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薩摩焼【さつまやき】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

薩摩焼
さつまやき
鹿児島県で産する陶磁器総称藩窯と民を含むが薩摩錦手のみをさすこともある。薩摩焼の古窯址は五十数ヵ所に及んでいるが,大別して朝鮮の技術を導入した龍門司窯系,竪野窯系,苗代川系,および肥前に学んだ西餅田窯系,平佐窯系の 5系統に分類される。朝鮮系の諸窯は慶長初期(1600頃),島津義弘が朝鮮陶工を来住させて開窯したのに始まる。初期作は白高麗,三島手,宋胡録(すんころく),刷毛目のほか,薩摩特有の蛇蝎(だかつゆう)をかけた作品が多い。江戸時代中期には苗代川窯や竪野窯で細かな貫入の入った白釉に金や赤,緑などで文様を上絵付けした薩摩錦手も生産され,幕末から明治にかけて盛行。肥前系統の窯は西餅田窯が寛文3(1663)年,平佐窯が天明6(1786)年の開窯で,肥前陶工の手になる染付,赤絵青磁などの磁器質の作品が多い。

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朝日新聞掲載「キーワード」

薩摩焼
16世紀末、豊臣秀吉朝鮮出兵で連れてこられた陶工をとする。薩摩藩が参加した1867年のパリ万博で「SATSUMA」の名は一躍世界に知られ、日本の陶磁器輸出の牽引(けんいん)役になった。白薩摩は高貴な品格を漂わせる焼きもので、薩摩藩主らに愛用された。
(2012-04-18 朝日新聞 夕刊 1社会)

出典:朝日新聞掲載「キーワード」

デジタル大辞泉

さつま‐やき【×薩摩焼】
鹿児島県薩摩大隅地方に産する陶磁器の総称。文禄の役後、島津義弘が朝鮮から伴ってきた陶工によって始められた。俗に白薩摩黒薩摩とよばれる白釉(はくゆう)地のものと黒釉地のものとがあり、作風も多様であったが、江戸末期以降は色絵主力

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デジタル大辞泉プラス

薩摩焼
鹿児島県の伝統的な焼物文禄・慶長の役の後、島津義弘が朝鮮から連れ帰った陶工たちが創始したと伝わる。製品には白薩摩、黒薩摩、磁器があり、流派としては堅野系、龍門司系、苗代川系など6つの系統がある。国指定伝統的工芸品。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

さつまやき【薩摩焼】
鹿児島県の各地で焼かれた陶磁器の総称。桃山時代,文禄・慶長の役の際,領主島津義弘は朝鮮より多くの陶工を連れ帰った。その一人金海(星山仲次)が,姶良(あいら)郡の帖佐宇都に窯をきずいたのが始まりと伝える。これが宇都(うと)窯である。この窯は他に例をみない単室の蛇窯規模も小さく,金海はこの窯で義弘の好む茶具をつくり,茶入製作を学ぶため瀬戸窯にも赴いたという。その後,藩窯系の窯では加治木町に御里(おさと)窯がきずかれた。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

薩摩焼
さつまやき

鹿児島県(旧島津藩の薩摩・大隅地方)の近世陶芸の総称。この地は中世においてまったく製陶活動が行われなかったが、陶器窯(よう)を開く契機を与えたのは領主島津義弘(よしひろ)で、豊臣(とよとみ)秀吉の朝鮮出兵後、朝鮮半島の陶工を招致して開始された。当地に残る後世の文献では、陶工の渡来は1595年(文禄4)説と、1598年(慶長3)説とに分かれている。陶工は串木野(くしきの)、市来(いちき)、鹿児島などに上陸し、のちに竪野(たての)系、苗代川(なえしろがわ)系、西餅田(にしもちだ)系、竜門司(りゅうもんじ)系と大きく4地域の窯(かま)の系譜を形成していった。

 竪野系は現在の鹿児島市の北東方に窯址(ようし)が点在するが、島津義弘が陶工金海(星山仲次(ちゅうじ))に命じて姶良(あいら)郡帖佐(ちょうさ)村宇都(うと)(現、姶良市)に開いた宇都窯(うとよう)に始まり、古帖佐とよばれる茶器を多く焼造した。また竪野初期の作は古帖佐とともに古薩摩といわれ、竪野窯は薩摩焼の主流をなした。苗代川系は日置(ひおき)市東市来(ひがしいちき)町美山近くに古窯址が散在しており、帰化陶工朴平意(ぼくへいい)を中心として1605年(慶長10)ごろ串木野窯、元屋敷窯を築窯。竜門司系は陶工卞芳仲(べんほうちゅう)を陶祖とし、元禄(げんろく)年間(1688~1704)に現在の姶良市東部に竜門司窯を開いたといわれる。竜門司窯、苗代川窯は黒物(くろもん)の日用品を多く手がけ、今日も伝統的な民芸陶器で活動している。西餅田系諸窯は姶良市南部に展開し、一名元立院(げんりゅういん)焼の名で知られ、陶祖の小野元立が1663年(寛文3)に築窯したと伝えられる。

