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花粉症【かふんしょう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

花粉症
かふんしょう
pollinosis
アレルギー性鼻炎のうち,特に花粉の飛散期である春と秋に限定して起きるものをいう。普通のアレルギー性鼻炎の場合,日本では主に室内塵 (ハウスダスト) やそれに含まれるコナダニ,チリダニが抗原となるが,花粉症ではスギ花粉やブタクサ花粉,稲科植物 (カモガヤオオアワガエリなど) の花粉が原因となってI型アレルギー (免疫グロブリンの一つである IgE抗体が関与する反応) を起す。くしゃみ鼻水,鼻づまりのほかに,眼,皮膚,のどなどにも発赤や腫脹が起り,さらに全身症状や気管支喘息を随伴する。花粉の飛散期を過ぎると突然,症状は消失する。花粉が原因であることが証明されなかった 1873年以前には,誤って枯草熱 (こそうねつ) hay feverといわれた。治療には対症的に抗ヒスタミン剤や局所用ステロイド剤の使用が試みられるが,最も効果的なのはマスクなどによって花粉の吸入を避けることである。また,開花期の数週間前から花粉毒素を使って脱感作を行うこともある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵

花粉症
花粉によって起こる即時型アレルギー。原因となる花粉はスギやヒノキなどで、外国ではブタクサやカモガヤなど、雑草の花粉も多い。くしゃみ、鼻水、鼻づまりといったアレルギー性鼻炎の症状や、目のかゆみ、充血などの目のアレルギー性結膜炎の症状を伴う。治療としては、抗アレルギー薬やステロイド薬の服用、点鼻、点眼などがあり、花粉対策としてマスクやゴーグルを着用する。
(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

朝日新聞掲載「キーワード」

花粉症
体内に入った花粉を異物と認識して抗体を作る「免疫反応」が過剰になって起こるアレルギー疾患。花粉を体外に出そうとして、くしゃみや鼻水、涙などの症状が出る。最も多いのはスギ花粉症で、2008年に実施された全国的な調査では、スギ花粉症の有病率は26.5%。子どもも発症し、5~9歳で13.7%、10~19歳では31.4%だった。春に多いスギやヒノキのほか、春から初秋にかけてはカモガヤなどのイネ科、夏から秋にかけてブタクサやヨモギなどキク科の花粉が原因となる場合もある。
(2017-03-01 朝日新聞 朝刊 生活1)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

かふん‐しょう〔クワフンシヤウ〕【花粉症】
花粉によって起こるアレルギー。花粉が鼻や目の粘膜に触れることにより、くしゃみ・鼻水や、目の充血・かゆみなどの症状が起こるもの。枯草熱(こそうねつ)。
[補説]原因となる植物は50種以上あるとされる。春のスギヒノキ、秋のブタクサヨモギが代表的であるが、シラカバハンノキケヤキブナカモガヤなどによっても起こる。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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とっさの日本語便利帳

花粉症
主にスギ花粉によって起こる即時型アレルギーを指すが、スギ花粉だけでなく、ヒノキ、ブタクサなど様々な植物の花粉が原因となる。

出典:(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」

家庭医学館

かふんしょう【花粉症 Pollinosis】
◎特定の花粉が原因に
[どんな病気か]
[原因]
[症状]
[検査と診断]
◎花粉を避けることがたいせつ
[治療]
[日常生活の注意]
[予防]

[どんな病気か]
 花粉症とは、おもに裸子植物(らししょくぶつ)の花のおしべにできる花粉が、風にのって鼻や目に入り、アレルギー症状をおこす病気です。
 大きく分けて、樹木の花粉と草の花粉があり、開花期になると花粉症の患者さんは、特定の花粉に反応して、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、流涙(りゅうるい)などの症状が出ます。
 日本に多いスギ花粉症(かふんしょう)は、東北より西に多くみられ、毎年2~3月の初めから症状が現われ、4月の終わりまで続きます。
 北海道ではイネ科の植物の花粉による花粉症が多くみられ、多くの患者さんがこの病気で悩んでいます。

