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自衛権【じえいけん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

自衛権
じえいけん
right of self-defense
国家が自己に対する急迫,不正の侵害を排除するためやむをえず必要な行為を行なう国際法上の権利。これにより他国の法益を侵害することになるが,こうした行為が当該侵害を排除するために必要な限度内であれば違法性は阻却され,賠償などの義務は生じない。歴史的にこうした自衛権は,自然法上の自己保存権と未分化であり,戦争にいたらない程度の武力の行使を正当化する根拠として当初は機能した。その後,1837年のカロライン号事件などを通じて一般国際法上の自衛権の概念が整備された。それによれば,侵略の危険が差し迫っており,ほかに選択しうる手段や熟慮の時間もないなどの急迫性を条件として,国家は反撃手段に訴えることができるとされた。今日,国連憲章51条において認められた自衛権は,以上の意味での自衛権をそのまま確認したものではなく,次の二つの限定を付されている。(1) 自衛権の発動は武力攻撃の発生を要件とすること,(2) それは安全保障理事会が国際の平和と安全の維持に必要な措置をとるまでの暫定的なものであり,国家はみずからが行なった措置につき同理事会に対して報告義務を負うことである。なお国連憲章51条は,武力攻撃を受けた国が防衛のため武力に訴える個別的自衛権にならび,被攻撃国と密接な関係にある他国が反撃する集団的自衛権も,国家の固有の権利として認めている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

じえい‐けん〔ジヱイ‐〕【自衛権】
国際法上、自国または自国民の権利や利益に対する急迫不正の侵害を排除するため、国家がやむを得ず必要な限度内で行う防衛の権利。→個別的自衛権集団的自衛権

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

じえいけん【自衛権 right of self‐defense】
一国が外国からの不法な武力攻撃から自国の法益を守るために,緊急やむをえない場合,それを排撃する行為を自衛といい,それが必要の限度を越えないかぎり,国際法上合法なものとみなされる。これを自衛権という。 自衛権が国際法上の概念として提起されたのは,第1次大戦以後のことであり,それ以前には特定の武力行使を〈自衛〉と定め,それを合法化する必要はなかった。中世から近世初頭の正戦論の時期には,正当原因のある戦争は合法であったし,また18世紀半ば以降の無差別戦争観の時期には,主権国家が国際法の手続に従って戦争を行うかぎり,それは一般に自己保存権と呼ばれ,合法とみなされたからである。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

じえいけん【自衛権】
外国からの違法な侵害に対して自国を防衛するために緊急の必要がある場合、それに反撃するために必要な限度で武力を行使する権利。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

自衛権
じえいけん
right of self-defense
外国によって、自国の権利や利益が違法に侵害されたとき、国家がこれを防衛するために必要な措置をとる権利。国内刑法が正当防衛を違法性阻却事由とするのと対応して、もともと国際法では平時法上の権利として確立した。すなわち、外国による侵害に対して、これを防衛する緊急やむをえない必要があり、かつ侵害の程度と均衡を失しない限り、防衛のための措置は、本来、国際法上違法なものであっても、その違法性が阻却されるものとされた。その例としてはカロライン号事件が有名である。1837年イギリス領カナダの反徒を乗せたアメリカ船カロライン号をイギリス軍隊がアメリカ領で急襲した事件で、イギリスがこれを「自衛および自己保存」の必要に基づく行為として正当化したのに対し、アメリカは、武力行使が自衛のものと認められるためには、必要性と緊急性の証明を要するのみならず、その手段も必要な限度内のものでなければならないと述べた。
 このように自衛権が必要な限度内で認められるとされてきたのは、戦争そのものが自由とされた古典的国際法を背景としてであった。力の無限界的行使たる戦争が自由である以上、自衛権は戦争状態に至らぬ平時法上の関係でのみ意味をもつ概念であった。しかし、第一次世界大戦後、戦争そのものが国際法上で違法とされるようになると、自衛権はむしろ、戦争または武力行使の違法性の阻却される事由として重要な概念となる。たとえば、1928年の不戦条約で戦争が一般に禁止されたときも、自衛権の行使は戦争禁止のなかに含まれないことが各国によって了解された。
 国際連合憲章は第51条で「武力攻撃が発生した場合に」「個別的又は集団的自衛の固有の権利を」認めるとしている。もっとも、それは「安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間」に限られ、また、「自衛権の行使に当つて加盟国がとつた措置は、直ちに安全保障理事会に報告」すべきものとされている。この定式は、たとえば日米安全保障条約(前文・第5条)など多くの条約のなかに採用され、いわば普遍的に諸国によって受け入れられているといってよい。学説のなかには、武力攻撃が発生した場合に限らず、武力攻撃の差し迫った段階で先制攻撃を行うことも、また外国領域内の自国民の生命・財産に対する組織的兵力によらない侵害に対して自衛権を行使することも認められるとするものもないではない。しかし戦争や武力行使の禁止に対する例外は厳格に解釈すべきもので、このように憲章の文言を離れた解釈をとることは適当でない。
 日本国憲法第9条は戦争放棄を定めるが、自衛権についてはまったく触れられていない。自衛権は放棄されていないとみるのが、政府および多数の学説の解釈である。もっとも、自衛権を実効的に行使する手段として軍事力を保有することが憲法上許されるかどうかは別の問題である。政府は自衛権に基づく戦争や武力行使は違憲でないという解釈をとり、そのために必要最小限の軍事力を保有することも差し支えないとしているが、多数の学説はむしろこれに反対している。[石本泰雄]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

じえい‐けん ジヱイ‥【自衛権】
〘名〙 外国からの急迫不正な侵害に対し、必要最小限度の実力を行使して自国および自国民を防衛する権利。国家のもつ国際法上の基本権の一つとされる。〔英和外交商業字彙(1900)〕

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