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胆石症【たんせきしょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

胆石症
たんせきしょう
cholelithiasis
胆道あるいは胆嚢内に結石 (胆石) を生じる疾患。中年以上の女性に多い。胆石は成分から,コレステリン (コレステロール) 石,ビリルビン石などに分けられるが,欧米人はコレステリン石が多く,日本人は従来はビリルビン石が多かったが,近年は胆嚢内のコレステリン石が急増している。大きさは砂粒大から鶏卵大,数も1個から数十個まである。自然排石もあり,石を保持しながら一生苦痛や障害を感じない人もある。独特の胆石疝痛は右上腹部に突発する激痛で,胆嚢,胆管のけいれん性収縮によって起り,多くは疼痛が右肩,右背,右腕に放散する。最近は,結石溶解作用をもつウルソデスオキシコール酸などが治療目的に使用されている。また体外から衝撃波を発信して胆石を破砕したり,腹腔鏡やファイバースコープを使って,開腹しないで胆石を摘出する手術が広く行われる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

たんせき‐しょう〔‐シヤウ〕【胆石症】
胆嚢(たんのう)胆管胆石ができる病気。腹痛黄疸(おうだん)発熱などを伴うが、無症状の場合もある。胆石。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

胆石症
 胆嚢に結石が存在する状態.

出典:朝倉書店
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家庭医学館

たんせきしょう【胆石症 Gallstone Disease】
◎脂肪摂取量(しぼうせっしゅりょう)の増加に比例して急増中
[どんな病気か]
[原因]
◎結石が胆嚢にもどるまで痛み続ける
[症状]
[検査と診断]
◎症状や原因で治療は異なる
[治療]
[日常生活の注意]

[どんな病気か]
 胆石は健康診断で発見されることが多く、日本人では成人10人中1人の割合で胆石をもっていると推定されます。男性より女性にやや多く、70歳以上になるとさらに胆石発生率が増えます。
 肝臓(かんぞう)では胆汁という脂肪の消化を助ける消化液がつくられています。肝臓でつくられた胆汁は、細い管(胆管(たんかん))を通って十二指腸(じゅうにしちょう)のファーター乳頭(にゅうとう)という小さい穴から十二指腸の中に排泄(はいせつ)され、胃から送られてきた食物とまざります。同時に、乳頭からは膵臓(すいぞう)でつくられた膵液も排泄されます。つまり、胆汁・膵液・食物が十二指腸でまざることになります。そして小腸(しょうちょう)に運ばれて、炭水化物、たんぱく質、脂肪が、それぞれ吸収されやすい形となって、血液やリンパ液に吸収されていきます。
 ファーター乳頭のまわりには筋肉の輪(オッディの括約筋(かつやくきん))があり、胃から送られてきた食物が胆管のほうに逆流しないようなはたらきをしています。これはちょうど、肛門(こうもん)に筋肉の輪があり、入浴や水泳をしても肛門から水が入り込まないのと似ています。このはたらきで、胆管の中は清潔に保たれているのです。
 つぎに、胆汁が通る胆管の構造をみてみましょう。
 胆汁は肝臓の中の毛細胆管(もうさいたんかん)から分泌(ぶんぴつ)され、肝内胆管(かんないたんかん)から総肝管(そうかんかん)へと流れていきます。胆汁は黄金色をしており、その成分は、97%が水で、ほかにビリルビン、胆汁酸(たんじゅうさん)、コレステロール、リン脂質(ししつ)などが含まれています。
 食事をとっていないときはファーター乳頭が閉じていますから、胆汁は胆嚢管(たんのうかん)から胆嚢へ流れ、そこで一時貯蔵されます。貯蔵されているうちに濃縮されて、黒っぽく粘(ねば)りけの強い胆汁になります。
 胆嚢管までの胆汁の通り道を肝管(かんかん)、胆嚢管より下流を総胆管(そうたんかん)といいます。胆汁が通る管である肝管と総胆管には筋肉らしいものがなく、胆汁を乳頭に押し出す力はありません。
 しかし、胆嚢には筋肉があり、胆汁を押し出す力があります。つまり、食事が十二指腸に入ってくると、胆嚢が収縮して十二指腸に胆汁を押し流すわけです。
 その胆汁の通り道に石ができるのが胆石症(たんせきしょう)です。石といっても、河原にある石のようにかたくはなく、鉱山から採れる宝石のようでもありません。指でたやすく押しつぶせ、そのまま放置しておくと、かびが生えて腐ってしまうこともあります。
 からだの中で生じた石を結石(けっせき)といいます。結石は、それができた部位によって名称が異なります。
 もっともよくできるところが胆嚢で、胆嚢結石(たんのうけっせき)と呼ばれます。そのつぎに多いのが総胆管結石で、まれなのは肝内結石(かんないけっせき)です。
 結石の症状はできる部位により異なり、治療法も異なります(「治療」)。

[原因]
 日本では、1974年ごろから急激に胆石症が増えてきました。これは、1960年代の後半から日本人の栄養摂取状態がよくなり、とくに脂肪摂取量が増えてきたことと関係していると思われます。
 胆石を分析し、胆石の種類をその主成分で分けてみると、もっともよくみられるのはコレステロール結石、そのつぎが昔よくみられたビリルビン結石、まれな黒色結石の3種となります。
 胆汁中にはコレステロールが溶けていて、その濃度が高すぎるとコレステロールが析出(せきしゅつ)(結晶(けっしょう)が生じること)して、コレステロール結石ができます。また、なんらかの原因で胆道(たんどう)に感染(かんせん)がおこると、胆汁の主成分のビリルビンがビリルビンカルシウムに変化してかたまり、ビリルビン結石となります。
 黒色結石については不明な点が多いのですが、大きな手術を受けて数年後にできる胆石にこれが多いのです。体内で自分の血液が溶けた結果生じるのではないかとも考えられています。
 コレステロール結石、ビリルビン結石は、脂肪のとりすぎと胆道感染が原因でできます。
 したがって、胆石を予防するには、まず脂肪分の多い食物をとりすぎないように心がけることです。胆道感染の予防でできることは、寄生虫に感染しないよう、野菜類はよく洗って食べることぐらいでしょう。
 ほかの原因としては、胆汁の通り道のどこかが生まれつき狭かったり、なにかの原因で狭い箇所ができたりして、その上流で胆汁がとどこおり、濃度が増して胆石ができることがあります。とくに肝内結石がこれにあたります。