[原因]
 花粉症の原因として、スギ花粉がよく知られていますが、ほかにカモガヤ、チモシーなどのイネ科、ブタクサ、ヨモギなどのキク科、カナムグラ(クワ科)などの草の花粉のほか、スギと同類のヒノキ、ハンノキ、マツなどの樹木花粉による花粉症があります。ある地域に特有のヤシャブシ(本州)、カンバ(北海道)といった植物の花粉による花粉症もあります。
 また、果実や観賞用の花の栽培に従事する人たちがかかる花粉症の原因植物として、リンゴ、ナシ、モモ、イチゴ、バラ、コスモス、キク、ブドウなどが知られています。
 いずれの花粉も非常に軽く、風にのって受粉できるようになっているため、多少の風が吹くだけで、空中に大量に飛ぶという性質があります。
 花粉の飛散期(ひさんき)は、それぞれの植物の種類によって異なるので、1年のなかで、ある季節だけに発症するのであれば、その季節にだけ飛散する花粉が原因と考えられます(図「日本におけるおもな花粉飛散と季節」)。
 このような病気は、アレルギー反応(免疫のしくみとはたらきの「アレルギー反応」)によっておこります。
 そのしくみは、ある花粉が大量に鼻や目に入ると、体内で免疫反応(めんえきはんのう)がおこり、花粉という異物(いぶつ)(抗原(こうげん))に対して結合するIgE抗体というものが増え、免疫的に記憶されます。
 つぎに目や鼻に入った花粉抗原は、それらの粘膜(ねんまく)で抗体と反応し、その情報を受けて、粘膜にある肥満細胞(ひまんさいぼう)と呼ばれる細胞から、神経や血管を刺激するヒスタミンなどの刺激物質が放出され、かゆみや鼻汁(びじゅう)の分泌(ぶんぴつ)などの症状がおこるのです。
 スギ花粉症の患者さんが、昭和50年を境として急激に増えたのは、戦後の植林政策によって、スギの花粉量が増えたことに加え、自動車の増加にともなう排気ガス、食生活の変化などの影響により、IgE抗体がつくられやすい環境になったためとみられています。

[症状]
 花粉症の特徴は、鼻と目に症状が出ることです。鼻の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりで、さらされる花粉の量(期間)が増えると、のどにも、かゆみや痛みなどの症状が出てきます。
 目の症状は、まぶたの粘膜のかゆみや流涙がみられます。アトピー性皮膚炎(せいひふえん)(「子どものアトピー性皮膚炎」、「おとなのアトピー性皮膚炎」)をともなう人は皮膚症状の悪化もみられることがあります。
 これらの症状は、花粉の飛散の開始とともに現われます。なかでもスギ花粉症の場合は、春一番(はるいちばん)といわれる南風が吹き始めると同時に、これらの症状が急に現われます。

[検査と診断]
 毎年一定の季節になると、必ずこのような症状が出る場合は、花粉症が疑われます。確実に診断するための一般的な検査法としては、症状そのものがアレルギー反応によるものかどうかを調べるものと、アレルギー反応によるものであるならば、その原因(抗原)は何かを調べるものの2種類があります。
 前者については、鼻や目の症状がウイルスや細菌による感染など、ほかの病気の可能性もあるので、これらの病気を除外する検査が行なわれます。このために、鼻汁の検査を行なって鼻汁中に好酸球(こうさんきゅう)という細胞が増えているかどうかをみます。
 もし、好酸球が鼻汁中に増えていれば、症状がアレルギーによるものであると診断できます。
 つぎに抗原は何かを調べるための検査が行なわれます。からだの中に、どういう抗原に対するIgE抗体が増えているかをみるため、皮膚テスト(ツベルクリン反応のように皮膚の浅いところに抗原を含んだ液を注射する、あるいは皮膚に傷をつけたところに抗原液をたらして反応をみる)や、患者さんの血液をとって、そのIgE抗体を試験管の中で測定します。
 ある花粉に対するIgE抗体が陽性と出たら、その花粉の飛散時期と症状の出る時期が一致することを確認します。
 一般的には、皮膚テストまたは血液検査によるIgE抗体の検査は、花粉など吸入性抗原10種類を同時に行なうことができます。その抗体のなかから、たとえばスギ花粉だけが陽性と出て、2~4月に症状があると確認されれば、スギ花粉症と診断がつくわけです。
 皮膚反応や血液検査で、IgE抗体の値が陽性と出ても、季節性の発症がなければ、花粉症とは診断されません。

