●脱税【だつぜい】
知恵蔵
脱税
違法な手段によって、納税を免れる行為を脱税という。すなわち、租税の納付は法によって定められた義務であるが、これから逃れるために課税の対象となるべき所得や収益などの一部または全部を故意に隠匿して、国および地方公共団体の徴税を妨げることである。
何らかの手段で意図的に納税額を削減するものとしては、脱税以外に「節税」と呼ばれるものと「租税回避」がある。また、無知や錯誤に基づき、意図的でないものは脱税ではなく「申告漏れ」という。
税制度は複雑であり、税務慣行によるものや基準が明確には確定できないものもある。他方で、課税対象である法人の利益なども減価償却方法その他の会計方法の違いにより、一つには定まらない。したがって、税務知識を活用し、これらを適切に処理することで納税額を適法に圧縮することができる。このようにして税負担を軽減することを「節税」という。節税は法令によって認められる条件下での税の減免であるから、当然に適法であり、脱税とは異なる。
これに対して、社会通念を逸脱した取引方法をとったり課税要件をゆがめたりして、結果として課税を逃れる行為を「租税回避」という。課税要件を隠匿はせず、要件として成り立たなくすることで賦課を免れるのであるから、脱税とは異なり形式的には法に反してはいない。ただし、租税の公平性を阻害するとして収税機関によって否認され、通常の税を賦課されることも多く、脱法行為にあたるものと考えられる。
これらを駆使することを「節税対策」と称して、経営者から不当な報酬をだまし取る自称「節税コンサルタント」もあとを絶たず、脱税行為としてしばしば立件・処罰されている。
(金谷俊秀 ライター / 2009年)
何らかの手段で意図的に納税額を削減するものとしては、脱税以外に「節税」と呼ばれるものと「租税回避」がある。また、無知や錯誤に基づき、意図的でないものは脱税ではなく「申告漏れ」という。
税制度は複雑であり、税務慣行によるものや基準が明確には確定できないものもある。他方で、課税対象である法人の利益なども減価償却方法その他の会計方法の違いにより、一つには定まらない。したがって、税務知識を活用し、これらを適切に処理することで納税額を適法に圧縮することができる。このようにして税負担を軽減することを「節税」という。節税は法令によって認められる条件下での税の減免であるから、当然に適法であり、脱税とは異なる。
これに対して、社会通念を逸脱した取引方法をとったり課税要件をゆがめたりして、結果として課税を逃れる行為を「租税回避」という。課税要件を隠匿はせず、要件として成り立たなくすることで賦課を免れるのであるから、脱税とは異なり形式的には法に反してはいない。ただし、租税の公平性を阻害するとして収税機関によって否認され、通常の税を賦課されることも多く、脱法行為にあたるものと考えられる。
これらを駆使することを「節税対策」と称して、経営者から不当な報酬をだまし取る自称「節税コンサルタント」もあとを絶たず、脱税行為としてしばしば立件・処罰されている。
(金谷俊秀 ライター / 2009年)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
デジタル大辞泉
だつ‐ぜい【脱税】
[名](スル)納税義務者が故意に税額の一部または全部の申告をせず、納付を免れること。
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版
だつぜい【脱税】
出典:株式会社平凡社
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精選版 日本国語大辞典
だつ‐ぜい【脱税】
〘名〙 納税義務者が、不正をしてその一部または全部の納税を怠ること。
※営業税法(明治二九年)(1896)三四条「脱税したる者は脱税金額三倍の罰金」
出典:精選版 日本国語大辞典
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