●被曝【ひばく】
知恵蔵
被曝
人体が放射線を浴びること。体の外にある放射性物質によって被曝(ひばく)する場合を「外部被曝」、呼吸・飲食・皮膚などを通じて体内に入った放射性物質で被曝する場合を「内部被曝」と呼ぶ。いずれの場合も、放射線を受けた細胞、その遺伝子や染色体など様々なレベルで障害が起きる。染色体レベルでは、切れて断片化したり、それが誤ってつながったりする異常が生じる。体細胞で異常が起きると身体的影響となり、生殖細胞では遺伝的障害となる。被曝して数日以内に障害が出る早期影響は一定量以下の被曝では起こらない。その量を閾(しきい)線量という。被曝量が1シーベルト(Sv)以下の低線量被曝では、数カ月から数十年の潜伏期を経て、白血病やがんなどの晩発影響が生じる。原爆被爆者のデータ、人口動態統計、がん統計、動物実験結果などを総合して考えて、被曝した人のうちがんで死亡した人が何人かを計算したのが、生涯がん死亡確率。国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年勧告は1Svの被曝で100人中5人と推定している。晩発影響は特に低線量被曝の影響がよく分からないため、閾線量はなく、障害が出る可能性は線量に比例すると仮定する(確率的影響)。
(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)
(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
デジタル大辞泉
ひ‐ばく【被×曝】
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世界大百科事典 第2版
ひばく【被曝】
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