[治療]
 治療法としては、抗原との接触を避けること、薬物療法、減感作療法(げんかんさりょうほう)、手術などがあります。
 症状を改善するために、種々の薬物が用いられます。抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、ステロイド薬、抗コリン薬、血管収縮薬などです。
 抗ヒスタミン薬は、鼻、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水を抑える作用があり、効果が30分以内に現われます。
 ただし、副作用として多少の眠けがともなう場合もありますから、車の運転時などには注意が必要です。最近は、眠けのない抗ヒスタミン薬が発売されるようになりました。内服するものと、局所に噴霧するものとがあります。
 抗アレルギー薬は、肥満細胞から刺激物質の放出を抑えるはたらきがあり、効果が現われるまでに、長期間の使用が必要ですが、くしゃみ、鼻水のほか、鼻づまりにも効果があります。
 また、アレルギー症状の発現を予防する効果があることも、抗アレルギー薬の特徴といえます。これにも、内服するものと噴霧するものがあります。
 ステロイドとは、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンのはたらきをもつ薬で、炎症をしずめる強い作用のほか、細胞の数、性質を変化させる効果があります。
 この薬には、ほかの薬では得ることのないこのような作用がある反面、経口投与(内服)によって免疫能の低下(感染しやすい)、高血圧、糖尿病の悪化などの全身の副作用があります。現在、一般には、使用量を少なくすることによって、副作用をきわめて少なくしたステロイドの外用剤が使われています。こうした局所ステロイド薬は、鼻のかゆみをなくし、くしゃみ、鼻水の回数を減らしたり、鼻の粘膜の腫(は)れをとるのに有効です。効果が出るまでに数日かかります。
 服用薬としては、抗ヒスタミン薬とステロイド薬の複合剤が市販されていますが、全身への副作用の点から、長期間の服用には注意が必要です。
 また、抗コリン薬は、鼻水の多い患者さんに、局所噴霧で使われます。
 最近は、IgE抗体の産生を抑える薬も市販されています。
 また、目の症状に対しては、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、ステロイドの点眼薬(てんがんやく)が用いられます。
 以上の薬物は、花粉症の個々の症状を抑える薬ですが、鼻や目の症状がかなり重い病気ですから、これらの薬を単独で使うよりも、2種類を組み合わせて使うことが多くなっています。
 減感作療法は、抗原を皮内(ひない)に注射することによって、少しずつからだをならしていくという考えで始められた方法です。効果が持続するので根本的療法にもっとも近い療法といえます。
 この注射は、最初の2~3か月は週2回、あとは週1回を1か月、2週に1回を2か月、1か月に1回を2~3年間続けます。すると、治療を中止しても長年にわたり効果があります。
 現在、スギ花粉症に対する減感作療法の効果をより高める、注射用エキスの開発が進行中です。

[日常生活の注意]
 花粉にさらされないようにすることは、症状が出るのを予防するために、もっとも重要なことです。
 そのためには、花粉情報に注意し、飛散の多い日の外出を避けるか、あるいは外出時にはガーゼマスク、帽子、めがねをつけるようにします。
 帰宅時には、コート、帽子などを外でたたいて、花粉を落としてから部屋に入ります。
 また、部屋の中に花粉が入ったり、浮遊したりしないよう、窓を閉めます。また、ふとんや洗濯物を外に干すのをやめます。部屋は加湿して、床はぬれたぞうきんでよく清掃します。

[予防]
 精神的ストレス、睡眠不足、疲労、多忙といった都市型の生活は、大気汚染とともに鼻粘膜(びねんまく)の抵抗力を弱め、正常の機能を乱す原因ともなります。このような悪い環境は、鼻汁の分泌能を変え、粘膜を流れる血液量を変えてしまい、異物が侵入しやすくなる原因にもなります。
 生活環境の改善は、治療にも予防にもつながることを、よく理解しておかなければなりません。

