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自己組織化【じこそしきか】

知恵蔵

自己組織化
秩序に向かう自然界の流れ(熱力学第2法)に逆らい、系がエネルギーを取り込みながら自分を組織だて、秩序を生むこと。結晶生成化学反応リズムなどさまざまな場面でみられ、体表の模様づくりなど生物界でも目立つ。系を形づくる要素同士の働き合いがを握る。カオスなどと並んで複雑系科学の主役ナノテクノロジーに利用して量子点(量子ドット)をつくる試みなどもある。
(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

デジタル大辞泉

じこ‐そしきか〔‐ソシキクワ〕【自己組織化】
一見、複雑で無秩序な系において、自律的に形成される秩序だったパターン。いずれも外部からの意図的な制御なしに、基本的な物理法則に則って時間的・空間的秩序が形成され、また、維持される。ベナール対流結晶成長ベロウソフジャボチンスキー反応心筋律動ニューラルネットワーク構築をはじめ、物理学化学生物学、情報科学など、幅広い分野で見いだされ、いわゆる複雑系に現れる特徴の一つに挙げられる。自発的秩序形成

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

じこそしきか【自己組織化】

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

じこそしきか【自己組織化】
生命の発生や社会構造の成立に見られるように、混沌状態から複雑な構造が自律的に形成されてゆくこと。循環や自己言及などの哲学的問題ともかかわりをもつ。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

自己組織化
じこそしきか
self-assembly
外からの指令なしに,自律的に秩序が形成される現象。化学においては,分子の性質に応じて安定的な構造が自然につくられること。自然界において生物が外部からの助けなしに細胞組織を構築するのは自己組織化によるものである。自己組織化のようなボトムアップの手法は,ナノテクノロジーでつくる構成要素のサイズが小さくなるほど重要性が増す。すでに,特定の原子の集まりから,複雑な構造物までを自己組織化で構築する研究が行なわれており,逆ミセルや量子ドット,カーボンナノチューブの形成などに利用されている。逆ミセルとは,脂質分子が親水性末端を内側に向けて集合した小球をさし,半導体材料や磁性材料となる均一なサイズのナノ粒子を生成するために開発された。量子ドットとは,ヒ化インジウムガリウム InGaAsなどの半導体原子が数百個から数千個集まった小さな構造体で,トランジスタなどへの利用が期待される。InGaAsの量子ドットは,ヒ化ガリウム基板の表面に,InGaAsの薄層を気相成長させる過程でひずみを利用することで自然に形成される。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)