[症状]
 代表的な症状は胆石発作(たんせきほっさ)と呼ばれる激しい腹痛です。とくに油っこい食事をとると胆嚢が収縮し、胆嚢中の胆汁を十二指腸に流します。結石がある人では胆嚢中の結石も移動し、それが胆嚢管に引っかかると、胆嚢はなお激しく収縮して押し出そうとします。この状態が胆石発作です。
 胆嚢の筋肉が疲れてゆるむと痛みは遠のきますが、収縮するとまた痛みます。「キューっと痛んで、フワーっと遠のく」状態で、これを疝痛(せんつう)といいます。吐(は)き気(け)も催します。痛む箇所は上腹部の右寄りのことが多く、背中の右が痛む人も多くみられます。この状態を人によって「胃(い)けいれん」とか「さしこんできた」と訴えます。昔の人は「(しゃく)がおきた」と訴えたものです。
 たいがい1時間ほどで疝痛はおさまりますが、長い人では3時間程度続くこともあります。結石がもとどおり胆嚢の中にもどると、痛みは消えます。
●総胆管結石の症状
 痛みは、胆石が胆嚢管から押し出されて総胆管に出たときにも一時的に消えます。しかし、総胆管に出た石はいずれもう1つの関門、すなわちファーター乳頭から十二指腸内に押し出されなければなりません。そこでてこずると、結石が乳頭にはまり込んでしまい、胆汁が十二指腸に出ていけないことになります。
 こうなると、胆汁が肝臓内に閉塞(へいそく)されて血液中の胆汁成分が増え、黄疸(おうだん)症状が出てきます(閉塞性黄疸(へいそくせいおうだん))。また、総胆管に結石があると、非常に感染しやすくなるという問題も生じます。
胆嚢炎(たんのうえん)を合併したときの症状
 胆石発作をおこしているときに胆嚢中で細菌が増えて炎症をおこすと胆嚢炎になります。こうなると胆嚢は赤くただれ、膿(うみ)をもつようになります。また、発熱がみられ、痛みが右脇腹に固定し、そこを押すと痛みます。胆石発作の痛みと異なり、さしこまず、5~6時間たってもおさまらないことが多いのです。
●その他の注意すべき症状
 右上腹部だけでなく、左上腹部も痛くなるのは膵臓炎(すいぞうえん)をおこしている可能性があります。膵臓炎は重症化すると命とりになりますから侮(あなど)れません。
 総胆管結石の危険な症状だけはぜひ覚えてください。とくに70歳以上で、からだが黄色くなり、熱が出て、震えがきたら急いで病院に連れていかないと手遅れになることがあります。さらに意識が遠のいたら命にかかわります。
●受診する科
 痛みが出てきたときに受診する診療科は内科か消化器科です(外科を好んで受診する人はあまりいません)。そこで公平な目で診(み)てもらい、手術が必要なら院内のよい外科医へ依頼状を書いてもらい、院内にいない場合は、別の施設の最善の外科医を紹介してもらいましょう。
 ただし、前述したような危険な症状があるときは、すぐに救急車を呼び、病院へ急行しましょう。

[検査と診断]
「このような病気が疑われるので、このような方針で検査を進めてゆきます」と医師に言われて、その医師についていけそうなら、また説明が筋道立って納得できそうなら、その方針に従って任せるほうがよいでしょう。疑問点は遠慮なく質問し、納得のゆく説明がない場合は医師を変えてもよいでしょう。患者さん自身が納得することがたいせつです。
●超音波検査(US)
 肝臓や胆嚢の検査には非常に有用で、胆嚢内の結石、ポリープ、がんがよくわかります。消化管内のガスがエコー反射を邪魔するので総胆管についてはわかりにくい面があります。
●CT検査
 胴体(どうたい)を輪切りにした画像を映し出す検査で、胴体をお尻の方向から見るX線写真です。病状が軽い人には施行しないこともよくあります。
●胆嚢造影(たんのうぞうえい)
 経口(けいこう)胆嚢造影と点滴静注(てんてきじょうちゅう)胆嚢造影(DIC)の2種類があります。経口法は胆嚢だけが映るもので、点滴法は胆管と胆嚢の両方が映ります。点滴法に使われるビリグラフィンという造影剤は過敏反応をおこすことがあるので事前にテストが行なわれます。
●逆行性胆管造影(ぎゃっこうせいたんかんぞうえい)(ERCP)
 胆汁の通り道に、胆汁の流れとは逆向きに造影剤を流し込む方法であることからこの名前がつきました。カメラを飲んで、十二指腸の乳頭から造影剤を注入します。胆管内の結石の診断に有用です。造影剤はヨードを用いますが、ヨード過敏症の患者さんもいますから、必ず事前にテストが行なわれます。最近、この検査はつぎのMRIに譲りつつあります。
●その他の検査
 内視鏡的超音波検査、MRIなどの検査があります。これらは、胆嚢がんとまぎらわしいときに行なわれるものです。

[治療]
 胆石の治療には内科的治療と外科的治療があります。
●内科的治療
 健康診断などで胆石が発見されても症状がなにもない人は治療の必要がなく、一生石をもっていても大丈夫です。ただし、必ず医師と相談しましょう。
●胆石発作の治療
 鎮痛鎮痙薬(ちんつうちんけいやく)が用いられます。発作がおさまったら、とりあえず食事療法で発作がおきないようにして、どのような治療を受けるか医師と相談します。
●胆嚢炎の治療
 抗生物質と鎮痛鎮痙薬を用います。胆嚢が破裂(はれつ)したり、破裂しそうな場合は緊急手術が必要です。薬が効いて炎症がおさまってきたら、その後の方針を医師と相談します。
●胆管炎、黄疸の治療
 手術がよいのですが、高齢者や全身状態が不良な人はケースバイケースです。手術ができない場合は、とりあえず肝臓の中の肝管にチューブを挿入して胆汁を抜く方法、あるいは内視鏡的に乳頭部から結石を摘出(てきしゅつ)する方法が選ばれます。
●結石溶解剤(けっせきようかいざい)による治療
 胆嚢結石のうち、直径1cm以下のコレステロール結石に対しては、溶解剤を6か月以上内服します。肝機能の軽度の障害、下痢(げり)などの副作用があります。有効率は40%とされており、カルシウムを含む結石には効きません。
●体外衝撃波結石破砕療法(たいがいしょうげきはけっせきはさいりょうほう)(ESWL)
 からだの外から衝撃波(ショックウェーブ)を結石に当てて砕(くだ)く方法です。結石の直径が3cmまでで、数が3個以下、石灰化がないこと、超音波検査でよく映ること、点滴静注(てんてきじょうちゅう)胆嚢造影で胆嚢がよく映ることが、この方法が使える条件です。患者さんの年齢も60歳以下が望ましいとされます。結石が砕かれ、乳頭から十二指腸に排泄される有効率、つまり結石が消失する確率は20~30%です。
●内視鏡的乳頭切開術(ないしきょうてきにゅうとうせっかいじゅつ)
 内視鏡で乳頭を切開し、乳頭よりバスケット・カテーテルという細い管を挿入し、総胆管結石を捕捉して取り出す方法です。
●外科的治療(手術)
 手術法には、お腹(なか)を開けて手術する方法(開腹術)と、約4か所おなかに小さな切開を行ない、そこから内視鏡や鉗子(かんし)を挿入(そうにゅう)して手術する方法とがあります。いずれの方法も結石が入っている胆嚢ごと切除するものです。
 40年ほど前は、胆嚢を開いて中の結石だけを摘出する手術法が行なわれていましたが、これでは再び結石ができることが多いため胆嚢を切除する方法に変わりました。40年前というと、胆嚢に炎症がおこっていた患者さんだけを手術の対象としていた時代です。
胆嚢摘出術(たんのうてきしゅつじゅつ)
 症状のある胆嚢結石の人に実施される手術です。全身麻酔(ぜんしんますい)で、右の肋骨(ろっこつ)の下を横に、またはみぞおちの下の真ん中を縦に、約10cm開腹するのがふつうです。胆嚢を切除した後、胆嚢管から総胆管を直接造影して、胆管に結石が残っていないか、胆嚢管を縛った位置が適切かどうかを確認します。危険がほとんどなく、輸血の必要もありません。
●小開腹胆嚢摘出術(しょうかいふくたんのうてきしゅつじゅつ)
 右上腹部を約3cm横に切開し、胆嚢を摘出する方法です。実施されている施設は限られています。
●総胆管切開術(そうたんかんせっかいじゅつ)
 胆嚢だけではなく総胆管にも結石がある人、以前胆嚢を切除したが総胆管に結石が取り残されているか、または新たに生じた人に実施される方法です。総胆管を開いて中の結石を摘出し、造影または内視鏡で取り残しがないかどうかを確認します。総胆管の中に減圧のためチューブをしばらく留置(りゅうち)することがふつうです。黄疸があり、感染をおこしている高齢者の場合は死亡することもあるので、医師によく相談してください。
●肝切除術(かんせつじょじゅつ)
 肝内結石で、結石の場所が肝臓内の特定の部分に限られている人に実施される方法です。
●腹腔鏡的胆嚢摘出術(ふくくうきょうてきたんのうてきしゅつじゅつ)
 なんらかの症状がある胆嚢結石の人に実施される手術法です。おなかに4か所、小さい穴を開け、そこから内視鏡、鉗子類を挿入します。おなかに窒素(ちっそ)ガスを送り込んで膨らませるか、おなかの皮を垂直に引っ張り上げて中を見やすくし、モニターに映った画像を見ながら胆嚢を切除します。必要な場合は術中造影を行なう医療施設も多いようです。
 所要時間は2時間程度で、危険がなく、輸血の必要もありません。出血して内視鏡手術では手に負えなくなると開腹術へ移行しますが、その割合は2~3%ほどです。また、術後に生じる合併症のうちもっとも困るのは胆管狭窄(たんかんきょうさく)で、その割合は0.4%程度です。
 この手術を行なうかどうかは、胆嚢炎の状況、既往(きおう)手術の有無に照らして、現在の主治医またはこれからかかる外科医とよく相談して決めることです。ちなみに、腹腔鏡的胆嚢摘出術は、もともと患者さんの強い要望に基づいて発展した方法です。総胆管結石も施設によっては摘出されます。

