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膝半月板損傷

EBM 正しい治療がわかる本

膝半月板損傷
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 膝(ひざ)の関節を構成する大腿骨(だいたいこつ)(太ももの骨)と脛骨(けいこつ)(すねの骨)の間には、半月板(はんげつばん)と呼ばれる線維軟骨(せんいなんこつ)があり、圧力を分散して関節軟骨を保護するクッションの役割を果たしています。半月板は半月の形をしていて、膝の内側と外側に一つずつあります。
 なんらかの原因で半月板の一部を損傷すると、痛みを覚え、膝の曲げ伸ばしができなくなります。
 10~30歳代ではスポーツで損傷することが多く、40歳以降では立ち座りの動作や階段昇降などによって生じる軽微な外傷や、加齢変化により自然に損傷がみられることもあります。日本人に比較的多いのですが、生まれつき、外側の半月板が、中心に穴がない円盤状である場合は、学童期に自然に切れることもあります。
 断裂した半月板の一部が骨の間に挟まった状態になると“ロッキング”といって膝が完全に伸びきらなくなったり、引っかかったりするようになって、激しい痛みを伴います。この状態になると、膝に力が入りません。関節内でぎしぎし、ごりっといった異常音が聞こえることもあります。
 また“膝折れ現象”といって、歩いているとき急にがくんと膝から力が抜けることもあります。
 慢性化した場合は、運動したときや歩いたとき、あるいは立ち上がったときなどに膝が痛むようになります。
 しばしばみられる合併症として、関節を安定させている前十字靱帯(ぜんじゅうじじんたい)の損傷や、膝に水がたまる関節水症(かんせつすいしょう)もよくみられます。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 スポーツで急な方向転換をしたり、ジャンプの着地や素早く膝を曲げ伸ばししたりした場合に、また、階段の昇降をくり返す、少し高い場所から飛び降りるなどの行為で圧迫やねじれといったストレスが加わって半月板を損傷することがあります。
 外側半月板を損傷する場合は単独損傷が多く、内側半月板を損傷する場合は靭帯損傷を伴う場合が多くなります。靭帯損傷を伴うような場合には、タックルやジャンプなど受傷した原因や経緯がはっきりしている場合がほとんどです。半月板はレントゲンに写らないため、診断にはMRIや関節鏡検査(かんせつきょうけんさ)が有効です。

●病気の特徴
 サッカー、バスケットボール、バレーボール、体操、スキーなどの競技を行う選手にしばしばみられる症状です。またお年寄りでは、正座をしたり坂道を下りたりするときなど、なにげない日常動作のときに損傷することもあります。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]大腿四頭筋(だいたいしとうきん)とハムストリングを鍛える
[評価]☆☆
[評価のポイント] 太ももの前側にあって、膝の伸筋(しんきん)(伸ばす筋肉)である大腿四頭筋と、太もものうしろ側にあって膝の屈筋(くっきん)(曲げる筋肉)であるハムストリングを強化し、膝の安定を強化することは、膝半月板損傷の治療の目的の一つといわれています。専門家の意見と経験から支持されている方法です。

[治療とケア]装具をつける
[評価]☆☆
[評価のポイント] サポーターなどの装具は大腿四頭筋の力が弱く、膝が不安定なときに使用すべきでしょう。専門家の意見や経験から支持されている方法です。

[治療とケア]テーピングをする
[評価]☆☆
[評価のポイント] 急に痛みだしたり、患部が腫(は)れたりしている場合は、膝に過度の負担をかけるような行動は避けることが必要です。このことから症状に応じてテープを巻いて固定することも有効な方法でしょう。専門家の意見や経験から支持されている方法です。

[治療とケア]関節鏡下(かんせつきょうか)で半月板切除術(はんげつばんせつじょじゅつ)を行う
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 膝の周囲を小切開し、そこから関節鏡(内視鏡)や器具を挿入して、半月板を切除します。膝の痛み、腫れ、脚が動かしにくい、歩行障害などの症状が強い、関節内出血がある、関節の浮腫(ふしゅ)が長く続く、半月板損傷が関節軟骨までおよんでいる場合などは、手術が勧められます。半月板の全切除と部分切除がありますが、長期間での臨床的な予後を比較すると、全切除でも部分切除でも違いはないことが臨床研究によって示されています。しかし、短期間での症状の回復、機能の改善に関しては、部分切除のほうがよいといわれています。(1)

[治療とケア]関節鏡下で半月板縫合術(はんげつばんほうごうじゅつ)を行う
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 膝の周囲を小切開し、そこから関節鏡や器具を挿入して、半月板の断裂している部分を縫合します。半月板切除術と比較して、どちらが勧められるかについては信頼性の高い臨床研究はありません。しかし、関節包周囲(かんせつほうしゅうい)の辺縁部は血行があるので、この部分が断裂している場合は縫合術でもよいとの考えを示す臨床研究があります。(1)(2)

薬物療法はありません


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
まずは装具や消炎鎮痛薬などでようすを見る
 膝半月板損傷との診断が確定したら、そのまま経過を観察するか、手術するべきかを判断します。
 有効性を実証した信頼性の高い臨床研究はあまりありませんが、テーピングやサポーターなどの装具の装着、消炎鎮痛薬などをまず試みて、症状が速やかに改善するかどうかみるのが一般的でしょう。
 症状が改善するようであれば、定期的な検査を行いながら経過を観察します。一方、症状が改善しない、あるいはさらに痛みが増すなど悪化する場合には、漫然と放置することなく、手術を検討することになります。

症状が強い場合は手術を
 当初から痛みが激烈で、膝関節が腫れて運動が著しく制限される場合などには、関節鏡下の半月板切除術ないし半月板縫合術を行います。どちらの手術が望ましいかについては、半月板損傷の部位や程度、整形外科医の経験などから決定されます。

太ももの筋肉を鍛える
 手術の有無にかかわらず、膝を伸ばす筋肉(大腿四頭筋)と膝を曲げる筋肉(ハムストリング)を強化し、膝関節の安定性を高める本人の努力が必要です。

(1)Howell JR, Handoll HH. Surgical treatment for meniscal injuries of the knee in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2000;(2):CD001353.
(2)DeHaven KE. Open meniscus repair. Techn Orthop. 1993;8:63-69.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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