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複合核【ふくごうかく】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

複合核
ふくごうかく
compound nucleus
核反応の中間状態として入射粒子標的原子核とが結合して形成される高励起状態の原子核。たとえば 9Be+4He→13C*12C+n の反応では,入射粒子 4He と標的の原子核 9Be とが結合した 13C* が複合核である。 1936年 N.ボーアが提唱した概念。核力は強い近距離力であるから,核表面に達した入射粒子標的核の核子と強く相互作用して一体となり,入射粒子のもっていた運動エネルギーはただちに各核子に分配される。この複合核は平均寿命 10-20 秒程度でγ線放射または陽子中性子,α粒子などの粒子を放出する。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ふくごう‐かく〔フクガフ‐〕【複合核】
核反応において、入射粒子と標的となる原子核が衝突して形成される、準安定的な励起状態にある原子核。この複合核が崩壊し、反応の終状態である原子核と粒子ができる。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

ふくごうかく【複合核 compound nucleus】
核反応の途中で入射粒子と標的核が融合したときにできる複雑な構造をもった原子核。1934年E.フェルミは遅い中性子を種々の標的核に衝突させ,中性子のエネルギーがとびとびのある値Eiにほぼ等しいときに,きわめて強く反応が起こることを見いだした。N.H.D.ボーアはこのいわゆる共鳴現象を複合核という概念を用いて説明した。すなわち,入射中性子のエネルギーがEiのとき,その中性子は標的核の中に入って核内の核子(中性子と陽子の総称)と何回も衝突し,そのエネルギーを多数の核子に分配して複雑な複合核状態をつくり,きわめて強い反応を引き起こす。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

複合核
ふくごうかく
compound nucleus

原子核反応には、入射粒子が標的核の核子と1回衝突して反応が進む直接過程、2回以上衝突する多段階過程、さらにその極限の場合として入射粒子が標的核と一体となって一つの原子核を形成し、それが崩壊して粒子を放出する過程がある。この中間状態にできる原子核を複合核とよび、複合核を経由しておこる反応を複合核反応という。

 1934年イタリアのE・フェルミがみいだした反応で、デンマークのN・H・D・ボーアが「複合核」を考え出して説明した。

 複合核の比較的低い励起エネルギーの領域においては離散的なエネルギー準位に対応して共鳴が現れる。共鳴幅をΓとすると
  ħ/Γ (ħ=h/2π,hはプランク定数)
が複合核の寿命で、一般に衝突時間に比べて非常に長い。そのため核反応の理論では、複合核のできる過程と、粒子を放出して崩壊する過程を独立なものとして取り扱う。入射粒子による核の励起を振動の強制に、そして粒子の放出を振動の減衰になぞらえると、複合核反応は古典的には減衰を伴う強制振動系によって類似され、光の分散現象と同じ形式のものとして扱える。この考えに従って量子力学的に反応の断面積を計算したものにブライト‐ウィグナーの分散公式がある。

 複合核の励起エネルギーが高くなるとエネルギー準位幅が大きくなり、互いに重なり合って共鳴準位は現れなくなる。そして状態密度がきわめて大きくなり、統計熱力学的な凝集相とみなすことが可能で、粒子放出は液滴の蒸発に似た現象と考えられる。

[村岡光男]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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