[日常生活の注意]
 胆石をもっている人は、医師によく相談して、年齢や職業の内容に応じた、適切な助言をもらうことがたいせつです。
 胆石を予防するには、食事の内容に気をつけることです。脂肪の多い食事はおいしいですが、誘惑に負けないことがたいせつです。また、有機栽培の野菜は、細菌や寄生虫がいますのでよく洗って食べるようにしましょう。

出典:小学館
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食の医学館

たんせきしょう【胆石症】

《どんな病気か?》


〈脂肪のとりすぎが結石をまねく〉
 胆石症(たんせきしょう)は、胆嚢(たんのう)や肝臓(かんぞう)と十二指腸(じゅうにしちょう)を結ぶ胆管(たんかん)に結石(けっせき)ができる病気です。主成分によってコレステロール結石とビリルビン結石に大別され、前者は胆嚢にできやすく、後者は胆管にできやすい傾向があります。
 腹部のはげしい痛みや発熱、黄疸(おうだん)などの症状がでるのは胆管の結石の場合が多く、胆嚢の結石ではサイレントストーンといって無症状のことも少なくありません。
 日本では、食生活の欧米化とともにコレステロール結石がふえ、現在では全体の約80%を占めています。患者さんは中年以降のふとりぎみの人が多く、男性より女性に多くみられます。原因は脂肪の過剰摂取で、暴飲暴食や過労が発作(ほっさ)の引き金となります。

《関連する食品》


〈結石の生成を抑えるビタミンC、Eが有効〉
○栄養成分としての働きから
 胆石症の対策には、脂肪とコレステロールのとりすぎに注意することが第一です。
 脂肪をたくさんとると、その消化をうながすために胆嚢が活発に収縮し、痛みの発作を起こしやすくなるからです。また、コレステロールはコレステロール結石の直接的な原因になります。具体的には、脂(あぶら)ものをひかえて、肉ならもも肉やひれ肉、マグロならトロより赤身というように、脂肪の少ない食品を選ぶことです。油を使わないくふうとして、加工食品を避ける、新鮮な素材を選ぶ、鶏肉は皮をはがす、魚は脂身の少ないものにするなどしましょう。煮る、蒸す、ゆでる、蒸し焼き、ホイル焼きなども効果的です。コレステロールの多い卵黄や魚卵、レバー、エビ、イカ、タコなども食べすぎないようにします。
 ただし、魚介類に含まれるタウリンは胆石の形成を抑制するともいわれ、同時にコレステロールを低下させる作用もあるので、それほど気にして避ける必要もありません。
 コレステロール結石は、胆汁(たんじゅう)のコレステロール濃度が過度に高まってできるので、胆汁中のコレステロールを下げる働きのある食物繊維が有効です。食物繊維は、インゲンマメ、玄米(げんまい)、ゴボウなどのほか、ワカメなどの海藻類、シイタケなどのキノコ類、こんにゃく、寒天などに多く含まれています。
 血液中の余分なコレステロールは胆汁酸となって排泄(はいせつ)されますが、ビタミンCが不足すると胆汁酸の合成がうまくいかず、血中コレステロール値が上昇します。ビタミンCを多く含むキウイ、イチゴ、ミカンなどのくだものや、ブロッコリーなどの野菜を積極的に食べましょう。
 また、ビタミンEも胆石の予防に役立ちます。動物実験によると、大量のコレステロールや脂肪を摂取しても、ビタミンEのレベルが正常なら胆石はできず、不足していると胆石ができたといいます。ビタミンEはアーモンド、ピーナッツなどのナッツ類やウナギ、ブロッコリー、カボチャなどに含まれています。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

たんせきしょう【胆石症】

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

たんせきしょう【胆石症】
胆囊および胆道系に結石が存在する状態。腹痛・発熱・嘔吐・黄疸おうだんなどの症状を呈することがあるが、無症状に経過する場合が少なくない。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

胆石症
たんせきしょう
gallstone disease
胆石は胆嚢(たんのう)、胆管、肝内胆管などの胆道系で胆汁成分からつくられた固形物で、成分からコレステロール石、色素石、その他のまれな胆石に分類される。胆嚢結石の大部分はコレステロール系石で、原発性胆管結石、肝内結石は色素石である。微細な砂状から鶏卵大まであり、数も1個から数千個に及ぶ。性別では男性より女性にやや多く、年齢的には中年に多い。[中山和道]

症状

胆嚢結石、胆管結石、肝内結石の各症状は以下のとおりである。
(1)胆嚢結石 基本的には無症状で経過し、ある日突然疝痛(せんつう)発作を起こす。多くは胆石が胆嚢頸部(けいぶ)に嵌頓(かんとん)する(つまってしまう)ことによって生ずる。典型例では右季肋(きろく)部(右側の最下方にある肋骨(ろっこつ)部)痛、痛みは右肩、背部に放散し、悪心(おしん)や嘔吐(おうと)がみられる。疝痛発作は胆嚢炎を合併しないかぎり数時間以内に軽快する。
(2)胆管結石 胆嚢結石に比べはるかに重篤な症状を呈することが多い。多くは胆道感染を合併しており、胆管が胆石で閉塞すると感染は急激に増悪し、急性閉塞性化膿性胆管炎を引き起こすことがある。急性閉塞性化膿性胆管炎は発熱、腹痛、黄疸(おうだん)、ショック、意識障害を呈する重篤な病態である。
(3)肝内結石 基本的には無症状、肝内の胆石が肝外胆管に出て急性化膿性胆管炎を呈することがある。胆汁うっ滞が反復すれば胆汁性肝硬変に至る可能性もある。[中山和道]

診断

定型的な疝痛発作と発熱および黄疸などの症状、右季肋部圧痛などがそろえば有力な証拠となる。超音波検査は第一選択のもっとも有用な検査であり、とくに胆嚢結石では95%が検出可能である。排泄(はいせつ)性胆道造影は胆嚢結石の診断にはすぐれているが、現在では胆嚢収縮能の検査として用いられている、腹部単純X線、CTによる検査では、大部分の胆石はX線透過性(陰性結石)なので多く期待できず、カルシウムが含まれる約10%にX線陽性結石像として描出される。胆管結石、肝内結石、には経皮経肝胆道造影、磁気共鳴胆管膵管検査(MRCP)も行われる。[中山和道]