出典:小学館
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かふんしょう【花粉症】
 風媒花(ふうばいか)(風にのって花粉をとばす花)の花粉が原因でおこるアレルギー性の病気を総称して花粉症といいます。
 アレルギー性鼻炎(せいびえん)(鼻過敏症(「鼻過敏症(アレルギー性鼻炎/血管運動性鼻炎)」))、アレルギー性結膜炎(せいけつまくえん)(「アレルギー性結膜炎(アレルギー性鼻結膜炎)」)、ぜんそく(「ぜんそく(気管支ぜんそく)」)などがその代表です。
 花粉(抗原(こうげん))を吸入しているうちに、これに対する抗体(こうたい)が体内で産生され、抗原が体内に入ると抗原抗体反応(こうげんこうたいはんのう)がおこって症状が出現します。
 原因となる植物はその土地の植生によって異なり、日本ではスギ花粉症が多く、アメリカではブタクサ、イギリスではイネ科の花粉症が多いなどの特徴があります。
 花粉症は、原因植物の開花期に一致した季節性をもって症状が出ます。
 スギは2~4月、イネ科のカモガヤ、オオアワガエリ、スズメノテッポウなどは5~6月、ブタクサは8~9月、ヨモギは9~10月ころに症状が出現します。
 職業に関係したイチゴ、リンゴ、モモなどの果物の花粉症も報告されています。
 治療は、アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎と同様に行ないます。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

かふんしょう【花粉症 pollinosis】
植物の花粉が原因となって起こるアレルギー性疾患,いわゆる花粉アレルギーで,以前は枯草熱hay feverといわれ,欧米で,サイロ牧草を入れるときに鼻粘膜のかゆみと痛み,くしゃみ,鼻づまり,鼻汁,涙などの発作を起こすものをいった。歴史的には古代ローマのガレノスが同様の記載をしている。19世紀末に,これらの症状が花粉によって起こることが証明され,花粉症と呼ばれるようになった。日本で花粉症に関する詳細な研究報告がなされたのは1960年荒木英斉によるブタクサ花粉症がはじめてで,次いで,64年にスギ花粉症,牧草花粉症などが報告され,多くの花粉症が知られるようになった。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

かふんしょう【花粉症】
花粉によって粘膜が刺激されて起こるアレルギー。結膜炎・鼻炎・喘息などの症状が見られる。原因として春先のスギ・ヒノキ、初夏のオオアワガエリ、秋のブタクサ・ヨモギなどの花粉が知られている。枯草熱こそうねつ

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

花粉症
かふんしょう
pollinosis
花粉の飛散期に一致して、目のかゆみ、充血、流涙、くしゃみ、水様鼻汁、鼻閉(鼻づまり)など、目・鼻アレルギー症状を呈するものをいう。季節性発症が特徴でもあるので季節性鼻炎ともいい、欧米では枯草(こそう)熱hay feverともいわれる。花粉による喘息(ぜんそく)は花粉症には含めず、花粉喘息という。花粉喘息を伴っているときは喘息合併花粉症という。
 原因となる花粉は風媒花粉が主で、日本で重要なものに、春のスギ、ヒノキ、シラカンバなど、秋のブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどのほか、春から秋にかけてはカモガヤ、ホソムギ、オオアワガエリ、ナガハグサといったイネ科植物がある。とくにスギの花粉は2月上旬から飛散し、4月上旬にかけてピークを形成するが、抗原性が強く飛散量も多いので、近年患者が増加している。
 花粉症は型(即時型)アレルギー疾患の代表的なもので、診断には症状出現の季節性を確認したり、いろいろなアレルゲン誘発試験や皮膚試験が行われる。すなわち、皮膚反応を調べる貼布(ちょうふ)試験(パッチテスト)をはじめ、一定濃度のアレルゲンを含有する円形濾紙(ろし)片(ディスク)を使った鼻粘膜誘発試験、ラジオ・アイソトープで標識した抗原あるいは抗体を使って微量の抗体あるいは抗原量を測定するラジオイムノアッセイ法の一種であるRAST(ラジオアレルゴソルベントテスト)などがある。
 対症的治療としては、化学伝達物質遊離抑制剤(鼻内噴霧や予防的に内服する)や抗ヒスタミン剤、副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤(内服するか、ベクロメタゾン吸入を行い、注射は避ける)、点鼻血管収縮剤(鼻閉に用いる)などが使用される。これらの治療で症状がコントロールできないときには、減感作(げんかんさ)療法やヒスタミン加ヒト免疫グロブリン剤注射を併用する。花粉への暴露を転地などで避けることが望ましく、マスクの着用も症状の軽減には役だつ。[高橋昭三]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

