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被り物【カブリモノ】

デジタル大辞泉

かぶり‐もの【被り物/冠り物】
頭にかぶるものの総称。帽子・笠・頭巾(ずきん)や手ぬぐいなど。
怪物や有名人、カボチャスイカなど、さまざまなものに似せて作り、ハロウィーンや忘年会・パーティー余興、テレビ番組などでかぶって楽しむマスク。顔を隠さないタイプもある。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

かぶりもの【被り物】
頭にかぶったり頭をおおったりするものの総称防寒,防暑,防風などの保護機能はもとより,装飾機能や身分階級,職業などを端的に示すシンボル機能も強い。さらに,神仏への畏敬の表現,吉凶時の喜悲や慎みの表現としても重要である。時代や民族の特性を如実に反映するものとして,古くから多種多様なものがみられる。被り物は身分や役割のはっきりしている社会,また文化の爛熟期に発達している。
【日本】
 帽子頭巾手ぬぐいなどの種類があり,材料としては,麻,木綿ラシャ,紙,藺(い),菅(すげ)などが用いられている。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

被り物
かぶりもの

頭部や顔面を覆う物の総称。冠(かんむり)、幞頭(ぼくとう)、帽子、笠(かさ)、頭巾(ずきん)、手拭(てぬぐい)、覆面やかつらなどがあり、これらは時代、身分、地域、用途によっていろいろに用いられる。本来被り物は、頭部を保護し防寒、防暑に用いる場合と、儀礼あるいは服飾構成の際に装飾として用いる場合とがある。材料には布帛(ふはく)、皮革、綿、紙、稲藁(いねわら)などが用いられ、さらにこれらの材料に、漆、渋、油などを塗って、その形を整えることも多い。これらは時世の変容、風俗の変化によって左右される。

[遠藤 武]

日本

わが国では『日本書紀』や『古事記』などの古文献に、冠、笠のことがみえており、5、6世紀に盛行した埴輪(はにわ)の人物像にもいろいろの形の被り物が使われ、なかには黄金で鍍金(ときん)されたものさえある。これらは、古代中国文化の舶載によるものが多かった。603年(推古天皇11)には、隋(ずい)の服制に倣って冠位制度が敷かれ、ついで701年(大宝1)に大宝律令(たいほうりつりょう)が制定されてから、礼冠(らいかん)、頭巾(とうきん)が礼服(らいふく)、朝服(ちょうふく)、制服の際の被り物となった。平安時代、礼服にかわって朝服である束帯が儀礼用となって、冠が公家(くげ)の間に使われ、同時に烏帽子(えぼし)が平常用の服飾に用いられた。当時公家社会では、たとえ病床にあっても、他人と会うときには被り物をつけることになっていた。このことは『源氏物語絵巻』からもうかがうことができる。女性は外出の場合、傾斜の深い市女笠(いちめがさ)をかぶったり、被衣(かづき)をかぶって、けっして素顔で出歩くことをしなかった。防寒や夏の毒虫の用心のため、市女笠のへりには、カラムシをベールのように下げて「枲(むし)の垂衣(たれぎぬ)」といった。

 鎌倉時代となって武家社会は公家社会とは異なり挙動に便利な服装を用いたので、被り物は冠よりも烏帽子中心となった。烏帽子にも、立(たて)烏帽子、風折(かざおり)烏帽子、侍(さむらい)烏帽子が使われ、頭の蒸れを防ぐ意味から、紗(しゃ)に黒漆を引いたのを用いたが、のちには紙でつくって黒漆を塗るようになった。女性の間では、京都の桂(かつら)の女たちの風俗から出た桂巻(かつらまき)が行われた。室町時代は、武家社会であり、ことに応仁(おうにん)の乱(1467~77)以後となると、頭髪の蒸れを防ぐ意味から月代(さかやき)が行われた。安土(あづち)桃山時代前後からは、被り物をかぶらぬ露頂(ろちょう)という風俗が流行し、髪を後頭部でまとめた茶筅髷(ちゃせんまげ)が流行することとなった。また南蛮人の渡来で、新しく西洋の帽子がもたらされ、わが国では、これを南蛮笠、南蛮帽子といって珍重した。織田信長が前田利家(としいえ)の家臣に、戦勝の記念として与えたものが現存している。西洋の帽子は、江戸時代初期には一部の庶民の間に流行したが、露頂の風俗の一般化で、冠、烏帽子が儀礼用となり、外出には笠を用いることが多くなった。ことに万治(まんじ)年間(1658~61)に浪人の取締りが厳しくなってからは、手拭(てぬぐい)による頬(ほお)かぶりさえ禁じられたので、女性が被衣で江戸の街を歩くことも厳禁され、それはわずかに京風俗や婚礼風俗として残った。ただ防寒用、防暑用、あるいは風の吹くときのほこりよけに、男性は笠、頭巾、手拭を、女性は笠、帽子、手拭を用い、その種類、着装法、材料、染織もさまざまであった。山農漁村での労働用として用いる被り物は、自家手作りの植物製品に加えて、汗ふき、手ふき、帯など、いろいろな方面に便利に活用される手拭を用い、東北地方では、二枚手拭、四はん手拭といって、手拭2枚を使った。