自己組織化
じこそしきか
self-organization
パターン形成の仕組みを理解するために、物理学、化学、生物学、情報科学などに広く用いられる概念。無秩序状態の系において、外部からの制御なしに秩序状態が自律的に形成されることをいう。ここで「外部からの制御なしに」とは、外部から細かく手を加えてパターンを作成するような作用がないということを意味する。そういったパターンを特定するような性質をもたない単純な作用、たとえば系が一様に熱せられるといった作用を受けている状態で、系自体がもつ機構によって時間的・空間的パターンが形成される場合は自己組織化といえる。
 自己組織化の理論は様々な研究領域で分散して考察される、分野を越えた一つのテーマとなっている。物理学・化学の分野で自己組織化の概念が用いられる例としては、結晶形成、多数の原子が位相を揃えた波を放出するレーザー、水平な液層が下から加熱されることによって六角形の格子が生じるベナール対流、硫酸中にいくつかの物質を溶かしたときに同心円状や螺旋状のパターンが形成されたり色が規則的に変わったりするベルーソフ・ジャボチンスキー反応などの無機的現象やリポソーム(脂質人工膜)の形成などが挙げられる。また、生物学では粘菌の再生などの有機的現象、地球物理学では地震や気象におけるパターン形成のような巨大な現象がある。こうした諸分野よりも抽象的なレベルで自己組織化を考察する、メタ科学的な領域として、セルラー・オートマタ(簡単なルールをもつセルが相互作用により全体として複雑な振る舞いをする系)などを扱う情報理論、生命の基本原理を論ずるシステム論などが挙げられる。自己組織化という概念は、こういった多様な例にみられる秩序形成の機構を理解するための枠組みだといえる。
 自己組織化の理論は上記のようにメタ科学的な性格をもつが、そういった科学の方法が広く受け入れられるようになったのはアメリカの数学者ウィーナーが1940年代に提唱したサイバネティックスの役割が大きい。サイバネティックスでは、生体組織についても情報理論、統計力学的なアプローチが有効であることを示した点で自己組織化理論の源流の一つといえる。50年代から60年代、サイバネティックスの方法による生物、物理、化学分野での探求が進むにつれ、観察者自身も考察の対象に含んだサイバネティックスを打ち立てることが求められ、「自己」と関連する諸概念の探求が開花した。そのなかで自己組織化の概念が様々な分野で研究され始める。初期のサイバネティックスはネガティブ・フィードバックによって系を安定に制御するという構図を打ち出したが、ウィーナーの『サイバネティックス』Cybernetics第2版(1961)では、自己組織化が振動系の引き込み現象として論じられるという進展を示している。
 第二世代のサイバネティックス研究で特筆すべきなのは1958年にハインツ・フォン・フェルスターHeinz Von Foerster(1911―2002)が設立したイリノイ大学の生物コンピュータ研究所の活動である。フェルスターはウォーレン・マカロックWarren McCulloch(1899―1969)、ウィリアム・ロス・アシュビーWilliam Ross Ashby(1903―72)、ウンベルト・R・マトゥラーナHumberto R. Maturana(1928― )らを招き、因果の円環的連鎖の問題、自己言及性の問題、偶然性が組織化に果たす機能などを研究した。アシュビーは自己言及のパラドックスに由来する純粋な自己組織化の論理的不可能性を提起し、フェルスターは自己言及の閉じた輪から脱出するためにノイズからの秩序の産出を論じた。一方、マトゥラーナはあくまで自己言及の円環に留まり、1970年代にフランシスコ・バレラと共に、閉じた作用回路によって生命を考察するオートポイエーシス理論を築き上げた。
 70年代以降の自己組織化理論の中心的な主題は、非平衡系においてエネルギーの流入によってエントロピー増大が避けられ、ゆらぎから秩序が形成されるということであるが、その理論は1970年代の非線形非平衡熱力学の新展開、特にイリヤ・プリゴジーヌの業績に由来する。プリゴジーヌは、平衡状態から十分隔たった系は外部からエネルギーと物質の供給を受けている限り、非線形的なポジティブ・フィードバックにより、ゆらぎがかき消されず全体の秩序形成が起こることを示し、このような構造を散逸構造と呼んだ。この自己組織化研究の革新は、ハーケンHerman Haken(1927― )によるシナジェティクス(多数の自由度をもつ非線形系において、各部分は隷属原理によって少数の大局的な秩序パラメーターに支配されているということを利用して、自己組織化現象を解析する理論)研究やアイゲンのハイパーサイクル(複数の自己触媒系が連結し、円環となって作動するシステム。自己維持、自己複製の機構を示すモデルとなっている)研究と呼応し、また、上述したように様々な分野における秩序形成研究を生んだ。[加藤茂生]
『ノーバート・ウィーナー著、池原止戈夫ほか訳『サイバネティックス――動物と機械における制御と通信』第2版(1962・岩波書店) ▽ヘルマン・ハーケン著、牧島邦夫・小森尚志訳『協同現象の数理――物理、生物、化学的系における自律形成』(1980・東海大学出版会) ▽G・ニコリス、I・プリコジーヌ著、小畠陽之助・相沢洋二訳『散逸構造』(1980・岩波書店) ▽M・アイゲン、R・ヴィンクラー著、寺本英ほか訳『自然と遊戯――偶然を支配する自然法則』(1981・東京化学同人) ▽I・プリゴジン、I・スタンジェル著、伏見康治・伏見譲・松枝秀明訳『混沌からの秩序』(1987・みすず書房) ▽G・ニコリス、I・プリコジン著、安孫子誠也・北原和夫訳『複雑性の探求』(1993・みすず書房)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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化学辞典 第2版

自己組織化
ジコソシキカ
self assembly

分子がファンデルワールス力などによって自発的に集合し,規則正しく整列した組織を形成すること.この現象を利用してつくられるラングミュア-ブロジェット膜(LB膜)は,1970年代ごろから界面化学の分野で研究が行われている.LB膜は水面上に展開・圧縮して形成させた単分子膜を,ガラス基板などに繰り返し移しとることによって作成される.この方法は,配向した多層膜を容易に作成することができる.また,水溶液中でAuなどの単結晶の表面にアルカンチオールを作用させると,アルキル鎖の相互作用により,規則正しくアルカンチオールが配列し,自己組織化単分子膜(self-assembled monolayer:SAM)を形成することが知られている.この際,Auとアルカンチオールは物理吸着するだけでなく化学的な結合が形成されるため,安定な単分子膜を得ることができる.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
東京工業大学名誉教授理博 海津 洋行(編集)
東京工業大学元教授学術博 梶 雅範(編集)
東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
東京工業大学名誉教授理博 脇原 將孝(編集)

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