かふん‐しょう クヮフンシャウ【花粉症】
〘名〙 花粉を吸ったために起こる一種のアレルギー反応。春先のスギ、ヒノキ、初夏のオオアワガエリ、秋のブタクサ、ヨモギなどの花粉によって、くしゃみ、鼻水、目の充血・かゆみなどの症状が起こる。花粉病
※保健薬を診断する(1968)〈高橋・佐久間・平沢編〉付二「もともと日本では花粉症は少なく」

出典:精選版 日本国語大辞典
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EBM 正しい治療がわかる本

花粉症
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 花粉に対するアレルギー反応によって、鼻の粘膜(ねんまく)や目の結膜(けつまく)に炎症反応がおこる病気です。おもな症状として、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻の症状(アレルギー性鼻炎)、目のかゆみ、流涙(りゅうるい)などの目の症状(アレルギー性結膜炎)が現れます。鼻の粘膜や目の結膜の感覚神経は、咽頭(いんとう)や耳の粘膜からの感覚神経と共通の経路を通って大脳に達するため、飛散(ひさん)する花粉の量が最盛期を迎える時期には、鼻や目の症状だけではなく、口の奥の軟口蓋(なんこうがい)や耳のかゆみさえおこることがあります。
 アレルゲン(抗原、原因となる物質)となる花粉が飛散していない時期には症状がおこりません。季節に関係なく、これと同じような症状がでる病気が通年性のアレルギー性鼻炎で、これはダニやハウスダスト、ペットの毛、フケなどがアレルゲンとなっています。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 花粉症は花粉という異物を体外に排除しようとしておこる、過剰な免疫反応(めんえきはんのう)です。アレルゲンとなる植物には多くの種類がありますが、わが国では、2月から4月にかけて飛散するスギ花粉によることがもっとも多くなっています。そのほか、ヒノキ、初夏のカモガヤ、オオアワガエリ、秋のブタクサ、ヨモギなどがあります。北海道ではスギは少なく、シラカンバが多くみられます。

●病気の特徴
 花粉がどの植物のものなのか、また、いつ、どれくらいの量が飛ぶのかによって、患者さんの数は異なってきます。
 したがって、国によってこの病気で悩む患者さんの数や割合は大きく異なります。
 わが国では、現在、全人口の15.6パーセント程度もの人がこの病気に悩んでいると推定されています。(1)
 全国の森林の18パーセントを占める杉林が、アレルゲンとしてもっとも頻度の高いスギ花粉の飛散量を増やしていること、都市部での空気の汚染などが考えられています。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]抗原の回避を行う
[評価]☆☆
[評価のポイント] 花粉症と同じしくみで病気がおこる通年性のアレルギー性鼻炎についての抗原回避に関する臨床研究があります。アレルギー性鼻炎の抗原には家庭内のハウスダストやペットの毛があります。抗原の一つであるダニについて、ダニ駆除剤を用いた場合と用いなかった場合を比べたところ、ダニ駆除剤を用いた場合のほうが症状が改善することが示されています。異物に対する免疫反応によって病気がおこるということから考えれば、花粉症においても抗原を避けることは治療の基本と考えられます。(2)

[治療とケア]鼻の症状に対してステロイド点鼻薬を用いる
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 鼻づまりや鼻汁などの鼻の症状に対しては、副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬の点鼻が、内服薬よりももっとも効果的であるとされています。(3)(4)

[治療とケア]抗ヒスタミン薬を内服する
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 抗ヒスタミン薬は、かゆみや鼻水、くしゃみに効果があります。抗ヒスタミン薬は第一世代と第二世代に分けられます。第一世代は鎮静作用が強く、眠気などの副作用がでることがあります。自動車や機械の運転をする場合は注意が必要です。一方、第二世代は鎮静作用が少ないため現在ではよく使用されます。(5)

[治療とケア]抗ヒスタミン薬点鼻薬を用いる
[評価]☆☆
[評価のポイント] 抗ヒスタミン薬点鼻薬は、ステロイド点鼻薬に比べて即効性があります。(6)

[治療とケア]目の症状に対して点眼薬を用いる
[評価]☆☆
[評価のポイント] 目の症状に対して、抗アレルギー薬の内服が有効であり、経口薬のみで効果がない場合、補助的に抗アレルギー薬の点眼薬を用いることが専門家によって推奨されています。