治療

胆嚢結石の場合には、脂肪に富んだ夕食を避けるよう指導する。胆嚢結石の疝痛発作には非オピオイド系の鎮痛薬を使用する。
 手術療法は根治的な方法であり、胆嚢結石には腹腔鏡下胆嚢摘出術が第一選択で、高度の炎症を伴うもの、悪性の合併が疑われる場合は開腹し、胆嚢摘出術が行われる。胆管結石には腹腔鏡下または開腹による胆嚢摘出術に加えて胆管切開切石術そしてTチューブドレナージが行われる。肝内結石では病変部の肝切除術、肝管空腸吻合(ふんごう)術などの付加手術が行われる。内視鏡的治療法では経皮経肝胆道鏡切石術、内視鏡的経乳頭的切石術が行われている。経口的胆石溶解療法は、胆嚢結石の小さなコレステロール石で石灰化のない、良好な胆嚢機能、が適応条件で、ウルソデオキシコール酸が使われている。[中山和道]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

たんせき‐しょう ‥シャウ【胆石症】
〘名〙 胆嚢(たんのう)や輸胆管に胆石が生じることによって起こる疾患。腹痛・黄疸・発熱・嘔吐(おうと)を示すが、特に右上腹部から右背部、右肩に放散する発作的激痛を主徴とする。

出典:精選版 日本国語大辞典
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内科学 第10版

胆石症(胆石症および胆道感染症)
定義・概念
 胆石は胆汁成分を材料に胆道内に形成された石であり,存在部位より胆囊胆石と胆管胆石(総胆管結石,肝内結石)に分けられ,主成分よりコレステロール胆石と色素石(ビリルビンカルシウム石,黒色石)に大別される.近年,わが国の胆石保有率は食生活の欧米化と高齢化により増加し,剖検例にて約10%に達している.
分類
 胆石はその含有成分から,①コレステロールを70%以上含むコレステロール石,②ビリルビンカルシウム石,およびビリルビンポリマーを主成分とする黒色石(以上2者を色素石という),③その他のまれな胆石に3大別される.
 コレステロール石はさらに3種類に分類できる.純コレステロール石は白~黄白色で,放射状構造の割面を有する.混合石は黄褐色~黒褐色のビリルビンカルシウムを含んだコレステロールからなり,割面は放射状構造や層状構造を呈する.混成石は二層構造をもち,内層が純コレステロール石か混合石で,外装が色素石などのほかの成分からなる.一方,ビリルビンカルシウム石は茶褐色~黒褐色で,同心円状の割面をもつ.黒色石はビリルビンの重合体が金属元素とポリマーを形成したものと考えられており,黒色で割面は無構造である.戦前はビリルビンカルシウム石が大半であったが,現在はコレステロール石が約60%を占め,黒色石も二十数%と増加傾向にある.
疫学
 胆石症の現代の疫学状況を列挙する.人種差をみると,東洋人より欧米人に多く認められる.特殊例として,アメリカ先住民の女性は約70%が胆石を保有している.女性は男性の約2倍の頻度で発生し明らかな性差を認める.妊娠回数の多い場合は頻度が高い.さらに,肥満者に多い.また,ダイエットによる体重増減を繰り返す人ほど発生頻度が高い.食事摂取状況においては,総カロリー,スクロース,ヘム鉄の多量摂取者に多い.最近では,クロフィブレート,経口避妊薬,ソマトスタチンは胆石の誘因となることが明らかとなっている.糖尿病(NIDDM),高トリグリセリド(TG)血症,低HDLコレステロール血症にはコレステロール石の合併が多く,回腸末端切除,Crohn病,慢性肝炎,肝硬変には色素石の合併が多いことも近年明らかとなってきた.
病態生理
1)コレステロール胆石の成因:
相対的にコレステロールが多かったり胆汁酸が少なかったり,不安定なベジクル(コレステロール・リン脂質小胞)が多く形成されるような胆汁を,コレステロール過飽和胆汁という(図9-21-1).しかし,胆汁中のコレステロール過飽和は胆石生成の必要条件であるといえるが,十分条件ではない.胆汁中にはコレステロール結晶の析出を促進したり抑制したりする因子が存在し,特に促進因子として胆囊壁より分泌されるムチンが重要と考えられている.たとえコレステロール結晶が胆囊内に析出しても,胆囊機能が正常ならば,胆石に成長する前に機械的に排泄されると考えられ,胆囊の収縮低下,排泄機能障害なども十分条件の1つである.
 コレステロール胆石生成の必要条件である,コレステロール過飽和胆汁の生成には,理論的に①胆汁酸排泄減少,②リン脂質排泄減少,③コレステロール排泄過剰,が考えられる.胆石患者では腸肝循環内の胆汁酸プールが正常より減少しており,過去には①の胆汁酸排泄減少が最も重要と考えられていた.しかし,プールが減少していても腸肝循環の回転数が増加しており,胆汁酸排泄減少は以前に信じられていたほど多くないことがわかってきた.②のリン脂質排泄に重要な役割を演じている肝毛細胆管膜のトランスポーターMDR3は,脂質二重層の内側から外側にリン脂質を転位させるが,その胆汁中の溶出には胆汁酸の界面活性作用が必要と考えられている.したがって②のリン脂質排泄減少は,①の胆汁酸排泄減少に伴うことが多い.③のコレステロール排泄過剰が,胆汁のコレステロール飽和度を上昇させる原因として最も多いと考えられる.高カロリー食ではHMG-CoAリダクターゼ活性の上昇によって,内因性コレステロール合成の亢進が起こり,胆汁中へのコレステロール過剰排泄が起きる.
2)色素胆石:
ほとんどすべてのビリルビンカルシウム石は,大腸菌などの感染を伴う胆囊または肝内・肝外胆管で生成される.正常胆汁中ビリルビンのほとんどは,水溶性のグルクロン酸抱合型として存在するが,感染した胆汁中には細菌性β-グルクロニダーゼが含まれていて,抱合型ビリルビンを非抱合型ビリルビンに変換する.非抱合型ビリルビンは水に不溶なため,カルシウムと結合して沈殿することになる.回腸末端切除やCrohn病のときには胆汁酸の糞便内過剰喪失によって,また,慢性肝炎,肝硬変のときには胆汁酸合成能や分泌能の低下によって胆汁酸排泄減少が起こるが,このときに発生するのは黒色石である.
臨床症状
 胆囊胆石症の唯一確実な症状は胆道痛発作であり,石が胆囊頸部に嵌頓するために起こる.発作の既往がないものを無症状胆石,あるものを有症状胆石といい,約2/3は前者である.典型的には食後や夜間に突発する心窩部・右季肋部・右背部の激痛で,右肩,胸部,背部に放散する.数十分から数時間持続後に消失する.脂肪摂取,過労が誘因となる.患者はほかに種々の愁訴(腹部膨満,悪心,倦怠感,肩こりなど)を訴えるが,不定であり胆石に起因するか疑わしい.胆管炎を併発すると,心窩部痛,悪寒を伴う発熱,黄疸のCharcotの3徴候を呈する.意識障害とショックが加わったRaynolds 5徴は重篤な化膿性閉塞性胆管炎の徴候で放置すると敗血症,多臓器不全に至る.
検査成績
 血液検査においては,発作とともに胆道系酵素の上昇をみれば胆管胆石を疑う.結石が乳頭括約筋部に嵌頓すると一過性にALT上昇をみる.血沈亢進,白血球増加は炎症の合併を示唆する.画像検査が最も有用である.腹部超音波にて特徴的な胆石高エコーと音響陰影(図9-21-2)により径2 mm以上の胆囊胆石は95%以上診断できるが,胆囊管嵌頓石や総胆管胆石の検出率は低い.石灰化石はCTや腹部単純X線でも描出される.胆管胆石の描出には,低侵襲検査として点滴静注胆道造影(drip infusion cholangiography:DIC)やDIC-CT,MRIによる膵胆管描出法(MRCP)が有用である.しかし,微細な結石の描出には内視鏡的逆行性胆管造影(endoscopic retrograde cholangiography:ERC),ERC施行時に行う胆管腔内超音波検査(IDUS)がすぐれる.
診断・鑑別診断
 診断は臨床所見,検査成績から比較的容易である.発作が非典型的な場合,不定愁訴や上腹痛をきたす他疾患(消化性潰瘍,胃腸炎,食道ヘルニア,逆流性食道炎,虫垂炎,腸閉塞,腹膜炎,虚血性心疾患,腎結石など)との鑑別を要す.次いで合併症(急性胆囊炎,胆管胆石,膵炎,胆囊癌,胆石イレウスなど)の有無を検索する.
経過・予後
 無症状胆石の有症化は年率1~2%と低く,多くは無症状のまま経過し,合併症も有症化後に出現する.一方,有症状胆石は発作を繰り返しやすく,急性胆囊炎などの合併症の出現も多い.胆管胆石では,閉塞性黄疸や化膿性胆管炎を合併し,敗血症や胆汁性肝硬変に至る危険性が高い.
治療・予防
 胆囊結石症の治療方針は従来,臨床症状の有無,結石の性状,胆囊機能の状態を考慮し決定されるべきとされてきた.しかし,治療期間や費用を勘案した選択がなされるようになり,腹腔鏡的胆囊摘出術を選択することが主流となってきている.一方,上記の諸状態を考慮せず胆囊摘出術をむやみに施行することは避けたい.
1)無症状胆石:
無症状胆石の有症化は年率1~2%と低く,多くは無症状のまま経過し,合併症も有症化後に出現する.無症状胆石は十分に胆囊の評価が画像上可能である場合,肝機能異常の発生,胆囊癌の合併の可能性を考慮し,原則検査を定期的に行い経過観察する.陶器様胆囊を含む慢性胆囊炎,充満胆囊結石などで画像診断において胆囊壁の評価が困難な症例の場合は手術療法を選択する.
2)有症状胆石:
胆石に起因する胆道痛の既往を有する患者をいう.典型的な胆道痛は食後,夜間に心窩部・右季肋部・右背部に突発し,20分以上持続する強い疼痛発作である.有症状胆石は原則手術適応である.また,症状の程度,結石の種類,胆囊機能の状態によっては内科的治療が有用である. a)手術療法:腹腔鏡下胆囊摘出術が第一選択である.Mirizzi症候群,急性胆囊炎合併や胆囊穿孔などの場合は開腹胆囊摘出術が選択される. b)経口胆石溶解療法:ウルソデオキシコール酸内服による胆石溶解療法の適応条件は,径1.5 cm以下の浮遊するX線透過性石(X線CTにて石灰化のないもの)あるいはCT値60<HU以下,胆囊機能良好であることである.適応例の場合は約70%の成功率が期待できる. c)体外衝撃波破砕療法(ESWL):最もよい適応は,単発結石であり,直径2 cm以下,X線透過性石あるいはCT値50<HU以下であることである.多発結石でも,径3 cm以下,3個以下,外廓石灰化3 mm以下の結石は適応である.これらは破砕後の経口ウルソデオキシコール酸併用により約70%の消失率が得られる.いずれの場合も胆囊機能が正常であることが必要条件である.
3)総胆管結石症:
胆囊結石の落下を除外すると,胆道感染に起因するものがほとんどであり,ビリルビンカルシウム石の頻度が高い.また傍乳頭憩室があると総胆管結石の合併頻度が高い.科学的根拠に基づく内科的結石治療法はなく,胆管胆石の除去が原則である.古典的手術に加え,今日では経乳頭的,経腹腔鏡的または経皮経肝的なアプローチによる種々の低侵襲治療が主流である.経乳頭的内視鏡治療として,内視鏡的乳頭切開術(endoscopic sphincterotomy:EST)や乳頭バルーン拡張術(endoscopic papillary balloon dilatation:EPBD)が施行される.肝内胆管拡張例や肝内結石例では経皮経肝的ドレナージ(percutaneous transhepatic biliary drainage:PTBD),経皮経肝的胆道鏡下切石術(percutaneous transhepatic cholangioscopic lithotomy:PTCSL)などが施行される.
4)肝内結石症:
肝内胆管内に結石が形成される疾患である.原発性肝内結石症は日本を含む東アジアに頻度が高いが,わが国では近年減少傾向にあり,2006年度の調査によると全胆石症例に占める割合は0.6%である.反復する細菌性胆管炎のほか,肝萎縮,肝内胆管癌の原因になると考えられ,適切な診断とガイドラインに沿った治療が勧められる.PTCSLと肝区域切除術がある.胆囊結石症,総胆管結石症に比べて結石形成のメカニズムが複雑かつ再発率も高く難治性である.[松﨑靖司]
■文献
厚生労働省「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班編:肝内結石症の診療ガイド第1版,文光堂,東京,2011.日本消化器病学会編:胆石症診療ガイドライン第1版,南江堂,東京,2009.

