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自閉症【じへいしょう】

知恵蔵

自閉症
脳の機能障害あるいは成熟の遅れが原因と考えられている障害。乳児期から他者視線が合わない、あやしても笑わないなど、愛着行動の遅れが見られる。しかし、親や世話をしてくれる人に愛着を示すようになり、人を拒絶しているわけではない。特徴としては、幼児期には表情の乏しさや反応の少なさなどが見られ、また、他の子供に無関心で遊びに加わらない、言葉の遅れや他人の言葉を繰り返す(反響言語)、抑揚のない話し方、などがある。こだわりが強くて生活上のパターンの変化を嫌がり、儀式的な行動が見られる。通常、3歳くらいまでに特有の症状が出現するが、年齢によってその現れ方は変化する。幼児期からの自閉症療育で、成長してからの状態が改善するが高くなる。
(田中信市 東京国際大学教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

朝日新聞掲載「キーワード」

自閉症
先天的な機能の障害で、原因はよくわかっていない。自閉症を中心とした広汎(こうはん)性発達障害の人は、人口の1%前後いると推計されている。会話などのコミュニケーション力や、他人の気持ちを推し量る力に乏しいなどの特徴がある。適切な支援教育などで生きやすく暮らすことができる。
(2016-11-19 朝日新聞 朝刊 広島1・2地方)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

じへい‐しょう〔‐シヤウ〕【自閉症】
幼児期に明らかになる広汎性発達障害の一。対人関係への無関心(社会性の障害)、言語・コミュニケーション障害、同一動作の繰り返し(こだわり行動)などを示す。原因は特定されていない。幼児自閉症小児自閉症自閉性障害。→自閉症スペクトラム
自閉

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

自閉症
 現実世界から意識的に隔離し,自己の世界に閉じこもる精神症状.統合失調症精神分裂病患者の一つの特徴とされる.

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

じへいしょう【自閉症 autism】
精神医学で扱う自閉症には二つの場合が含まれる。すなわち,(1)精神分裂病に多く現れる症状,(2)幼児・学童にみられる重篤な対人関係障害と特異な行動異常を主徴とする症候群,の二つである。 E.ブロイラーは,従来早発痴呆と呼ばれていた精神病を観念の流れの連合の弛緩と感情における両価性(アンビバレンス)が基本症状であるとして精神分裂病と命名したのであるが,そのさい彼は,頭からすっぽりシーツをかぶり,人を避けるように壁に向かって頭を下げ,目をつぶっている重症の分裂病患者をモデルに〈内的生活の比較的あるいは絶対的優位を伴う現実離脱〉を自閉(症)と名づけた。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

自閉症
じへいしょう

幼児自閉症infantile autismまたは小児自閉症childhood autismともいう発達障害で、広範かつ重篤な全人格的発達障害pervasive developmental disorderの中核的存在とされる障害。出生からほとんど例外なく30か月以内にみいだされる症候群で、現時点ではまだ原因不明であるが、おそらくは生来性のハンディキャップによるものらしいというのが、現在国際的にほとんど一致した見解である。したがって、どのような意味でも生後に発病するものではない。

 聴覚ならびに視覚刺激に対する反応は異常であり、通常、話されたことばの理解に重篤な困難がある。言語の発達はほとんど認められない場合もあれば、通常の場合より遅れることが多く、発達する場合でも反響言語(おうむ返し)やそれに基づく代名詞の反転(あなたと私が逆になったりする)、未熟な文法的構文および抽象語を用いることの稚拙(ときに不能)などによって特徴づけられる。ほかの障害児では、たとえば、ことばによるコミュニケーションが障害されている場合にはなにか他の方法(身ぶりなど)でコミュニケートしようとする努力が認められるが、自閉症児の場合にはそういうことを行おうとするところに大きな障害があって、できないわけである。こうした人間関係の障害は5歳以下の場合もっとも重篤であり、それには、まなざしをあわせること、社会的な触れ合い、および他児(他人)との共同の遊びなどを行う発達が妨げられることも含まれる。また奇妙な儀式的なふるまいがよくみられ、それには異常な一定のパターン、変化に対する抵抗、奇妙な物体や生物などに対する愛情、恐れや遊びの常同的パターンなどが含まれる。

 抽象的または象徴的思考や想像的遊びの能力は低い。知能は著しい低格から正常またはそれ以上の限られた面の優秀さを示すことがあるが、平均すると水準以下に機能している。また行動は通常、単純記憶や視覚空間的技能を要するもののほうが、象徴的ないし言語的技能を要するものよりも優れているし、この傾向は前述の知能についてもいえる。

 原因はまだ不明であるが、おそらくは脳に器質的ななにかがあるに違いないという考え方に変わってきている。頻度はだいたい児童人口1万に対して3人か4人といわれていたが、自閉症概念の変化とともに若干大きい数字になっていると考えてよい。男女比は4対1、場合によっては10対1で断然男に多い。

 治療としては、行動療法を軸とした治療教育が現在ではもっとも効率の高い治療と考えられている。従来の精神分析学的方向づけをもつ精神療法は、少なくとも第一の選択ではなくなった。薬物療法は現在研究段階であり、なにかが発見されたとしても、それが原因療法になるか、便宜的な対症療法であるかについては、臨床的にも慎重な検討を必要とする。

