝炎ウイルス
 肝炎を発症させるウイルスで,A型,B型,C型およびデルタ肝炎ウイルスなどが知られている.

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

かんえんういるす【肝炎ウイルス】

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

かんえんウイルス【肝炎ウイルス】
肝炎を起こすウイルスの総称。経口感染をする A 型、おもに血液から感染する B 型、 C 型などがある。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

肝炎ウイルス
かんえんういるす
ウイルス性肝炎をおこす原因ウイルスのことである。全身性で肝炎を併発するサイトメガロウイルス、黄熱ウイルス、EBウイルスはこれから除かれる。A型肝炎ウイルスhepatitis A virus(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルスhepatitis C viruses(HCV)、D型肝炎ウイルスHDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)がある。これ以外にもGBウイルス(HGV、G型肝炎ウイルス)、TTウイルス(TTV)の存在が知られるようになった。A型とE型は経口的に感染し、持続性をもたない。B型、C型、D型、G型は血液感染が主要感染経路であり、一過性感染の場合と持続性感染がある。
 A型肝炎ウイルスはピコルナウイルス科のヘパトウイルス属に属する直径27ナノメートルの球形粒子で、エンベロープ(被膜)はない。1本鎖RNAウイルスで、酸および胆汁酸成分に耐性があるが、100℃5分間の加熱で完全に不活性化する。小児には感染をしていながら症状を示さない不顕性感染が多く、高齢者には重症化率が高い。経口的に感染する。
 B型肝炎ウイルスはヘパドナウイルス科に分類される。直径42ナノメートルの球形粒子(デーン粒子)で、表層部分にHBs抗原が存在する。デーン粒子の中心には直径27ナノメートルのコア(芯(しん))構造があり、その表面にはHBs抗原とHBc抗原がある。また、コア粒子には環状2本鎖DNAやDNAポリメラーゼのほか、感染性をもつHBe抗原がある。HBウイルスの慢性感染(持続感染)を受けているものをHBs抗原キャリア(保菌者)といい、肝炎症状のない無症状キャリアと慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変、肝癌(かんがん)など)を有するキャリアがあるが、約90%は無症状キャリアである。HBキャリアの母体から新生児への垂直感染は重要な感染経路である。
 C型肝炎ウイルスはフラビウイルス科に属する。直径55~65ナノメートルの球形粒子で、エンベロープをもっている。1本鎖RNAウイルスである。HCVは遺伝子塩基配列に多様性があり、50種類以上の遺伝子型に分けられている。それぞれの遺伝子型によって、地域分布性、病原性や抗ウイルス剤としてのインターフェロンの感受性などが異なる。感染症として、慢性肝炎疾患となる比率が高く(50~80%)、肝硬変を経て、原発性肝癌へと進展があるといわれる。C型肝炎ウイルスは、1989年、輸血後発症した非A非Bといわれていた患者の血漿(けっしょう)を接種したチンパンジーの血漿からウイルス遺伝子をクローニングcloning(遺伝子のクローンをつくること)することにより発見された。
 D型肝炎ウイルスは分類上位置不明である。B型肝炎ウイルスの衛星のような存在であり、サテライトウイルスsatellite virusやサテライトRNAの特徴がある。単独では増生できない欠損ウイルスで、ヘルパーウイルスとしてHBVの共存を必要とする(HBVと重複感染をおこす)。直径36ナノメートルの球形粒子で、HBV由来のHBs抗原からなるエンベロープをもっている。1本鎖の環状RNAであり、分子内で塩基対をつくり、2本鎖線状の構造となっている。
 E型肝炎ウイルスはカリシウイルス科カリシウイルス属に分類される。直径27~32ナノメートルの球形粒子である。エンベロープはない。プラス鎖の1本鎖RNAの遺伝子をもつ。HAVと同様、劇症肝炎の原因となり、その起因率はHAVより高い。妊婦が感染した場合は死亡率が高く注意を要する。わが国ではHEVは常在しないが将来は流行が予想される。
 GBウイルス(G型肝炎ウイルス)はフラビウイルス科C型肝炎ウイルス属に分類される。プラス鎖の1本鎖RNAの遺伝子をもち、C型肝炎ウイルスと類似性がある。血液感染性で、持続感染性であるといわれるが、不明の点が多い。
 TTウイルスは非A~非G型疾患患者血清から単離したDNAウイルスである。不明の点は多いが、このウイルスの消長と肝機能の異常状態の推移が関連して一致することから肝炎ウイルスとして確認されている。輸血により感染するとされるが、経口感染の可能性もあるといわれる。[曽根田正己]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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内科学 第10版

肝炎ウイルス(急性ウイルス性肝炎)
 肝炎ウイルスは主として肝細胞に親和性をもつウイルスで,肝細胞内に侵入,増殖する. 肝炎ウイルスの分類と診断法を表9-2-1に示した.一般に,肝炎ウイルス自身が肝細胞傷害性を発揮するのではなく,ウイルス感染肝細胞に対する宿主の免疫反応の結果肝細胞破壊が生ずる.ただし,免疫不全状態(感染,透析,移植後免疫抑制薬使用など)では肝炎ウイルスが急激に増殖するため,肝細胞傷害が出現する. エンベロープを有し,血液により感染するB型肝炎ウイルス(HBV),C型肝炎ウイルス(HCV)およびD型肝炎ウイルス(HDV)は一過性感染のみならず持続感染もあり,その一部は慢性肝炎から肝硬変,さらに肝癌へ進展する.これに対し,エンベロープがなく経口感染するA型肝炎ウイルス(HAV)とE型肝炎ウイルス(HEV)は免疫不全状態でない限り一過性感染に終わり,慢性化しない.
 HBVは5種類の肝炎ウイルスのうち唯一のDNAウイルスで,複製の途中でいったんDNAからRNA(プレゲノム)を合成,逆転写の過程を介して増殖する特徴をもつ. 一般的に肝炎ウイルスの宿主領域は狭く,ヒトが属するする霊長類にのみ感染するが,HEVの一部は各種哺乳類への感染や感染動物からヒトへの感染が確認されており,人畜感染症としての側面ももつ.[溝上雅史]
■文献
Hollinger FB, Ticehurst J: Hepatitis A virus. In: Virology, 2nd ed(Fields DM ed),pp631-670, Raven Press, New York, 1990.
加藤宣之,土方誠也:ウイルス複製と遺伝子発現,C型肝炎ウイルス.蛋白質核酸酵素,37(10月増刊号):2626-2632, 1992.
岡本宏明,真弓 忠:肝炎ウイルスと肝炎の発症機序,B型.最新内科学大系 48,ウイルス肝炎—肝感染症(井村裕夫,尾形悦郎,他編),pp12-39,中山書店,東京,1991.

出典:内科学 第10版
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