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【はい】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典


はい
embryo
胚子ともいう。多細胞生物の発生の初期のまだ独立生活のできない個体をいう。動物では卵割を始めて以降の発生期にある個体をさす。胎生ではやや発生の進んだものを胎児と呼ぶが,胚との区別点は便宜的なものである。動物の種類により胚の時期の長短,変化などさまざまであるが,発生段階によって桑実胚胞胚原腸胚神経胚と区別されている。植物では受精卵から発達した胞子体をいう。種子植物では種子中にあり,発芽前の植物体を胚といい,胚柄により胚嚢に付着し,前端の原胚から分化した子葉,幼茎,幼根胚軸から構成される。

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デジタル大辞泉

はい【×胚】
多細胞生物の発生初期の個体。植物では受精卵がある程度発達した胞子体をいう。種子植物では種子中にある発芽前の植物体で、胚芽ともいい、胚乳から養分を吸収する。動物では卵黄から養分を吸収している状態のもので、発生段階により桑実胚・胞胚・嚢胚(のうはい)・神経胚などに分けられる。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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はい【胚】[漢字項目]
[音]ハイ(漢)
身ごもる。はらむ。「胚胎
卵や種子の中の発生初期の生物体。「胚芽胚乳胚葉胞胚

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栄養・生化学辞典

 胚子ともいう.多細胞生物の発生初期の個体.

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

はい【胚 embryo】
多細胞生物の個体発生過程における早期の諸段階。
【動物の胚】
 動物の場合,一般的には卵割初めより,摂食可能な幼生または幼体の直前までをさす。体を構成するすべての細胞の母細胞である受精卵の発生的全能性は,胚の期間を通じてしだいに狭められるため,幼体や幼生の体は,きわめて限られた機能に特殊化した多種の細胞によって構成されることになる。以下に,発生の各段階における胚細胞の,発生能の変化をみてみよう。 ヒトデのような調節能のきわめて高い卵(調節能については〈モザイク卵〉の項目を参照)でみると,卵割期の細胞はまだ受精卵の全能性をそのまま引きついでいる。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

はい【胚】
多細胞生物の個体発生初期のもの。動物では受精卵に含まれている卵黄を消費して発生しつつある状態のもの。胚の時期に基礎的な体制はきまる。植物では受精卵がある程度発達した幼い胞子体。種子植物では種子の中の発芽前の幼体をいい、幼芽・子葉・胚軸・幼根からなる。胚子。

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日本大百科全書(ニッポニカ)


はい
多細胞生物の個体発生初期の段階をさすが、卵割期以後の発生期個体を意味する場合や、胚葉分化以降を意味する場合などまちまちな使われ方をしている。[嶋田 拓]

動物における胚

無脊椎(むせきつい)動物では桑実胚、胞胚、原腸胚を早期胚、それ以降の発生段階を初期胚とよぶ。脊椎動物では神経管の形成時期があり、この時期をとくに神経胚という。胚期の長さは動物種により多様である。発生が進んで外界から食餌(しょくじ)をとり始めるまでが胚期とよばれる。胎生動物では胚期の個体を胎児という。卵割期の細胞は未分化であり、胚葉の形成とともに分化の傾向が生ずるが、胚期の細胞は分化の程度が低い。卵割期の胚細胞の特徴は、それが未分化であることのほか、細胞周期が短いことで、この時期の胚は急速に細胞分裂を繰り返して細胞数を増やしていく。ショウジョウバエでは、卵割期の細胞は成体細胞の100倍以上の速度で増殖することが知られている。卵割期には細胞分裂後のような細胞成長期を欠くので、細胞は分裂ごとに小さくなる。卵割期における細胞増殖速度は、非胎生動物ではとくに大きく、外敵に弱い時期をなるべく短縮するという目的に合致している。卵割が進むと各割球細胞間のすきまはしだいに大きくなって卵割腔(こう)となる。この卵割腔を細胞が一重に囲んだ構造となったものが胞胚である。続いて細胞の一部は卵割腔内へ向かって陥入を始める。この造形運動の結果、嚢(のう)胚(原腸胞)となるが、陥入した細胞の形成する一重の嚢を原腸、陥入口を原口とよぶ。この造形運動は原腸の形成のほかもう一つ重要な意味をもつ。胞胚期には遠く離れていた細胞どうしが陥入の結果互いに接し合い、細胞間で相互に影響しあえるようになることである。また、原腸形成によって胚に背腹軸および頭尾軸という新しい胚軸が生ずるとともに、細胞も二層となり、胚葉の区別が生ずる。外層を外胚葉、内層背部を中胚葉、内層側部と腹部を内胚葉とよぶ。嚢胚期を過ぎると、中胚葉から脊索中胚葉が分離して脊索となる。脊索中胚葉で裏打ちされた外胚葉は厚みを増して神経板となり、やがて神経管を形成する。この現象を脊索中胚葉による神経組織の誘導といい、脊索中胚葉細胞がそれに接する外胚葉細胞に影響を与えて神経組織へ分化させたのである。誘導現象は胚期の個体発生で各所におこり、形態形成にきわめて重要な働きをしている。しかし誘導現象の分子レベルの解明はいまだなされていない。[嶋田 拓]

