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臍帯血移植【さいたいけついしょく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

臍帯血移植
さいたいけついしょく
cord blood transplantation
血液細胞の元になる幹細胞を含む臍帯血を保存しておき,白血病や再生不良性貧血などの患者移植する方法。現在行われている骨髄移植では提供者 (ドナー) が少いうえ適合する確率も低く,さらに採取の際のドナーに対する身体的負担が大きいなど問題が多い。臍帯血の場合は,従来破棄されてきた出産時の胎盤から採取するためそうした問題も起きない。 1990年代以降,欧米では臍帯血バンクが設立されるなど本格的な取組みがなされており,日本でも兄弟間での移植が行われ,公的医療保険の適用も決った。ただし臍帯血の1回の採取量は 70~80ccにすぎないうえ,移植対象者は小児に限られる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

さいたいけつ‐いしょく【×臍帯血移植】
白血病再生不良性貧血など血液の病気の治療法の一。産後は不要になる、胎児胎盤をつなぐ臍帯(へそのお)と胎盤にある血液を患者に移植する。血液細胞を造る造血幹細胞を多く含み、患者の造血機能を高める。CBT(cord blood transplantation)。臍帯血幹細胞移植CBSCT)。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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内科学 第10版

臍帯血移植(造血幹細胞移植術)
(1)臍帯血移植の特徴と現状
 同種造血細胞移植が必要な患者で血縁ドナーが見つからない場合,適切なドナーあるいは臍帯血ユニットを見つけるために,骨髄バンクとともにさい帯血バンクの利用が可能となっている.先行して普及した非血縁ドナーからの骨髄移植とともに臍帯血移植は一般的な治療選択肢となっており,近年は国内で毎年1000例以上が実施されている.
 当初は必要細胞数が少なくてすむ小児がおもな対象とされたが,近年は成人に対する移植例が増えており,15歳以上が患者全体の8割を占めている.急速に普及した理由としては,供給の迅速性にすぐれているため適切な時期に移植が可能であり,移植片対宿主病(graft-versus-host disease:GVHD)が重症化しにくいこと,HLA(human leukocyte antigen:ヒト白血球抗原)が厳密に一致していなくても比較的安全に移植が可能であり,相対的に少ないドナープールで多くの移植適応患者をカバーできる点,などがあげられる.一方で,生着不全の危険性が高いこと,造血回復に時間がかかるため移植後に感染症の発症率が高いこと,などが問題となっている(表14-8-2).
(2)臍帯血に含まれる造血幹・前駆細胞,および免疫細胞の特徴
 臍帯血移植では骨髄移植の約1/10程度の造血幹細胞数で移植が成り立つが,これは骨髄に比べ臍帯血中に未熟細胞が高頻度に存在することによると考えられている.臍帯血由来の未熟細胞のテロメア長が骨髄細胞に比べて長いことや,細胞回転が遅く非分裂期の細胞の割合が多いことなど,骨髄中の造血幹・前駆細胞とは明らかな質的な違いが存在する.
 一方で,臍帯血中のTリンパ球,特に細胞傷害性T細胞(cytotoxic T lymphocyte:CTL)のアロ反応性が成人細胞に比べて低いことは,臍帯血移植では骨髄移植に比べHLA不一致の許容範囲が大きいことの理由の一部であると考えられている.ほぼすべてのT細胞の細胞表面マーカーがナイーヴ型を示すこと,成人Tリンパ球に比べてT細胞受容体からのシグナル伝達機能が抑制されていることやサイトカイン産生能が低いこと,グランザイムやパーフォリン発現低下による細胞傷害活性の減弱,なども明らかになっている.一方,臍帯血中のBリンパ球もTリンパ球と同様に未成熟な表現形質を示すが,NK細胞は機能的に成熟しており細胞傷害活性は成人のものと変わらない.
(3)どのような臍帯血を選ぶべきか
 臍帯血ユニットを選択する場合,日本さい帯血バンクネットワークのホームページ上で患者体重およびHLA型などを入力すると,HLA-A抗原,-B抗原,-C抗原の合計6抗原中,不一致抗原数が2抗原以内の臍帯血が候補として現れる.有核細胞が患者体重1 kgあたり2×107以上の臍帯血を選択することになるが,この中でも細胞数がより多いものを選択する.検索画面からは有核細胞数のほかに,CD34陽性細胞数とコロニー数をみることができるが,CD34陽性細胞数と移植後の造血回復速度との関連を示す報告が多い.骨髄移植と異なり,成人患者の場合はHLAの一致度は移植成績に影響しない傾向が強いため選択の際には細胞数を優先するが,抗HLA抗体陽性の場合は生着に負の影響を及ぼすため,抗体が対応する不一致抗原を含まない臍帯血を選択すべきである.
(4)臍帯血移植の方法
 前処置や免疫抑制など移植の方法は,骨髄移植と基本的には変わらない.比較的高齢患者が対象の場合には,治療関連毒性の軽減目的で強度を軽減した前処置法も用いられているが,移植後再発のリスクは高くなる.また,骨髄移植・末梢血造血幹細胞移植に比べて臍帯血移植の場合は,造血回復・免疫再構築の立ち上がりが遅い傾向にあるため,感染症対策は厳重に行う必要がある.一方,重症GVHDの発症頻度は低く,移植後の免疫抑制剤は比較的早期に減量可能となる傾向がある.
(5)臍帯血移植の成績
 臍帯血移植の成績を非血縁骨髄移植と比較してみると,臍帯血移植後の生存率は非血縁骨髄移植とほぼ同等,あるいは若干不良である.2009年にわが国から報告された成人の急性白血病患者に対する初回移植として標準強度の前処置を用いた場合の2年無病生存率は,急性骨髄性白血病では臍帯血移植36%,骨髄移植では54%で骨髄移植が統計学的に有意に良好であったが,急性リンパ性白血病患者に対する移植では,臍帯血45%,骨髄51%と有意差は認めなかった(Atsutaら,2009).急性骨髄性白血病では,臍帯血移植後早期の非再発死亡率が高いことが生存率低下の主因であった.臍帯血移植の対象疾患は急性白血病が約半数を占めており,ほかの疾患でも移植成績は急性白血病とほぼ同様である.[高橋 聡]

出典:内科学 第10版
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