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血管肉腫【けっかんにくしゅ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

血管肉腫
けっかんにくしゅ
angiosarcoma
血液成分を含有する腫瘍 (しゅよう) で,赤黒色ないし黒色を呈する。老人頭部顔面にできる悪性度のきわめて高い腫瘍で,小さい黒色小結節が急速に増大し,一部が潰瘍化し,出血する。内部臓器に転移し,死亡する危険の高い悪性腫瘍である。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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六訂版 家庭医学大全科

血管肉腫
けっかんにくしゅ
Angiosarcoma
(運動器系の病気(外傷を含む))

どんな病気か

 血管をかたちづくっている血管内皮細胞と呼ばれる細胞由来の肉腫です。発生率は低く、全肉腫の1%程度に過ぎません。転移(病気が最初に発生した部位から、悪性の細胞が血液やリンパ液の流れにのってのほかの臓器に移ること)や再発(手術した場所にもう一度病気が発生すること)が起こりやすく、治療の難しい肉腫のひとつです。

 手足の軟部組織のほか、皮膚や肝臓にも発生します。軟部組織に発生する例では、50代以降の比較的高齢の患者さんが多いみられます。

症状の現れ方

 比較的短い期間に増大する(こぶ)として発症します。下肢に最も多く、次いで上肢、体幹部に発生しやすいといわれています。

 痛みを伴うことは少ないようですが、時に浮腫(ふしゅ)、循環障害、感染、潰瘍(かいよう)や出血を伴います(図59)。また、全体の約3分の1の症例で正常な血液の機能が損なわれており、貧血や血液凝固能(出血などの際に血液がうまく固まる作用)の異常がみられます。

 病気が進行すると、肺、リンパ節、骨、軟部組織などに転移し、全身的な問題を引き起こします。

検査と診断

 MRIなどの画像検査で病気の広がりを把握します。血液の検査を行い、血液の機能(貧血や凝固能)を評価します。

 診察や画像のみで病名を決定することはできません。小手術などで組織の一部を採取し、顕微鏡で観察を行うことで病名を確定します。

治療の方法

 再発を防止するため、周囲の正常な組織を含めて腫瘍を摘出する必要があります。画像診断や手術の技術が発達したため、昔と違って四肢切断術が行われる機会は少なくなりつつあります。しかし、潰瘍などからの出血が制御できず、ショック状態となり血圧が低下してきた場合などには、切断術が必要となることもあります。

 周囲の組織への浸潤(しんじゅん)傾向に対応するため、放射線療法が行われることもよくあります。皮膚に発生した例では、インターロイキン2など特殊な薬剤の投与が有効である例があります。

病気に気づいたらどうする

 がんセンターや大学病院での精密検査と専門的な治療が必要です。

関連項目

 血管腫

森井 健司

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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血管肉腫
けっかんにくしゅ
Angiosarcoma
(皮膚の病気)

どんな病気か

 広義の血管(脈管)肉腫すなわち血管の悪性腫瘍は、①悪性血管内皮細胞腫(あくせいけっかんないひさいぼうしゅ)、②悪性血管外皮(けっかんがいひ)細胞腫、③カポジ肉腫に分類されます。

 さらに、①の悪性血管内皮細胞腫は高齢者の頭部に好発する血管肉腫と乳がん根治術後のリンパうっ滞に起因する血管肉腫の2つに、③のカポジ肉腫は古典型、アフリカ型、医原性型(あるいはエイズ型)の3つに細分されます。また、狭義の血管肉腫は、それらのなかで最も頻度が高い、高齢者の頭部に好発する血管肉腫を指します。

 なお、本項は紙面の関係で狭義の血管肉腫すなわち高齢者の頭部に好発する血管肉腫について記載します。

原因は何か

 約半数の患者さんでは頭をドアで打ったなどのけがの既往があることから、打撲などの外的刺激がその誘因に取り上げられています。なお、皮膚では頭部のみに生じ、そのほとんどは経過中に血行性転移による血気腫(けっきしゅ)などの肺病変を高頻度に合併する一方、初期にはその他の臓器への転移を生じることがほとんどないことから、誘因を契機に頭部皮膚と肺に同時多発性に血管肉腫が生じるとの考えもあります。

症状の現れ方

 高齢者の前頭部から前額部皮膚にかけて好発し、当初は淡紅色から暗紅色の打ち身様皮疹(紫斑(しはん))や紅斑としてみられ、次いで浮腫を伴うようになり、さらには、皮膚表層の欠損(びらん)による出血やかさぶた(血痂(けっか))を生じるようになります。

 また、さらに進行するとその紫斑や紅斑のなかにもち上がり(結節)を生じたり、あるいは、一部崩れて潰瘍をつくったりします。

検査と診断

 特殊な検査法あるいは診断法はなく、臨床症状から血管肉腫を疑って皮膚生検することで診断します。しかし、ほくろのがんと同様に悪性度が高いため、生検により転移を誘発する可能性を指摘する説もあります。

 また、血中の第8因子関連抗原、トロンボモジュリン、VEGF(血管内皮成長因子)、エンドセリンなどが病勢を反映することがあります。

治療の方法

 範囲が小さければ、紫斑や紅斑などの肉眼的病巣から十分離して外科的切除を行いたいところですが、目、鼻、耳などの重要な器官を巻き込むと現実的には不可能になります。そこで、放射線療法とインターロイキン2(IL­2)治療、さらには、多剤併用化学療法などを併用します。

 また、これらの治療は紫斑性または紅斑性病変には有効ですが、盛り上がった病変にはほとんど効果がないため、可能なかぎり隆起性病変の切除を行います。

 しかし、患者さんが高齢のため侵襲(しんしゅう)の大きな治療を行いにくいことなどから局所再発率は高く、さらには、早期に肺転移を生じて血気胸(けっききょう)を来しやすいなど、その予後が不良なのも事実です。

病気に気づいたらどうする

 早期に発見して、盛り上がる前の初期病変の時に治療を開始するのが第一であることから、けがの既往の有無にかかわらず、高齢者の頭部や顔面に紫斑ないし紅斑局面を見つけたら、皮膚科専門医を受診してください。

立花 隆夫

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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