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腟炎【ちつえん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

腟炎
ちつえん
vaginitis
粘膜の炎症で,単純性腟炎,粘膜が萎縮し出血しやすい老人性腟炎真菌性腟炎トリコモナス腟炎淋菌性腟炎などがあり,一般に少女,妊婦,老人に起りやすい。帯下がみられるが,原因や程度によってそれぞれ帯下の色や自覚症状が異なる。治療にあたってはまず原因,誘因を除去することが必要である。抗生物質がよくきく場合が多く,腟洗浄や腟坐薬を必要とすることもある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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家庭医学館

ちつえん【腟炎】
 腟の内側(表面)は、重層扁平上皮(じゅうそうへんぺいじょうひ)という厚い粘膜(ねんまく)でおおわれています。健康な成熟女性の腟内には、デーデルライン桿菌(かんきん)という非病原性細菌が常在しており、この菌は女性ホルモン(エストロゲン)のはたらきによって、腟粘膜の上皮に多量に存在するグリコーゲンという物質を分解し、乳酸をつくります。
 この乳酸によって、腟内は強い酸性(pH4.0前後)に保たれています。一般の病原菌は、酸性の環境では存在しにくいため、強い酸性に保たれているということで、腟内は病原微生物に感染しにくい環境となっているのです。
 ところが、なんらかの原因によって、病原微生物が腟内に侵入して炎症をおこしたり、外陰部やほかの内性器の炎症が腟に波及したりして、腟内にも炎症をおこすことがあります。これを腟炎といいます。
 腟炎をおこす代表的な病原微生物には、トリコモナスなどの原虫(腟トリコモナス症(「腟トリコモナス症(トリコモナス腟炎)」))、カンジダなどの真菌(腟カンジダ症(「腟カンジダ症(カンジダ腟炎)」))、淋菌(りんきん)(淋菌性腟炎)などがあります。
 また、これら特異的病原微生物以外の、一般細菌の感染によっておこる腟炎を、非特異性腟炎(「非特異性腟炎」)と呼び、その原因菌としては、大腸菌(だいちょうきん)、ブドウ球菌、レンサ球菌などがあげられます。

出典:小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

世界大百科事典 第2版

ちつえん【腟炎 vaginitis】
腟粘膜の炎症性疾患をいう。原因には,細菌,真菌,原虫,ウイルスなどの感染によるもの,化学的(薬剤など),機械的(異物など),物理的(温熱など)の刺激によるもの,腟粘膜の抵抗力の減弱によるものなどがあり,そのほか種々の因子発病に関与している。帯下(おりもの)の増量,帯下の黄色化,血性帯下の出現悪臭などが共通した症状としてみられる。しかし原因により好発年齢や症状にそれぞれ特徴がみられる。日常多くみられるものとして,成熟婦人でのトリコモナス(原虫)腟炎,妊婦,抗生物質服用者や糖尿病患者でのカンジダ腟炎(腟カンジダ症)があり,小児や老人では腟の自浄力が弱まるために起こる腟炎などがあげられる。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

腟炎
ちつえん
帯下(たいげ)(おりもの)を主症状とする腟粘膜の炎症性疾患で、種々の原因によっておこる。病原体としては、淋(りん)菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌、緑膿(りょくのう)菌などの細菌をはじめ、腟カンジダ、腟トリコモナス、マイコプラズマ、クラミジアなどがあり、ほかに結核、梅毒、ジフテリア、腸チフス、麻疹(ましん)など伝染病の一部分症としておこる場合もある。とくに、閉経後の女性や小児の場合は腟粘膜が薄く、抵抗力が弱いため、腟炎にかかりやすい。また、外陰炎と合併しやすく、外陰腟炎とよばれる。
 一般的な症状としては、帯下が多くなり、ときには膿性や血性の場合もあり、多くは悪臭を伴う。真菌のカンジダによる腟炎の帯下は、酒粕(さけかす)様の特徴があり、かゆみが強い。原虫のトリコモナス腟炎ではかゆみがなく、帯下は水様性で、汚れが強くて腟内に泡立ちがみられる。また、腟炎は混合感染の場合も多い。市販の抗生物質の腟錠を挿入して治ることもあるが、早期に産婦人科医の診察を受けるべきである。
 腟炎一般の予防としては、局部の清潔を保つほか、タオル、下着、洋式便器、公衆浴場などにまで配慮し、汚染を避けるようにする。[新井正夫]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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六訂版 家庭医学大全科

腟炎
ちつえん
Vaginitis
(感染症)

どんな感染症か

 腟に起こる感染症の総称です。原因微生物としては、腟トリコモナス原虫、カビ、大腸菌などが比較的多いのですが、最近、腟に常在していて腟を清浄に保つために必要な乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)が、複数の菌に追いやられた結果発症する、細菌性腟症という病気の存在がわかってきました。

 時には異物、たとえば生理用タンポンの取り忘れなどが原因になっていることもあります。

 また、高齢で卵巣ホルモンの分泌が低下するため、腟の清浄作用が低下し、いろいろな菌の増殖を許してしまって腟炎(萎縮性腟炎)を発症する場合もあります。

症状の現れ方

 症状は帯下(たいげ)(おりもの)の増加で、黄色っぽく、時に悪臭を伴います。このような帯下は、外陰(性器の外側の部分)の粘膜を刺激して外陰炎を発症し、かゆみや痛みをもたらします。腟の粘膜も発赤し、ひどくなると出血してきます。

検査と診断

 腟の分泌物を顕微鏡で観察し、炎症反応(白血球が多く出現する)やその原因となった病原体を検出したり、時には培養したりして特定します。

治療の方法

 まず原因を探し、これを取り除きます。たとえば、腟炎のひとつ腟トリコモナス症では、顕微鏡で小さい原虫であるトリコモナスが発見されたら、腟トリコモナス症に有効な薬剤を腟内に投与したり、経口薬を服用します。幸い、腟トリコモナス症には有効な薬剤がありますが、パートナー間で感染するので、治療は2人で行ったほうが再発する頻度が少なくなります。

 カビによる腟炎は、抗カビ薬の腟内投与を行い、外陰部には抗カビ薬の入った軟膏を塗ります。萎縮性腟炎の場合は、腟内の菌を殺す一方、腟の粘膜を強化するため、ホルモン薬を投与します。

 異物として時々みられるのが、生理用タンポンの取り忘れです。悪臭のある帯下が持続しますが、これを除けばすぐに治ります。

病気に気づいたらどうする

 帯下の増加は子宮がんのような悪性病変でも起こるので、色のついた帯下がある時は産婦人科を受診してください。

 一方、帯下の原因のひとつを構成しているものに、子宮頸管からの粘液分泌があります。これはホルモンの消長とともに変化します。月経と月経の中間で透明な帯下が増えることがありますが、これはホルモンの作用によるものなので心配ありません。

川名 尚

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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