[治療とケア]花粉(抗原)に対する反応を弱めていく免疫療法を行う
[評価]☆☆
[評価のポイント] 免疫療法は、原因となっている抗原を少量ずつ、徐々に増量して体内に吸収させていく治療法で、花粉症の症状を減らす可能性が示唆されています。(7)
 免疫療法には、皮下免疫療法(注射で抗原を投与する)と舌下免疫療法(薬を服用して抗原を投与する)の二つの治療法があります。しかし、適応に関しては注意が必要です。(8)


よく使われている薬をEBMでチェック

副腎皮質ステロイド点鼻薬
[薬名]リノコート(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)(9)
[評価]☆☆☆☆
[薬名]フルナーゼ点鼻液(フルチカゾンプロピオン酸エステル)(10)
[評価]☆☆☆☆☆
[評価のポイント] 鼻づまりがかなりひどい場合には、短期間に限って副腎皮質ステロイド薬を配合する点鼻薬の点鼻が有効であるという信頼性の高い、もしくは非常に信頼性の高い臨床研究があります。内服の副腎皮質ステロイド薬とは異なり、全身の副作用が現れることはありませんが、出血しやすくなるなどの症状がみられることはあります。長期の使用はよくありませんが、必要な量が患部に届いていなければなりませんから、使用量、使用回数などの注意については、十分主治医の説明を受けましょう。

アレルギー反応を抑える抗ヒスタミン薬
[薬用途]第一世代
[薬名]ポララミン(d-クロルフェニラミンマレイン酸塩)(11)
[評価]☆☆☆☆
[薬用途]第二世代
[薬名]アレグラ(フェキソフェナジン塩酸塩)(12)
[評価]☆☆☆☆
[薬名]エバステル(エバスチン)(12)
[評価]☆☆☆☆
[薬名]アレジオン(エピナスチン塩酸塩)(12)
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 花粉症を含むアレルギー性鼻炎に対する抗ヒスタミン薬は、それぞれ世代間での効果や副作用にあまり大きな違いはないといわれています。

目の症状に対して
[薬名]インタール点眼液(クロモグリク酸ナトリウム)(13)(14)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 花粉の飛散量が増え、症状が本格化し、抗アレルギー薬の内服だけでは症状のコントロールが難しい場合などに、補助的に使用すると有効であるという非常に信頼性の高い臨床研究があります。

鼻づまりに対して
[薬用途]抗アレルギー薬
[薬名]オノン(プランルカスト水和物)
[評価]☆☆
[薬名]ゼスラン/ニポラジン(メキタジン)
[評価]☆☆
[薬名]アイピーディ(スプラタストトシル酸塩)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 鼻づまりには効果が現れにくい抗アレルギー薬がありますので、症状によって使い分けが必要になります。

[薬用途]血管収縮薬
[薬名]トラマゾリン(トラマゾリン塩酸塩)
[評価]☆☆
[評価のポイント] アレルギー症状が進むと鼻の粘膜が腫(は)れて、それによって鼻づまりがおこることがあります。その腫れを抑えるために、血管を収縮させる血管収縮薬の点鼻薬を用いることがありますが、これは長期的に用いると効きめが悪くなったり、逆に鼻づまりが悪化したりすることもあるので、使用は短期間にするか、1日に2~3回などのように回数を限って用いたほうがよいでしょう。

免疫療法に用いる薬
[薬名]シダトレンスギ花粉舌下液(標準化スギ花粉エキス)(8)
[評価]☆☆☆
[薬名]治療用アレルゲンエキス皮下注(各抗原ごと)(8)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] ほかの薬でも治療効果がなかなか得られない場合に使用することが多い治療方法です。日本では注射薬と、舌下液の両方が使用できます。効果はすぐにはでませんので、花粉が多くなる時期の数カ月前から使用します。使用に関してはよく医師と相談することが必要です。

非常に重症化した場合に用いる内服薬
[薬用途]副腎皮質ステロイド配合薬
[薬名]セレスタミン(ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤)(11)
[評価]★→
[評価のポイント] 鼻、目、そのほか患部の炎症が極度に悪化し、患部の副腎皮質ステロイド薬の使用だけでは症状がおさまらない場合には、副腎皮質ステロイド薬の内服が行われることがあります。この薬を使う場合は、副作用を考慮し、2週間程度を使用期間の目安とします。副腎皮質ステロイド薬では即効性が期待できますが、同時に副作用の出現にも注意が必要です。薬を用い始めたら、患者さん自身も体調に変化がないか気をつけ、なにか変わったことがあれば、すぐに主治医に伝えるようにしたほうがいいでしょう。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法