出典:内科学 第10版
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それぞれの用語は原書刊行時(2013年)の時点での最新のものです.常に最新の内容であることを保証するものではありません。また,権利関係の都合で一部表示できない図や画像があります。

六訂版 家庭医学大全科

胆石症
たんせきしょう
Cholelithiasis
(肝臓・胆嚢・膵臓の病気)

どんな病気か

 胆汁(たんじゅう)は食事で摂取した脂肪分やビタミンの消化・吸収を助ける黄褐色の消化液で、肝臓で1日に700ml~1ℓ作られています。この胆汁が通る道を胆道(たんどう)と呼びますが、胆道は肝内胆管(かんないたんかん)肝外胆管(かんがいたんかん)、そして胆嚢(たんのう)に分けられます(図17)。

 胆汁は肝臓のなかの胆管(肝内胆管)を通って肝臓の外に出て、肝外胆管の途中にある胆嚢管(肝外胆管と胆嚢を結ぶ管)を通って胆嚢に貯められます。食事をとると、胆嚢内で濃縮された胆汁は胆嚢が収縮することにより肝外胆管に送り込まれ、十二指腸に流れ出します。胆汁の出口を十二指腸乳頭(にゅうとう)といいますが、乳頭には筋肉(乳頭括約筋(にゅうとうかつやくきん))があり、これにより乳頭が開いたり閉じたりして胆汁が十二指腸に出るのを調節したり、十二指腸のなかの食べ物や腸液が胆管のなかに入るのを防いでいます。

 胆道に結石(けっせき)ができる病気を総称して胆石症と呼び、結石ができる場所によって、肝内結石、胆管結石(肝外胆管にできた結石)、胆嚢結石に分類されます。

 日本人の胆石保有率は年々増加しており、現在では日本人成人の10人に1人は胆石をもっているとされています。その理由としては、食生活の欧米化や高齢化、また、検査が普及して発見される率が高くなったことなどがあげられています。性別では男性に比べ女性で多いといわれています。胆嚢結石は胆石症の約80%と最も多く、胆管結石は約20%、肝内結石は約2%を占めています。

