●自然発生説【しぜんはっせいせつ】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
自然発生説
しぜんはっせいせつ
theory of spontaneous generation
出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
世界大百科事典 第2版
しぜんはっせいせつ【自然発生説】
出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.
日本大百科全書(ニッポニカ)
自然発生説
しぜんはっせいせつ
生物が親なしにも生じうる、いわば自然にわいて出ることが可能であるという考え。偶然発生説ともいう。たとえば、腐った肉からウジがわき、湿った土からカエルやネズミが生じるということは、洋の東西を問わず古代の人々の通念であり、最古の動物分類大系といわれる紀元前のインドのそれは、動物を、子宮から生まれるもの、卵から生まれるもの、湿気と熱から生まれるもの、野菜から生まれるもの、というように、その発生の仕方で四つに分類している。このような考えは、かならずしも彼らの世界観からの結論ではなく、ウジやカエルが突然肉や土中から現れてくるという、むしろ素朴な観察から確認された結論といえる。それゆえ、神による創造説を信じながら、自然発生説もまた素朴な信念として、その後も広く行き渡っていた。それと同時に、この世界には生命の要素(胚種(はいしゅ))が広がっており、それによって無機物が組織されて生物になるという生気論的世界観と結び付いた自然発生説も存在した。近代に入って何度も行われた自然発生説をめぐる論争は、この生気論的世界観と機械論的世界観の対立であったといえる。
自然発生説に対する最初の実験的否定は、17世紀にイタリアのレーディF. Redi(1626―97)によってなされた。彼は、肉を入れた容器を布で覆っておけばウジが発生しないことを示し、ウジの出現にはハエが卵を産み付ける必要があることを示した。その後、生物の複雑な構造が明らかにされたこととも相まって、高等生物の自然発生は信じられなくなった。しかし、そのころ、レーウェンフックにより微生物の存在が確認され、18世紀に入ってからは問題は微生物の自然発生に移される。この論争は、19世紀後半に、パスツールが巧妙な実験で、微生物の自然発生は空気中の胞子が侵入して繁殖することにほかならないことを証明するまで続いた。
このように、自然発生説は完全に否定されたが、地球の発展過程の一段階として生起した生命の自然発生まで否定されているわけではない。
[上田哲行]
『パストゥール著、山口清三郎訳『自然発生説の検討』(岩波文庫)』
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
精選版 日本国語大辞典
しぜんはっせい‐せつ【自然発生説】
出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
デジタル大辞泉
しぜんはっせい‐せつ【自然発生説】
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
「自然発生説」の用語解説はコトバンクが提供しています。
●自然発生説の関連情報