●自発磁化【じはつじか】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
自発磁化
じはつじか
spontaneous magnetization
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デジタル大辞泉
じはつ‐じか〔‐ジクワ〕【自発磁化】
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世界大百科事典 第2版
じはつじか【自発磁化】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
自発磁化
じはつじか
外部磁界の影響のない強磁性体の内部にひとりでに形成されている磁化。強磁性体内はエネルギーを下げ、より安定な状態を実現するため、多数の磁区とよばれる小さな領域に分かれている。一つの磁区内では、原子の磁気モーメント(原子磁石)は互いに作用し合い(交換相互作用)、量子力学的効果により生まれた分子磁界によって、一つの方向に規則的に整列し、強い磁化を形成している。物質が磁気モーメントをもつことを「磁化する」というが、このように外部の磁界が作用しない状態で、自ら磁化しているとき、その物質のもっている磁化を自発磁化とよぶ。自発磁化の強さは、単位体積あたりの原子がもつ磁気モーメントのベクトル的な総和で表し、単位はWb/m2である。
自発磁化は、温度が絶対零度のとき、最大値をとる。温度の上昇に伴って、原子の熱振動が活発になり、熱振動のエネルギーが原子磁石間の相互作用による結合エネルギーと同等になると、原子磁石は規則的に整列しにくくなる。このため、自発磁化は温度の上昇とともに徐々に減少し、ある温度で消滅する。この温度を、このような現象の研究に功績のあったピエール・キュリーの名を称えて、キュリー温度とよぶ。キュリー温度以上では、原子磁石は各々でたらめな方向を向くため、自発磁化は観察されない。この状態を常磁性という。したがって、どのような強磁性体でも温度を上げれば常磁性体になるが、温度をキュリー温度以下に下げれば、ふたたび自発磁化が観察される強磁性状態に戻る。キュリー温度以下の温度で、外部磁界をかけて、その強さを徐々に増加させると、磁界の方向に自発磁化をもつ磁区が成長し、ついには飽和して単一の磁区になる(磁気飽和)。このとき観察される磁化(飽和磁化)の強さは自発磁化の強さに等しい。自発磁化の大きさは、強磁性体の応用面において重要な因子である。
[永田勇二郎]
『太田恵造著『磁気工学の基礎1、2』(1973・共立出版)』▽『近角聰信著『強磁性体の物理』上下(1978、84・裳華房)』▽『加藤哲男著『技術者のための磁気・磁性材料』(1991・日刊工業新聞社)』▽『島田寛・山田興治編『磁性材料――物性・工学的特性と測定法』(1999・講談社)』
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精選版 日本国語大辞典
じはつ‐じか ‥ジクヮ【自発磁化】
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化学辞典 第2版
自発磁化
ジハツジカ
spontaneous magnetization
強磁性体の一つの磁区を構成している原子あるいはイオンのもつスピンは,交換相互作用によって互いに平行になるとエネルギーが低くなるので,0 K では完全に平行になる.これに伴う磁気モーメントも互いに平行になる.したがって,外部磁場がなくても磁区に磁化をもつので,これを自発磁化という.温度が上昇すると,熱運動で磁気モーメントの平行性は乱されていくので,自発磁化の大きさは徐々に減少し,キュリー温度で消失する.消磁状態の強磁性体が,自発磁化がないようにみえるのは,それぞれの磁区のもつ自発磁化の方向がまちまちなので,互いに打ち消されているからである.反強磁性体は,二つの部分格子がそれぞれ反対方向の自発磁化をもっているので,全体としての自発磁化は打ち消されて0になっている.しかし,部分格子の自発磁化は,強磁性体の自発磁化と同様に,0 K で最大になり,温度の上昇とともに減少し,ネール温度で消失する.
出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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