 この項では胆嚢結石と胆管結石について説明し、肝内結石については別項で扱います。

原因は何か

 胆石はその成分により、コレステロール系結石、色素結石(ビリルビンカルシウム系結石、黒色石)、その他まれな胆石に分類されます。頻度はコレステロール系結石が70%、ビリルビンカルシウム系結石と黒色石がそれぞれ15%です。胆石の種類によってその原因も異なります。

●コレステロール系結石

 体内の過剰なコレステロールは胆汁のなかに排出されます。元来、コレステロールは水に溶けませんが、胆汁のなかに含まれる胆汁酸の助けで、胆汁中ではコレステロールは溶けた形で存在します。しかし、あとで示すようなさまざまな理由で胆汁中のコレステロールの量が増えると、余分なコレステロールは溶けずに胆汁のなかで固まり(結晶化)、これを核にして結石ができます。

 胆汁中のコレステロールの増える原因としては、高脂肪食や肥満、脂質異常症高脂血症)、糖尿病、妊娠などがあります。

●ビリルビンカルシウム系結石

 ビリルビンは胆汁の色素成分ですが、その由来は古い赤血球です。胆汁中ではビリルビンの大部分は水溶性です(抱合(ほうごう)型ビリルビン)。しかし胆汁中の細菌の酵素によりビリルビンが変化し(非抱合型ビリルビン)、これにカルシウムが結合して結石を形成します。また、胆汁のうっ滞(よどみ)は結石の形成を促進させます。

 胆汁中に細菌が入ったり、胆汁がうっ滞したりする要因としては、加齢や十二指腸乳頭近くの憩室(けいしつ)(ポケット状のくぼみ)があります。

●黒色石

 胆汁中のビリルビンが過剰になったり、胆汁酸の濃度が下がったりすると、複数のビリルビンがカルシウムや銅などの金属元素と結合して複合体を作り、それが固まり黒色石となります。

 黒色石の原因としては、溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)肝硬変(かんこうへん)、胃切除術などがあげられます。

症状の現れ方

①胆嚢結石

 胆嚢に結石があっても多くの場合は無症状で、症状が出るのは胆嚢結石のある方の20%程度といわれています。上腹部の違和感や腹部膨満感など、胃や腸の症状と区別が難しい症状を訴えることが多いのですが、胆嚢結石に特徴的な症状は胆石疝痛(せんつう)と呼ばれる腹痛です。これは脂肪分の多い食物をとったあとに起きる上腹部、とくに右季肋部(きろくぶ)(右の肋骨(ろっこつ)の下)あたりの周期的な痛みで、背中や右肩のコリや痛みを伴うことがあります。

 この症状は胆嚢結石が胆嚢の出入り口をふさいだり胆嚢管に詰まったりして、胆汁の流れを妨げることにより起きます。その状態で胆嚢内に細菌が感染すると、高熱を出します(急性胆嚢炎)。なお、特殊な状況を除き、胆嚢結石で黄疸(おうだん)になることはありません。

②胆管結石

 胆嚢結石とは異なり、胆管結石の多くは何らかの症状を伴い、無症状の方は10%程度とされています。胆管内の結石により胆汁の十二指腸への流れが妨げられ、腹痛(とくにみぞおち)、発熱などの症状が出ます。また、胆管内にたまった胆汁が血液中に逆流すると、黄疸を来します。日本人の皮膚はもともと黄色いので、よほどひどい黄疸でなければ肌が黄色くなったのに気づきませんが、そうなる前に尿の色がウーロン茶のように茶色くなります。

 さらに胆汁中の細菌が胆汁と一緒に血液に入り込む(敗血症(はいけつしょう)菌血症(きんけつしょう))と、悪寒(おかん)を伴う高熱や意識障害、ショックを来し、極めて危険な状態になります(急性閉塞性化膿性胆管炎(きゅうせいへいそくせいかのうせいたんかんえん))。適切な処置をしなければ死亡する危険性があります。なお、高齢者では、腹痛を訴えずに急に高熱や意識障害を来す可能性があるため、注意が必要です。

 また胆管結石は、急性膵炎(すいえん)の最も多い原因です。これは胆管結石が胆汁の出口(十二指腸乳頭)にはまり込んだり、また結石が十二指腸に出た時に乳頭がむくんだりすることで、膵液の十二指腸への流れを妨げて膵炎を起こします。急性膵炎の症状としては心窩部(しんかぶ)(みぞおち)痛や背部痛、嘔吐(おうと)などがあります。

検査と診断

①胆嚢結石

 血液検査では胆嚢結石の診断はできませんが、白血球の増加や炎症反応であるCRP値の上昇をみることで胆嚢の炎症を評価することができます。

 胆嚢結石の診断に最も有用なのは腹部超音波検査です。この検査で胆嚢結石の95%は診断でき、しかも結石の性状もある程度把握することができます。

 腹部CT検査は、胆嚢結石自体の診断能は超音波検査に劣りますが、石灰化した結石の描出は優れています。

 経静脈的胆道造影検査(DIC)は胆嚢の機能をある程度把握することができ、治療方針を決めるのに役立ちます。最近ではこのDICとCT検査を組み合わせて行うことで、より鮮明に胆嚢と胆管の位置関係を立体的に把握することができます(図18)。

 磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP)も体の負担なく胆嚢や胆管を同時に描出することができます。しかし胆嚢結石の診断というよりは、胆嚢摘出術前に胆嚢と胆管の位置関係や胆管結石の有無を把握するために行われることが多いです。

 なお、以上の検査はすべて外来で行うことが可能です。

 内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)は、内視鏡を使って胆管や胆嚢に直接造影剤を入れて撮影する検査で、DIC­CTやMRCPと同様に胆嚢や胆管の位置関係や胆管結石の診断に有用です。しかしERCP後に急性膵炎などの偶発症を起こす危険性があるため入院して行う必要があり、一般的には胆嚢結石があるだけで行うことはありません。

②胆管結石

 胆管結石により胆管が炎症を起こすことで、血液検査で胆道系の酵素(ALP、γGTP)や肝臓の酵素(GOT、GPT、LDH)が上昇します。

 胆管結石が疑われた場合、腹部超音波検査はまず行うべき検査ですが、この検査で胆管結石を診断できるのは40~50%程度です。

 腹部CT検査も、石灰化した胆管結石では診断に有用ですが、従来の機種では腹部超音波検査と同様の診断能です。しかしCT撮影機械の改良によりその診断能は向上してきています。

 MRCPは前述したERCPに代わる胆管の精密検査で、胆管結石の診断に有用ですが3㎜以下の小さい結石では診断できないことがあります。

 超音波内視鏡検査(EUS)は、先端に超音波をつけた内視鏡を口から入れて胃や十二指腸の壁越しに胆管を観察する検査で、DIC­CTやMRCPと同等かそれ以上の胆管結石の診断能があります。EUSは胃の内視鏡と同様に外来で行うことができますが、胆管をきれいに描出するためにはある程度の技術を要し、どの医療機関でも行えるわけではありません。

 高性能のCTやMRCPあるいはEUSが登場するまでは、ERCPが胆管結石の診断に欠かせない検査でした。しかし検査に伴う偶発症もあり、MRCPやEUSなどの体への負担が少ない検査が外来で施行可能な現在では、胆管結石の診断目的のみでERCPが安易に行われることはなくなってきています。

