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自由貿易【じゆうぼうえき】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

自由貿易
じゆうぼうえき
free trade
国家の干渉を排除した国際商品取引またはその考え方をいい,保護貿易の対立概念。自由貿易の考え方はイギリスの産業革命の過程で,それまで支配的であった重商主義に対する批判として A.スミス,D.リカードらにより理論づけられた。その背景には台頭してきた産業資本による工業品輸出の拡大と,その優位性の確立を目指そうとする要求があった。自由貿易運動が起るなかで,1846年には穀物法が,さらに 49年には航海法がそれぞれ撤廃され,イギリス工業の世界市場進出の基礎が固められた。その後各国で工業が発達し,製品市場や資源の獲得を競い合ってブロック圏の建設を進めたため,自由貿易の理念は放棄されてしまった。第2次世界大戦後はその反省のうえに立って,国際協力のもとで各国経済の進展をはかろうという機運が高まり,自由貿易の理念が再評価された。そして各国協力のもとに国際通貨基金 IMFの創設ガット (関税と貿易に関する一般協定) の締結など制度的にも具体化され,いわゆる貿易の自由化が進むこととなった。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

じゆう‐ぼうえき〔ジイウ‐〕【自由貿易】
国家が輸出入品の禁止・制限、関税賦課・為替管理輸出奨励金などの規制、および保護・奨励を加えない貿易。→保護貿易管理貿易

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

じゆうぼうえき【自由貿易 free trade】
自由貿易とは,国際間の財貨・サービスの取引に際して,各国が原則的に貿易政策や為替政策による政府介入を行わず,市場の価格調整機能に任せることをいう。
[伝統的な自由貿易思想]
 最初の体系的自由貿易論はA.スミスによって重商主義批判として展開され,D.リカードの比較生産費説(比較優位)によって根拠づけられた。こうした理論的背景のもと,自由貿易運動はイギリスにおいて1820年の〈ロンドン商人請願〉をはじめとして20年代に高まった。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

じゆうぼうえき【自由貿易】
国家が商品の輸出入についてなんらの制限や保護を加えない貿易。輸入税・輸入制限・為替管理・国内生産者への補助金・ダンピング関税などのない状態。 → 保護貿易管理貿易

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

自由貿易
じゆうぼうえき
free trade

貿易取引に対する数量制限、関税、輸出補助金などの国家の干渉を廃止し、自由に輸出入を行うこと。これを実現しようとする思想や政策のことを自由貿易主義、自由貿易政策という。

[田中喜助]

自由貿易主義の沿革

自由貿易主義は重商主義的貿易統制政策に対する批判として発生したものであり、その理論はイギリスの古典学派の経済学者によって展開された。古典学派の祖であるA・スミスは、国家に束縛されない個人の自由な経済活動、つまり自由放任主義を主張し、自由主義的な競争こそが生産を増加し、人間の福祉を増進すると考えた。この自由な競争を国際貿易の面に適用し説明したのが彼の自由貿易論であり、国際分業の利益を初めて解明したものであった。これは比較生産費説としてD・リカードにより明確化され、理論的には国際分業の基本原理となり、政策的には自由貿易主義の理論的根拠となった。スミスの『国富論』が出版された当時(1776)から始まった産業革命の進展により、イギリスの工業は急速に発達してきた。さらにいっそうの発展のためには、工業品の輸出を増加し、原料や穀物をより安く輸入する必要があった。しかし、スミスやリカードの時代のイギリスには、重商主義の遺物ともいうべき穀物法、航海法および多数の輸入関税があり、これらを廃止して自由貿易を実現することは容易なことではなかった。

 イギリスの自由貿易は、1820年の「ロンドン商人請願書」、39年の穀物法廃止同盟の結成による自由貿易運動を経過し、60年のW・E・グラッドストーンの関税改革によって完成したもので、その間、約40年の歳月を要している。すなわち、イギリスはナポレオン戦争(1793~1815)後に、歳入増加の必要から巨額な公債発行とともに関税の新設と引上げを実施したが、新興の商工業者はこの関税の負担に耐えられず、関税軽減の請願書を議会に提出した。これが自由貿易運動の原動力となり、さらにR・コブデンやJ・ブライトを指導者とする穀物法廃止同盟による運動が、マンチェスター商工会議所を中心として展開された。これらの努力によりイギリスの政策は自由貿易主義に向かい、その結果、第1回の関税改正(1823~25)、第2回の関税改正(1842~46)が実現するとともに、重商主義政策の二大支柱といわれた穀物法が46年に、航海法も49年に撤廃されるに至った。その後、自由党内閣の大蔵大臣であったグラッドストーンによる53年と60年の大規模な関税改革により自由貿易体制を名実ともに確立し、その後の世界貿易自由化の推進力となった。

