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脳神経の単神経障害

内科学 第10版

脳神経の単神経障害(単神経障害)
(1)脳神経の単神経障害
a.動眼神経
 動眼神経麻痺(oculomotor nerve paralysis)は脳動脈瘤(内頸動脈と後交通動脈の分岐部,IC-PC)による圧迫性麻痺と糖尿病性外眼筋麻痺の2つが代表的なものである.動脈瘤による圧迫性麻痺では瞳孔異常(散瞳,対光反射消失)と眼瞼下垂が先に起き,外眼筋麻痺は遅れて現れる.これは瞳孔を支配する自律神経線維は動眼神経の表面に位置するために,外からの圧迫で先に障害されるためである.逆に糖尿病性動眼神経麻痺ではほとんどの場合外眼筋麻痺による複視で発症して瞳孔異常は起こりにくい.これは微小血管障害による虚血を基礎としているためとされる.しばしば眼痛が先行する.
b.三叉神経
ⅰ)三叉神経痛(trigeminal neuralgia)
 一側三叉神経領域に生じる電撃痛であり,第2,3枝領域(頬部,口周囲)に多い.歯磨き,洗顔などにより誘発される発作性の疼痛であり,間欠期には症状はなく,原則的に感覚低下はみられない.特発性と症候性(多発性硬化症,腫瘍,血管障害)に大別されるが,近年特発性とされてきた症例の多くが,三叉神経が橋を出る部分での血管による圧迫によることが明らかになった.責任血管は上小脳動脈が多いが,前下小脳動脈あるいは脳底動脈のこともある.三叉神経痛が中年以降の年齢に多く発生するのは,動脈硬化性の変化が進行して動脈の蛇行・屈曲が強くなり,三叉神経起始部での神経の圧迫が生じやすくなるためと考えられる.対症療法としては抗てんかん薬(カルバマゼピン)が第一選択である.根本療法は血管減圧手術(Janetta手術)であり,薬剤による疼痛コントロールが不良である場合,若年発症の場合に適応となる.
ⅱ)三叉神経ニューロパチー
 混合性結合組織疾患,Sjögren症候群において三叉神経の単ニューロパチーがみられる.三叉神経節に対する免疫性機序が想定されている.
c.顔面神経
ⅰ)特発性顔面神経麻痺(Bell麻痺)
 急性一側性顔面神経麻痺として最も頻度の高い疾患である.発症率は人口10万あたり年間20~30 人で,顔面神経麻痺の60~75%を占める.性差はなく,発症年齢はすべての年齢で発症するが40歳代にピークをもつ.予後は良好であり,多くの例において完全回復が得られる.病因として単純ヘルペスウイルス1型の再活性化が証明されつつある.自然経過が良好であるためにエビデンスとしては確立していないが,重症例に対して副腎皮質ステロイド,抗ウイルス薬の投与が推奨されている.
ⅱ)Ramsay-Hunt症候群
 帯状疱疹ウイルス感染による急性顔面神経麻痺であり,外耳道・耳介後部のヘルペス皮疹を伴う.Bell麻痺と比べて麻痺の程度は強く,回復も不良であるため,抗ウイルス薬(アシクロビル)の早期投与が推奨される.[桑原 聡]

出典:内科学 第10版
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