 経皮経肝的胆道造影検査(PTC)は、超音波で肝臓のなかの胆管を見ながら針を刺して造影剤を入れ、造影する検査です。この検査もERCPと同様に入院が必要で、出血や腹膜炎(ふくまくえん)を起こす危険性があることから、胆管結石の診断のみで行われることはありません。胆管結石による胆管炎や黄疸の治療を前提にして、かつ以前に受けた胃の手術などでERCPができない方を対象に行われることが多いです。

治療の方法

①胆嚢結石

 胆嚢結石に伴う何らかの症状がある方は治療の適応となります。無症状の方の多くは定期的な検査(年に1~2回程度の腹部超音波検査)を受けることが望ましいですが、積極的な治療の対象にはなりません。

 ただし無症状の方でも、①胆嚢の壁が厚くなっている、②胆嚢が縮んでいる(萎縮(いしゅく)している)、③胆嚢内の大きな結石や多数の結石のため腹部超音波検査で胆嚢の壁を正確に評価することができない、④胆嚢の壁が全体に石灰化している(陶器様胆嚢)、などの所見が認められる場合は治療の対象となります。

a.胆嚢摘出術

 胆嚢結石治療の第一選択となっている治療法です。とくに腹腔鏡下胆嚢摘出術は世界的な標準的治療法で、従来の開腹胆嚢摘出術と異なり、おなかの傷が小さく、手術後の回復も早く、早期に退院・社会復帰が可能です。ただし胆嚢の炎症のため周辺の臓器(肝臓や腸管など)と癒着している場合や、胃の手術を受けたことのある方では、開腹胆嚢摘出術を行わざるをえないことがあります。

 胆嚢を残して結石だけをとれないかという疑問をもつ方もいますが、結石だけをとるほうが胆嚢ごと摘出するよりもむしろ手間がかかりますし、結石ができるような胆嚢が病気のもとであるわけですから、胆嚢摘出術は胆嚢結石の根治的な治療といえます。

 また胆嚢を摘出した後の影響を懸念される方がいます。しかしほとんどの方においては日常生活にまったく影響ありません。脂肪分の多い食事を大量に摂取したあとに下痢を起こすことがまれにありますが、整腸剤などで対応可能です。

b.胆石溶解療法

 胆嚢の機能が保たれていて、大きさが1㎝程度の石灰化していないコレステロール系結石が対象となります。ウルソデオキシコール酸を含む薬剤を内服して結石を溶解します。手術と異なりこの治療法には、体への負担がほとんどない、胆嚢を残せる、などの利点があります。一方で長期間(数カ月~数年)にわたって毎日薬を内服する必要があり、また結石が消失するのは30~50%で、消失しても数年で30~50%の方が再発すると報告されています。

c.体外衝撃波結石破砕療法

 体外から衝撃波を当てて結石を細かく砕く治療法です。胆嚢の機能が保たれていて、結石の大きさが2㎝以下で数が1個のコレステロール系結石が対象となります。胆石溶解療法を併用することもあります。結石の消失率は60~80%と報告されていますが、この治療には特殊な装置が必要なため、どこの病院でも行えるわけではありません。

②胆管結石

 無症状の胆嚢結石とは異なり、胆管結石は、たとえ無症状でも将来的に重症の急性胆管炎急性膵炎を起こす危険性があるため、原則として治療の対象になります。その治療法は内視鏡的治療法と外科的治療法に分かれますが、最近では体への負担がより少ない内視鏡的治療が主流になってきています。

a.内視鏡的治療法

 内視鏡を使って胆管から結石を取り出すためには、まず十二指腸乳頭を広げておく必要があります。この方法には電気メスで乳頭を切開する内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)(図19)と、風船(バルーン)で乳頭を広げる内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)(図20)があります。

 内視鏡的治療の経験が豊富な施設では、いずれかの方法を用いて90%以上の方で結石を完全除去することができます。ただし、結石が大きくて数が多い場合には1回の内視鏡的治療ではすべての結石を取りきれず、複数回の治療を要することがあります。

 ESTとEPBDのどちらが良い治療法なのかは、現在でも議論の分かれるところです。EPBDに比べESTのほうが乳頭を大きく広げるので、大きな結石を取り出すのはESTのほうが簡単です。ただし、ESTは乳頭を切開する手技ですので術後の出血や十二指腸に穿孔(せんこう)(あな)があく)の危険性がありますが、EPBDは単にバルーンで乳頭を広げるだけなので出血や穿孔の心配はほとんどありません。術後の急性膵炎の頻度はESTとEPBDで同等か、EPBDで多いと報告されています。また、胆汁の流れを調整する乳頭の機能は、EST後には高度に低下あるいは廃絶しますが、EPBDではある程度温存されます。

b.外科的治療法

 内視鏡的治療が胆管結石の標準的治療法となる十数年前までは、多くの施設では開腹手術が第一選択の治療法でした。しかし開腹してメスで胆管を切開して結石を取り出す治療法は、内視鏡的治療に比べると明らかに体への負担は大きく、現在では、内視鏡的に除去することが困難な胆管結石が開腹手術の対象となってきています。

 腹腔鏡下で胆管結石を取り除く治療法は、開腹手術に比べ体の負担が少なく、また一度の手術で胆嚢結石と胆管結石の治療ができるという点で有用な治療法です。しかし非常に高度な技術を要し、安全に行える施設は限られているのが現状です。

病気に気づいたらどうする

 胆嚢結石のある方が典型的な胆石疝痛発作を起こした場合には、すみやかに医療機関を受診し、治療を受けなければなりません。疝痛発作までいかなくても、上腹部の軽い痛みや違和感、膨満感などを自覚する場合には、消化器内科あるいは外科を受診して適切な治療方針について話し合う必要があります。無症状の胆嚢結石でも、定期的(半年~1年)に外来を受診し、胆嚢結石の状態および胆嚢の壁の評価を受けるべきです。

 胆管結石と診断された方で腹痛、発熱、黄疸といった症状がある場合には、放置すると命に関わるので、緊急で医療機関を受診しなければなりません。症状がなくても血液検査で肝臓や胆管の酵素が異常値の場合には、すみやかに治療を受ける必要があります。それ以外のまったく症状がない方でも、専門施設を受診して治療方針について相談してください。

 とくに胆管結石の治療法や治療成績は医療機関によって異なるので、時間を十分にとって医師と話し合うことが必要ですし、場合によっては他施設の医師の意見を聞くことも大事です。

 日常生活で重要なことは、脂肪分の多い食物や過食を避け、規則正しい食生活を身につけることです。魚中心のいわゆる和食がよいでしょう。また過労やストレスを避けて、定期的に適度な運動をし、穏やかな日常を送ることも大切です。

辻野 武

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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EBM 正しい治療がわかる本

胆石症
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 胆汁(たんじゅう)の成分が固まったものを胆石(たんせき)といいます。胆石のできた位置によって、胆のう胆石、肝内(かんない)胆石、総胆管(そうたんかん)胆石に分けられます。また胆石の主成分によって、コレステロール結石、ビリルビンカルシウム結石、黒色石があります。胆石症特有の疝痛発作(せんつうほっさ)と呼ばれる右上腹部の強い痛みが特徴です。みぞおちや背部が痛んだり、右肩へと放散する痛み(放散痛(ほうさんつう))がでたりすることもあります。
 夕食をとって数時間後にしばしばおこり、1時間ほど続きますが、おさまるとしばらくはなんともありません。嘔吐(おうと)、黄疸(おうだん)、発熱がみられることもあります。胆石の種類、数、大きさ、症状などに応じてさまざまな治療があります。また、画像診断技術の進歩で、最近は無症状の胆石(サイレントストーン)もよく見つかるようになりました。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 食事からとったコレステロールは、肝臓で合成されて胆汁に溶け込みますが、過剰にとった分は胆汁内に溶けきらずに結晶となってしまいます。この結晶の成長したものがコレステロール結石です。
 一方、細菌の感染によって胆汁中のビリルビンが変化してできるのがビリルビンカルシウム結石です。黒色石がなぜできるのかはくわしくわかっていません。
 痛みの発作は、食事でとった脂肪分を処理するために胆のうが収縮し、その圧力で胆石が胆のうから胆管へ押し出されるときに、一時的につまるからです。このため、脂肪分の多い食事をとったあとに、発作がおこりやすくなります。
 また、胆石が胆道をふさぐと肝臓内に胆汁がたまり、胆汁中の成分が血液中に逆流するため黄疸を引きおこします。黄疸の黄色はビリルビンによるものです。さらに、胆のうや胆管に感染症がおきると発熱します。

