●華厳宗【けごんしゅう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
華厳宗
けごんしゅう
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デジタル大辞泉
けごん‐しゅう【華厳宗】
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世界大百科事典 第2版
けごんしゅう【華厳宗】
[中国]
中国では5世紀の初めに,覚賢が訳出した60巻本《華厳経》を読誦し,供養することによって,霊験を求める民俗信仰にはじまる。南北朝より隋・唐にかけて,終南山至相寺を中心に,初祖杜順,2祖智儼,3祖法蔵の伝統を確立し,五教十宗の教学体系と,独自の実践,結社の組織化を完成する。天台の実相論に対し,〈一即一切,一切即一〉の縁起を説き,〈縁来れば生ず,縁去れば滅す〉という従来の縁起に対し,〈縁来るも生ぜず,縁去るも滅せず〉という絶対実在の性起を主張する。
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日本大百科全書(ニッポニカ)
華厳宗
けごんしゅう
中国、唐代に成立した仏教宗派。賢首宗(げんじゅしゅう)ともいう。宗祖は杜順(とじゅん)、大成者は法蔵(ほうぞう)。『華厳経』を所依の経典とし、天台宗と並んで中国仏教の双璧(そうへき)といわれる。東晋(とうしん)末、北インド出身の僧ブッダバドラ(仏駄跋陀羅(ぶっだばっだら))によって『華厳経』が翻訳されてから、『華厳経』の研究が盛んとなり、とくに511年にはインドの論師バスバンドゥ(世親(せしん))の著書『十地経論(じゅうじきょうろん)』(『十地経』として単独で流布した『華厳経』十地品(じゅうじぼん)に解釈を施した論書)が、勒那摩提(ろくなまだい)と菩提流支(ぼだいるし)の2人によって伝訳された。この『十地経論』を所依として南北朝時代に成立した学派が地論宗(じろんしゅう)である。地論宗南道派から出た浄影寺(じょうようじ)の慧遠(えおん)は、『大乗義章(だいじょうぎしょう)』を著して地論宗の教義を大成した。その地論宗の教義が華厳宗成立の学問的基礎となった。
一方、『華厳経』を信仰するグループもつくられ、華厳宗成立の基盤が成熟した。そこに現れたのが神秘を現ずる杜順であり、彼が華厳宗の信仰面における宗祖とされた。また新しく中国に伝えられた玄奘(げんじょう)の唯識(ゆいしき)説を採用しながら、従来の地論宗の学説を発展させたのが、華厳宗の第二祖とされる智儼(ちごん)(602―668)である。この智儼の学問を受けて華厳宗の哲学を大成させたのが賢首大師法蔵であった。それ以後、澄観(ちょうかん)、宗密(しゅうみつ)が出て華厳宗を中興させたが、優れた後継者が得られず、禅宗の勃興(ぼっこう)に押されて衰亡した。宋(そう)代に一時復興したが、その後は衰微。
[鎌田茂雄]
日本
日本には奈良時代に唐の道璿(どうせん)や新羅(しらぎ)の審祥(しんじょう)によって伝えられた。良弁(ろうべん)が法統を嗣(つ)ぎ、東大寺を建立し、華厳宗の根本道場としたことによって、南都六宗の一つとなった。鎌倉時代には宗性(そうしょう)(1202―1278)、凝然(ぎょうねん)が出て中興し、また高弁(こうべん)(明恵(みょうえ))が栂尾(とがのお)高山寺を開き、華厳の宗風を宣揚した。しかし江戸以降は檀信徒(だんしんと)主体の宗派のなかで宗勢は振るわなかった。
華厳宗の教理は、すべてのものの円融無碍(えんゆうむげ)なる関係を説くもので、大乗仏教の縁起説(えんぎせつ)の究極的な発展形態を示す。密教の教理の背景は華厳思想で、さらに禅の思想のなかにも生きている。
東大寺を中心として栄えた華厳宗は、明治初年に浄土宗の所轄となったことがあったが、1886年(明治19)に一宗として独立し現在に至っている。寺院数62、教会数20、布教所数30、教師数625、信者数3万8983(『宗教年鑑』平成26年版)。
[鎌田茂雄]
『鎌田茂雄著『中国華厳思想史の研究』(1965・東京大学出版会)』
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けごん‐しゅう【華厳宗】
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旺文社世界史事典 三訂版
華厳宗
けごんしゅう
唐の杜順 (とじゆん) を第1祖,ついで智儼 (ちごん) 。内容・形式にわたる宗派の大成者は第3祖法蔵(643〜712)である。中国十三宗の1つで,日本には奈良朝に伝来。南都六宗の1つ。日本においては,奈良県東大寺が総本山。
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旺文社日本史事典 三訂版
華厳宗
けごんしゅう
唐代に法蔵が『華厳経』に基づいて大成し,736年唐僧道璿 (どうせん) が日本に伝えた。奈良中期から盛んになり,東大寺はその根本道場として造られた。
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