 明治維新後、男子の散切(ざんぎり)により西洋帽子が着用され始め、陸海軍、鉄道、警察、郵便関係の人々の間で帽子が使われるようになった。女性の間では、明治10年代の鹿鳴館(ろくめいかん)時代以後、洋装が取り入れられてから婦人帽がおこり、また学生服の普及により男子も女子も帽子をかぶることが普通となっていった。大正時代になって、生活改善という生活に能率をあげる運動とともに、女性の職場服に独特な帽子を用いる風潮がおこり、この傾向は関東大震災以降いっそう激しくなった。

[遠藤 武]

西洋

頭にかぶるものの総称であり、英語のheaddress, headwear, headgear, headcloth, headcoveringなどにあたる。日本語では動詞の連用形に「もの」をつけて、そのような動作の対象となる物品を表したり、動作の結果できた物品を表したりする。この場合の「もの」は、物体を一般化したり、概念化したり、あるいは限定したりするのに使われる。被り物、履き物、着物などのほか、読み物、食べ物、焼き物などもそうである。ある状態や態度を名詞化して表すとき、英語では動名詞にしたり、語尾にwearをつけたりするのに似ている。headwearやheadcoveringもその例に漏れないとしても、日本語の「もの」ほどの包括的な機能はもっていない。こうしたことから、西洋での被り物は、「帽子hat」「頭巾coif」「フードhood」「スカーフscarf」「ベールveil」など、それぞれに分化して用いられるのが一般であるから、詳しくは各項を参照していただくとして、ここでは変遷の概略をたどってみることにする。いずれにせよ、直立して歩く人間にとって頭部は一番目だつ箇所であり、それだけに被り物は多様で変化に富んでいる。

 古代エジプトでは男女ともかつらをかぶり、ときおり、王や王妃は縞柄(しまがら)の亜麻(あま)布の頭巾をかぶった。古代メソポタミアの王や兵士はフェルトの王冠やヘルメットをかぶり、ペルシアの貴族は布頭巾(ずきん)をターバン状にかぶった。古代ギリシアの青年男女はつば広の日よけ帽をかぶり、婦人はときおり頭巾をかぶっている。古代ローマでは男性はフェルトのぴったりした椀(わん)形帽か円錐(えんすい)帽をかぶったが、無帽が圧倒的だった。中世のロマネスク期になると男女ともフード、ベール、頭巾などをかぶることが多くなるが、これはイスラム文化の影響によるものであろう。一方、ゴシック期にはシャプロンという独特の頭巾や、エナンという婦人用とんがり帽、あるいはエスコフィオンという丈高い被り物がかぶられた。ルネサンス期になると圧倒的に男女ともベレー帽が多くなるが、17世紀になると山の高いフェルト帽がかぶられ、やがて男性にかつらの使用が高まるにつれて三角帽が、女性には独特のフォンタンジュという頭飾りがかぶられた。ロココ時代になると男性は前代の被り物を踏襲したが、女性の被り物は頭巾形に一変する一方、かつらが法外に巨大化してくる。フランス革命後はシルクハットが多くなり、女性ではボンネット形の帽子が全盛になる。20世紀になると山高帽、ソフト帽、鳥打帽(ハンチング)などが男性にかぶられたが、第二次世界大戦後は無帽主義が一般化する。他方、女性は盛装時ほど帽子をかぶる習慣があり、それだけにデザインも多様化するが、しかし、戦後の無帽主義は女性にも及んで今日に至っている。

[石山 彰]

『遠藤武著『近世姿態冊子』(『被服文化』18号所収・1952・文化出版局)』『喜多川守貞著『類聚近世風俗志』復刻版(1934・更生閣)』『R. Turner WilcoxThe Mode in Hats and Headdress (1945, Charles Scribner's Sons, New York)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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