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芳香族性【ほうこうぞくせい】

世界大百科事典 第2版

ほうこうぞくせい【芳香族性 aromaticity】
ベンゼンなど芳香族化合物の異常な安定性を説明するための概念。アネトール(アニス油の甘い香りの成分),バニリン(バナナの香りの成分)などベンゼン環をもつ有機化合物の多くが芳香aromaを有することから転じて,これらの熱力学的安定性を説明するための概念として芳香族性ということばが使われるようになった。これらの化合物は,反応性の点からいえば,かなり反応性に乏しく,付加反応を起こさず,求電子置換反応が起こりやすい(求電子反応)。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

芳香族性
ほうこうぞくせい
aromaticity
aromatic character

芳香族化合物がもっている特徴的な物理的および化学的性質をいう。物理的性質としては同数の炭素をもつ共役アルケンよりも大きな共鳴エネルギーを有し、反磁性効果が大きく、結合交替の小さいことがあげられる。芳香環に外部から磁場がかかると、環状に非局在化しているπ(パイ)電子により反磁性磁場が誘導されるような向きの電流(環電流)が芳香環の周辺に流れるために、芳香族化合物は反磁性を示すと考えられている。この反磁性磁場のために、芳香環を構成する炭素原子に結合して環外に向いている水素のNMR(核磁気共鳴)シグナルが低磁場にシフトし、環内に向いている水素のNMRシグナルは逆に高磁場にシフトするので、この現象を利用して芳香族性の有無と強さが評価できる。化学的性質としては、共役した不飽和結合を有するにもかかわらず、酸化や水素化反応に抵抗し、ハロゲン、硝酸、硫酸など求電子試薬に対しては置換反応をおこしやすい性質をいう。芳香族性は環状の不飽和化合物において、単結合と二重結合が交互に存在し(共役という)、かつ平面構造を有することとあわせて、存在するπ電子が4n+2個であることが条件として要求される。これらはヒュッケル則とよばれる。詳しくは「芳香族化合物」の項を参照されたい。

[向井利夫・廣田 穰 2016年2月17日]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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化学辞典 第2版

芳香族性
ホウコウゾクセイ
aromaticity

環構造をもつ芳香族化合物に特有な性質.
(1)熱化学的に安定で,対応する脂肪族化合物に比べて燃焼熱,水素化熱が小さい.
(2)付加反応よりもむしろ置換反応が起こりやすい.
(3)フェノール類は酸性を示す.
(4)平面構造をもち,C原子間の結合の長さはほとんど同じである.
(5)反磁性異方性が大きく,環周辺の水素のNMRスペクトルに大きな環電流効果が認められる.
(6)紫外線吸収スペクトルは,対応する脂肪族化合物より長波長側にある,
などである.ヒュッケル則では,環内に4n+2個のπ電子をもつ共役ポリエンはπ電子の非局在化により基底状態が安定となり,芳香族性を示すとしている.芳香族炭化水素以外にも,ピリジンやフランのように6個のπ電子を含む環の構造をもったものには,芳香族性がある.これに反し,シクロオクタテトラエンC8H8は平面構造をもたず,ほとんど芳香族性を示さない.D.P. Craigは原子価結合法の立場から,共役環で基底状態が全対称のものを芳香族,そうでないものを擬芳香族に分類し,後者では共鳴による安定化が小さいことを示した.このように芳香族性の尺度としては,化学反応性や非局在化エネルギーのほかに,π電子の非局在化による環電流効化や結合交替が用いられている.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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