 将来への見通しについては、約15%内外の子がほとんど独立の生産的生活をすることができるようになるが、25%くらいはだれか保護者の介助を得てわずかながらでも半独立の方向に向かえばよしとしなければならないであろう。残りの60%内外は精神科病院児童病棟、または特殊な施設の長期患者としてとどまることになろう。だいたい5歳までに周囲の人とコミュニケーションの役を果たせることばが出た子や、知能水準の平均が高い子は、見通しが明るい、すなわち予後はよいといわれている。

[牧田清志]

早期幼児自閉症

カナー症候群ともいい、前述の幼児自閉症の今日的概念の源になった症候群である。1943年アメリカの児童精神医学の祖ともいわれるカナーLeo Kanner(1894―1981)によって初めて記載され、命名された。診断基準になる症候は、表現が違っても本質的には幼児自閉症とほとんど同じである。ただし、その前提条件で著しく異なるのは、早期幼児自閉症と診断されるためには、身体的な病歴、所見、検査成績がすべて否定される(正常である)場合に限られるのに対し、現在の自閉症ではその半数内外に脳波異常が認められ、前述のように身体的に正常であることにかかわらないという点と、カナーはこれを精神分裂病(統合失調症)のもっとも早い発現型式と考えたのに比して、現在の自閉症は精神分裂病とはなんの関係もないとしているところである。

[牧田清志]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

じへい‐しょう ‥シャウ【自閉症】
〘名〙
① 三歳以前の幼児期に明らかになる発達障害。対人関係への関心が希薄、言葉の発達が遅い、同じ行動を繰り返したり特定のものを同じままにしておこうとする執着的な行動を示す、などの特徴がある。中枢神経系を含む身体上の機能障害と考えられているが、詳しい原因は不明。
※こども(1968)〈北杜夫〉三「近ごろ自閉症という子供の病気がございますね」

出典:精選版 日本国語大辞典
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六訂版 家庭医学大全科

自閉症(自閉性障害)
じへいしょう(じへいせいしょうがい)
Autism
(子どもの病気)

どんな病気か

 脳の発達・成熟が障害されることにより、心を通わせることが不自由な、3歳までに発症する神経発達の病気です。子どもの0.1~0.2%にみられます。

 自閉症の子は、あたかも自分の世界のなかで生きているかのようにみえ、他人に興味を示すことが少なく、社会性に乏しい傾向があります。また、日常生活の決まりにこだわり、奇妙な行動を繰り返します。コミュニケーションが苦手で、視線を合わすことを避け、他人に愛着を示しません。

原因は何か

 はっきりした原因はわかっていませんが、遺伝的な要因によって脳の構造や機能に異常が生じる病気と考えられています。環境要因も発症に関係しますが、親の育て方が自閉症の発症の直接的な原因ではありません。

 身体の病気では、結節性硬化症(けっせつせいこうかしょう)単純ヘルペスウイルス脳炎、先天性風疹(ふうしん)感染症、フェニルケトン尿症染色体(せんしょくたい)異常脆弱(ぜいじゃく)X症候群)などに自閉症が合併したという報告があります。

症状の現れ方

 症状の特徴には、大きく分けて次の3つがあります。①社会的な交流に乏しい、②他人とうまくコミュニケーションができない、③興味の範囲が限られ、同じ行動を繰り返す。

 具体的には次のような症状を現します。視線を合わせない、抱かれることを嫌がる、ほかの子どもと遊ばない、耳が聞こえないかのように振る舞う、言葉の発達が遅い、言葉を使って話しかけようとしない、聞いた言葉をそのまま繰り返す(おうむ返し)、手をひらひらさせたり体を揺らしたりする動作を繰り返す、奇妙な遊び方をする、光るものや動くものなど特定のものにこだわる、騒音を嫌がる、日常生活の決まりがあり変化を嫌がる。

 自閉症の子どもは、相手の顔の表情や感情を読み取ることが困難です。話し方や口調のニュアンスも伝わりません。集団で動くことは苦手でひとり遊びを好みます。学習に抵抗を示す一方、数学や音楽、芸術、記憶に非凡な才能をみせます。

検査と診断

 まず、言語や社会性の発達に遅れがあるかどうかを判断します。さらに、出生から現在までの医学的情報、診察所見、血液検査、頭部画像検査、心理発達検査などにより、自閉症かどうか、合併する身体の病気はないか、総合的に診断します。

治療の方法

 自閉症の子どもの基本的な行動の特徴と苦手なところを理解し、年齢や発達水準に合わせた教育、訓練、指導が必要です。刺激の少ない、落ち着いた治療環境で、個別指導と集団指導を組み合わせて生活体験を広げていくようにします。

 年齢が低い間は運動や社会性、言語の訓練、指導を行い、日常生活で自立でき、社会生活に適応できることを目指します。年長になるにつれ、心理面への対応を組み入れていきます。

 パニックと呼ばれる興奮状態に対して、薬物療法を行うこともあります。

病気に気づいたらどうする

 自閉症の子どもは、愛情を通わせたり示したりすることが苦手ですが、彼らはほかの子どもたちと同じように愛されることを求めています。早期から継続的に治療していくことにより、自閉症の子どもの発達を伸ばすことができます。小児科医、地域の保健機関、療育施設などに相談すれば、適切な診断と指導を受けることができます。

関口 進一郎

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

自閉症
じへいしょう
幼児自閉症」のページをご覧ください

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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