植物における胚

植物では、配偶体の中にある卵細胞が受精すると発達を始めて胞子体となるが、まだ幼い胞子体で、配偶体や内胚乳の中に埋まって、周囲から栄養を供給されている段階にあるものを胚(または胚芽)という。胚があるのはコケ植物、シダ植物、裸子植物、被子植物である。
(1)コケ植物 コケ植物の胚は配偶体の造卵器の中で発達し、足(あし)footと柄と(さく)の原基とに分化する。足は造卵器の底面に張り付いて、配偶体から栄養を吸収する。胚が成長すると柄が伸び、は造卵器の口から外に出る。
(2)シダ植物 シダ植物の胚においても、造卵器の底の近くに足が分化する。また、造卵器の口の方向には胚柄(はいへい)suspensorができることがある。胚柄とは、胚の一部ではあるが、将来の胞子体の形成には参加しない部分のことである。シダ植物の場合、胞子体の軸は造卵器と直角の方向にできることが多い。軸の一方には主根(幼根)、反対側には茎頂と葉原基が分化し、いずれも配偶体(前葉体)の組織を溶かしながら成長し、やがて外へ伸び出す。
(3)裸子植物 裸子植物では、受精卵がまず自由核分裂をし、次に胚柄ができて、雌性配偶体の組織を溶かしながら、曲がりくねって伸び続ける。胚柄は多数の枝分れをするが、やがてそれぞれの枝の先に分裂組織ができ、これが胞子体の幼植物の形をつくる。したがって、1個の受精卵から多数の幼植物ができることになるが、普通は、もっとも早く発達した一つだけが最後まで残り、ほかのものはこれによって吸収される。このような幼植物の体をつくる部分だけを「胚」とよぶことがある。これと区別するため、胚柄が伸びている段階のものは前胚(または初期胚proembryo)とよばれる。幼植物となる部分は、胚柄寄りの位置に主根(幼根)、続いて胚軸、先端部に茎頂と子葉原基とを分化させる。
(4)被子植物 被子植物では、重複受精のあと、まず内胚乳が発達し、やや遅れて受精卵が細胞分裂を始め、内胚乳の中に向かって成長、発達する。珠孔寄りの部分は胚柄となることが多いが、裸子植物と比べるとはるかに小さい。内胚乳の中に入った部分はまず球形の組織塊となり、これからただちに1個の幼植物の形をつくり始める。珠孔や胚柄に近い部分に主根(幼根)の原基が分化し、続く位置に胚軸、先端部に茎頂と子葉の原基ができる。この子葉の数によって、双子葉植物と単子葉植物が区別できるようになる。イネ科の胚には胚盤、子葉鞘(しょう)などの特殊な器官があり、さまざまな解釈が行われている。もっとも普通なのは、胚盤は子葉の葉身が変化したもので、子葉鞘は子葉の葉鞘部分が独立したものとする考えである。種子内での胚の発達の程度は種類によってさまざまである。[山下貴司]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

はい【胚】
〘名〙 受精後の卵細胞の発生初期の個体。
(イ) 多細胞動物の発生初期に見られる卵割を始めた後の発生しつつある個体。発生段階に応じて桑実胚、胞胚、原腸胚、神経胚などと呼ぶ。〔生物学語彙(1884)〕
(ロ) 植物では受精卵がある程度発達した胞子体。胚子。〔植学訳筌(1874)〕

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