 薩摩焼は、俗に白薩摩とよばれる失透白釉(ゆう)と、黒薩摩とよばれる鉄呈色の黒褐釉を用いて、茶具(水指、茶碗(ちゃわん)、茶入れなど)と日常飲食器を焼いていたが、江戸末期、竪野窯が京都から色絵技法を導入して薩摩金襴手(きんらんで)を始めてから、主力の作風は一変し、色絵が人気を博し、1776年(安永5)に開かれたという平佐(ひらさ)窯(現、薩摩川内(せんだい)市)では、伊万里(いまり)焼の陶技を受けて磁器が焼造されている。

[矢部良明]

『岡田喜一著『陶磁大系16 薩摩』(1972・平凡社)』『岡田喜一編著『日本のやきもの16 薩摩』(1976・講談社)』

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事典 日本の地域ブランド・名産品

薩摩焼[陶磁]
さつまやき
九州・沖縄地方、鹿児島県の地域ブランド。
伝統的工芸品に指定された成形方法により製作された鹿児島県産の陶磁製五徳・フォーク・スプーン・火消しつぼ・あんどん・笠・七輪・火鉢・湯たんぽ・洗面台・イヤリング・カフスボタン・ネクタイどめ・ネックレス・ブレスレッド・ペンダント・メダル・インキつぼ・金魚鉢・筆箱・筆立て・文鎮・タイル・テラコッター・液体貯蔵槽・位はい・傘立て・家庭用水槽・工具箱・骨つぼ・さかき立て・三宝・数珠・つい立て・ネームプレート及び表札・花立て・マネキン人形・郵便受け・額縁・きゅうす・コップ・杯・皿・サラダボール・茶かん・茶わん・徳利・鉢・ビールジョッキ・水差し・湯のみ・重箱・たる・つぼ・その他の食器類・アイスペール・飲料用容器・花びん・かま・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振り出し容器・しゃもじ・じょうご・食品用容器・水筒・米びつ・水盤・すりこぎ・すりばち・せん・ふた・洗面器・大根おろし・卵立て・なべ・なべ敷き・箸おき・ひしゃく・蓋おき・ようじ入れ・レモン搾り器・香炉・香合・ボタン。豊臣秀吉による朝鮮出兵の際、島津義弘が朝鮮から李朝の陶工たちを連れ帰ってはじまった。白薩摩と黒薩摩がある。白薩摩は、象牙色の肌に細かい貫入が入り、繊細華麗な錦手や金襴手の上絵、精巧な透彫がほどこされる。黒薩摩は、漆黒の光沢の素朴で剛健さがあり、庶民の生活の道具として使われた。江戸時代末期には、薩摩焼は欧米の人々から高く評価され、多くの作品が輸出された。400年の伝統をいかしつつ、新たな感性と技を駆使して多種多様な焼き物がつくりだされている。2002(平成14)年1月、経済産業大臣によって国の伝統的工芸品に指定。2007(平成19)年1月、特許庁の地域団体商標に登録された。商標登録番号は第5019753号。地域団体商標の権利者は、鹿児島県陶業協同組合。

出典:日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」
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精選版 日本国語大辞典

さつま‐やき【薩摩焼】
〘名〙
① 陶器の一つ。鹿児島県(薩摩・大隅地方)で産出する陶磁器。島津義弘が文祿の役後、朝鮮の陶工をつれ帰り、藩内に窯を開かせたのにはじまる。竪野(たての)系、龍門司(りゅうもんじ)系、苗代川(なえしろがわ)系、西餠田系に分けられ、竪野系の姶良(あいら)郡帖佐郷宇都(姶良町)の窯はすぐれた茶器を焼き有名。竪野窯は、寛永年間(一六二四‐四四)佐賀から染付青磁を学び、また後、京都から色絵を学び薩摩錦手をはじめたという。苗代川でも有田の影響で白磁染を焼いた。
※宗湛日記(茶道古典全集所収)‐慶長一〇年(1605)九月二六日「肩衝は、薩摩やき、蓋ざうげ、袋金らん」
② 菓子の一つ。大阪住吉の名物で、小麦粉製の皮に小豆のこしあんを入れて焼いたもの。薩摩芋の丸焼そのままの形に似せて、中央に串を通して焼いた穴がある。

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旺文社日本史事典 三訂版

薩摩焼
さつまやき
江戸初期以来,鹿児島地方で生産される陶器
文禄・慶長の役のとき,島津氏により朝鮮から連行された陶工が薩摩で始めたもの。江戸時代を通じて薩摩藩の重要産物の一つとなる。加治木・串木野などが主要生産地。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
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