 しかし、1929年末に発生した世界的大不況は、自由貿易体制に大きな打撃を与えた。すなわち、大不況に対処するためアメリカをはじめとして多くの国が関税引上げ、貿易制限を実施し、イギリスも32年には保護主義的な一般関税法を制定するとともにイギリス連邦特恵制度を発足させ、ついに自由貿易政策を放棄するに至った。

[田中喜助]

第二次世界大戦後の自由貿易主義

第二次世界大戦後は、1930年代の世界的大不況における関税障壁のエスカレーション、輸入割当てなどのあらゆる貿易制限の導入、それによる世界貿易の激減、市場確保のためのブロック経済化という世界各国の苦い経験の反省から、アメリカの強い指導力のもとに、ガット(GATT)が47年に成立した。自由貿易と最恵国待遇の原則に基づいて世界貿易を発展させることを目的とするガットは、関税引下げとともに貿易に対する数量制限などの非関税障壁の撤廃のため、47年から79年までの間に7回にわたる一般関税交渉を行うことによって保護貿易主義的な動きを食い止め、世界的規模での貿易の自由化を推進してきた。しかし、その後のアメリカ経済の優位性の低下、ヨーロッパ共同体(EC。EU=ヨーロッパ連合の前身)諸国の経済停滞、新興工業国(韓国、台湾、香港(ホンコン)など)による先進工業国への追い上げなどによる保護貿易主義の台頭、国連貿易開発会議(UNCTAD(アンクタッド))によるガット原則修正の要求などにより、ガットに基づく自由貿易体制の危機が叫ばれた。東京ラウンド後の、1986年から始まったウルグアイ・ラウンド(~93)では、関税の引き下げにとどまらず、数量制限をはじめとする非関税障壁の軽減、撤廃など多方面にわたる貿易問題が論じられ、同ラウンドでWTO協定が締結された。そして、そこで合意された成果を実施する正規の機関として、1995年、世界貿易機関=WTOが発足し、ガットはWTOに引き継がれることになった。

[田中喜助]

『北野大吉著『英国自由貿易運動史』(1943・日本評論社)』『藤井茂著『貿易政策』(1977・千倉書房)』『ヘンリー・ジョージ著、山嵜義三郎訳『保護貿易か自由貿易か』(1990・日本経済評論社)』『中村陽一編著『WTO(世界貿易機関)が貿易を変える――ウルグアイ・ラウンド後の日本と世界』(1994・東洋経済新報社)』『新堀聡著『ウルグアイ・ラウンド後の貿易体制と貿易政策』(1994・三嶺書房)』『小島清著『応用国際経済学――自由貿易体制』(1994・文真堂)』『ティム・ラング、コリン・ハインズ著、三輪昌男訳『自由貿易神話への挑戦』(1995・家の光協会)』『鷲見一夫著『世界貿易機関(WTO)を斬る――誰のための「自由貿易か」』(1996・明窓出版)』『秋山憲治著『貿易政策と国際通商関係』(1998・同文舘出版)』『ラッセル・D・ロバーツ著、佐々木潤訳『寓話で学ぶ経済学――自由貿易はなぜ必要か』(1999・日本経済新聞社)』『ダグラス・A・アーウィン著、小島清監修、麻田四郎訳『自由貿易理論史――潮流に抗して』(1999・文真堂)』『服部正治著『自由と保護――イギリス通商政策論史』増補改訂版(2002・ナカニシヤ出版)』『小寺彰・中川淳司編『基本経済条約集』(2002・有斐閣)』『小川雄平編『貿易論を学ぶ人のために』新版(2002・世界思想社)』『佐々木隆雄著『アメリカの通商政策』(岩波新書)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

じゆう‐ぼうえき ジイウ‥【自由貿易】
〘名〙 (free trade の訳語) 国家が外国貿易になんらの規制や保護・奨励を行なわないで、自由に輸出入を放任する貿易。一八世紀後半のイギリスにおいて重商主義的貿易政策に対する批判として、アダム=スミス、リカードらによって唱導された。第二次世界大戦後はガット(GATT)によって推進された。→保護貿易
※民間雑誌‐八編(1875)内地旅行の駁議〈小幡篤次郎〉「ミル氏英国に居て、自由貿易を唱へ、カーレー氏は米国に生て保護貿易を唱ふ」

出典:精選版 日本国語大辞典
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旺文社世界史事典 三訂版

自由貿易
じゆうぼうえき
free trade
保護貿易に対する語で,生産者や商人の自由にゆだねられ,国家の介入・統制を認めない貿易
イギリスのアダム=スミス,フランスのケネーらが提唱資本主義発展とともに推進され,19世紀後半以後,独占資本主義への移行に伴い衰退した。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
執筆者一覧(50音順)
小豆畑和之 石井栄二 今泉博 仮屋園巌 津野田興一 三木健詞
 
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