まずは、花粉を避ける
 非常に信頼性の高い臨床研究は見あたりませんが、病気の原因が異物(花粉)への免疫反応であることから考えれば、抗原となる花粉を避けることが治療の基本となるのは、十分理にかなっています。つまり、花粉情報を参考にして、①花粉の飛散量が多い日は外出を控える、②窓や扉を閉める、③外出時にはマスク・メガネ、帽子を着用する、④帰宅したら洗顔、うがい、鼻をかむ、などということになります。しかも、これらは日常生活上、やや不便な点を除けば、薬物療法などに伴うような副作用はありませんので、まず試みるべきことがらでしょう。

花粉が飛び始める約2週間前からシーズン終了まで抗アレルギー薬の継続を
 薬物療法としては、花粉が飛び始める予測日より約2週間前から抗アレルギー薬の服用を始めると、初期症状が抑えられます。また、抗アレルギー薬は花粉症の症状をコントロールするうえで基本となる薬ですから、シーズンが終わるまで服用を続けましょう。

鼻や目など症状のある場所に応じた薬を
 花粉症でおこってくる症状は人によってさまざまです。鼻炎など鼻の症状が強い場合には抗アレルギー作用のある点鼻薬を用いますし、結膜炎など目の症状が強い場合には同様の点眼薬をそれぞれ用います。

自分にもっとも合った薬を見つけることが必要
 鼻づまりが強い、結膜の炎症が激しいといった場合には、局所の副腎皮質ステロイド薬が用いられますが、それでも効果がみられない場合には副腎皮質ステロイド薬の内服薬を使用してもよいでしょう。
 いずれにしても、薬物療法では、副作用の有無との兼ね合いで、もっとも自分に合った薬を、医師と相談しながら見つけだすという作業が必要となります。

重症の場合には免疫療法の選択も
 症状が非常に重症な場合には、非常に長期にわたる治療になりますが、免疫療法も有効なことがあります。
 これは、症状をおこす抗原(花粉など)を非常に薄めた低濃度から少しずつ体内に投与し、時間をかけて徐々に濃度を上げながら体を慣らしていき、抵抗力を強くして免疫反応を弱めていく方法です。
 治療の期間は2~3年におよび、かなりの根気を要しますが、重症の場合は考慮する価値があるでしょう。

(1)厚生労働省.花粉症特集. http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kafun/index.html アクセス日2015年1月31日
(2)Kniest FM, Young E, Van Praag MC, et al. Clinical evaluation of a double-blind dust-mite avoidance trial with mite-allergic rhinitic patients. ClinExp Allergy. 1991;21:39-47.
(3)Weiner JM, Abramson MJ, Puy RM. Intranasal corticosteroids versus oral H1 receptor antagonists in allergic rhinitis: systematic review of randomised controlled trials. BMJ. 1998;317:1624-1629.
(4)Pullerits T, Praks L, Ristioja V, et al. Comparison of a nasal glucocorticoid, antileukotriene, and a combination of antileukotriene and antihistamine in the treatment of seasonal allergic rhinitis. J Allergy ClinImmunol. 2002;109:949-955.
(5)Simons FE, Simons KJ. Clinical pharmacology of new histamine H1 receptor antagonists. ClinPharmacokinet. 1999;36:329-352.
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出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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からだと病気のしくみ図鑑

花粉症
ビジュアルで見る病気⑬
免疫が花粉に対して過敏に反応し(アレルギー反応)、多彩な症状が現れるのが花粉症です。さまざまな植物の花粉で花粉症がおきますが、代表格は“スギ花粉”です。
スギ花粉症がわが国で初めて報告されたのは昭和30年代終盤。以来、毎春、スギ花粉に悩まされる人(とくに小児)が増加しているといわれます。その要因の一つとして、国産木材の利用低迷などにより伐採が進まず、花粉を多くつける樹齢30年以上のスギ林が増加--。スギ花粉飛散量が増えたことがあげられます。

出典:法研「からだと病気のしくみ図鑑」
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