●病気の特徴
 胆石症は中年以降の太った人に多く、女性は男性の2倍です。胆石ができやすくなる要因としては胆のう機能低下をもたらす脂質異常症(高トリグリセリド血症)や急激な体重減少、腸管機能低下(食物の腸管通過時間の遅延)、食生活習慣(1日の摂取総エネルギー量・炭水化物・糖質・動物性脂肪の過剰摂取)があげられています。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]コレステロール結石溶解療法を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 胆汁酸利胆薬(たんじゅうさんりたんやく)を用いて、胆のうにあるコレステロール結石を溶かす方法です。一般に対象となるのは、結石の大きさが10~15ミリメートルより小さく、胆のう機能が良好で、症状が強くなく、CTで結石の石灰化が進んでいないと認められる場合です。これらの条件のもとで行われた非常に信頼性の高い臨床研究では、多くの人で結石の溶解を認めたと報告されています。(1)

[治療とケア]体外衝撃波結石破砕術(たいがいしょうげきはけっせきはさいじゅつ)(ESWL)を行う
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 超音波による衝撃波を体外から患部に照射して、結石を小さく砕き、体の外へと自然排出させる方法です。単発で、直径20ミリメートル以下の石灰化のないコレステロール結石をもつ人が適応となります。薬による副作用もなく、体を切ることもないので安全で、入院期間が短く患者さんの負担が少ない療法です。効果については信頼性の高い臨床研究によると、およそ80パーセントの人で症状がやわらいだとの結果が報告されています。(2)(3)

[治療とケア]内視鏡的胆石除去術(ないしきょうてきたんせきじょきょじゅつ)を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 結石が総胆管にある場合、内視鏡を用いて結石を取り除くことがあります。内視鏡的乳頭切開術(にゅうとうせっかいじゅつ)や内視鏡的乳頭拡張術(かくちょうじゅつ)は、内視鏡を使い総胆管の出口(ファーター乳頭)から結石を摘出する方法です。さらにバスケット鉗子(かんし)という網のような器具やバルーンを使って、結石を除去することもあります。内視鏡による胆石除去術の効果は、非常に信頼性の高い臨床研究で認められています。(4)

[治療とケア]腹腔鏡下胆(ふくくうきょうかたん)のう摘出術(てきしゅつじゅつ)/開腹術を行う
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] おなかに小さな穴を数カ所あけ、そこから内部を映し出すカメラや手術器具を挿入して胆のうを切除するのが、腹腔鏡下胆のう摘出術です。開腹手術と比較した非常に信頼性の高い臨床研究によると、腹腔鏡下胆のう摘出術では入院期間が短く、術後の痛みも軽いと報告されています。(5)(6)


よく使われている薬をEBMでチェック

胆汁酸利胆薬
[薬名]ウルソ(ウルソデオキシコール酸)(1)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 胆汁酸利胆薬は、石灰化の進んでいないコレステロール結石で、大きさが10~15ミリメートルより小さく症状の強くない患者さんに用いられます。これらの条件で、ウルソデオキシコール酸を用いた場合、多くの患者さんで結石の溶解が認められたことが非常に信頼性の高い臨床研究によって報告されています。以前はケノデオキシコール酸も用いられていましたが、下痢、一過性の肝機能障害を認めることからウルソデオキシコール酸が選択されるようになりました。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
比較的軽症なら結石溶解療法を
 治療方針は、胆石の種類、大きさ、数、部位、疝痛発作や以前に胆のう炎をおこしているかどうかなどを考慮して、決められます。
 大きさが10~15ミリメートルより小さい結石で、CT画像で石灰化が著明でなく、胆のう機能が良好で、症状が強くない場合には、胆汁酸利胆薬の服用による結石溶解療法が試みられます。

体外衝撃波結石破砕術が適応となる場合もある
 20ミリメートル以下の単発で石灰化のないコレステロール結石で、胆のう胆管機能が良好な場合には、体外衝撃波結石破砕術が適応とされます。しかしながらその後の経過で約3分の1の患者さんが胆のう摘出術を受けたとの報告もあり、選択については担当の医師とよく相談されることをお勧めします。(7)
 また、この治療に用いられる機器は高価でおおがかりなものですから、施設によっては受けられない場合もあります。

腹腔鏡下胆のう摘出術が一般的
 疝痛発作を何度もおこしたり、胆のうの壁がいびつな場合などには、腹腔鏡下胆のう摘出術を行うのが、現在では一般的な治療です。ただし、炎症などが原因で胆のうと周囲の癒着が強い場合などでは、手術開始後に腹腔鏡下胆のう摘出術から開腹手術に変更される場合もあります。

無症状の胆のう結石に原則として手術は行いません
 胆のう結石が胆のうがん発生の危険因子となるという明確な証拠は現時点ではなく、症状がない胆のう結石に予防的に胆のう摘出術を行うことは勧められていません。しかし、複数の胆のう結石、胆のう機能低下(胆のう造影陰性)、がんの疑いのある胆のう壁の厚み(肥厚)、腹部超音波で胆のうが十分に観察できないなどの人は、症状がない場合でも担当の医師と手術の必要性や手術に伴う危険性についてよく相談のうえ、治療法を選択するとよいでしょう。

(1)Rubin RA, Kowalski TE, Khandelwal M, et al. Ursodiol for hepatobiliary disorders. Ann Intern Med. 1994;121:207-218.
(2)Stolzel U, Koszka C, Wolfer B, et al. Relief of heterogeneous symptoms after successful gall bladder stone lithotripsy and complete stone disappearance. Gut. 1994;35:819-821.
(3)Adamek HE, Sorg S, Bachor OA, et al. Symptoms of post-extracorporeal shock wave lithotripsy: long-term analysis of gallstone patients before and after successful shock wave lithotripsy. Am J Gastroenterol. 1995;90:1125-1129.
(4)Bergman JJ, Rauws EA, Fockens P, et al. Randomised trial of endoscopic balloon dilation versus endoscopic sphincterotomy for removal of bileduct stones. Lancet. 1997;349:1124-1129.
(5)Hendolin HI, Paakonen ME, Alhava EM, et al. Laparoscopic or open cholecystectomy: a prospective randomised trial to compare postoperative pain, pulmonary function, and stress response. Eur J Surg. 2000;166:394-399.
(6)Barkun JS, Barkun AN, Sampalis JS, et al. Randomised controlled trial of laparoscopic versus mini cholecystectomy. TheMcGill Gallstone Treatment Group.Lancet. 1992;340:1116-1119.
(7)Adamek HE, Rochlitz C, Von Bubnoff AC, et al. Predictions and associations of cholecystectomy in patients withcholecystolithiasis treated with extracorporeal shock wave lithotripsy.Dig Dis Sci. 2004;49:1938-1942.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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